1 お見合いの相手は「自分好み」を吟味する
結婚は、急がば回れ
前に、パート・アルバイトとの関係を「結婚」にたとえてご説明しましたが、そもそも結婚をするには、相手を「この人となら」と思えることが必須です。同時に、相手にも自分のことを、「この人となら」と思ってもらわなくてはなりません。
そんな相手は、実際には、そう簡単には見つかりません。にもかかわらず「結婚」という事実にこだわるあまり決め急いでしまうと、「こんなはずではなかった」ということになってしまいます。
パート・アルバイトの採用も同じです。
例えば飲食店で複数のスタッフが同時に辞めてしまった場合、一刻も早く人を補充すべきなのは当然ですが、焦って決め急いでしまうと、逆にマイナスとなってしまいます。
面接で「笑顔がなく、接客担当としてどうか」と感じた人を、「きちんと指導すれば、何とかなるだろう」と採用しても、実際にはそう簡単にはいかないものです。
また、こうしたそもそも自社に合わない人は、結局長続きしません。ここも結婚と同じです。
特に「お客さまのためを思う」「相手の立場に立つ」「慮りの気持ちをもつ」など当人の資質にかかわる部分は、多くの場合、後から変えることは困難です。
まずは欲しい人材の明確化
そこで大切になるのが「欲しい人材の明確化」です。
自社で長く気持ちよく働いてくれるパート・アルバイトとはいったいどんな人なのかを、明らかにしなければなりません。お見合い相手を探す際、自分の好みや希望をきちんと周囲に伝えることが、大事なのと同じです。
自分の好みと全然違う人や、自分の望む条件を全く備えていない人ばかりでは、たとえ一〇〇人とお見合いしても結婚には至りません。
「相思相愛」の関係は、まずはこちらから「想える」人が相手でなければ、絶対成立しないのです。
パート・アルバイト採用において、その「想える」相手、つまり欲しい人材とは、「どのような仕事を」「いつ」「どのくらいの量」任せたい人材か、ということです。
例えば同じ事務パートでも、あくまで補助として、正社員の指示どおりに言われたことを正確に行ってほしいのか、ある範囲の仕事について自分で判断して進め、結果を出してほしいのかでは、採るべき人材が異なります。
2 たくさんの「いい人材」に出会うために
採用活動は婚活と同じ
最近、「婚活」という言葉を、よく耳にします。就職活動を略した「就活」をもじったもので、良い人と結婚するには、それに向けた自主的な活動をする必要がある、という考えに則っています。
ただ漠然と出会いを待っているのではダメ。結婚を望むのであれば、自ら率先して、積極的に、「生涯を共にしたい」と思える人を探しにいかなくては、というわけです。
探す手段も、お見合いパーティーや各種イベントへの参加など、多様化しているようです。
パート・アルバイトの募集・採用活動は、まさに「婚活」そのものです。
自社で、長く活躍してくれる最善な人材を採用するために、「こんな職場です。こんな方を募集しています」と、“広く積極的にアピールする”ことだからです。
求人広告メディアの使い分け「有料は質」「無料は量」
求人広告は、仕事を探している人たちに“広く積極的にアピールする”場、そのものです。気をつけたいのは、その使い分け。基本的には、「有料は質」「無料は量」を意識します。
有料の求人広告を出すことは、参加費を払ってお見合いパーティーに参加したり、高い費用をかけて結婚相談所に登録することにほかなりません。
ところがこうしたパーティーも相談所も、数が増えるにしたがって種類も多様化しています。
「男性は年収一千万円以上限定」というパーティーや、「男女とも登録は五〇代以上のみ」の相談所など、的をしぼったものが増えています。つまり、できるだけ「意中の人」に出会いやすいところを選ばなければ、会費の払い損となってしまいます。
求人募集に関しても、これと全く同じです。募集の広告媒体は、特に有料の場合、自社がほしい人材に合った「質」かどうかを、吟味して選ぶことが大事です。
求人広告費は、良い人材に巡り合うための投資ですが、無駄に多く払う必要はありません。なお、無料の媒体に関しては、応募があり過ぎて困る場合を除き、「できるだけたくさん」を心がけます。
採用は、タイミングであり、マッチングです。自社にぴったりの人材は、どこにいるかわかりません。応募が少ない職種や業種、時期であればなおのこと、アピールは、できるだけたくさんしたほうがいい。
お金がかからないのであれば、なおさらです。
有料広告メディアの吟味ポイント
では、有料の広告媒体の場合、何に注意をして、どんな媒体を選べばよいのでしょうか。また、無料の媒体には、どんなものがあるのでしょうか。
まずは「有料」の場合から解説します。有料の場合、ポイントは「質」ですが、これに関しては、以下の三つを意識します。
・読者層は?
・自社の採用意向に合っているか?
・媒体の信頼度は?
