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Chapter1人事評価制度を「今すぐつくる」ことを決定する

目次

最初から「正しい人事評価制度」をつくろうとしない

「正しいルール」があることよりも、「ルールがあること」が正しい

人事評価制度をつくるとき、多くの社長が「どの社員からも不満が出ない『正しいルール(評価基準)』をつくろう」と考えます。

ですが、この考えは間違い。「ルールがあること」が正しいのであって、はじめから完璧なルールをつくることはできません。ざっくりでもいいからとりあえずつくって、運用してみる。そして、不都合があったら、変えればいいです。

プロ野球が「セ・パ交流戦」や「クライマックスシリーズ」を導入したのは、時代に合わせてルールを変えたから。ルールは、変えるのが正しい。武蔵野の評価制度も、試行錯誤と改変を繰り返しています。わが社の給料体系は、賃金管理研究所の「弥富式」をベースにしています。

ところが、弥富式は、もともとは大企業向けに考案されたしくみだったため、中小企業の武蔵野では、うまく運用できませんでした。そこで、「プロセスと成果を評価の対象とする」といった弥富式の基本思想や「賃金テーブル」の考え方を生かしながら、時代、会社の規模、事業内容に合わせてつくり変えてきたのです。

ルールは、お客様の要求や時代に合わせて変えるかつてわが社では、「売上」で個人の評価をしていました。「売上を上げた社員」を高く評価して、たくさん賞与を支払っていた。ところが、わが社の社員は、社長よりも頭が良かった。

手っ取り早く成績を上げるために、何をしたと思いますか?じゃんじゃん「値引き」をして、商品を売っていた。しかも、「原価(仕入れ価格)を下回る価格」で。売上が上がれば、それだけ会社は損をする。原価割れをするから。

けれど、社員の賞与は増える。成績が上がるから。そのことに気づかず、「会社に損をさせれば自分の評価が上がる」しくみをつくったのは、社長の私が無知だったからです。

社長はバカでもできますが、社員は頭が良くないとできません。評価のしくみの欠点を突くのは、まともな社員です。そこで現在は、ルール(評価基準)を変更して、粗利益額と営業利益の2つの利益で評価しています。

「株式会社後藤組」(建設・不動産/山形県)の後藤茂之社長は、「頑張った人には頑張った分だけお金を払うほうが公平である」と考え、武蔵野の人事評価制度を導入しました。

後藤組にはそれまでも人事評価制度はあったが、「賞与の成績配分の幅が少なかった」「主観で評価する部分があった」などの理由で、思うように運用ができなかった。

「武蔵野さんが『相対評価で評価している』と聞いて、『そんな会社がこの世にあるのか』とびっくりしました。

しかも、頑張った人と頑張らない人の賞与は2倍以上違うので、『それは私好みだ』と思って、四の五の言わずにすぐに導入したんです」(後藤社長)ところが、建築業界とダスキン(武蔵野)では、単価が違いすぎるため、次第に整合性が取れなくなった。

「今までは、去年の自分と今年の自分の成績を『率』で比較し、売上の伸び率で評価を決めていた。去年の売上が3億円だった社員が、今年は3億3000万円売り上げたら、10%アップしたことになります。

一方、去年の売上が5000万円だった社員が、1億円売り上げたとしたら、100%アップです。売上の総額を見ると前者のほうが高いのに、『率』で評価していたので、後者のほうが評価が高くなっていたのです。

『これはおかしい』と思って小山さんに相談すると、『バカ!後藤さんのところは率で考えたらダメ。額でやらないと』と教えられ、徐々に修正していきました」(後藤社長)実際に運用をしないと、「不都合がどこにあるのか」もわかりません。

