人間関係の整理は〝気持ち〟の整理本章では、「人間関係の整理」についてお伝えしていきます。こうと聞くと、なんだかドライで冷たい人間になってしまうような気がしてしまいますが、本音では「整理したい」と思っているけれど実行できていない、というモヤモヤした気持ちは、仕事のクオリティに大きな影響を及ぼします。そう、片づけなければいけないのは、まわりの人ではなく、自分の気持ちなのです。仕事をより速く進める、よりよいクオリティに仕上げるために大切な要素のひとつに〝気持ち〟があります。あたり前の話ですが、気持ちはあなたの仕事に対するモチベーションに大きな影響を与えます。そして、気持ちというのは、一緒に仕事をしている人との関係性に大きく左右されることが多いものです。成功しているプロジェクトが、同じプロデューサーによって指揮されていることが多いのは、「そのプロデューサーと仕事をするのが楽しい」と思う仲間が集まっているからです。その結果、クオリティが上がり成果につながるのです。これを、ご自身に置き換えてみてください。過去の仕事のなかで、「あれはいい仕事だったな」「成功したな」と思えるのは、どんな人と仕事をしたときでしょうか?私の場合は、おたがいに忌憚なく意見を出し合える人、仕事を処理するスピードが速い人です。これを基準に一緒に働く人を決めています。もちろん、この基準に正解はありませんから、あなた自身の価値観で考えてみてください。基準を決めたら、そのほかの人のことは意識から片づけ、気にしないようにする。人間関係の整理とは、自分にとって心地よい場所をつくる行為といえるのです。とはいえ、ビジネスの現場では、どうしても嫌な人と仕事をしなければいけない局面が出てきます。そんなときは、「その人のことがどうして嫌なのか」と考えてみることが大切です。どんな人でも、よほどのことがないかぎり全員から嫌われているということはありませんから、「私は嫌いだと思っているけれど、そうではない人はその人のことをどんなポイントで評価しているのだろう?」と冷静に客観視するのです。嫌悪感が生まれるのは、主観でしか物事を見ることができていないからです。その人のことを客観視することで、自分が嫌悪感を覚える原因がわかり、その人に対する自分の気持ちを整理するための糸口が見えてくるはずです。かつて私の上司だった人のなかに、とにかく上の人間に媚びるのがうまい人がいました。私は最初、その媚びる感じが嫌で、その人のことを避けていました。しかし、あるときその人のことを客観視すると、彼は上の人間に媚びていたのではなく、上の人の感情をコントロールすることで、私たち部下の待遇をよくするための提案を次々ととおして、職場の環境を変えていたということがわかったのです。その上司は、下の人間から嫌われるのを承知で、部下のために身体を張ってくれていたわけです。主観が先行し、客観視できていなかったときにはこの事実にまったく気づいていませんでした。このことに気がついたおかげで、その元上司とは今でも仲よくさせていただいていますし、私のロールモデルのひとりになっています。相手を変えることはできませんが、自分の気持ちを変えることはできます。それができるようになれば、今の環境を自分にとって心地いい場所に変えていくことができるようになるのです。
集中力を持続させるフェイスブックの友だち管理仕事の連絡や人間関係の構築、人脈づくりのために、フェイスブックを利用している人も多いことでしょう。フェイスブックは、名前さえわかればその人と連絡が取れるという極めて便利なツールですが、一度会っただけ、もしくは会ったことがなくても「友だち」になれてしまうという不思議なツールでもあります。ですから、「友だち」の数が増えてくると、誰が誰だかわからなくなって収拾がつかなくなってしまいます。たとえば、フェイスブック経由で仕事の依頼を受けたとき、「この人誰だっけ?」と考えている時間は非常にもったいない。その無駄を解消するためには、その人と「友だち」になったときに必ずメッセージを送信するというルールをつくっておくことがおすすめです。メッセージは簡単なものでOKです。ただし、「山口のセミナーではありがとうございました」「B’zのライブ、楽しかったですね」といったように、出会った場所など、その人に関連するキーワードを必ず入れて、メッセージを送るようにしましょう。フェイスブックのメッセージは過去の履歴を見ることができるうえ、自動的に年月日をつけてくれるので、キーワードさえ残しておけば、あとから思い出すことができます。フェイスブックで「友だち」になった人がタイムラインに何も投稿していなければ記憶のフックがまったくなくなってしまいますから、キーワードを自分からメッセージのなかに残しておくのです。また、私は実際に会った人としか「友だち」にならないと決めています。本を書いているので、まれに「読みました!」といって友だち申請してくださる人もいらっしゃるのですが、それを受けつけていると、メッセージでキーワードを残して管理することが難しくなりますし、あっという間に「友だち」の上限である5000人に到達してしまうからです。