「読者層」を意識する必要があるのは、例えば主婦か学生アルバイトかでは、よく見る求人広告媒体が違うからです。主婦パートは、新聞折込求人広告のほか、ハローワークの情報や、フリーペーパー(無料の求人情報誌)などもよく見ています。
一方学生アルバイトの場合は、フリーペーパーの利用が比較的多いようです。実際、東京に本社をもつ、あるアパレル企業の方から「店頭販売スタッフを募集する際フリーペーパーを使っていたが全く応募がなかったため、新聞折込に切り替えたら、若手主婦層からどっと応募がきてうれしい悲鳴をあげた」という話を聞きました。
主婦パート、学生アルバイト、フリーターなどを問わず、最近利用が増えているのが、インターネット上の求人サイトです。
新聞折込とインターネットを併用して募集したところ、半数以上がインターネット経由の応募だった、という例もあります。これを反映して、企業側もこうした求人サイトを利用するところが増えています。
「自社の採用意向に合っているか?」は、「読者層は?」にからんだポイントです。
例えば、自社から“通勤三〇分以内”の人を募集したい場合、地域密着度の高い新聞折込広告が合っています。一方、より広い地域に募集をかけたい場合などは、フリーペーパーや、閲覧者の居住エリアや生活圏を問わないインターネットが合っている、ということです。
「媒体の信頼度」は、その媒体に「うさん臭そうな広告が載っていないか」といったことで判断できます。一般的な感覚をもっている求職者であれば、例えば「出来高制、月収一〇〇万円以上!」といった言葉が踊っていたり、男女別の採用など法律で禁じられた募集広告が載っている媒体を見て、応募しようとは思いません。
実際、そうした広告を見て応募した求職者と募集企業の間のトラブルは少なくありませんが、苦い思いをした求職者は、次からはその媒体を見ようとしません。
求職者の話を聞いていると、その媒体を発行する求人広告会社の経営姿勢は、実際に仕事を探している求職者に透けて見えているようです。
求職者から「いい求人情報が集まっている」と思われている媒体に広告を掲載することは、良識のある良い応募者を増やすことにつながります。
メディア別広告の特質を知る
有料の求人広告媒体にも、いろいろあります。それぞれの特徴を把握した上で、自社に合った媒体を選ぶことが大事です。そこで、以下に、媒体ごとの解説をします。
●新聞折込求人広告
「新聞折込求人広告」は、各社の求人広告をタブロイド版で編集・印刷し、全国紙や主要地方紙に折り込んで、各家庭に配達する広告です。最大の特徴は、新聞と一緒に「各家庭の中に直接入り込む」ことです。
積極的に仕事を探している人が見るのはもちろん、そうでない人も、広告を眺めることでその気にさせます。つまり、新聞読者を応募者に変える力をもっています。ここが、わざわざ検索したり、どこかで入手してもち帰る必要がある、インターネット広告やフリーペーパーとの大きな違いです。
また、「自社の近く」や「自社通勤路線の沿線」など地域に密着した配布ができるため、募集地域を限定できるのも大きな特徴の一つです。自社に通勤しやすいエリアに限定し、集中的に掲載すれば、それだけ多くの応募が期待できます。
また、自転車や徒歩通勤圏内に配布すれば、結果的に「交通費のかからない人」を採用できるメリットもあります。費用は一回一万数千円からと比較的安価です。
新聞折込広告会社は都市部を中心に数多くありますが、発行部数などによっても効果が異なりますから、比較検討が必要です。
●インターネット求人サイト
どちらかといえば「新卒採用」「正社員募集」の印象が強かったインターネット求人サイト。これがすでに、様変わりしています。若い学生アルバイトやフリーター向けだけでなく、主婦パートにターゲットをしぼった作り込みをしているサイトもあります。
パート・アルバイト同様に時給で働き、インターネットで仕事を探す人が増えている人材派遣希望者が、ネットで求人広告を見るなかで、パート・アルバイトの応募者になることもあります。
なお、いわずもがなではありますが、インターネット求人サイトの最大の特色は、検索性にあります。応募者は、勤務地や職種、働く時間帯、時給など、さまざまな条件を入力して検索し、希望に合った求人広告だけを見ることができます。
このことは同時に、各社の求人情報を、さまざまな角度から比較検討できる、ということでもあります。また、気に入った募集広告を見つけた場合、わざわざ電話することなく、インターネットを通じてその場で応募できる、「 WEB応募」機能もあり、応募者にとって、いろいろな面で効率的な媒体といえます。
一方、求人企業側にとってのメリットは、紙と違って広告スペースに限りがないことです。職場の写真や仕事の内容・面白さなどたくさんの情報を掲載することができます。
もちろん、掲載する情報量などにより料金は上がりますが、募集の場合、提供する情報が多いほど、より自社に合った人材により多く応募してもらえることにつながります。
インターネット求人サイトを選ぶ際のポイントは、どれだけたくさんのアクセスがあるかです。どんなに充実した求人広告を掲載しても、誰も見に来ないサイトでは応募は期待できません。
そこで、しっかりしたサイトは求人情報だけでなく、パートや学生アルバイト向けのさまざまな情報コンテンツを掲載して、「見られる(応募者が増える)」サイト作りに力を注いでいます。なお、 WEB応募の場合、応募者の情報をデータで入手できるのもメリットです。
