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Chapter2基本給は「過去の実績」に基づいて決定する

目次

基本給①基本給は、等級制度。「賃金テーブル」をつくって計算

武蔵野の給料は「4つ」の要素から成り立っているわが社の「給料」は、次の4つから成り立っています。

  1. 基本給(過去の実績/等級によって決まる)
  2. グループ手当(管理職手当/属するグループによって決まる)
  3. 賞与(どういう成果を出したかで決める)
  4. その他手当(福利厚生費として支払う)

そして、「基本給は年功序列、グループ手当は能力、賞与は成果」と、支給の意味合いをはっきりさせています。等級によって基本給の額が決まり、グループによって管理職手当の額が決まり、半期の成果で賞与の額が決まるのが、わが社のしくみです。そこで、人事評価制度を理解しやすくするために、社内用語を統一しています。

  • 昇格/等級が上がる
  • 降格/等級が下がる
  • 昇進/グループ(役職)が上がる
  • 更迭/グループ(役職)が下がる
  • 昇給/規定により基本給が上がる

大事なのは、「年功序列」(基本給)と「能力」(グループ手当)を分けて考えることです。賃金テーブルのヨコ軸は「等級」まず、「基本給」ですが、わが社は、「賃金テーブル」をつくり、基本給を計算します。

賃金テーブルは、「等級制度」です。「等級制度」は、社員を役割や責任、スキルなどによって区分することです。等級で区別しておけば、「それぞれどういう仕事(役割)を担っているのか」がわかりやすくなります。

賃金テーブルのヨコ軸は、「等級」です。わが社は、人事評価の要諦をまとめた「人事評価基準書」があります。人事評価基準書には、各等級の役割について、次のように明記してあります(一部、抜粋して紹介)。

