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ステップ 3面接 ~いざ、お見合い! ~

目次

1 面接の目的は「理解し」「理解される」こと

パートの面接は“即断即決”のお見合い

面接は、お見合いです。それもパート・アルバイトの採用面接の場合、結婚するかしないかを「即断即決」しなければならないお見合いであることがほとんどです。

例えば正社員の新卒採用の場合、二次・三次面接やグループディスカッション、筆記試験など相手を見定める「お付き合い期間」を設け、じっくり選んで決めるのが普通です。

一方、パート・アルバイトについては一五 ~二〇分など、短時間・一回きりの面接で答えを出すことが一般的です。新卒同様の選考ではコストがかかりすぎますし、パート・アルバイト側にも、かえって不自然に思われてしまいます。

つまりパート・アルバイトの面接では、短時間で、自社にとって最良の結果を導き出していかなければなりません。最良の結果とは、相思相愛の関係です。すなわち、自社が「欲しい」人材に、「ここで働きたい」と思ってもらい、入社してもらうこと、です。

一方で、面接が「お見合い」である以上、選ぶと同時に、選ばれる場でもあることを、忘れてはいけません。応募者側も、面接を通じて企業を見ています。採用するかしないかを判断するのは企業ですが、その判断を聞いた後、「入社するか否か」を決めるのは応募者です。

選び選ばれる場である面接で、「相思相愛の関係になる」という最良の結果を得ていくためには、「応募者を理解する」「応募者から理解される」という二つを、同時に行っていく必要があります。

「応募者を理解する」とは、応募者の人となりや、勤務可能な時間帯、仕事に対する意欲や志向性などについて質問し、確認をすることです。

一方、「応募者から理解される」とは、自社の業務や、任せたい仕事の内容、また、仕事に対してどんな姿勢で臨んでほしいかなどを説明し、わかってもらうことです。

良い面接場所とは? 場所の案内方法は?

お見合いは、事前準備が大事です。落ち着かない場所だったり、要領を得ない進行ではうまくいきません。面接も同じです。

例えば場所も「パート・アルバイトだし、どこでもいいや」ではいけません。できるだけ人の出入りのない、落ち着いて話のできるところを選びます。

自社の会議室などを確保できれば最高ですが、会議室などがない場合でも、ちょっとした工夫で別の場所を「よりよい面接場所」に仕立てられます。

例えば休憩室なら、面接中は従業員の立ち入りを制限したり、衝立で仕切って面接用のコーナーを設けます。

レストランやファストフード店などで客席を利用する場合は、お客さまの少ない隅を使うのはもちろん、隣にお客さまが座ったり、近くに団体客を誘導することのないよう従業員に指示しておきます。

ささいなことのようですが、落ち着いて話ができることは、「理解し」「理解される」ための大変重要な要素です。なお、応募者は緊張して面接会場を訪れます。

だからこそ、訪れた場所が間違いなく面接会場であることを、一刻も早く知らせてあげる工夫も大事です。

具体的には「誰が何時に面接に来るか」を会社の受付担当者や、店舗の場合はフロアで働く従業員に伝えておき、それらしい人が来たら「面接にお越しの方ですか」などと声をかけてもらいます。

また、建物の入り口などに「 ◯◯会社パート・アルバイト面接会場( ◯階にお越しください)」といった貼り紙を掲示します。こうした万全の対応をすることで、面接に来た応募者が抱く、店や会社に対する印象は、格段に良くなります。

相手を不快にさせない時間の取り方

せっかく面接に来てくれた応募者との面接時間は、最低二〇分は取りたいもの。たった一〇分ほどでは相手に失礼ですし、面接時間として不十分です。

初めての場所で固くなっている応募者の緊張をほぐし、「理解し」「理解される」ために、質問したり、逆に相手の質問などを受けていれば、二〇分くらいは簡単に経ってしまいます。任せたい仕事の難易度が高い場合などは、三〇分以上みておいた方がいいでしょう。

それだけ「理解し」「理解される」べき要素が多くなるからです。また、ここでしっかり意思疎通できていることは、実際に働き始めて以降、「相思相愛」の関係になることを、後押しします。