後藤社長のように、とりあえず「四の五の言わず」に運用して、整合性が取れなかったら修正をすればいい。最初から正しい制度をつくることはできません。

社員のやり方、働き方は、ルールによって決まる「どのようなしくみをつくるか」で、社員の働き方は変わります。わが社の境幸二は、企画力も営業力もある優秀な社員です。

企画力だけなら本部長の由井英明と1、2を争います。にもかかわらず、「課長」になれず、一般社員のまま。入社して5年、一度もA評価を取っていない。

境に確認したところ、「自分も化石のようですが、あとにも先にも一度だけ、A評価を取ったことがある」と言っていた。私はまったく覚えていませんが(笑)。

そんな境に、子どもが2人います。やることはちゃんとできる(笑)。それなのに、仕事はやりません。

「境は、やる気になれば課長以上の力があるのに、どうしてもっと頑張らないのか?」長らく私も疑問に思っていたが、とうとう「頑張らない理由」に思い至りました。

境は妻子がいるので、支給される手当(家族手当など)を足すと、独身の課長がもらう「管理職手当」よりも多くなっていた。独身課長よりも給料がいいから、境が「頑張る必要はない」と考えるのも無理はありません。

「しくみ」は本当におそろしい。当時、境が頑張らなかったのは、頑張らないしくみをつくった私の責任です。

日本のお家芸である柔道が、オリンピックで勝てない理由のひとつは、「世界のJUDO」のルール改正に対応できなかったからです。

以前、オリンピック競技の関係者から、「オリンピックに出場する上位10人は実力が拮抗していて、だれもが金メダルを取る実力を持っている。その中で金メダルを取れる確率が高いのは、違反にならないギリギリで戦える選手」という話を聞いたことがあります。

もしも日本の柔道の選手が、わが社の社員のように「ルールの欠点」を熟知したら、ルールの隙をついて勝利を手繰り寄せることができたかもしれません。会社経営もスポーツと同じ。ルールによって本人たちの頑張り方も、会社の業績も変わります。

社員全員が満足する評価制度は、つくれない

社員が不満に思うのは、評価制度ではなく、「もらった額」

人事評価制度をつくると、「どうすれば、自分の給料が上がるのか」「どうすれば、自分は課長や部長になれるのか」が明確になるので、社員は一応、納得します。

ですが、納得をしたからといって、満足しているわけではありません。「納得」と「満足」は違います。給料(お金)は、命の次に大切なもので、少しでも多くもらいたいと思う。

だから、そう簡単には満足しません。どんなルールをつくっても、「頑張っているのに、どうしてオレの給料は安いのか?」と不満を口にする社員が必ず出てきます。

武蔵野が人事評価制度をつくって10年間運用していたが、多くの社員が不平不満を口にしました。1999年に社員アンケートを実施すると、80%以上の社員が「現在の給与体系は不満だ」と思っていたことがわかった。

そこで、社員主導の「給与体系変更チーム」を立ち上げて、新たな人事評価・給与体系を作成し、実行しました(課長、部長、本部長の中で、それぞれ「賞与をいちばん多くもらっている人」と「いちばん少ない人」の計6人、さらに役員を加えた7人で構成)。

ところが、翌年のアンケートでは、「75%」の社員が「以前のほうがよかった」と回答したのです。このアンケートの結果から、わかったことがあります。

それは、「社員は、人事評価や給与体系のしくみに不満があったわけではない。同僚と比べて自分の給与・賞与が少ないことに納得していなかっただけ」ということ。

ルールに不満があったのではない。「もらった額」が不満だったのだ。相対評価である以上、「人事評価に不満な社員」は必ず存在するわが社の人事評価制度は、半期ごとの相対評価です。

相対評価とは、同じグループ(役職)に属する社員を比較して、評価結果に順位をつけるやり方です。賞与額、昇給額、昇格・昇進は、すべて、相対評価の成績によって決定しています。

会社の業績が良くても、悪くても、必ず順位がつきます。S(高評価)→A→B→C→D(低評価)に分けてあり、同一グループごとに、

・S評価/(全体の)5%

・A評価/(全体の)20%

・B評価/(全体の)55%

・C評価/(全体の)15%

・D評価/(全体の)5%

の割合になっています。

この数字を見ると、人事評価が良い「A評価以上の社員」が全体の「25%」。人事評価が良くない「B評価以下の社員」が全体の「75%」になっています。

じつは、人事評価が良くない「B評価以下の社員」と、新しく導入した制度に不満を持っている社員(「以前のほうがよかった」と答えた社員)の数字がほぼ一致していた(75%)。