【実務階級】

◎Ⅰ等級/一般社員に該当比較的短期間に習得できる定型業務を担当する。業務マニュアルや経験者の指導に基づいて任務を忠実に遂行する。

◎Ⅱ等級/一般社員に該当応用動作をともなう定常的な業務(日常業務)を担当する。自分の担当範囲に責任を持ち、自己の経験と判断を加味して成果を出す。

【管理・専門階級】

◎Ⅲ等級/課長に該当複数の定常的な業務(日常業務)を含む、計画的・応用的な業務を担当する。幅広い裁量や創意工夫により、お客様の期待に応え、業績に貢献する。

◎Ⅳ等級/部長に該当※業務管理責任職と業務統括スタッフに分かれる・業務管理責任職担当業務の責任者として上司を補佐しながら、最適な組織目標を設定・実行する。

・業務統括スタッフ関連分野の専門職の責任者として、課レベルで扱う専門ノウハウに関する開発や意思決定を統括する。

◎Ⅴ等級/本部長に該当※部門経営責任職と部門統括スタッフに分かれる・部門経営責任職会社の基幹事業、中枢機能の責任者として、経営首脳の意思決定を補佐する。

担当部門の経営方針、事業計画を立案し、業績と成長性を確保する。

・部門統括スタッフ部で扱う専門分野全体に関する戦略的意思決定を担当する。

高度な専門的立場から、経営首脳の意思決定を補佐する。

◎Ⅵ等級/取締役に該当

◎Ⅶ等級/常務に該当

◎Ⅷ等級/専務に該当

◎Ⅸ等級/会長・副社長に該当

◎Ⅹ等級/社長に該当

※経営計画書には、「Ⅵ等級」まで明記

基本給②等級を上げるには、「3つの昇格要件」を満たす必要がある

「昇格ポイント、評価、条件」の3つを満たすと昇格対象になる

「どうすれば自分の等級が上がるのか」、昇格要件を明確にします。

・昇格ポイント

・評価

・条件

の3つの要件を満たすと、「昇格」の対象となります(69ページの図を参照〔*〕)。昇格とは「等級が上がること」です。

「Ⅰ等級」は、「評価」の項目だけです。

・昇格ポイント/なし

・評価/3年間でA評価2回、またはS評価1回

・条件/なし

つまり、3年間でA評価2回、またはS評価1回を取れば、「Ⅱ等級」に上がれます。

「Ⅱ等級」からは、「昇格ポイント」の項目が加わります。

・昇格ポイント/40ポイント・評価/直近1年以内にS評価またはA評価・条件/なし武蔵野では、半期ごとの評価によって、昇格に必要なポイントを決めています。

たとえば、「A評価」を取ると「5ポイント」です。「Ⅱ等級」から「Ⅲ等級」に上がるには、「40ポイント」必要です。上期も下期も「A評価」を取ると、1年で「10ポイント」になるので、早い人は「4年でⅢ等級」に上がれます。

ただし、「40ポイント」に達していても、「直近1年以内にS、Aの評価」がないと上がれません。過去には、「100ポイント」以上あったのに、上がれなかった社員がいます。末竹秀男と八木澤学です。

彼らが上がれないのは、「直近1年以内にS、Aの評価」がないからです。八木澤学は、その後奮闘してⅢ等級になりました。「Ⅲ等級」からは、「条件」の項目が加わります。「決められたことで成果を出す」ことです。「Ⅳ等級」の条件は、「新たな稼ぎをつくる」ことです。

昇格ポイントが「50ポイント」以上あって、さらに、「直近1年以内にS評価またはA評価」があっても、「新たな稼ぎ」をつくっていなければ、「Ⅴ等級」にはなれません。

以前、志村明男部長がⅣ等級に昇格したとき、賞与評価面談で彼に「自分の評価は何か?」と聞きました。彼は「A評価」と言いましたが、私は「新たな稼ぎをつくっていないからB評価」と伝えると、彼は「すみません」と言った(笑)。

わが社の社員は、新規事業や新規開拓をやらざるを得ないのです。

「抜擢」と「昇進」は、何が違うのか?

武蔵野は、昇格ポイントに関係なく昇格することを「抜擢」と呼んでいます。抜擢は実力主義とし、年齢や勤続年数にとらわれず登用します。

普通の会社では、一般社員を課長にすること(若手社員を重要な役職に就けること)を「抜擢」といいますが、わが社は違う。抜擢とは「基本給が上がる」ことです。基本給が上がらないかぎり、抜擢とはいいません。

一般社員から課長になると、基本給は変わらずに管理職手当が変わる場合は、「抜擢」ではなく、「昇進」といいます。

【抜擢の対象者】・S・S評価を受けた社員・特別な功績が認められた社員

そして、会社が赤字であろうと、「毎年ひとり以上」は抜擢します。業績が悪いのは社長の責任であって、社員の責任ではない。

業績が悪いからといって抜擢をためらうと、社員は頑張れません。それに、抜擢して社員の基本給を上げても、会社が赤字なら賞与の総支給額が下がるので、抜擢して上がった分の金額は調整できます。

抜擢にふさわしい人材がいなかったり、だれを抜擢すべきか迷ったりしたときは、サイコロに名前を書いて振ります(笑)。

「そんないい加減なことでいいのか?」と思われるかもしれませんが、それでいい。サイコロで選ばれても、「抜擢され、新しい仕事をする」うちに実力がつきます。

結果が残せずに降格(基本給が下がる)になったら、なおいい。なぜなら、失敗の経験が人を育てるからです。多くの社長が「アイツはまだ若いから」と言いますが、若さは、抜擢する理由です。