何人もの応募者と立て続けに面接する場合は、四五分間隔くらいで面接スケジュールを立てておくと安心です。面接担当者自身もトイレに行ったり、面接中に入った急な仕事の連絡等に対応することもできます。

定刻に訪れた応募者を待たせるなどしてはなりません。ビジネスパーソンとして当然ですし、応募者に「この程度の会社か」と、あなどられてしまいます。

2 相手を見抜く面接の仕方と質問内容

相手を見抜く面接の五段階

面接では、短時間で応募者の人柄ややる気、経験や能力などを見抜き、「相手が自分の望む人」なのかを見極めることが大事です。

それには以下の五つの段階を、確実に踏むことです。

● 1 場の雰囲気を和ませる

応募者が面接場所に入ったら、「こんにちは」と明るくあいさつをし、応募の礼を述べ、採用担当者としてにこやかに自己紹介します。応募者の素顔を見るためには、何よりも緊張をほぐしてあげることが大事だからです。このとき「場所はすぐにわかりましたか」「外は暑いですか」など簡単に答えられる質問をしてもよいでしょう。これは「アイスブレイク」といわれるもので、氷のようなコチコチの空気をとかすことが狙いです。

● 2 仕事内容と「期待する働き」を説明する

会社の業務内容と、採用後に任せる仕事の内容を説明します。どんな部署で、どんな役割を果たしてもらうのかや、具体的な作業内容などの解説です。また、その際、相手に期待する働きなどもはっきりと伝えます。例えば、パート・アルバイトとはいえ責任をもって仕事にあたってほしいことや、期待する成果などもすでにこの時点から伝えます。面接でここまで踏み込む理由は、後述(「あなたに期待すること」を、面接で話す重要性)します。

● 3 応募者に質問をする

志望動機、働く目的、得意分野、前職の退職理由、通勤時間、通勤手段、勤務可能な期間・曜日・時間などを質問します(詳細は「面接で相手に直接聞くこと」リスト)。また、仕事に対する志向性なども確認します。

つまり、「あくまで単純簡単な作業を、責任を負わずにやりたい」のか、「難易度が高く責任もある仕事にも取り組んでいきたい」のか、ということです。なお、主婦パートの場合、知っておきたい実務知識 で解説する「扶養控除の範囲内」で働きたいかどうかは、勤務シフトなどにもかかわってくるため確実に聞いておきます。

● 4 応募者からの質問を受ける

応募者が知りたいことはさまざまです。丁寧に説明したと思っても、応募者にとっての不明点はいろいろと残っているものです。そんな疑問を取り除き、不安を解消する機会を積極的に提供することは、応募者の満足につながります。企業への信頼感も増します。

● 5 今後の予定を伝える

面接が終わったら、「一週間以内に、採用の場合はお電話で、不採用の場合は書面で通知します」などと、期限を区切った具体的行動予定を知らせます。これが、企業に対する信頼感のもととなります。その際「お越しいただき、ありがとうございました」など、応募者が時間を割いて面接に来てくれたお礼を、改めて述べるとよいでしょう。

社会保険に加入する、しない?

社会保険には、雇用保険、労災保険、健康保険、厚生年金保険、介護保険の五つがあります。パート・アルバイトであっても、以下の加入要件を満たす場合は、加入します。

雇用保険……一週間の所定労働時間が三〇時間以上の場合、正社員同様「一般被保険者」として加入。

三〇時間未満でも、一週間の所定労働時間が二〇時間以上の場合「短時間労働被保険者」として加入。

ただしいずれの場合も、六カ月以上雇用される見込みがあることが必要となる。また、昼間学生は基本的に適用除外

労災保険……パート・アルバイトでも全員が加入

健康保険・厚生年金保険……一日または一週間の所定労働時間及び一カ月の所定労働日数がその事業所で働く正社員などのおおむね四分の三以上の場合に加入。

ただし「日々雇用される人(一カ月を超えない場合)」や「二カ月以内の期間を定めて雇用される人」などは適用除外  介護保険……パートが健康保険の被保険者で、四〇歳以上六五歳未満の場合に加入 なお、社会保険の資格取得日は、試用期間を設けていた場合でも、実際に勤務を開始した日になります。