インターネット求人各社は、こうした応募情報を扱いやすく整理したり、広告を出した会社が自社の複数拠点で閲覧できる独自のサービスを展開しています。
その使い勝手なども、インターネット求人サイト選びの基準となります。新聞折込広告やフリーペーパーなど紙媒体に二次元バーコードを掲載し、携帯からさらに詳しい情報や応募画面に簡単にアクセスできるものもあります。紙と WEB双方のメリットを活かしたシステムであり、注目度が高まっています。
●フリーペーパー(無料求人情報誌)
求人情報各社が「ここぞ」とばかりに力を入れ、まさに百花繚乱だったフリーペーパーも、最近は落ち着きを見せています。インターネットとの競合が大きな原因の一つです。とはいえ、まだまだ存在感は大きく、「毎週、定期的にラックに取りにいく」求職者もいます。
駅やファストフード店の店頭などで何気なく手にし、パラパラとめくって仕事を探せる手軽さがウリです。そんな印象から、どちらかというと、学生アルバイトやフリーター向けのイメージが強い媒体ですが、実際にはパートの利用もかなりあります。
例えば、あるフリーペーパーの編集担当者に聞いたところ、「読者アンケートを実施したら、学生やフリーターより、主婦層からの回答が多く集まった」と言っていました。フリーペーパーを選ぶ視点は「どの媒体に掲載すれば、自社がほしい人材から、より多くの応募が期待できるか」です。
これを判断するためのチェックポイントは、「自社の近く」や「自社への通勤圏」に多く設置されているか。あるいは応募者にとって魅力的な媒体かどうかなどです。
仕事を探している応募者は、「募集情報が豊富」「募集広告以外の記事が面白い」といった内容面、「誌面がきれい」「希望の仕事が探しやすそう」など見た目の印象、さらに「最新号がきれいな状態で並べてある」といった設置状態を総合して、たくさんのフリーペーパーから手に取るものを判断しています。
こんなにある! 無料で募集する方法
一方で、無料でできる募集告知もあります。すでに触れたように、無料での募集告知は、応募がありすぎて困る場合を除き「できるだけたくさん」行うことを意識します。
良い採用は、自社に合った人材とどう巡り合えるか、にかかっています。だからこそ、できるだけ多くの人に振り向いてもらうことが大切です。以下に、無料で募集する方法を紹介します。
●自社のホームページ
自社でホームページをもっている場合、募集情報も掲載するとよいでしょう。特にインターネット求人サイトに広告掲載をした場合は、自社のホームページにリンクを貼ると、更新の手間も省けます。新たに「採用情報コーナー」などを作るとなれば、純粋には「無料」ではありません。
しかし、一度作ってしまえば、コストはサイトの手直し手数料だけで済みます。しかし、なにより大きなメリットは、自社のホームページであれば、掲載スペースは自由自在、無限大とすらいえることです。詳しい仕事の内容や、写真や地図なども、好きなだけ掲載できます。
経営理念や、経営者・店長からのメッセージなどとリンクを貼れば、「どんな人を求めているか」を、より深く理解してもらえるでしょう。自社のホームページに「採用情報コーナー」を設けたほうがいいのは、紙の広告媒体に募集広告を掲載した場合でも同じです。
募集広告に自社のホームページアドレスを記載し「詳しい情報はこちら」などと案内することで、紙の広告媒体には載せ切れなかった情報を応募者に届けられます。
これは当たり前のようですが、見落としている企業を意外に多く見かけます。ぜひ活用してください。
●公共職業安定所(ハローワーク) いわゆる「職安」。
企業は以下の手順を踏み、無料で募集告知をすることができます。事業所管轄のハローワークに行き、求人の条件などを「求人申込書」に記入する。
初めて申し込むときは、事業所登録シートでの登録を行う 求人が受理されると、ハローワーク内の掲示板に貼り出されたり、職種ごと地域ごとのファイルなどで求職者に公開される。
求人自己検索パソコンを設置し、求人情報を公開しているハローワークが多い
応募者が出ると、ハローワークから連絡が来て、面接などの日程調整をする。採否の通知は応募者とハローワークの両方に行う 求人の必要がなくなったり、条件を変更する場合は、ハローワークに連絡する 情報は、求職者がハローワークに出向いてファイルやパソコンで検索したりします。
また「ハローワーク・インターネットサービス」により、全国の情報を自宅のパソコンで検索できるようになっています。
●店頭などに募集ポスターを貼る
ファストフードや小売店の店頭などで「スタッフ募集」のポスターを見ることがありますね。これも、とても重要な募集の手段です。
もちろんポスターやチラシ作成の手間はかかりますが、店頭に貼る程度の分を手作りするコストは、募集広告の掲載費用の比ではありません。これで応募者が来るかどうかは、職種・立地・時給などの条件により異なります。
また、店内貼付の場合、そもそも来店客にパート希望者がいるかどうかにもよりますが、うまく採用できればラッキーです。他の手段と併用するなどして、ぜひ活用したいものです。
最大のメリットは、自社の近くに住んでいたり、近くの高校や大学に通学している人からの応募が期待できることです。「応募者 =顧客」であることも、比較的多くなります。
これは、採用する側にとって、大きなプラスです。日ごろから自社のことを知っていて、その上で「ここで働いてみたい」という人は、仕事や職場になじむのも早いからです。
