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第2章【1番目のS】整理(Seiri)って何?

目次

09「整理」で行動のムダがなくなる

整理とは

整理とは、「余分なものをなくし、必要なものが欠けることなく置いてある状態」をいいます。

職場には、その職場で仕事をしている人が使ったことがないものや、たまにしか使わないものなどがいろいろあります。

その使ったことがないもの、たまにしか使わないもののために多くのスペースを使っているでしょう。

使ったことがないものや、たまにしか使わないものをなくし、よく使うものだけにすると、保管スペースは半分以下になります。

また、自分だけが使わないものを整理しても、ほかの人がそのままにしていれば同じことです。勝手に整理するわけにもいきませんから、結局、ムダな保管スペースが生まれます。

つまり整理とは、職場で働いている人全員が、よく使うもの以外をなくし、自分のものを自分で管理できるようにすることなのです。そうすれば、整理が維持できるでしょう。

いらないものがあるからムダが発生する

工具箱から必要な工具を取り出すとき、普段使わないものをかき分けながら取り出すことがありませんか。

また、使いたい道具が見当たらなければ、周りに「あのスパナどこにある?」と聞くことがあるでしょう。

また、すぐに加工しない仕掛品を移動させ、次に加工する材料を取り出した後、移動させた仕掛品を元に戻すこともあるかもしれません。

この、何気なく行っている使いたいものを探したり聞いたり、また、使わないものをどけたりするのはまったくのムダな作業です。

このようなムダは、いらないものがあるから発生するのであり、職場に必要なものだけを置くようにすればなくなるはずです。

整理を徹底するということは、いらないものをなくしてスムースに仕事ができるようにしてムダをなくすことでもあります。

気がつかないムダに気づく

不良の手直しはムダと思っていますが、ものを探すのは仕事の一環と思い気がつかないもの。この小さなムダに気がつけば、整理が進みます。

今使っているもの以外は余分なもの

仕事をするときに使う道具はいろいろあり、その道具の中にはよく使うものとたまに使うもの、あれば便利なものが混在しています。

しかしこれらは、「いつか使うから」と置いているものが大半です。その「いつか」が広い場所や道具箱を必要とし、それが探すムダやスペースのムダを発生させています。

今の仕事に使わないもの以外は職場から移動させてしまいましょう。そうすれば、置き場のスペースは半分ぐらいになります。

そのときに注意することは、「いつか使うものを置いてなぜ悪いのか」といった疑問や、「場所があれば置いておけばいいのではないか」といった考えをなくすことです。

職場は仕事をするためのスペースであり、ものを置く場所ではないことと、余分なものがあれば必ずムダが発生することを理解させることです。

そのことを理解できない人には、作業しているスペースと、それ以外の在庫品や部品置き場、仕掛品、材料などのスペースの比率を説明するのもいいでしょう。

節約心が時にはムダを生む

今度、使うときに使えば経費節減になる……。その気持ちが時にはムダを生むのです。いつ使うかが決まっていなければそれは使わないものです。

10「いつか使う」を考えない

「いつか使う」は結局使わない

あまり使わないものが増える原因のひとつに、「いつか使うから」と保管し、それがいつまでも使われずにたまっていることがあげられます。

この「いつか使うから……」の「いつか」の根拠は何か、といえばないのですが、そうかといって処分することができずに「しかたなく置いている」のが現状ではないでしょうか。

その「いつか使う」と保管しているものは、自分が職場で仕事をし始めてからまったく使ったことがない場合や、何に使うかもわからないものが置いたままになっていることが大半です。

つまり、「いつか使う」は結局使わないものが多いのです。

そのため、「いつか使うだろう」とか、「いつか捨てるから……」といったように、「いつか」を考えずに、職場からなくすことが大切です。

「いつか使う」と置いていたものを処分したときに、たまたま処分したものを使う機会が出てきたとしても、それはたまたまであり、たまたまのために「やはり置いておこう」という保険的な発想はやめましょう。

1年以上も置いてあるということは、「いつか」というより、何となく置いているだけで、その職場では二度と使わないものでしょう。

「いつか使う」をなくすと「整理」が進む

「いつか使うもの」の中に、「使えないもの」があります。

この、「使えないものは」とは、①未修理または修理不可能な装置や部品②仕様が変更になってしまったもの③注文取り消しになったもの④まとめて購入して余った部品や材料などがあります。

そして、これらの「使えないもの」が職場に置いてある原因は、①固定資産上の廃棄処理ができていない②修理すれば使えそうなもの③廃棄の判断を誰もしないなどがあります。

そのような「使えないもの」がいつまでも置いたままになっているのは、管理者がこれらの決断をせずに置いたままになっていることが多くあります。

「使えないもの」がたまらないようにするためには、修理を必ず行ったり、仕様変更や注文取り消しになったりした場合は、その時点で処分することです。

「いつか使う」や「使えないもの」をまずなくすことで、職場の整理が一気に進みます。そして、「いつか使う」や「使えないもの」がたまらないように廃棄基準を決めるのも「整理」の基本です。