抜擢して、まずやらせてみる。やらせてみてから考える。ダメだったら、また戻せばいい。わが社は、「一度抜擢され、降格した経験のある社員」が、確実に早く出世します。

これまでの抜擢は、S・S評価では飛山尚毅ひとりだけ。特別な功績では高梨昌俊、上野朝之、青野真介です。

基本給③上司は、「独断」で部下の昇格を決めていい

上司の申請がなければ、良い成績を上げても昇格できない

昇格は年1回行っています(12月の役員会にて決定)。

前項で、「昇格ポイント、評価、条件の3つを満たすと、昇格の対象となる」と書きましたが、対象となっても、昇格できるとはかぎりません。

3つの要件(昇格基準)を満たしていても、「上司の申請」がなければ、昇格できないルールです。私は上司に「生殺与奪権」を与えています。

上司から「この人を上げてください」という申請がないと、3つの要件を満たしても、上の等級には上げません。つまり、「部下を生かすも殺すも、上司次第」です。

会社は、団体戦。個人のわがままを許しては戦いに勝てない。ですから、上司の言うことをきかない部下は、昇格できないのが正しいのです。

「上司の申請」がない社員は他の上司に配属を変えます。過去に、「マッタ」をかけられたAは、上司を変えた翌年に昇格しています。

評価は、評価基準に基づいて上司が行いますが、ダメな上司は、部下に「差」をつけたがりません。部下3人で、A評価、B評価、C評価をひとりずつにしない。ダメな上司は、3人とも「B評価」にする。

なぜなら、そのほうがラクで、差をつけると部下に嫌われるから。ですが、たとえ1点でも「差」をつけるから、上司も部下も成長できる。

部下を3人とも「B評価」にするような課長は、わが社では部長にはなれません。見て見ぬふりをするから。反対に、B評価の部下をC評価に落とすことができる上司は優秀。

「C評価に落とす」ことが、部下を成長させるきっかけになることを知っているからです。「ずっとB評価」の社員は、成長しません。

採用部長の荒谷直子は、たった1点の差でC評価になったことがあります。このとき、荒谷は悔し涙を流した。その悔しさを原動力にして頑張り、その結果、部長になった。

C評価を取っていなければ、荒谷は部長になっていなかったでしょう。荒谷の上司の上野朝之(当時課長)は優秀です。だから部長になれたのです。

部下同士の社内恋愛に気づかない上司には、罰を与える

以前、五十嵐善久(当時課長。現在部長)と岡理恵の2人が内緒で付き合っていたことがあります。2人の関係に最初に気づいたのは、私です。

五十嵐は実力があったので第2支店の店長を任せていたが、どういうわけか、成績が右肩下がりでした。私は「あれ、おかしいな?」と不思議に思った。

「仕事に集中できないのは、彼女ができて、浮ついているからではないか?」私はそう仮説を立てた。そして、ラスベガス研修中に、かまをかけてみたのです。

「おまえ、別れた奥さんに、まだ未練があるのではないか?」離婚歴のある五十嵐に、そうハッタリをかました。すると五十嵐は、まんまと私の思惑に乗って、「いや、今はちゃんとお付き合いしている人がいますから。それも、社外の人です」と告白した。

五十嵐に、外部の女性と付き合う時間はなかったはず。そこで私はピンときた。

「五十嵐は噓をついている。五十嵐の彼女は、同じ支店の中にいる」社員同士の恋愛は、定点観測をしていたら察知できます。雰囲気が変わった女性社員がいたら、プライベートで変化があった可能性が高い。やがて、五十嵐の相手が同じ支店の岡理恵だとわかりました(その後2人は結婚。岡は五十嵐の奥さんとなり、3人の子どもの母です。155ページ〔*〕に写真があります)。

私は社内恋愛をすすめているので、2人が結婚することに異論はありません。ですが、同じ支店の店長と部下との付き合いは、他の社員に対して、しめしがつかない。

周囲は「岡さんは五十嵐店長の彼女だから」と気を遣いますし、岡が仕事で成果を上げれば、「五十嵐さんが手心を加えたのでは?」と疑心暗鬼になる。だから、2人の配属を変えたわけです。