また、社会保険の適用要件を満たしているにもかかわらず加入していない場合、二年間さかのぼって保険料を徴収されることがあるので、注意します。

一〇三万円、一三〇万円の壁とは ~税金と扶養控除 ~

主婦パートを雇用していると、「年収一〇三万円の壁」「年収一三〇万円の壁」といった言葉を、耳にすることがあるでしょう。

これらの額を超えなければ、所得税を納めずに済んだり、サラリーマンの妻の場合社会保険料を自ら負担することなく社会保険に加入できるため、主婦パートが自分の年収がこれを上回らないよう、就労調整することがあるのです。

なお年収は、一月 ~一二月で計算します。このため、一二月の年末ぎりぎりになって、就労調整の目的から「これ以上働きたくない」と言い出すパートが少なくありません。

「年末が書き入れどき」という企業では特に、パートの就労調整意向を事前に確認し、年末に休みが集中しないよう適切にマネジメントすることが大事です。

ちなみに年収一〇三万円とは、パートの年収がそれ以内であれば本人の所得に対しては所得税が課税されないという数字です。同時に、その夫の所得には「配偶者控除」が適用されます。

一方、年収一三〇万円とは、サラリーマンの妻である主婦パートの年収がそれ未満の場合、夫の被扶養者として社会保険に加入できるという数字です。

つまり、年収が一三〇万円以上になると夫の社会保険の扶養から外れ、パート先で社会保険の被保険者に該当すればパート先で社会保険に、該当しなければ国民健康保険・年金に自ら加入しなければなりません。

このほか、年収が一〇〇万円を超えると、住民税がかかります。

年収一〇三万円について、主婦パートの年収がこれを超えても、「配偶者特別控除」があるため、夫の所得税が急激に増え世帯の手取り収入が減ってしまうことはありません。

ただし、夫が会社から扶養手当を支給されている場合、その支給基準が“妻の年収一〇三万円以内”となっていることがあり、要注意です。

年収一三〇万円については、これを超えると「自分で保険料を支払う」こととなる半面、将来自分がもらえる年金額も変わるのですが、目先の手取り収入額が減る抵抗感は大きいようです。

面接では五感をフル稼働する

面接には、五感をフル稼働させるつもりで臨みます。すでに述べたように、パート・アルバイトの面接は、短期決戦のお見合いです。短時間で集中して、採否の判断に必要な情報を、あらゆる角度から入手しなくてはなりません。

採否判断のための情報の第一は、会話から入手する言語情報です。具体的には、内容つまり「質問への答えそのもの」と、内容以外、つまり「質問に対する受け答えの仕方」という二方面からチェックします。

前者は、面接相手がステップ 1で確認した「欲しい人材像」に合っているか否かを、より直接的に確認する材料となります。例えば仕事への意欲や志向性、実際に働ける時間(シフト)などは、面接で相手に直接聞くポイントです。

一部書面で提示してもらった方がいいものもあります。一方後者は、「言葉遣いや敬語はどうか」など内容以外の言語情報です。採否判断のための情報の第二は、非言語情報全般です。

つまり「相手の目を見て話せるか」などです。「全体的な印象は」「そわそわしていないか」「身だしなみはどうか」なども、さりげなく入念にチェックします。それぞれについて、以下に詳しく具体的に記しましょう。

「面接で相手に直接聞くこと」リスト

面接で具体的に何を聞くかは、各社各様です。その企業の「欲しい人材像」によって、若干変わってくるからです。そこで以下に、「面接で聞くこと」を網羅的に記してみました。