また、こうした人は、おおむね通勤交通費がかからないのも魅力です。一方、「応募者 =顧客」であることが、マイナスに働く場合もあります。
選考過程の対応に不備があった場合など、店に対して悪印象を抱かれてしまう可能性があるからです。パート募集がきっかけで顧客を減らしては元も子もありません。不採用の場合は特に、慎重な対応が必要になります。
●募集チラシを置いたり、配布する
前述したポスターによる募集告知を、「ポスター」ではなくチラシで行います。この場合、「貼る」のではなく、基本的には「置く」「配る」ことになります。具体的には、レジ・カウンターに置いておいたり、商品を入れる袋に一緒に入れたり、といった具合です。
飲食店やショールームなどの場合、お客さま用のトイレにチラシを貼ってもよく、その場合は自由にもち帰れるように、近くに置いておくことが重要です。
応募をその場で即決することは稀で、自宅に戻ってじっくり検討するのが普通だからです。チラシは、その「検討材料」です。いかにもち帰ってもらうかが大事です。
チラシをもち帰ってもらうことにより、わざわざ調べなくても、問い合わせ先がわかります。また、実際に「働いてみようかな」と思った時にも、スムーズに応募してもらえ、応募のチャンスロスがなくせるのです。
同様の理由から店内や店頭にポスターを貼る場合にも、一緒にチラシを作成し、自由に持ち帰れるよう近くに設置しておいたり、ぶらさげておくとよいでしょう。
●知人や友人からの紹介
すでに自社で働いているスタッフに、「友だちにうちで働きたい人はいないかな?」「ご近所に、仕事を探している方はいませんか?」などと問いかけるという方法もあります。もちろん、何の反響も得られない場合も多いでしょう。
しかし、紹介には以下のメリットがあり、採用手段の一つとして、意識しておくことをおすすめします。それは、第一に全くコストがかからないこと。
第二に、自社に合った人材を採用できる確率が高いこと、です。事実、全国に店舗展開しているカジュアル衣料販売チェーンの人事部長は「既存のスタッフからの紹介は、質と量の両面から、思った以上に効率的」と明かします。
理由は、自社の仕事を熟知したスタッフからの紹介の場合、応募者もそのスタッフを通じて、仕事や職場に関する情報を事前にかなり得ている場合が多いからです。
その情報も、友人に紹介するくらいですから、プラスの側面が強く伝わっているのが普通です。つまり応募者は、事前に仕事について理解して、強い興味を抱いている場合が多いのです。
また、類は友を呼ぶではありませんが、すでに活躍しているスタッフの友人は、同様の能力を有している確率も高いのです。この面でも、一般公募に比べて「良い採用」につながる可能性が高くなります。また、紹介で入社した人は、定着率も良いようです。半面、紹介を受け実際に面接してみた結果「いまひとつ」と思っても、断りにくいという難点もあります。
●その他の無料告知方法
より良い採用のために必要なことは、「とにかく、できるだけ多くの人に、自社が『このような人を求人募集している』と知ってもらう」ことです。そのための工夫を、以下に挙げてみました。
- 求人以外の広告宣伝物の一部に印刷する
- 会社の門扉に貼り紙をする
- 飲食店の場合、メニューのはじに募集中のシールを貼る
- レジに「募集中! レジ担当者にお気軽におたずねください」などと掲示
- スタッフに「仲間になりませんか!」と書いたプレート形式のバッジを付けさせる
これらの募集告知と共に二次元バーコードを印刷し、携帯サイトへ誘導して、高い成果を挙げている会社も増えています。もっとも、こうした工夫の仕方は、募集しているのが店舗なのか、事務所なのか、工場なのかなどによっても異なります。自社の場合、ほかにどんな工夫ができるのか、いろいろな方法を考えてみてください。
【事例】無料告知の成功例 ~店頭ポスターの場合 ~
「店頭ポスターやチラシなど、実際にはあまり効果がないのではないか?」 こう思われている方もいらっしゃるでしょう。でも、そんなことはありません。実際、店頭ポスターやチラシがきっかけで入社している人は、少なくありません。
例えば、店頭ポスターがきっかけで入社、あるコンビニエンスストアで六年間働いてきた二一歳の女性は、こう言っていました。
「高校生になったらアルバイトをしたいと思い、中学を卒業する三月に、自転車で自宅近くを走りました。自分が通えそうなところで、募集ポスターを貼ってある会社がないか探したのです。ハンバーガーショップやコンビニ、レンタルショップなどありましたが、その中から、『ここならいいかな』と思えたお店の条件と連絡先をメモして帰り、後で電話してみました。採用してもらったときは、うれしかったです。でも、まさかこんなに長く同じところで、自分が働き続けるとは思っていませんでしたけど」
ちなみに「ここならいいかな」の判断基準は、外から見たときの印象だったとか。店頭や店内の清潔感、照明や働いている人たちの雰囲気など明るさが、このコンビニに応募を決めた際の判断ポイントになったとのことでした。高校卒業後は勤務時間も長くなり、今では副店長として、新人指導にあたるまでになっています。
コンビニ本部から、「正社員にならないか」との打診もあったといいますが、「女優になる」という夢の実現のため、あくまでもアルバイトとして、俳優養成講座に通う資金を貯めています。
インターネットで有料と無料のコラボ効果!