とばっちりを食らったのは、五十嵐の上司である由井英明と、岡の上司である佐藤義昭です。2人の仲に気づかなかったのは、部下のことを良く見ていなかった上司の責任。

当時、由井と佐藤は、私の直系の部長でした。そこで「管理不行き届き」を理由に、由井と佐藤の2人の評価を「同点」にした。

同点ということは、2人を一緒にA評価にするのも、B評価にすることも、C評価に落とすこともできる。私は2人を「C評価」にして、賞与を前回より40万円減らしました。

こうした独断が許されるのは、上司が直系の部下に対して、「生殺与奪権」を持っているからです。社長賞、優秀社員賞は、社員の憧れです。

上司はがんばった部下を優秀社員賞に3月にノミネートします。2009年、経営サポート事業部の滝澤美佳子課長は当然ノミネートされると思っていましたがされませんでした。

「エー!?」と思ったので、私は上司のA部長に聞いた。彼は「滝澤に優秀社員賞を取らせたくない」と即答した。正しい。私は滝澤の人事異動を決行。

翌年、滝澤は見事に優秀社員賞に輝いた。今では営業サポート、コールセンターを束ねる部長です。

基本給④上司は、たとえ1点差でも部下の成績に「順番」をつける

評価に差をつけなければいけない「3つ」の理由

「評価」とは、順番をつけることです。

春子さんは201点、夏子さんは200点。秋子さんは199点とします。春子さんと夏子さん、夏子さんと秋子さんの差は「1点」しかありません。多くの社長が、「1点しか差はないのだから、評価は全員Bでいいだろう」と考えます。

ですが、1点しか差がなくても、A、B、Cと順番をつけるのが、わが社の評価のやり方です。これは運動会の徒競走と同じ。順番のつかない徒競走など、覇気が失われるだけ。

人事評価も、社員が全力を出すには、仕事ぶりに順番をつけなければなりません。武蔵野は、上司が部下の成績に差をつけざるを得ないしくみが「3つ」あります。

①部下に「A評価以上」の評価をつけないと、「部下」が昇格できない

わが社の昇格要件の中に、「昇格ポイント達成者でAを取った人を中心に昇格する」とあります。

つまり、部下を昇格させるには、A評価を取らせないとダメです。武蔵野は相対評価なので、全員にA評価をつけることはできない。これが、評価に差がつくしくみです。

②部下に「A評価以上」の評価をつけないと、「上司」が昇格できない

上司は、「新人や後輩を育てたこと」が高く評価されます。ですから、部下にA評価以上を取らせないと、自分も昇格できません。

③評価に差をつけると、部署全体の賞与支給額が増える

春子さん・夏子さん・秋子さんという2グループの部下3人を「全員B評価」にする場合と「A・B・C評価ひとりずつ」の場合、賞与の配分点数はどうなるでしょうか(賞与の支給額については101ページ参照〔*〕)。

2グループは、A評価=200点、B評価=140点、C評価=100点です。

すると3人の合計点は次のようになります。

・「全員B評価」の場合/420点

・「A・B・C評価ひとりずつ」の場合/440点

「A・B・C評価ひとりずつ」のほうが配分点数の合計が多くなるようにしています。配分点数で賞与の支払額が決まるので、評価に差をつけるほど、部署全体の賞与支給額が増えるしくみとなっています。

降格しても頑張れるのは、「復活するしくみ」があるから

昇級評語(上期、下期の評価を踏まえて決定した1年間の評価)が3回連続「C評価」の場合は、降格対象として12月の役員会で審議します。

降格とは、等級が下がることです。普通の会社では、ひとたび降格すると、なかなか上には上がれません。したがって、等級が下がった社員はやる気をなくし、退職してしまう。

けれどわが社では、降格したからといって退職するような社員はひとりもいません。なぜなら、「復活のしくみ」が明確になっているから。降格しても、下の等級で「3年以内にA評価」を取れば、昇格ポイントに関係なく、復帰できます。