ここから自社に必要な項目をピックアップしたり、自社ならではの質問項目を追加して、オリジナルの質問表を作るとよいでしょう。

  • □志望動機(やる気があるか、自社向きの人材か)
  • □働く目的(主な生計費としてか、家計補助か、余暇活用か等)
  • □希望職種(採用後の適正配置は)
  • □前職の内容・過去の職務経験(どんな仕事をしてきたか)
  • □前職で受けた教育(どんな能力開発を受けてきたか)
  • □得意分野(どんな仕事に向いているか)
  • □パソコン習熟度(入力の速度、使用可能ソフト)
  • □前職の退職理由(長期勤務が期待できるか、責任転嫁していないか)
  • □健康状態(持病はあるか、大病した経験は)
  • □通勤時間、通勤手段(交通費は)
  • □勤務可能期間、曜日、時間(長期か短期か、シフトへの対応は〈「予定が重ならない人を採用する」参照〉)
  • □家族の理解(夫や子ども、あるいは親は、本人が働くことに賛成か)
  • □扶養控除内での労働の希望(一〇〇万円か、一〇三万円か、一三〇万円か)
  • □正社員への転換の希望(現在、または、将来子どもの就学など働く環境が変化した際の希望の有無)

「書面での提示を求めること」リスト

正確な情報を間違いなく入手するには、履歴書など書面で提示してもらうのが得策です。

特に、以下のような内容に関してです。

  • □氏名(読み仮名)
  • □生年月日、年齢
  • □住所、電話番号
  • □扶養家族の有無
  • □学歴、職務経歴
  • □保有資格(運転免許、介護福祉士、簿記二級、など)

本人にその場で書いてもらうか、面接の日時などを連絡する際に「面接のときに、履歴書を忘れずに持参してください」などと伝えます。

「相手の様子から見抜くこと」リスト

相手の様子から見抜くことは、すでに述べた「内容以外の言語情報」および「非言語情報全般」です。具体的には、以下の各点などをチェックします。

  • □第一印象(自社の発展につながりそうか)
  • □服装・身だしなみ( TPOに合っているか、清潔感があるか)
  • □ヘアスタイル・髪の色・化粧・マニキュア(派手過ぎないか、職場の風土に合っているか)
  • □マナー(遅刻の有無、あいさつやお辞儀、言葉遣い、敬語など)
  • □コミュニケーション力(質問を正しく理解し端的に答えられるか、相手を見て話を聞いたり、話をしたりできるか)
  • □性格・性質(前向きか、協調性は、積極性は、謙虚さや学ぶ姿勢を持ち合わせているか、動作は乱暴でないか、など)
  • □面接していないときの態度など(面接の順番を待っているとき、会社を出たあとの様子など)

「この人でいい?」チェックリストが判断を助ける

面接時に質問したり、チェックしたりする項目をピックアップしたら、それをフォーマット化しておくとよいでしょう。A 4サイズ一枚くらいに項目を列記し、 ABC評価や気づいたこと、また、相手が答えた内容を書き込んだりできるようにします。

フォーマット化したものを、「面接チェックリスト」として共有すれば、社内の誰が面接しても一定の水準で面接できます。また、合否判断をする際に、面接結果を俯瞰して比較できます。

面接の順番や、誰が面接したかといった、応募者本人とは関係のないことによって、面接結果がブレることを防げます。

面接で聞いてはいけないこと

面接では、就職差別につながる質問をしてはいけません。日本国憲法は、すべて国民は個人として尊重され、法の下に平等で、人種、信条、性別、社会的身分または門地により差別されない、と定めています。

また、すべての人に職業選択の自由を保障しています。さらに労働基準法が、労働条件に関する差別的取扱いを禁止しています。具体的な「してはいけない質問」を、以下に例示しました。

●本籍などに関する質問はダメ

  • □あなたの本籍地(出身地)はどこですか
  • □生まれてからずっと、現住所に住んでいるのですか
  • □あなたの住所の略図を書いてください

●家族の状況・家庭環境に関する質問はダメ

  • □あなたのお父さんの職業は何ですか。勤務先、役職を教えてください
  • □あなたのきょうだいは何をしていますか
  • □ご実家の家業は何ですか
  • □あなたの両親の学歴を教えてください
  • □お父さん(お母さん)の死因は何ですか
  • □あなたの家は、持ち家ですか、借家ですか

●思想、信教などに関する質問はダメ

  • □あなたには、支持する政党がありますか
  • □労働組合運動をどう思いますか
  • □あなたの家の宗教は何ですか
  • □あなたの愛読書(誌)は何ですか
  • □あなたの人生観は
  • □あなたの尊敬する人物は