もうひとつ、仕事でフェイスブックを使用する際に気をつけるべきことがあります。それは、ネガティブな投稿や他人を批判する投稿、意味のない投稿を見ないようにするということです。前述しましたが、仕事をするうえで〝気持ち〟はとても大切な要素です。仕事中に「なんでこの人はいつもネガティブなことを投稿するんだろう」「この人、いつも人の悪口を書き込んでいて嫌だな」といったイライラした気持ちが生まれると、集中力が途切れてしまいますし、モチベーションも下がります。「友だち」のなかにこのような人がいて「私はこの人の投稿を見たくないな」と思ったら、そのタイミングでその人の投稿を「非表示」にしておきましょう。そうすれば、あなたのタイムライン上に表示されることがなくなりますから、気持ちが乱れることなく快適に仕事をすることができます。また、仕事上の「友だち」と、プライベートの「友だち」の投稿が混在してしまうのも問題です。仕事中にプライベートの友人の投稿が目に入ってしまうと、集中力が途切れてしまいますよね。ですから、フェイスブックの「友だち」は、多少手間がかかってもリストを作成し、仕事中は仕事関連の投稿しか目に入らないようにしておくことをおすすめします。
マイルールをつくり連絡手段を一本化する前項では、フェイスブックを使用する際の注意点についてお伝えしましたが、世の中に存在するコミュニケーションツールはそれだけではありません。ツイッターやLINE、携帯電話のショートメッセージ、メール、電話など、本当にさまざまなツールが存在します。以前の私は、仕事の相手が日常的に使用しているツールに合わせて連絡を取っていたので、しばしば混乱することがありました。たとえば、執筆中の書籍の編集者とはフェイスブックのメッセンジャー、コンサルティング先の担当者とはメール、事務所の顧問税理士とは電話などなど……。このように連絡手段を分けてしまうと、情報が一箇所に集まりませんし、連絡を取ろうとするたびに、「あれ、Aさんは、フェイスブックで連絡するんだっけ?」といった迷いが生じ、無駄な時間を使うことになります。この問題を解決するためのコツは、次の2つです。・自分なりのルールをつくって相手を誘導していくこと・ファーストコンタクトは相手に合わせることたとえば、私の決めたルールは次のようなものです。仕事のやりとりはすべてメールで行う。電話は極力しない、かかってきてもとらない。LINEは親戚とのやりとりにかぎる。基本的に公開しない。プライベートなやりとりはフェイスブックでもメールでもOK。このルールを守るようにしてから、連絡が非常にシンプルになり、よけいな時間を使わずにすむようになったうえ、仕事の情報が一箇所に集まるようになったため、仕事の効率が上がりました。仕事の連絡手段をメールに限定しているのは、履歴が蓄積されるので情報を整理しやすいからです。また、電話をとらないのは、私の仕事が、講演やコンサルティング、取材を受けるといったことが中心なので、電話で連絡をいただいても対応できないことが多いからです。たとえば、顧問税理士から電話がかかってきた場合、その電話はとらずに、「電話とれずにすみません。移動中なので、メールでお願いします」とメールで伝えます。自宅やオフィスにいてもです(すみません……)。そうすれば、メールで連絡してくれると思いますし、これを続けているとそもそも電話があまりかかってこなくなります。もちろん、私は仕事関係の人ともフェイスブックでつながっていますし、日常的なやりとりはフェイスブック上でも行っていますので、フェイスブックでの何げないやりとりのなかで具体的な仕事の話になることもあります。もしそのような状況になったら、話がまとまった段階で、「あとは、メールでやりとりさせてください」と、続きをメールでやりとりするよう誘導しています。ただし、ファーストコンタクトにかぎっては、相手が使っているコミュニケーションツールに合わせるようにしています。コミュニケーションは相手があってはじめて成り立ちますし、最初のうちは相手のよく使うツールに合わせたほうが、やりとりが速いですから。また私の場合、さまざまな人から幅広い仕事の依頼をいただくことが多いので、ファーストコンタクトもメールに限定してしまうと、それを周知する必要が出てくるからです。そんなことは不可能ですよね。ですから、最初はさまざまなツールで連絡を受けつけ、具体的な話になった段階でメールアドレスを伝え、「以降の連絡はメールでお願いします」とお願いするようにしています。ただし、LINEだけは絶対に仕事で使わないようにしています。営業のメッセージが飛んでくるなど、面倒なことが多いからです。ここに書くのもどうかと思いますが、「LINEのIDを教えてください」といわれても「LINEはやっていないんですよ」と答えるようにしています。ここで紹介したルールは、あくまで私個人のものですから、ご自身の仕事の状況に合わせて適宜設定してみてください。
