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第10章 仕組みづくりと次年度に向けて

目次

10.1 5S活動の仕組みづくり

10■1 第1期報告会

5S活動の第1期終了日に活動のまとめとして第1期報告会を開催する。

5S活動は3年継続しないと定着しない。

3年は続けるという想いを込め て「第1期報告会」としてある。

報告会の開催要領は第6章とほぼ同じで あるが、2つ加えることがある。

1つはイベントを実施していれば結果報告と表彰を行う。

幹部から表彰 状と賞金をもらえれば社員のモチベーションは上がる。

来年も頑張る動機 づけになる。

もう1つは第2期を継続するとリーダーは決意表明してほし い。

やれといわれてやるのではなく、自ら率先する積極さを発揮してほし い。

社員が続けたいという想いを幹部は無下にはできないはずだ。

もし、 事前に幹部の了承がとれていれば、決意表明を第2期キックオフとしても 問題ない。

報告会の開催は午後とし、午前に発表者で予行演習(リハーサル)をして おくと本番にゆとりを持って臨める。

10■2 5S活動の仕組み

集合教育の内容と進め方を中心に解説してきた。

工場における5S活動 の仕組みの全体像は図表10.1のとおりである。

基本的に全社員に集合教 育を受けてもらいたいので、交代勤務は生産を止めてでも全員参加すべきだ。

それができない場合、交代勤務のうちやる気のある1つの班に対して 集合教育を受けさせ、他班には伝達教育となる。

伝達教育のデメリットは 5S活動の意識が低くなりがちということである。

集合教育の班は5S意識が高く、モチベーションも高い。

モチベーショ ンの差は、集合教育に参加する班同士での切磋琢磨、暗黙知の理解、情熱 の伝播だと考えている。

交代勤務がない工場は伝達教育はなし、全員に集 合教育を行う計画を立てる。

5S実行における重要なポイントは以下の2つである。

5S実行の重要ポイント ① チームの社員全員が参加すること(その理由は1.2.1項「全員参 加」を参照)。

② 週1時間程度は5Sを実行するための時間をつくること(2.4.3項 「5S活動時間の見える化」を参照)。

この2点がきちんとできているかチェックするのが参加率である(図表 2.5「5S活動時間の見える化」)。

参加率はリーダーか事務局が月1回 チェックする。

リーダー、事務局はこれ以外にもいろいろと5S関連の仕 事がある。

よってリーダー、事務局は上司から5S活動に充てる時間をも らわなければならない(残業時間をあてるという労働強化ではなく、何か の仕事と相殺するよう配慮してもらう)。