3 相手に「理解してもらう」ための面接

ノウハウ パート・アルバイトが「辞めない」面接方法

パート・アルバイトがすぐ辞めてしまうのには、理由があります。多いのが、思っていた仕事(職場)と違ったため、「その職場で働き続ける意義(あるいは自信)がなくなった」というものです。

結婚後に事前に知らなかったマイナス要素を知り、「こんな人とは思わなかった」と離婚を決意する、といったがといったところでしょうか。

こうした事態を避けるには、パート・アルバイトの「予想」と、「実際」とのギャップを埋めることが必要です。つまり、「どんな職場でどんな仕事をしてほしいのか」「どんな人材を望んでいるのか」など企業側の意向を、最初からきちんと伝えることが大切です。

これを、面接を工夫することで、さりげなく、うまく実行している企業の例を二つ挙げましょう。

【事例】「売り場」を案内しながら面接する ~大手アパレル会社の場合 ~

あるアパレル会社では、ショップでの販売パート・アルバイトを採用する際、面接をバックヤードと売り場の両方で行っています。バックヤードでは、「いつ、どのくらい働けるのか」や過去の職歴などを質問し、また履歴書の内容について確認します。

要するに、いわゆる「面接」を行います。一方、売り場で行うのは、いわゆる「面接」ではありません。具体的には、店長や正社員など面接担当者が、応募者を連れて売り場を案内します。

それにより応募者に、さまざまな情報を具体的に与えることができます。例えば、自社がどんな商品を扱っていて、どんな方がお客さまなのか。

また、先輩パート・アルバイトはどんな髪形や装いで、どんな仕事を行っているのか、などです。この「案内」ほど、応募者に採用後の自分の仕事をリアルに誤りなく理解してもらえる方法はありません。

しかし、効用は、これだけではありません。というのは、面接担当者は応募者を案内しながら、応募者を見てもいるからです。例えば、仕事の説明を聞いているときの目の輝き。また、その際に応募者自身から質問があるかどうか。

その他先輩パート・アルバイトを紹介した際の受け答えや、面接担当者がお客さまに「いらっしゃいませ」あるいは「何かお探しですか?」と声をかけた際に、お客さまを全く無視した態度をとるか、面接担当者と一緒になって会釈の一つもできるか、といった具合です。

ポイントは、応募者側に、自分が「面接されている」感覚がないことです。また、机を挟んで向き合う面接と違い、リラックスしやすくなります。つまり、より素のままの「その人となり」が出てきます。同社の人事部長は、こう言います。

「売り場を案内する面接方法は、とても良いと思っています。売り場での反応を見て『この人なら』と思い採用した人は、自社に合った人材である確率が高いです。具体的には、職場に慣れるのが早く、仕事ぶりが積極的で、また長く働いてくれる傾向にあります」

【事例】 3 K職場をあえて見せて、パート・アルバイトが定着 ~工場の場合 ~

ユニットバスなどの成型を行う、ある工場のパート・アルバイトの仕事は、深夜労働もある三交替勤務冬は寒く夏は暑く、粉塵も舞うなど環境も厳しいなか高温・高圧の機械を操作します。

いわゆる「 3 K職場」であり、「パート・アルバイトを採用しても、すぐ辞められてしまう」のが悩みでした。困った工場長は、ある日面接の仕方を一変させました。

これまでのように会議室で行うだけでなく、応募者を実際に工場の現場に連れていき、「入社後はこんな仕事をしてもらいます」と、逐一説明して回ったのです。

もちろん「自分にはとても勤まらない」と、説明を受けながら明らかに引いてしまい、面接後辞退してくる応募者も増えました。

ところが一方、実際に働き始めた場合を想定して、一所懸命質問してくる人もいたのです。工場長が、なかでも熱心だった主婦を採用したところ、結果は大成功。辞めないどころか、時間あたりの製造数を着々と上げ、改善提案の件数も多い、抜群の戦力に育ちました。

「あなたに期待すること」を、面接で話す重要性

面接において、見過ごされがちですがとても大切なポイントがあります。それは、面接において、仕事の内容を説明すると同時に、採用後に「どんな働きぶりを期待するか」を、応募者に語るということです。