「消してもいいのかな?」の迷いを断ち切るアドレス帳の整理術出先で取引先の担当者に電話をしようと思ったら、スマートフォンのアドレス帳のなかから、なかなか名前を見つけることができずイライラした。顧客の田中さんに電話をかけようとしたら、下の名前が登録されていない「田中さん」のデータが2つあり、どちらにかけていいのかわからなくなってしまった。こんな経験をしたことがある人は、不必要な連絡先を消してアドレス帳を整理すべきです。とはいえ、「いつか連絡するかもしれないからどうも消しづらい」という人も多いことでしょう。実際には「いつか連絡するかも」という人に連絡することはほぼありませんし、もしその必要が出てきても、人づてに聞く、SNSで検索するなど方法はいくらでもあります。ですが、いざ消そうとなるとなかなか迷いを断ち切れないのも事実です。ならば、必要のない連絡先は見えないところに保管するというのが最も心理的なハードルが低い解決策になります。やり方は簡単。削除したい連絡先の情報を開き、そのなかにある「連絡先を送信する」というボタンを押して自分のスマートフォンのメールに送るだけです。機種によって名前は違いますが、ほとんどのスマートフォンには連絡先を送るためのボタンがついており、それを使うと「vcf」という電子名刺の標準規格フォーマットが添付された状態でメールを送ることができます(なお、従来型の携帯電話にもこの機能がついている機種があります)。また、そのメールのなかには氏名が記載されていますから、メールをアーカイブしておけば、万が一必要になったときにプールのなかを検索すると、そこから簡単に連絡先を取り出すことができます。なお、この「vcf」というのは一般的なフォーマットなので、スマートフォンの機種が変わってもメールの情報さえ引き継いでおけば確認することができます。この方法なら連絡先の情報が失われるわけではありませんから、安心してアドレス帳から削除することができます。移動中などのちょっとしたスキマ時間にこの作業を行っておくとアドレス帳がすっきりして使いやすくなると思います。
角を立てずに断るコツは、断ち切るのではなく〝離す〟こと仕事をしていると、どう考えても意味のない飲み会や異業種交流会などのイベントに誘われることがあります。「忙しいし、気も進まないから本当は断りたいけれど、断ると角が立ちそうだから結局参加してしまった……」。こんな経験がある人も多いのではないでしょうか。不必要な人間関係を角を立てずに断ち切る方法があればいいのですが、これがなかなか難しい。私も過去にさまざまな方法を試してみましたがなかなかうまくいかず、結局人間関係を断ち切るのをやめました。そのかわり「断る技術」を身につけることにしました。そのポイントは「時間を離す」こと。そして「距離を離す」ことの2つです。人間関係を絶つのは難しいですが、この2つの方法で、少しずつ疎遠になっていけば、結果的に断ち切ることができるかもしれません。「時間を離す」というのは、要するに「先延ばし」です。たとえば、「3月に飲み会をセッティングしたいのですが、どうでしょうか?」と聞かれてあまり気が進まないようなら、「息子が受験期間中なので、落ち着いた5月くらいにまたご連絡いただけますか?」とか「締め切り間近のプロジェクトを抱えているので、再来月くらいにまた誘ってください」と事情を説明し、「数カ月先にまたご連絡ください」と伝えるのです。やってみるとわかるのですが、実際に数カ月後に連絡がくることはまれですし、結果的に自分が断ったわけではなく、「相手が約束を忘れていた」ということになるので気分的にもラクですし、角が立つこともありません。もし、きちんと連絡がきたらそれだけ真剣だということになりますから、参加してみるのも悪くはないはずです。とはいえ、それでも断れないということもあるでしょう。そんなときは「距離を離す」ことがおすすめです。そもそも、断りたくなるような意味のない飲み会などは、参加者に問題がある場合がほとんど。ですから、自分が話をしたいと思っている人を、追加しておくことがおすすめです。また、少しはやめにお店に入り自分で席順を決めてしまうのもいいでしょう。多くの場合、飲み会の席順はきた順番で決まりますから、はやめにいってそれをコントロールするのです。「Aさんはここ」「Bさんはあちらに座ってください」といった具合です。こうやって気の進まない飲み会でも、自分にとって心地よい空間をつくるのです。よほどのことがないかぎり、文句をいわれることはありませんし、ほかの人の相性なども考慮して席を決めれば、飲み会の時間がおたがいに充実します。私は築地で定期的に「築地朝食会」という会を開催していますが、ここでの席次は、参加者同士が盛り上がるよう工夫しています。以前は到着順に席についていたのですが、こうやって工夫するようになってから、より盛り上がるようになりました。席順を決めて「距離を離す」と聞くと、なんだか自分勝手でドライな気がしてしまいますが、工夫しだいで参加者全員に貢献することができるようになるのです。人間関係のストレスは仕事に多大な影響を与えますから、このような小さな工夫を積み重ね、少しずつ緩和していきましょう。
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