これは、相撲の番付と同じ。大関は角番で負け越すと、大関から陥落します。でも、次の場所で10勝5敗で勝ち越せば、自動的に大関に復帰できます。降格すれば、もちろん悔しい。

それでもわが社の社員が明るいのは、「たとえ降格しても、数字を上げれば復活できるしくみ」があるからです。降格者は、過去に50人を下りません。

基本給⑤「変わるもの」と「変わらないもの」を明確に分ける

賃金テーブルのタテ軸は「号俸」

賃金テーブルのタテ軸は、「号俸」です。基本給を見るとその等級の中のどれくらいの位置にいるかをあらわしています。武蔵野は、中卒(15歳)を「Ⅰ等級1号俸」と規定しています。「義務教育を修了した人」が「本来の新卒」と私は定義しています。ですから、高卒も大卒も、賃金テーブルの体系上は「中途採用」です。号俸は、評価によって上がります。

1年間の評価(昇給評語)がS評価は6号俸、A評価は5号俸、B評価は4号俸、C評価は3号俸、D評価は2号俸上がります(ただし、新卒の最初の評価はB評価とする)。

さらに「社長賞」を取ると「5号俸」「優秀社員賞」を取ると「3号俸」上がります。A評価の社員が社長賞を取ると、翌年、基本給が「10号俸」、優秀社員賞を取ると「8号俸」上がります。

1号俸あたりの「ピッチ」(1号俸でいくらの差をつけるか)は、等級によって異なります。「仕事ができる人」に手厚くするのが方針で、等級が上がるほど、ピッチの金額は高くなります。

65ページ〔*〕の賃金テーブルを見ると、Ⅰ等級のピッチは「1370円」です。Ⅰ等級5号俸と、Ⅰ等級6号俸の差額は「1370円」になります。Ⅱ等級であれば、ピッチは「1720円」。Ⅱ等級5号俸と、Ⅱ等級6号俸の差額は「1720円」です。

49ページ〔*〕の賃金テーブルの「Ⅰ等級25号俸」の金額と「Ⅱ等級1号俸」の金額は、どちらも「17万4240円」で同じです。金額を同じにしているのは、「中卒で入って、5年間A評価を取り続けられるような人材は、一般社員の中でもⅡ等級にしてもいいのではないか」と考えているからです。

「Ⅱ等級26号」と「Ⅲ等級1号俸」も同じ金額(21万6990円)です。Ⅱ等級で「5年間A評価」を取り続けられる人材は、「課長(Ⅲ等級)にしても、最低でもB評価を取れるのではないか」と考え、このような賃金テーブルにしています。

「ベースアップ」とは、「Ⅰ等級1号俸」の金額を上げること

人事評価基準は時代とともに変化しますが、考え方の基本は、「変わるもの」と「変わらないもの」を明確に分けておくことです。

  • 「変わらないもの」は、しくみ。
  • 「変わるもの」は、賃金テーブルの数字です。

わが社は、「中学校卒業生」を「新卒」と定義し、高校、短大、大学卒業生は、給与体系上は「中途入社」にあたります。

この新卒(中学校卒業生)を「Ⅰ等級1号俸」とするしくみは、「変わらないもの」です。ですが、「Ⅰ等級1号俸」の基本給の金額は「変わるもの」です。

武蔵野は、「Ⅰ等級1号俸」の金額を上げること(賃金テーブルを変えること)を「ベースアップ」と呼んでいます。「Ⅰ等級1号俸」の金額が上がれば、当然、2号俸以降の金額が上がります。反対に「Ⅰ等級1号俸」の金額を下げることを「ベースダウン」といいます。