以上、さまざまな募集告知の方法を、有料の場合と無料の場合に分けて紹介しましたが、この「有料」と「無料」を上手に併用することで、相乗効果が生まれます。併用することで、純粋に「告知量」が増えます。
また、時給や職種など基本情報は同じでも、媒体に応じてキャッチコピーなどでのアピールポイントを少しずつ変えることで、より広範な層に、より積極的に「うちで働きませんか」と訴えかけることが可能です。
しかし、この相乗効果を最も得やすいのは、なんといってもインターネット。それも、前述した「自社ホームページ」の活用です。
有料の求人広告を見た応募者のうち、自社のホームページまでチェックしてくる人は、仕事に対して意欲的で、真面目な人である可能性が高いもの。
自社のホームページは、そんな「優秀な人材」を、確実に自社に取り込む役割を果たすものでなくてはなりません。応募を迷っていた人が、自社ホームページにアクセスしてみて「応募を決意する」くらいでなくてはなりません。では、具体的にはどうすればいいのでしょうか。
自社の採用 HPを魅力的にする方法
第一に、自社ホームページの「採用情報コーナー」は、応募者向けの独立した専用ページとすることです。また作成の際、最も大切なことは、応募者に対する「ようこそ自社へ!」という歓迎の気持ちを、ストレートに表現することです。
掲載する情報も、先輩パートがイキイキ働いている様子や、職場の雰囲気、実際の仕事の内容などを、職種別に、写真と共に積極的に掲載します。
教育訓練スケジュールなどがあれば、これも掲載するようにします。仕事に直接関係しない情報も、プラスのものは積極的に公開します。
例えばパート・アルバイトでも参加できる社内行事があったり、飲み会などがある場合は、参加者の声などとともに掲載します。
現実的な情報が開示されていればいるほど、採用後自分がどう仕事していくかがリアルに想像できます。つまり、自社に合った人材が応募してくる可能性が高まります。
また、リアルに想像できれば、それだけ、応募しようとする気持ちも強くなるのです。自社ホームページで募集告知をしていても、実際にはあまり効果的に機能していないケースをよく見かけます。せっかく募集告知をするのなら、ぜひ「効果のある」ページにしたいものです。
3 相手に「想われる」求人広告の作り
「魅力」と「信頼感」を演出する三つのポイント
パート・アルバイトの募集広告は、何よりパート・アルバイトに「魅力」を感じてもらうことが大切です。たくさんの募集企業の中から自社を選んで応募してもらうには、応募者を引き付ける何かが必要です。
一方で「安心して応募できる」ことも大事です。パート・アルバイトは仕事で危険な思いをしたり、冒険したいとは思いません。
どんなに魅力的な条件を提示しても「うさん臭い」と思われてしまってはダメなのです。では、どんな広告なら、パート・アルバイトに「魅力」と「信頼感」とを同時に感じてもらえるのでしょうか。
それは、「仕事の内容」「働く仲間」「働く条件」の三つがわかる広告です。仕事の内容がわかる 文字どおり「どんな会社」で「どのような仕事を担当するのか」です。
例えば、主要業務は食品卸売業であり、募集しているのは経理事務パートである、といったことなどを、きちんと明示しておくことです。
何をやっている会社かわからないような広告に、パートは応募してきません。働く仲間がわかる 応募者が最も気にするポイントは、職場での新しい人間関係です。
そこで、仲間や職場の雰囲気を、募集広告で表現します。ある大型スーパーでは、「とにかく仲が良い」をキャッチフレーズにして広告を出し、大成功しました。
応募者が職場の人間関係をいかに気にしていて、また、「仲の良い職場」がパート・アルバイトにとってどれだけ魅力的であるかがわかります。
働く条件がわかる 働く条件とは、第一に「時給」です。賃金の明記は、信頼される広告の基本です。試用期間後に必ず時給がアップしたり、退職金制度や賞与などがある場合、大きな魅力となるので必ず明記します。
その他、休日・休暇や勤務時間帯などが含まれます。立地条件(駅から近いか)、車での通勤が OKか、なども記します。同じ条件でも、人によって魅力的に感じたり、そうでなかったりします。
また、入社後「広告の内容が実際と違った」などと不満に思われないためにも、事実をきちんと明記します。
「信頼感」を裏付ける広告記載の一〇項目
応募者に「信頼感」を感じてもらえる募集広告にするためには、具体的には以下の一〇項目を募集広告に記載します。信頼してもらうには、まずは情報を開示することです。
- 会社について(社名、営業所・支店名、事業内容、ホームページアドレス)
- 仕事について(レストランのフロアスタッフ、介護ヘルパー、惣菜の調理スタッフ、パソコン入力担当者、テレホンアポインター、ビル清掃、経理事務、など)
- 応募資格( ◯◯資格保持者、エクセルで表計算できる方、経理業務経験者、高校生不可、など)
- 勤務地・勤務時間・休日・休暇( ◯◯駅徒歩五分、 × ×ショッピングセンター内、月 ~木曜の午前九時 ~午後四時、一日三時間以上で応相談、週四日以上働ける方、土・日曜を含む週三日勤務できる方、日曜・祝日休、夏季・年末・年始休暇あり、など)
- 賃金(時給八五〇円、評価に応じた昇給あり、試用期間中は時給八〇〇円、賞与年二回支給、ランチタイムは時給一〇〇円アップ、など)
- その他の待遇など(交通費全額支給、制服貸与、食事補助制度あり、車通勤 OK、扶養控除内の仕事です、など)
- 応募方法(お気軽にお電話ください、電話連絡の上履歴書をご持参ください、まずは履歴書〈写真貼付〉をご郵送ください、書類選考後面接日等ご連絡いたします、など)
- 問い合わせ先(会社住所、電話番号、受付時間、担当部署名、担当者氏名、 Eメールアドレス、など) キャッチコピー(仕事や待遇のアピールポイント、など〈※詳細は次項〉)
- 写真・イラスト・地図(仕事の内容、職場の環境、場所などをビジュアルに明示)
キャッチコピーで「魅力」を伝える
