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10章 事務所の5S 維持定着化のポイント

目次

3Sの徹底で本格的な5Sへ

●5Sは維持定着することが大事

5Sをスタートしてからのある一定期間は、トップの「率先垂範」による指導や、推進事務局の働きかけで、全員が積極的に取り組み、ある程度のレベルまでは到達します。

しかし、職場がすっきりと片づき、表示も揃ってくると、5Sができている職場だと判断し、満足してしまいます。

その満足こそ、5Sが崩れる要因です。

5Sは、3S(整理・整頓・清掃)を徹底的にやり抜かないと、維持していくのはなかなか難しいものです。

3Sが本当に徹底できているか、確認しましよう。

整理が不十分な職場は、必要な物と不要の物との判断ができず、徐々に不要物が増え、雑然とした職場になってしまいます。

整頓が不十分な職場は、所定の場所に戻すことができず、チョコ置きが増え、探すムダが発生します。

清掃が不十分な職場は、次第に清掃してもしなくても気にならず、ホコリまみれになってしまいます。

3Sの不十分な職場の一例を紹介します。

・整理……見えるところはすっきりしていますが、引き出しや扉を開けると、ホコリまみれのダンボールや変色した書類が放置されています。

見えない箇所が整理できていない証拠です。

・整頓……表示の文字が小さくて見にくかったり、使用頻度が低いキャビネットは何も表示されていなかったりします。

ワンベスト管理が浸透していても、工夫が見られない職場です。

・清掃……見える場所は、掃除していますが、見えない場所、気づかない箇所は何も清掃していません。

●3Sから5Sの職場をめざそう整理・整頓。

清掃は、5Sの重要な3要素です。

3Sを徹底して実施した成果が、4つ目の5S「清潔」のレベルになります。

清潔は、どこを見てもピカピカで、統一感があり、随所に「ご自慢の場所」がある職場の状態です。

そして、5つ目の5Sの「しつけ」は、一人ひとりが5Sの心を持って行動し、ルールが守られ、5Sが維持定着している職場の状態です。

3Sを徹底的に実施し、5Sを維持定着できる職場にしましょう。

新人や異動者も仲間入り

●5Sを崩してしまう一因

5Sが崩れてしまう理由はいくつかありますが、中には人が原因となることがあります。

それは、新人や5Sを推進していない部署からの異動者です。

新人や異動者は、5Sそのものを知らない人が多いです。

5Sの必要性や目的も進め方もわからないために、無意識のうちに5Sを崩してしまう可能性があるのです。

入社や異動時は、個人机に入れる物や書類が少ないですが、しばらくするとさまざまな私物を持ち込み、仕掛書類もあちらこちらの引き出しにしまい込んでしまい、あっという間に乱雑状態になってしまいます。

共有の事務用品、消耗品、書類は、ワンロケーションで置かれ、表示があるので必要な物や書類が探しやすく、使用しやすいと便利さは感じます。

しかし、所定の場所にきちんと戻さないかもしれません。

最大在庫量や発注量を決めても多い方が安全と思って、発注量以上の手配をしてしまうかもしれません。

そのようなことを避けるために、新しい職場に慣れること、業務を覚えることの一環として、教育担当者を決めて3日以内に、事務所で推進している5Sの運用ルールを説明しましよう。

●5S教育の主な内容と道具の準備

①5Sとは②5S必要性と目的③個人の机の管理基準と引き出しの表示札④事務用品のワンベスト姿絵置きのやり方と発泡ポリエチレンシートの提供⑤仕掛書類管理基準と仕掛書類ボックスの提供⑥共有置き場の配置の目的と表示の目的②発注点管理、貸出し管理などの運用。

使用ルール③ファイリングシステムの考え方と背表紙作成方法⑨清掃基準と清掃分担などなお、新人や異動者へ5Sの運用ルールを説明した後で、見やすかった箇所、探しやすかったところ、わかりやすかった点などを聞いたり、わかりにくかった点や不便な箇所を聞いたりすると、さらに5Sが改善されます。