「捨てろ!」は管理者の仕事

「いらないものは捨てろ」と言ってもなかなか捨てないのは、管理者の言い方、指示の仕方が具体的ではない結果といえます。

11今使うものだけにするとムダが減る

余分なものを置けないようにしよう

職場の置き場が広ければ、使わないものでもそこに置いてしまうのが現実です。逆に、スペースがなければ、常に「使うもの」だけを置くでしょう。

棚にいろいろなものを置いている職場と、余分なものを置いていない職場の違いは、スペースを広く取っているかいないかです。

作業時間に余裕があると、今しなくてもよい仕事をして仕掛かりを増やすのと同じように、スペースに余裕があると、余分なものを置き、スペースのムダを生みます。

スペースがあればムダなものでスペースが埋まり、スペースがなければいろいろ工夫して常に使うものだけを置いて効率よく仕事をするのです。

スペースを極限まで少なくし、余分なものを置けないようにすると、工夫した置き方をして、探すムダがなくなります。

整理を進め、棚にスペースができれば棚を小さくしたり(あるいはなくしたり)、作業台を小さくして余分なものを置けないようにすることが整理のポイントです。

「場所が狭い」は整理不足が多い

常に仕事場として使っているスペースとそれ以外のスペースの比率を出します。それを見れば、決して場所が狭いということはないはずです。

あまり使わないものは共有保管しよう

職場で使わないもの、あまり使わないものを1カ所に集めると、「『いつか使う』と置いているもの」「修理待ちや壊れていて使えないもの」「余分に置いているもの」「仕様変更などで使えなくなったもの」などが集まってきます。

月や年に数回使うものは捨てることができませんが、せめて職場で共有することは可能でしょう。

月や年に数回使うものを集めると、大量の工具が集まり、それだけムダな経費を使っていたことがわかることがあります。

これは、あまり使わないけれども便利だから手元に置いているものや、急に使うときになくなったら困るものが多く、それらは費用も安いため、担当者任せの管理にした結果なのでしょう。

それがムダな費用の発生やムダなスペースを生むとともに、探すムダも発生させています。そのようなムダをなくすためにも、あまり使わないものを1カ所に集めて共有で保管しましょう。購入費や保管スペースのムダ、探すムダがなくなります。

また、今使うものだけにしようとすると、「いずれ使うものを共有保管すると、取りに行くムダが出る」といった意見が出てきますが、本当にムダが出るのでしょうか。

仕事は、計画に基づいて行います。

そのため、今日する仕事は事前にわかり、それに使う治具・工具などの事前準備→仕事→片づけの繰り返しで、計画的に仕事をしています。

しかし、そのつど、「何を使おうか」と準備計画を立てない人は「共有保管すると、保管場所に取りに行くムダが出る」といった事態に陥ります。計画された仕事をする前には必ず準備があります。

仕事をする前に治工具一式を共有保管場からそろえ、仕事が終われば元に戻し、ついでに次の準備品をそろえることを繰り返すと、何度も取りに行くムダがなくなります。

「共有保管すると、保管場所に取りに行くムダが出る」といった自分本位の考えを捨て、あまり使わないものはすべて共有保管して管理しましょう。

12「不要品カード」で捨てられる仕組みをつくる

保管基準を決めて誰でも捨てられるようにする

いらないものが捨てられない大きな理由は、管理者が処置判断をしないことです。

職場の「整理」を徹底するためには、その職場で働いている人が「捨てる」「保管する」といった判断ができるようにすることが重要となってきます。

その職場で働いている人が「捨てる」「保管する」といった判断をできるようにするためには、「保管基準」を明確にすることです。

その「保管基準」は、職場単位でつくるのではなく、工場としてのルールを決め、職場による保管基準の違いが出ないように、工場で統一した保管基準をつくることが大切です。

工場で統一した保管基準をつくることで、上司に「本当に捨てていいか確認する」ことがなくなり、安心して捨てることができます。

職場の整理の維持が自分の責任でできるようになるのです。

いらないものの処置法がわかるようにする

今まで述べてきた「未修理や修理不可能の装置や部品」「仕様が変更になってしまったもの」「注文取り消しになったもの」「まとめて購入して余った部品や材料」などのいらないものを捨てるにも、廃棄業者が引き取りに来るのに時間がかかったり、廃棄稟議の決裁待ちなどで捨てるまでに期間がかかるものもあります。

その間にも仕事を行っているため、捨てる予定のものがどこかに移動されたり材料の中に紛れたりして、わからなくなることがあります。

そうなれば、せっかく「廃棄」と決めたものをまた探さなければならず、ムダな作業が発生します。

廃棄するものを再度探すムダが生じないように「不要品カード」を廃棄するものに貼り付け、どのように処置するかがわかるようにします。

不要品カードは、作業の標準化のひとつ

作業標準は、誰が作業してもミスなくできるようにする手段。不要品カードは、誰でもかんたんに捨てられるようにする手段。

心置きなく捨てられるようにする

不用品を「捨てよう」と思い、もう一度捨てるものを見ると、「置いていても使えるかな?」とか「本当に捨てていいか確認しよう」と心変わりを起こし、捨てきれずに再度保管してしまうことがよくあります。