「春闘で基本給を一律5000円上げた」といった企業もありますが、これはベースアップではなく「ベア」です。「ベースアップ」と「ベア」は違います。

  • ベースアップ「Ⅰ等級1号俸」の金額を上げて、賃金テーブルを変える
  • ベア基本給を全員、一律の金額で上げる

ベースアップは上級社員が優遇され、ベアは下級社員が優遇されます。

基本給は「年功序列」が正しい

わが社の基本給は、年功序列。基本給を年功序列にするのも「変わらないもの」です。勤続年数の長さは、会社の貢献度に比例します。

入社25年の石川克裕は、入社3年で課長になった。小嶺淳が入社1年で課長になるまで最短でしたが、課長職は自分の気が進まないという言い訳をしながら得意の手抜きをする。

課長と平社員を3往復繰り返し、課長職では他を引き離して基本給が一番高い。同じ仕事を同じ職責の社員に与えたら、10年選手よりも20年選手のほうが基本給は高くなる。

勤続20年の「課長」と、勤続3年の「部長」を比べた場合、「課長」の基本給のほうが高い(役職手当は部長職のほうが高い)。

勤続3年の「部長」の基本給のほうが高ければ、古参の課長はやる気をなくします。そうならないためにも、基本給は「年功序列」が正しい。

給与体系が決まらないのは、「変わるもの」と「変わらないもの」を一緒に考えてしまうから。まずは「変わらないもの」を明確に決めておくことが基本です。

中途入社の社員は「C評価」で採用し、その後、基本給を読み替える

中途入社の社員は「中途採用一覧表」を利用し、「C評価採用」を基本にしています。なぜかというと、A評価やB評価で採用した場合、次の評価で評価を落とすとやる気をなくすからです。

ですから、とりあえず「C評価」で採用して、「最初の評価でB評価以上」を取った場合は、基本給の読み替えを行っています。

読み替えは、A評価は「プラス2号俸」。Bは評価「プラス1号俸」として、採用時にさかのぼって号俸の差額を支給しています(ただし6ヵ月分とする)。

差額がいくらになるのかを自分で計算させると、「こんなにたくさん戻ってくるのか!」とやる気を出す。これも社員を頑張らせるしくみです。

グループ手当①「等級制度」に「グループ制」を併用して、社員の実力を正しく評価する

基本給の計算は「等級制度」で行い、実際の運用は「グループ制」で行う

当初、武蔵野の給与体系は、「等級制度」をベースに「Ⅰ等級=新入社員」「Ⅱ等級=中級社員」「Ⅲ等級=課長」「Ⅳ等級=部長」として運用していました。

ところが、会社が成長するにともない、不都合が生じてきた。

「Ⅱ等級の若い社員が課長クラスの実力を持っているのに、Ⅱ等級26号俸に届かないためⅢ等級にできない(課長の仕事をさせられない)」とか、「仕事は一般社員と変わらないのにⅣ等級にいるために部長手当を支給する」といった、しくみの矛盾が表面化してきました。

そこで私は、基本給は等級制度をベースに計算しながら、運用面のしくみとして、「グループ制」を追加しました。グループは次の「6つ」に分かれています。

  • 1グループ/一般社員(現在のⅠ等級で、中途入社の短大・専門・高校・中学卒)
  • 2グループ/一般社員(大卒・中途入社の短大・専門・高校卒で実務経験が多い人)
  • 3グループ(2・5グループ)/課長(2・5グループは管理職候補生。3グループで評価し、2年以内にA評価1回で3グループになれる)
  • 4グループ/部長
  • 5グループ/本部長
  • 6グループ/役員

こうしておけば、「Ⅱ等級の一般社員でありながら、課長クラスの実力を持っている社員」を「Ⅱ等級3グループ」として課長にすることができます。逆に、Ⅳ等級の部長でも、課長レベルの仕事しかできないのなら、「Ⅳ等級3グループ」にすることができます。

そして、課長や部長といった「職責(現在どのような仕事をしているか)」に応じて、「グループ手当(=管理職手当)」をつけます。

【グループ手当】・2・5グループ(3グループ候補生を2グループから選抜/4万円・3グループ/4万円・4グループ/6万5000円・5グループ/9万円・6グループ/12万円