自社のうそいつわりない情報に「魅力」を感じて応募してくれた人は、自社に合った人材ということができます。しかし、応募者を増やすには、そうした情報が応募者にとって「魅力的」に映るような工夫も大事です。
そんな工夫の一つがキャッチコピーです。自社の情報のうち、応募者にとって特に魅力的であろうものを取り上げ、目立つように、言葉でアピールしていくのです。
キャッチコピーは、内容によって大きく三タイプに分かれます。仕事そのものを表したもの「事務パート募集」「配送ドライバー」「介護ヘルパー」「チョコレートの試食販売」など。仕事内容をストレートに表現します。やりたい仕事が決まっている人に効果的です。
一方、「お客さまにありがとうと言ってもらえる仕事です」といった表現でアピールしていく方法もあります。実際、パート・アルバイトで働く人に仕事の魅力をたずねると、「お客さまにありがとうと言っていただけること」という答えが多く返ってきます。
アピールポイントを表したもの「朝一〇時から、ゆとりの出社です」「週三日から OK!」「とにかく仲の良い職場です」「 ◯◯の技術が身に付きます」「 ◯◯駅前で通勤ラクラク」「お洒落なフランス料理店。お客さまも一流です」「頑張る人を評価します。評価に応じて時給アップ」「残業なし」などさまざまなものがあります。
応募者にとって「身近な」情報を表したもの「身近な」とは、「聞いたことがある」「知っている」ということです。「金融最大手! ◯◯銀行のお仕事です」「 ◯◯大学の学生食堂が職場です」、あるいは「今話題のお菓子 ◯◯を販売しませんか」などというコピーは、信頼感や身近感を与えます。
キャッチコピーは、募集広告作りにおいて、とても重要な要素です。求人広告媒体には、多くの求人広告が並んでいます。そこから自社を選んで応募してもらうには、まずは応募者の目を自社の広告に引き付けることが必要です。そこで力を発揮するのが、キャッチコピーというわけです。
間口を広げつつ、しぼり込む
魅力を伝えると同時に、応募をためらう人への対策も必要です。応募をためらう理由は、ほとんどが「不安」です。
例えば「自分では能力が足りず、勤まらないかもしれない」「新しい仕事が覚えられないかもしれない」といった、仕事そのものに対する不安。
また「子どもが病気になったときなど、休んでしまうかもしれない」「提示してある勤務時間では、家庭との両立は無理かもしれない」「就職活動との両立ができるだろうか」「サークル活動が忙しいから……」など、時間的なものに対する不安。
加えて「どんな人たちが働いているんだろう」といった、人間関係に関する不安です。求人広告にある少ない情報をもとに、あれこれと想像し思い悩んでいるうちに応募のきっかけを逸してしまうといったことは、特に育児などで長い間仕事から離れていた主婦層などを中心に、多く発生しています。
これは、求人企業側にとっても、大変もったいない話です。そんな人が、高い能力をもっているかもしれないのです。求人企業側としては、これらの不安を感じさせない、あるいは不安を取り除くような求人広告を作ることです。
例えば、可能な限り柔軟な勤務時間提示をすることは、時間的な不安を取り除くことにつながります。「週五日・フルタイム勤務」が理想の場合でも、「週二 ~三日、一日五時間程度でも OK」の一行を添えておく。
これにより、まずは応募者の数を増やします。その上で、面接などを通じて「二名採用し交替勤務してもらう」方向も模索しながら、自社に合った人を厳選する、といった具合です。
「これだけは必須」といった絶対要件があったり、「あまりに応募が多く、面接しきれない」といった場合は別ですが、良い人を採用するにはまずは間口を広くとることです。多くの人の応募を待ち、その上で「自社に最適な人」をしぼり込み、採用します。
時給の相場を知っておく
募集時時給は、募集広告に掲載する情報の中でも、とりわけ重要なポイントの一つです。応募者は、業種や仕事内容、あるいは勤務時間や通いやすさなど、自分が重視する条件が同じであれば、一〇円でも時給が高い会社に流れがちだからです。
また、相場より明らかに低い時給だと、応募者が思うように集まりません。パート・アルバイトの時給は通常、地域や職種による相場、つまり社外のマーケットで決まります。
二〇〇八年四月施行の改正パートタイム労働法(短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律)により、パート・アルバイトの時給は同じ事業所で働く正社員との比較の上、バランスをとって決めることとされましたが、こと募集時時給に関しては、一般的に社外マーケットの影響が大きいといえます。
こうした結果、例えば同じ東京都内でも、中央区や港区など都心部は、時給相場がかなり高い傾向にあります。
飲食店などのパート募集が多いのに、主婦が通うには遠く学生も集まりにくいエリアであり、結果、少ない応募者を取り合うことになるからです。
同様に、募集職種や募集時間帯によっても、時給相場は変わります。当然、パート・アルバイトが集まりにくい職種や時間帯で高くなり、例えばスーパーなどでは、鮮魚や精肉の時給を、一般食品部門より五〇円程度高く設定していることが多いようです。
また、お客さまをお待たせしないため、休日や夕方のレジでもやはり、時給を高くして応募者を増やし必要な人数確保の工夫をしているところが多いようです。
早朝や、土・日曜・祝日などの時給が、五〇円 ~一〇〇円も高い例があるのも、同様の理由です。パートの時給相場は変化しています。募集時時給を決める際は、常に「今、現在の、近隣の相場」をチェックする必要があります。
ウチ流「身のほど時給」の決め方・考え方
その上で「自社の時給をいくらにするか」の方針を、次の三つから選びます。
- 相場に合わせる
- 相場より高くする
- 従来の自社の時給額(相場より低い額)でいく
ちなみに「今、現在の、近隣の相場」は、ちょっと行動すれば見えてきます。
例えば募集をかけようとしている職場で新聞を購読している場合、そこに折り込まれる新聞折込求人広告や新聞紙面上の広告を見れば「同業他社がいくらくらいで募集しているか」がわかります。