こうして心変わりを起こすと、せっかく不要品カードを貼っても意味がありません。ですから、不要品カードが貼ってあるものは気にせずに捨てられるようにする必要があります。

気にせずに捨てられるようにする方法として、産業廃棄物引き取り日やスクラップの引き取り日に合わせて廃却予定日を不要品カードに記入して、誰の許可を得なくても廃却予定日に職場の担当者が心置きなく捨てられるようにすることと、管理者が保管基準どおりに処置するように後押しすることがあります。

未練を残さず思い切る

捨てようとしても、未練が残るものです。しかし、「未練」と「使うかどうか」は別。感傷に浸らないことが大切です。

13整理が定着する仕組みをつくる

今使うものの基準を決めよう

「今使うものだけにしよう」といっても、どこまでが「今使うもの」なのか、その基準は人それぞれです。そこで、「今使うものとは」の定義を決めて整理が維持できるようにしていきます。

たとえば、「今使うものとは毎日使うもので、週に何回か使うものは今使うものとはしない」といったように「今使うもの」の定義を決め、そして、「毎日使う測定器や工具は今使うものとしよう」とか、「穴のピッチを計算するときの電卓は手元に置こう」と、職場の特徴を考えて、職場ごとに「今使うもの」の内容を具体化していきます。

そのとき注意しなければならないのは、「毎日使うもの」と決めた定義が「1週間に1回使うもの」になり、いつのまにか「たまに使うもの」まで手元に置くルールにならないようにすることです。

決めたことは守る

一度捨てようと決めたことは、覆さない。決めたことを覆すようでは、決めた意味がありません。仕組みは、決めたことを淡々と実行することが原則なのです。

判断できないものを集める仮置き場をつくろう

「この冶具はまた使うかもしれない」など、判断しきれないものが出てくることがあります。

しかし、判断できないものをそのまま保管しておくとルールが曖昧になり、いつの間にか基準が守られなくなってしまいます。

この「判断できずに置いている」状況を解消するためには、判断できないものを集めた仮置き場をつくることも大切です。

そして、判断できないものにはイエローカードを貼り、そのイエローカードに「保管期限」「判断者」を記入し、さらに、保管期限後の処置欄を設け、その処置欄に「保管期限後は廃棄」と明記することで、判断者がズルズルと判断を先送りにするのを防ぐことが必要です。

また、仮置き場が廃棄品でたまらないようにするために、判断できないものを集めた仮置き場の責任者を決め、毎月保管期限を過ぎたものがないかのチェックを行い、保管期限が過ぎたものは廃棄できるようにすることです。

職場から遠慮なく追い出せる「整理日」をつくろう

忙しく仕事をしていると、保管期限を過ぎたものを廃棄場に移動したり、判断できないものを仮置き場に移動したりする時間がなく、置きっ放しになることがあります。

「忙しい」を理由に置きっ放しにならないように、また、「職場の整理をするのも仕事」であることを浸透させるために、「整理日」を設けて、整理日に「保管基準表」を見ながら、「不要品カード」が貼ってあるものやイエローカードが貼ってあるものを、廃棄場や仮置き場に移動する時間を強制的に設けます。

「整理日」の取り組みを定着させるには、5月の連休前など、長期の休みの前に「整理日」を設けるなどし、確実に整理が定着できるようにすることです。

整理は、今使うものや廃棄などの決めたルールをルールどおりに職場で働いている人が淡々と実行できるようにすることで定着します。

時間のかかることは時間をとってする

仕事の合間でできることと、合間でできないことがあります。仕事の合間でできないことは、時間をとらないと進みません。

column25S実践講座2保険という「場所食い虫」にご用心

■「また使うかも」の節約心がスペースをとる

整理を進めていると、「これは、また使うかもしれない」と思い、保管しているものがたいへん多くなってしまうことがあります。「また使うかも」と置いているのは節約心からでしょうか。それとも、もしものときの保険的な考えでしょうか。

このように「また使うかも」と置いているものが全体の40~50%のスペースを占有していることがあります。生産に必要なものは、必要なときにそのつど手配しています。ですから、「また使うかも」は、「もう使わない」といい換えられることが多いのです。

■保険のかけすぎで母屋をとられる

仕事をするうえで必要なものはきっちり管理されていますが、「また使うかも」と考えて保管しているものは、その担当者が保管している個人在庫が多く、在庫管理されていないのが現状です。そのため、いつの間にか、多くを抱え込んでしまうことになります。このように「また使うかも」と保管するのを、「保険をかける」といいます。

しかし、保険をかけすぎると、保険のためのスペースが多くなり、ひさしを貸して母屋をとられかねませんので、注意しましょう。

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