新人や異動者も5Sの仲間入りをしてもらいましよう。

管理責任者の役割を明確にしよう

●5Sは日々見直しをすることが大事

5Sが崩れる場所の一つが、共有エリアとキャビネットです。

5Sを徹底的に実施しても、次第に所定の場所に必要な物が戻されず、物がなくなってしまったり、表示と違った物が置かれていたり、必要数以上の物が置かれていたりします。

日々業務を行っていれば、業務に必要な新しい物は必ず増えます。

必要な物もしばらくして使えない物、使わなくなった物になります。

数量管理をしていても、量は増えてしまいます。

そのため、新しく増えた物は、種類や用途に関連した最適な置き場所に置けるように、現在の配置や、量の見直しをしなければなりません。

また、使えない物はその場所から撤去しなければなりません。

使わなくなった物は、不要品基準に従って処分しなければなりません。

不要品基準に該当する物がなかったら、不要品基準を改訂しなければなりません。

決められた数量以上置かれている理由を確認し、ルールを見直していきましよう。

●皆でルールを改善していこう

問題は、誰がこのような見直し。

改訂をするかです。

それは、共有エリアやキャビネットの置き場に表示した管理責任者です。

名ばかりの管理責任者になっていませんか?各置き場所の管理責任者は、自分は何を管理するのか役割を認識してください。

役割を果たすために毎日、管理担当場所をチェックしましよう。

・戻し忘れがないか。

表示と違う物が置かれていないか。

表示が剥がれていないか、剥がれかかっていないか。

新しい物が増えていないか。

容器や置き場所が溢れていないかなど不具合が見つかったら、自分で置き直すことも必要ですが、発見した問題点を朝礼などで全員に知らせて、ルールを守るよう注意しましょう。

また、ルールが守れない理由もあるはずです。

その理由を聞いて、職場の人に協力を得て、置き方、配置、容器、基準などを見直し、改善しましょう。

皆でルールが守れる5S職場が維持定着化のスタートです。

チェックを習慣化しよう

●5Sは維持定着するまでチェックを繰り返そう

5Sスタート時は、整理、整頓、清掃の進捗状況を推進リーダーや事務局がチェックし、不足している箇所を指摘し合いながら、改善します。

改善した箇所を再度チェックし、実施できたことを確認します。

これを繰り返していくと5Sのレベルがアップしますが、いつしかこのチェックもしなくなります。

チェックをしなくなると徐々に5Sも崩れてしまいます。

本来ならば、チェツクをしなくても一人ひとりが決められた物は決められたところにきちんと戻したり、自主的に注意し合い意識を高め、品性の高い職場にしていくのが5Sの目的です。

しかし、一人ひとりの品性が高められるまでは、チェックするしくみをつくって実行し、不具合な箇所を改善していくことが、5Sを維持定着化させるポイントです。

●5Sのチェックのやり方

どこを、いつ、誰がどのようにチェックするのかを決めましょう。

次のチェックをすることをおすすめします。

・自己チェツク個人机を毎日、自分で目視により、「個人机の管理基準」で決めた置き場所どおりに物が置かれているか、私物が増えていないか、仕掛書類はルールどおりに区分けされているかなどをチェックします。

見えない箇所で崩れる代表が個人机です。

・職場5S点検月1回、職場リーダーが担当エリアを職場5S点検表でチェックします。

チェック時には、置き場の管理責任者も参加すると、不具合な点を伝達しやすいです。

o幹部5S点検会社の各職場を3ヵ月もしくは半年に1回、社長、部長などの幹部が、5S幹部点検表でチェックします。

チェック時には、職場リーダーや置き場の管理責任者も参加するとよいでしょう。

なお、チェツクした結果は、必ずフォローアップしましょう。

また、職場相互チェックなども効果的です。

チェックをイベント化して楽しくやると盛り上がりますよ。

維持定着のポイントは5S基準の管理

●5S基準はワンロケーション管理

5Sは、5S基準が守れていなければ、維持定着化は図れません。

5S基準をおさらいしましよう。

・整理基準①不要品基準、②手持ち基準、③私物の定義、④書類の即廃棄基準、⑤書類の所定廃棄基準・整頓基準①表示基準、②表示フォーマット、③発注点・補充点管理基準、④貸出しルール、⑤運用ルール・清掃基準①清掃基準。

分担表、②清掃点検表、③5Sチェックリスト・ファイリングシステム基準①業務分類表、②フアイル体系表、③フアイル基準表、④背表紙フォーマットこれらの5S基準をワンロケーションで管理することが維持定着のポイントです。

●5Sは基準と表示で管理する

5S基準の管理がずさんだと、推進リーダー交替時、5S基準がどこに保管しているかわからなかったり、最新版かどうか判断できなかったり、背表紙や表示フォーマットが見つからないなどの問題が発生します。

5Sを維持定着するためには、次のように5S基準を定めることをおすすめします。

①職場り―ダーが個人持ちしない……5S基準は印刷し、ワンフアイルで共有キャビネツトにてセンター管理する。

電子データは、共有フオルダで最新版管理をする②最新版の識別ができるようにする……作成日、版数、作成者を明記し、責任者の承認を得る③5S基準は定期的に見直しするしくみをつくる……見直しをした内容と経緯を別紙に記入。

添付しておく5Sは、基準と表示で標準化をする活動です。

管理責任者を決め、ワンロケーションで管理することはもちろんのこと、常に実態に合った基準に見直し実行することで、5Sを維持定着させ、さらなるレベルアップを図りキFしよう。

ファイリングシステムの維持定着

●完成度の高いファイリングシステムになっているか?