インターネット求人サイトで、自分が求職者になったつもりで検索してみるのも有効です。業種や勤務地など、時給以外の条件を「自社の募集条件と同じ」にして検索すれば、同業他社の似たような条件の求人が一覧できます。
それを見れば、他社がどの程度の時給を提示しているか一目瞭然です。相場を知った上で、自社の方針を決定します。相場に合わせれば、他社に対する競争力がつきますし、相場より高くすれば、もちろん優位に立つことができます。
一方、相場より低い額でいくならば、時給以外の魅力、つまり「パートにとっての働きやすさ」を、より追求していく必要があるでしょう。
時給を相場に合わせてアップすることは、応募者を増やす有効な手立てです。パート・アルバイトが必要人数採用できなければ経営が成り立たない場合、苦しくとも相場に合わせる努力が求められます。
時給を上げる場合の注意点
もっとも、実際に募集時時給、つまり初任時給を上げる場合は、十分な注意が必要です。すでに同じ職場で同じ仕事をしている人への対応が必要になるからです。
同じ仕事なのに、しかも入社当初は仕事が何もできないにもかかわらず、後から入ってきた新人が自分よりも高い時給をもらっているとしたら、先輩たちが不満に思うのは当然です。
募集時時給を上げるなら、すでに働いているスタッフの時給の見直しも不可欠になります。つまり、募集時時給を上げることは、パート・アルバイト全体の給与水準を底上げすることに等しいのです。
「ない袖は振れぬ」ではありませんが、売上等から人件費に回せる額は限られます。その余裕があるのかどうか、他のコストを切り詰めて人件費を捻出できるのかなど、よく考えねばなりません。
その際に、「募集時時給を上げたことを、先輩パートに言わなければいいのでは?」「新人に口止めしておけば大丈夫」といった考えは、捨てるべきだと思います。
パート・アルバイトとの信頼関係は、相思相愛マネジメントの必須要件であるからです。不信感が蔓延した組織は、あっという間に崩れていってしまいます。
そもそもパートは、すでにどこかで働いていても、「もっといい仕事があるかも」と、求人広告をこまめにチェックしているものです。
ふとしたことで、自社の求人広告を目にし、「新人の時給が自分より高い」ことを知ったらどう思うでしょう。結果として、組織全体のモチベーションが下がり、生産性が下がってしまえば元も子もありません。
【事例】相場より高い時給でも成功している企業
時給が相場より高ければ、それだけ多くの応募が見込めます。しかし、せっかく相場より高い時給を払うのなら、単に応募者の数を増やす以上の目的意識をもちたいもの。プラス αの成果を狙うのです。
例えば全国にデイリーファッションの小売店をチェーン展開しているある会社では、パートの募集時時給を、必ず各地域の時給相場より高く設定していました。
このため、新規オープンのときなど募集広告を出すと、応募者は数十人にも上ります。実際に採用するのは一〇人程度ですが、数十人から厳選した一〇人はまさに「精鋭」です。
求められる仕事の難易度は高いのですが、能力が高いため習熟はスムーズで、時給が高い分、仕事への熱意も違うといいます。とはいえ、あくまでも「パートはパート」という考えです。
例えば本部からの仕事の指示を徹底し、完璧なマニュアルを整備するなど、過度な負担がかからないさまざまな工夫がなされています。パートにとって、これほど条件のいい職場は少ないですから、当然退職者は「夫の転勤で仕方なく」という人など、ごくわずか。
結果的に退職に伴う補充の必要もなく、新規採用や中途入社の新人教育のコストもかかりません。一方、パートのスキルは勤続年数が増すほどに高まり、売上に貢献しています。
プラス αの成果、つまり優秀なパートの活躍で「他社より多くの利益」を確保することにより、同業他社よりも高い時給を支払い続けているのです。
時給以外の三つの魅力で「応募したい」と思わせる
従来の自社の時給額のままでいく場合、その額が地域相場より明らかに低いなら、対応策が必要です。時給の額そのもので応募者の気を引けないなら、他の要素で魅力を感じさせ、応募しようと思ってもらわなければなりません。
大切なのは、低い時給をカバーする「自社にある(時給とは別の)魅力」を、きっちり把握し、広告でアピールすることです。これを考えるとき参考にしたいのが、「パート・アルバイトが望む三つのこと」。具体的には、以下の三つです。
- 自分の都合で働きたい
- 人間関係の良い職場で働きたい
- 仕事に対する評価がほしい
「 自分の都合で働きたい」に関しては、まずは自社で、どんな対応が可能か洗い出します。そして、それをそのまま、求人広告に記載します。例えば「シフト変更 OK」「勤務日の相談に応じられる」「子どもの学校行事や夏休みの旅行、学校の試験や就職活動などに合わせて休みを取ってもらえる」などです。
「 人間関係の良い職場で働きたい」については、「明るく元気な職場です」「仲の良い職場です」「定期的に部門ミーティングがあります」「仕事は先輩が一から丁寧に教えます」といった具合です。
「 仕事に対する評価がほしい」に関しては、「評価に応じた昇給があります」「昇進・昇格でき、仕事の幅が広がります」「表彰制度があります」などがあるでしょう。ほかにも、企業にはパート・アルバイトにとって各社各様の魅力があるものです。
これを求人広告に掲載することで、応募を促すことができます。「そんなもの、うちにはないよ」と思ったら、すでに働いているパート・アルバイトに質問してみることをおすすめします。
つまり「うちの職場の魅力って何かなあ」「なぜ長く働いてくれているの?」といった具合です。「別に……」と言われ、がっかりする可能性もありますが、会社が気づかなかった「パート・アルバイトにとってのわが社の魅力」が、新たに見つかるかもしれません。要は、パート・アルバイトの視点に立って、自社をもう一度振り返ってみることです。
【データ】パートが「パートという働き方を選んだ理由」とは?