「え? まだ、採用するかどうかも決まっていないうちに?」と思うかもしれません。もちろん、採否が確定していないのに、応募者に「合格」と思わせるような発言をしてはいけません。

あくまでも「もし、採用になったら」という前提で、です。その上で、すでに面接のときから「あなたに期待する働き」を話します。

というのは、意欲があり、高い資質をもった人ほど、会社が期待を表明することにより、やる気を喚起させる傾向にあるからです。

特に応募が多いときなど「良さそうだな」と思った相手には、ぜひ試していただきたい方法です。というのは、早々に「期待する働き」というハードルを提示することにより、「自分には無理」と辞退してしまう応募者も当然、いるからです。

ハードルの提示が、ふるいの役割を果たすわけです。逆にいえば、応募者が少なく、ともかく採用したい場合などには勇気が必要な行為です。

面接結果の通知の仕方が「よりよい今後」を左右する

面接・選考を終え、「採用」「不採用」を決定したら、通知は面接後一週間以内を目安に、全員にできるだけ迅速に実施します。

面接時に、面接相手に通知の期限や手段を伝えた場合、当然、それに従って行います。なお、通知の仕方は、採用の場合と不採用とでは違います。採用の場合は、応募者とのコミュニケーションを意識します。

採用通知は、「今後の長いお付き合い」つまり「雇用関係」の、まさにスタートとなるからです。一方、不採用の場合は、応募者に悪印象を残さないことが第一です。「不採用」は、ただでさえ喜ばしくない情報ですから、表現などには、細心の注意を払います。

【採用する場合】コミュニケーションをかねた通知方法

採用の場合、連絡は電話で行うとよいでしょう。本人と直接電話で話しながら、入社の意志を確認できます。また、初出社日の決定や、初出社日にもってきてほしい書類、その他注意点を、その電話で伝えることが可能です。

また、応募者の疑問や不安の解消の場にできることも重要です。ぜひ会社側から、相手に「何かご質問はありませんか?」と、たずねましょう。

こちらから質問を促すことで、相手も聞きやすくなります。また、会社側のそうした態度によって、これから入社する人に、会社に好印象をもってもらえます。

こうした電話のちょっとしたやり取りも、大切なコミュニケーションです。何より「合格」というそのものが、応募者にとってはうれしい知らせ。

だからこそ通知の際は、「おめでとうございます。これからよろしくお願いいたします」といった言葉を添えましょう。うれしさを採用側が共有してあげることにより、応募者の気持ちが高まります。

【不採用の場合】「しこりを残さない」通知の仕方

不採用の通知には、細心の注意が必要です。前述のように、パート・アルバイトの応募者は会社の近くに住む住民であることが多いもの。

このため特に小売店や飲食店の場合など、「応募者 =顧客」の可能性が高いからです。ただでさえ不採用は、応募者に「否定された」気持ちを抱かせます。お見合いで相手から断られるのと同じです。

不採用がきっかけで大切な顧客を失ったり、マイナスのうわさなどを流されないよう、気をつけなければなりません。具体的には「選考結果のご通知」等の書面を、封書で送るとよいでしょう。

書面には、不採用の理由を、誠意を込めて記します。例えば「このたび募集人員 ◯人のところ、これを大幅に上回る方々からご応募いただきました。つきましては選考の結果、残念ながら貴意に添いかねる結果となりました」といった具合です。

また、面接に来てくれたお礼の言葉も、忘れずに記します。その際、もし可能であれば、「お礼の一言」を、別途自筆で添えるとよいでしょう。

書面に印刷した正式なお礼の言葉とは別に、「今回はご応募いただき、本当にありがとうございました」などと書き添えるのです。

不採用通知の数が多くなれば大変ですが、「手書き」の一言が心を伝える効果は絶大です。さて、提出してもらった履歴書の返却についてですが、法的な規制はありません。しかし、すでに触れたとおり、不採用通知と同封するなどして返却したほうが、良い印象を与えます。

個人情報保護法の施行により、応募者は従来にも増して応募書類の扱いに敏感になっています。返却しない場合は、あらかじめその旨を求人広告に記載しておくか、面接時に伝えておいたほうが良いでしょう。

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