「格上」と戦った社員は、手厚く評価する

3グループ(課長の仕事)には、Ⅱ等級の社員、Ⅲ等級の社員、Ⅳ等級の社員がいます(ひとつ上のグループには行けるが、2つ上のグループには行けないルール)。

わが社の相対評価は「グループごと」に行うから、Ⅱ等級の社員は「格上」(Ⅲ等級/Ⅳ等級)の社員と戦わなければなりません。すると、Ⅱ等級の社員は、こう考えます。

「2グループにいればA評価を取れるのに、3グループにいると評価が下がるかもしれない。それは嫌だな」そこで、格下の社員が格上と戦った場合は、「1号俸分、基本給を多く昇給させる」ようにしました。

Ⅱ等級の社員が3グループで戦って、年間で「B評価」を取ります。「B評価」は、基本給を「4号俸」上げるのが決まりですが、「1号俸分余計にプラス」して、「5号俸」上げます(これは、2グループで「A評価」を取ったのと同じ)。

若い人が上のグループで仕事をすると、下のグループで仕事をするよりも「給料が1号俸分ずつ余計に上がっていく」しくみです。一方、Ⅳ等級なのに3グループで仕事をしている社員は、「逆」になります。

Ⅳ等級の社員が3グループで「B評価」を取ります。「B評価」は、基本給を「4号俸」上げる決まりですが、Ⅳ等級の社員が格下(Ⅲ等級/Ⅱ等級)と戦っている以上、評価も厳しい。4号俸から1号俸分減号して、「3号俸」しか昇給しません(実際に、Ⅳ等級が3グループで仕事をするということは、極めて少ない)。

わが社は「成績がいい社員」ほど辞めません。なぜなら、頑張れば頑張るほど評価が上がり、基本給も、管理職手当も増えるからです。

グループ手当②どうして「部下を持たない管理職」にも、管理職手当を支払うのか?

管理職は部下と一緒に現場を回らないと、手当がもらえない経理課長が営業部長になると、この部長は現場のことがわからないため、部下にトンチンカンな指示を出します。

そうならないように、「他事業部へ管理職として異動したとき」は、自分の部下と一緒に現場に出て、「部下から仕事を教えてもらう」のが決まりです。

現場に、50回ないし100回同行しなければ、管理職手当をもらうことはできません。同行実施後に、手当を支給しています(昇進日にさかのぼって差額も支給)。

すると社員は、「早く手当をもらいたい」から、早く現場に出るので、早く仕事を覚えます。

また、50回ないし100回も上司と部下が現場に行くと、上司が仕事を覚えるだけでなく、上司と部下のコミュニケーションがよくなります。

わが社は、部下のいない管理職が存在するわが社の管理職に、次の2つのタイプが存在します。

①部下を持つ「ライン」の長

②部下を持たない「スタッフ」の長

武蔵野は、部下を持たない課長も、部下を持たない部長もいます。久保田将敬、丹智之、三根正裕は、部下を持たない「スタッフ」の部長です。なぜ彼らには部下がいないのか。

この3人には、共通点があります。部下を持たせると、1ヶ月以内に必ず部下とケンカする(笑)。だから、ラインの長には向いていません。

ところが、スタッフとして個人で仕事をやらせると、社長賞を取るほどピカイチの成績を残します。久保田将敬は2015年度の社長賞です。

他の社員では聞き出せない「お客様の本音」を引き出すのが抜群にうまい。久保田将敬部長の右に出る社員は一人もいません。だから、部下のない長にも、管理職手当を支払います。

ですが、部下を持たない管理職に手当を払うと、「同じ課長なのに、部下を持つオレと、部下がいないあいつの手当が同じ金額なのは許せない」という意見が出かねない。そこで、3グループ(課長)なら、管理職手当のほかに「店長手当(1万円)」を支給して、差をつけています。

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