ファイリングシステムを有効活用し、書類を保管から保存、廃棄へと容易に移管ができるしくみを維持定着するためには、完成度の高いファイリングシステムでなければなりません。

そのために、構築したファイリングシステムの完成度を再度チェックしてみてください。

・業務分類表、フアイル体系表、フアイル基準表の大分類、中分類、小分類の整合が取れているか?・背表紙はフアイル基準表どおりに作成されているか?。

全てのフアイルに背表紙が作成されているか?・保管期間、保存期間が活用の実態に合い、適切に設定されているか?・フアイルの中仕切り(年度、月、書類名など)が適切につけられているか?ファイリングシステムの不備は背表紙でチェックできます。

背表紙は修正したが、フアイル基準表やフアイル体系表、業務分類表を修正し忘れることがあります。

構築時と逆の手順で、修正されているかどうかチェックしてください。

また、各基準には、改訂日、版数、作成者、承認者を必ず記入するようにします。

●ファイリングシステムの維持定着のポイント

ファイリングシステムの完成度に問題がなければ、次の運用面のルールが明確に決められているかどうかを確認しましよう。

①管理責任者の選任。業務分類表、フアイル体系表、フアイル基準表、背表紙フォーマツトの最新版(書類、電子データ)の管理。新人・異動者への教育

②職場全員にファイリングシステムの考え方や、しくみの教育

③新たに書類が増えたときや、新たな業務が追加になったとき、組織変更があったときなどの、業務分類表、フアイル体系表、フアイル基準表の見直し。改訂

④書類を保管から保存、廃棄へ移管する時期の設定と移管漏れがないかのチェツクの徹底

システムの完成度が高く、全員がしくみを理解し、仕事がやりやすいと実感されれば、ファイリングシステムは会社のしくみとして維持定着させることができます。

イベントで活性化しよう

●5S活動のモチベーションを上げるためのヒント

5Sは、永続的に行う活動です。スタート当初は、多くの時間と労力を費やしますが、その後は維持定着とレベルアップの活動ですので、多くの時間は必要としません。

一人ひとりがきちんと5Sを運用していくことが重要となります。そのためには、5S活動のムードづくりをして、一人ひとりのモチベーションを上げることが最大のポイントです。

具体的には、次のようなイベントを企画。実施することをおすすめします。

①社内5S見学ツアーの開催

他部門が実施している5Sの状況や成果は、意外と知りません。事務局が各部門のご自慢の場所を紹介する社内5S見学ツアーを企画し、実行しましょう。

見学者の勉強になりますし、見学される部門も他部門の人たちが見学にくるとなるとさらに5Sに力が入ります。部門間の壁を取り除く絶好のチャンスにもなります。

②他社の事例紹介

たとえば中産連では、企業見学会、マネジメント大会、VM大会、さらには雑誌などで各社の5Sの成功事例を紹介しています。

他社の5Sの取り組み状況やさまざまなアイデアを習得し、自社内で紹介・実践することはレベルアップにつながります。

③5Sコンクール

これまでの5Sの成果を確認するとともに、今までの活動の労をねぎらい、今後の活動への再チヤレンジ心を湧き立たせるために、5Sコンクールを企画開催することをおすすめします。

わずかな賞金や賞品でも、競争意識で活気が出ますし、職場内のチームワークやコミュニケーションアツプが期待できます。

④見学会の開催

お客様や他社からの見学が多くなると、5Sがさらに促進されます。一人ひとりの顔つきも行動も変わります。お客様に驚きと感動を与える職場を目指しましょう。

この他、5S活動の活性策としては、推進体制組織の定期的なメンバーチェンジ、活動目標や重点実施テーマの設定などがあります。

事務所の5Sをブランドとして継続されることを期待しています。

おわりに

本書では、管理・間接部門の業務の効率化とコストダウンの手段として、事務所における5S活動について取り上げました。

本書を読み、事務所の5S活動を進めていけば、ムダがない快適な空間で、仕事のやりがいが感じられる明るい雰囲気の中ではじめて、業務の効率化が実現するということが理解していただけるでしよう。

一人ひとりがやる気になって、楽しく活動をすれば、チームワークが良くなり、一人ひとりが「思いやりの心」「気配りの心」「物を大切にする心」「時間を大切にする心」を持って行動すれば、強固な企業体質になります。お客様への対応力も迅速かつ的確になります。

さらに、創造性、独創性、企画力、折衝力、技術力も強化され、その成果は、必ず業績の向上、利益の増大につながります。

まさしく5Sは経営革新の礎となる活動です。焦らず、ステップバイステップで皆さんの力で会社を「驚きと感動の職場」に変革しましよう。

最後に、成功事例の紹介をお許しいただいた、旭硝子株式会社愛知工場様、AGCマテックス株式会社様、大信産業株式会社様、富士電機株式会社東京事業所機器生産センター様、株式会社名晃様、ヤンマー株式会社特機エンジン事業本部様、ヤンマーエンジエアリング株式会社様には、紙面をお借りして心より感謝申し上げます。

また、本書の企画と出版にご尽力をいただいた同文舘出版様をはじめとする関係者にもお礼を申し述べます。

一般社団法人中部産業連盟小林啓子

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