次のチェックは定点撮影チャート枚数(進捗率)である(詳細は2.4.2項 「定点撮影チャートの管理方法」を参照)。

進捗率は定点撮影チャートで改 善前(第1段階)の数、完了した改善の数により、5Sの活動状況を数値で 把握できる利点がある。

進捗率は前月と今月を比較すれば活動の程度を推 察できるし、他班と比較すれば刺激を与えることができる。

進捗率という 数値で客観性があるため納得感のあるチェックと指導がしやすい。

定点撮影チャートの枚数と進捗率、参加率で5S活動をチェックする方 法は私自身で実際に活用しているが簡便な上にきちんと活動状況が管理で きると考えている。

10■3 チェック機能の強化

進捗率と参加率でチェックするのは基本であるが、さらにチェック機能 を強化するためにパトロールを推奨する。

パトロールは階層を細かくする といろいろな視点からチェックできる(1年目はできる範囲でよい)。

(1)個人の5Sエリア 個人が5S担当エリアを持つことで、自主性を養うのと同時に個人の隙 間時間が活用できる。

パトロールで指摘された際は主担当として改善を進 めてもらう。

(2)自主パトロール 自職場をパトロールし問題箇所は撮影しておく。

パトロール者と頻度を文書化しておくと定着しやすい。

また、自班の定点撮影チャートの進捗を チェックし、進捗が悪い箇所についてはアドバイスする。

(3)相互パトロール 職場相互でチェックし、よい点の取り込み、改善点の指摘を行う。

係長 や班長といった5Sのチームリーダークラスが他のチームをパトロールす る。

勝手にやらず事務局で差配して5S活動の一環とする。

(4)管理職パトロール 管理職、事務局、5Sリーダーなどで進捗の確認を行う。

停滞している 班には活を、困っている班にはアドバイスを、満足している班にはさらに 上をアドバイスする。

パトロールは、いつ、誰が、何を、どのように行うかを運用基準として 文書化し、年間計画を立てる。

これらのパトロールは既存の仕組みを活か すと実施しやすい。

工場長パトロールがあれば5Sパトロールも兼ねると か、課内パトロールがあれば相互パトロールも兼ねるとか、他のパトロー ルと同時に実施する。

5Sパトロールだけでは現場が指示待ちになり活動に限界が出る。

教育 と訓練を組み合わせて現場に主体性を持たせるように導いてほしい。

10.2 次年度の5S活動の進め方

10.2.1 5S基本3年計画

5Sの定着は人財を育成しなければならないため難しく時間がかかる。

経験的に優秀な工場や事務所中心の活動で2年かかる。

一般的に3年は 5S活動に注力しないと定着しない。

工場の組織的側面からすると、社員 数、組織数が多いとさらに時間がかかる。

知識を教えるだけの研修レベルならば、何人いてもかまわないのだが、 教えたことを実習させて、チェックして、活動をフォローするとなると1 グループ20名程度に制限しないと教育する側の目が行き届かない。

たく さんのグループを教育させると現場が混乱するので、現実的に1年目はモ デル職場を選ぶことになる。

モデル職場は5Sを自社に合ったやり方に解釈して実行することで成功 体験をつくってもらう(1年目は必ず成功させねばならないという重圧があ る)。

そうすると後に続く職場が進めやすくなるので、1年目は無理に工場 全員参加にせず、選ばれたモデル職場全員参加でかまわない(1期生).2年 目は選ばれていない職場(2期生)を選んでいくというやり方で、順次5S活 動を広げる形にする。

3年目には工場全員が5S教育を受けた状態になる ように計画する(図表10.2)。

3期生までいる工場では定着まで5年かかる。

つまり、5S基本3年計画における進捗は以下のようになる。

1期生は、 4年目には、自立して5Sを行い、指導もできるようになることをめざす (図表10.3)。

1年目:5Sの基礎を学ぶ。

2年目:1年目にやりきれなかった部分に加えて、現場の5Sレベルを さらに発展させる。

未実施エリアヘ展開する。

3年目:自主活動を徹底させ、自主自立を試みる。

4年目:自分たちで考えて実行できる。

他職場へ講義や現場指導ができる。

10.2.2 2年目の教育計画

1期生の2年目も基本的に1年目と同じ進め方である。

2年目開始前に 年間計画を立てておく。

基本は月1回の集合教育かフォロー、週1時間の 自主活動、半年に1回の報告会となる。

【2年目の年間の活動スケジュール例】 1月日 活動企画立案、キックオフ 2月日 整理の復習 3月日 整理のフォロー 4月日 整頓の復習 5月日 整頓のフォロー 6月日 中間報告会 7月日 清掃の復習 8月日 清掃のフォロー 9月日 清潔の復習、イベント企画 10月日 躾の復習 11月日 清潔と躾のフォロー 12月日 第2期報告会

キックオフは第2期の5S活動企画を発表し、リーダーが決意を表明す る(詳細は1.4節「キックオフミーティングの進め方」を参照)。

復習は1年目のおさらいを行う。

現場が十分理解し、身につくまでしつ こく繰り返す。

復習しつつ5Sを発展させる気持ちで取り組む。

復習の先 生役は1期生メンバーの持ち回りにしてでもよいし、引き続き第1期の専 門家(講師)でもよい。

1期生が教える側になると勉強したことがしっかり と身につくのでお勧めである。

ただし、先生役は社員の負担になるので嫌 がられる。

特に1期生が2期生の指導となった場合、成功させねばならな いという重圧が1期生かかる。

先生役を積極的に引き受けてくれる1期生 がいればよいが、いなければ第1期と同じ専門家を呼ぶ。

復習の月の集合 教育は第1期と同じ形式をとり、進捗確認、講義、実習で6時間程度を確 保する(詳細は1.5.2項「活動スケジュール」「(1)集合教育の時間割例」を 参照)。