「自分の都合で働きたい」というパート・アルバイトの要望は、「パート・アルバイトという働き方を選んだ理由」を聞いたアンケート結果からも明らかです(アイデム『平成二一年版パートタイマー白書』)。
具体的には、「自分の都合のよい時間や曜日に働きたいから」が五七・四%となっています。回答者のうち主婦パートだけのものを集計すると、「家事や育児と仕事の両立を図りたいから」という人は六二・九%にのぼります。
パート・アルバイトに対しては、勤務時間への配慮がマネジメントの重要ポイントといえるでしょう。ちなみに、今の職場について「辞めたいと思わない理由」を聞いてみると、一位は「職場の人間関係が良好だから(五八・四%)」、二位が「勤務シフトが希望どおりになるから(五六・七%)」となっています。
トレンドは「狙い撃ち」募集
最近の募集トレンドは「狙い撃ち」だといわれています。自社がほしい「一定の層」に、ビシッと的をしぼった募集広告を作るのです。例えばある会社では、自社のパートタイマー募集広告で、こううたっています。
「短時間勤務のパートタイマーですが、頑張れば昇進・昇格し、時給もアップしていきます。シングルでも、お子さんをしっかり育てていける収入が得られます!」
この会社では、新卒新入社員を営業社員として一から育てるより、営業経験や、たとえ事務職であってもビジネス経験のあるパートを雇用したほうが、自社の売上にプラスだと考えています。
実際、パートタイマーにも高度な判断を伴う、難易度が高く責任も重い仕事を任せる一方、時給も正社員の時間給に匹敵する額を支払っていました。
ただし、誰でもいいわけではありません。仕事に責任をもち、しっかりと職務を全うし続けてくれる人でなければ、困ります。
そんななか、過去の採用経験から「子育て中のシングルマザーのパートは、時間観念がしっかりし、決められた時間内で、きっちり成績を上げていく人が多い」と感じていたことから、「その層」にぴったり的をしぼった募集広告を出すことにしたのです。
男女別の募集が禁じられていることから( ●男性のみ、または女性のみを対象にした募集参照)、広告に「シングルマザー」と記すことはできませんが、想定した層からの応募が多数あり、結果は上々。
短い拘束時間でしっかり稼ぎたいパートタイマーと、過去のビジネススキルを活かしてきっちり仕事をしてほしい会社の意向がぴったり合い、とても良い雇用関係が結ばれているそうです。
この賃金は違法 ~最低賃金と男女別賃金 ~
募集時賃金を決める際、気をつけなくてはいけないポイントがあります。「最低賃金」と「男女別賃金」です。いずれも、法律で定められた事項です。
最低賃金とは、文字どおり「この額を下回ってはならない」という賃金額です。最低賃金法により、地域別最低賃金と、産業別最低賃金が決まっています。
地域別最低賃金は各都道府県ごとに時給で設定され、そこで働くすべての労働者に適用されます。もちろんパート・アルバイトの時給も、これを下回ってはなりません。試用期間中や高校生に対して減額した際など、要注意です。
最低賃金は毎年改定されるので、確認が必要です。また、生活保護とのかねあい等により、最近は毎年、かなりの上昇幅をもって改定される傾向にあります。
ちなみに平成二一年秋に改定・発効の最低賃金は、東京都が最も高く七九一円となっています。最も低いのは、佐賀県、長崎県、宮崎県、沖縄県の六二九円です。
関東は、以下神奈川県七八九円、埼玉県七三五円、千葉県七二八円など。関西では、大阪府が最も高く七六二円で、京都府七二九円、兵庫県七二一円などとなっています。愛知県は七三二円です。また、男女別賃金も違法です。
携わっている仕事の内容や評価が同じであるならば、男女で賃金に差を設けることは、法律で禁止されているのです。パート・アルバイトの場合、同じ職種や条件で、男女を理由に賃金格差を設けることは少ないようですが、知っておきたい基礎知識です。
禁じられている募集とは?
募集においても、法律で禁じられていたり、してはいけないとされていることがあります。具体的には、以下の二つです。
●男性のみ、または女性のみを対象にした募集
例えば「女子パートさん」「キャンペーンレディ」「男性配送スタッフ」「ウエイトレス」といった言葉を、募集広告で使うことはできません。
女性のみ、あるいは男性のみを対象にした募集は、男女雇用機会均等法により、特別な場合を除いて禁止されているからです。特別な場合とは、均等法の適用除外職種の場合。
つまり俳優、モデルなど芸術・芸能分野、守衛・警備員など防犯上、神父・巫女など宗教上、あるいは女性更衣室の係員など風紀上、またホスト・ホステスなど業務の性格上、一方の性であることが必要な場合です。
なお、女性労働者が男性労働者と比較して「相当程度少ない」場合、女性への不均等な扱いを改善するためであれば、女性に有利な取扱いが可能です。これを「ポジティブ・アクション」といいます。
●年齢を制限した募集
人を募集する際、正社員であれ、パート・アルバイトであれ、年齢制限を設けてはいけません。
改正雇用対策法により、主に「年長フリーター」対策として、募集・採用時の年齢制限が原則禁止となりました。
ただし、以下の六つの場合のみ、年齢制限が例外的に認められています。
定年年齢を上限として、期間の定めのない雇用契約で募集・採用する場
○「六三歳未満の方を募集(定年が六三歳)」
×「六三歳未満の方を募集(定年が六五歳)」
労働基準法等法令の規定により年齢制限が設けられている場合
◯「警備員として一八歳以上の方を募集」 (警備業法により一八歳未満の就業等は禁止)
長期勤続によるキャリア形成を図る目的で、期間の定めのない雇用契約で、若年者等を経験不問で採用する場合
○「三五歳未満の方を募集(職務経験不問)」
×「三五歳未満の方を募集( □ □業務の経験のある方)」
技能・知識の継承の為、特定の職種について労働者数が相当程度少ない年齢層を、期間の定めのない雇用契約で採用する場合
子役など、芸能・芸術分野で採用する場合
六〇歳以上の高齢者や、特定の年齢層の雇用を進める行政施策の対象者に限定して採用する場合
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