フオローでは自主活動の進み具合、定点撮影チャートを報告してもら う。

フオローの月は集合教育はなしで、チーム数×30分の進捗確認で十 分だろう。

自主活動が順調に進んでいればよいが、何か問題があれば、相互パト ロールか5Sパトロールを実施して、外部からチェックしてもらうとよい。

〈自主活動計画立案〉 本章の内容に対する活動計画をメンバー自身で立てる。

次回(1カ月間 程度)までに自分達で「何をするかのリストをつくり、誰が、いつまでに」 を決める。

【必須項目】 ・報告会の資料作成 ・次年度の5S活動企画立案

参考文献 [1]杉山友男:『5S改善の進め方』、日本能率協会マネジメントセンター、1992年。

[2]三菱ガス化学:「ビジョンと理念/行動理念」、三菱ガス化学的HP https://wwwmgc.cojp/corporate/phi10sOphy.html (最終アクセス日、2019年3月) [3]日本電産:「会社概要や日本電産全般に関するご質問」、日本電産欄HP https://www.nidec.cOm/ia_JP/cOrpOrate/inquiry/faq/abOut/0013/ (最終アクセス日、2019年3月) [4]古畑友三:『5ゲン主義5S管理の実践』、日科技連出版社、1995年。

[5]中部産業連盟:『まるごと5S展開大辞典』、日刊工業新聞社、1992年。

[6]羽根田修:『お金持ちになる人の財布、貧乏になる人の財布』、中経出版、2012 年。

[7]越前行夫:『5Sの進め方』、日本能率協会マネジメントセンター、2007年。

[8]野口悠紀雄:『「超」整理法』、中央公論新社、1993年。

[9]平野裕之:『5S定着化ワン・ツー・スリー』、日刊工業新聞社、1992年。

[10]日本理化学工業:「障がい者雇用の取り組みについて」、日本理化学工業HP http://、ァ、vゝ7.rikagaku.co』p/handicapped/index.php (最終アクセス日、2019年3月)

 

【A― Z】 3Q6S 20 5S基準 155 5S基本3年計画 5Sの効果 21 5Sのステップ 7S 21 【か行I カキクケコ 121 活動企画書 5 活動期間 9 活動時間の見える化 30 活動の位置づけ 5 活動の仕組み 161 活動のねらい 6 活動の背景 活動名称 環境悪化 看板作戦 164 157 % 6 12 9 【あ行l 挨拶 153 赤札 37 赤札置場 39 赤札作戦 37 赤札品 40 後始末 154 -発整頓 94 イイベント 146 色別管理 90、100 置場線 61、72 オープン化 91、102 期間の基準 36 危険 121 期待事項 6 キックオフミーティング 共通文具 43 キレイ 119 Dζ T□ i湘良 60、 66 クレーム 123 掲示板 74、93、108 形跡整頓 92、104 健康障害 123 現物表示確認 89、98 源流対策 128、140 工具レス化 94、97 冒彗‐自市 12 行動指針 8 故障 123 個人の片づけ 25 コンビニ化 95【さ行】 サイズの原則 95 先入れ先出し 96 作業環境 130 撮影 32、38 直置き禁止 65 躾 151 躾の3原則 153 社内規則 154 習慣 157 集合教育 10、13 習熟 157 習性 157 承認 9 省力化 125、 136 書棚 50 書類 44、106 資料作成 117 推進条件 7 推進体制 6 数量の基準 36 姿置き 43、 92、 104 ストライクゾーン 65、82、95 ,青i繋 145 清掃 119 清掃スケジュール 125 清掃担当マップ 124 清掃点検 129 清掃頻度 125 清掃保全 129 清掃用具 127、138 整頓 57 170 【た行】 チェックリスト 148 吊り下げ式工具 94 定位 62、77 定点撮影チャート 27 定点撮影チャートの管理方法 30 定点撮影方式 26 定品 62、77、78 出入り線 60 定量 64、80 透明化 96 塗装 132 扉開閉線 61、68 トラマーク 61、69 整理 35 整列 59、 84 設備トラブル 線引き作戦 59 専門家 12 123 【な行l 日常清掃129 Iは行】 場所表示 62 パソコンのファイル 44 発表 118 パトロール 147、163 品質にかかわる清掃 131 品質不良 123 品目表示 63ファイルの斜め線 93 不急品 41 不要なモノ 35 不良品置場線 62 ブレインストーミング 返事 154 方向線 70 報告会 113 法令 154 保管ルール 4 【ま行】 迷い品置場41 【や行】 要品 41 予防保全 134 見える化 87 身だしなみ基準 問題 89 【ら行】 量表示64 【わ行】 割れ窓理論 32、 38 149 索 引 45

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