このことから、社員の不満の矛先は、制度やルールではなく「もらった金額」に向けられていたことがわかりました。どんな基準をつくっても、相対評価である以上、全社員が満足する給与体系はつくれません。

結局は、成績を上げないかぎり、A評価以上を取れない。課長職以上の古参社員は、「評価制度がどのように変わろうと、あまり関係がない」と考えています。

どういう制度になっても、「自分の成績を上げなければ、給料も賞与も増えない」ことがわかっているからです。「給料に不満がある社員」を集めて、評価制度を改善させる給料や人事に対して「文句を言ってくる社員」と「文句を言わない社員」では、「文句を言ってくる社員」のほうが優秀。

なぜなら、文句を言うのは、問題意識を持っているから。そこで私は、社員から給与の不満が上がると、「文句を言ってきた社員」を集めて、改善案を策定させます。ところが改善案は、そう簡単にはまとまらない。

社員一人ひとりの考え方は違い、部署ごとの利害関係があるからです。ようやく改善案ができても、それで終わりではありません。

「本人自らが社内を啓蒙」してまわり、全社員の理解を得て、実行させなければなりません。文句を言ったばかりに面倒なことを押しつけられるのは嫌だから、しだいに社員も文句を言わなくなります。

「面倒だし、まぁいいか」とあきらめる。これがわが社の「文句を言わせないしくみ」のひとつです。私としては、どんどん文句を言ってきてほしい。そうすれば、わが社の人事評価制度の精度がどんどん高まります。

しかし、文句を言ってくる社員はいない。なぜなら、「給料が安い」と文句を言えば、自分の首が締まるから(笑)。郡中丸木株式会社の鈴木宗稔社長は、「人事評価制度を導入したからといって、社員全員が満足するわけではない」と実感しています。

「評価制度がないときは、『どうして評価制度がないのか』と文句を言い、評価制度をつくればつくったで、『何でオレの賞与は下がるのか?おかしいんじゃないか?』と不満に思う社員がいます(笑)。

ただ、『社長が適当に評価を決めたわけではない』ことが社員もわかっているから、一応は、納得する。また、当社は、評価制度のつくり込みを幹部社員に行わせたので、評価が低いからといって、私に矛先を向けることができないんです。

社員が自分たちでつくったしくみだから、金額が低くても納得するしかないわけです」(鈴木社長)社員全員が納得する給与体系をつくることはできない。

しかし、給与体系を明確にすることに関しては可能。大切なのは、「だれもが納得する人事評価制度をつくること」ではありません。いい加減でもいいから基準をつくって、「どうすれば評価が上がるのか」を社員に明確に伝えることです。

チャンスは平等に与え、成績によって差をつける

「頑張っても、頑張らなくても評価が同じ」なら、頑張らない社員がまとも

わが社は、「すべての社員にチャンスを与え、成績によって差をつける。学歴による差別はしない」が評価の基本方針です。中途入社も新卒も、まったく同じ条件で働くことができます。だから、公平。男女による差別もない。

武蔵野は完全に男女平等で、どちらかというと、女性のほうが優秀です。社員の上田紗友美と尾崎未佳、小林ひかりは、1年で課長になりました。しかも上田は、5年で部長です。これは過去最短。

年齢、性別、学歴にかかわらず、「頑張れば頑張っただけ収入が増える」のが、わが社の人事評価制度の特徴です。降格しても、賞与が下がっても、頑張れば戻るし、きちんと数字を上げれば、それだけ高い評価を得るしくみです。

場合によっては、「新入社員のほうが、課長より賞与が多くなる」こともあります。新卒で入社した海老岡修は、最初の評価はAだった。

しかし、感想文を紛失してB評価となったが、次の期に落ち込まずに奮起。S評価となり、先輩社員より多い賞与を手にした。「公平」とは、「一部だけに手厚くしない、偏らない」ことではありません。

その逆。「公平」とは、「差をつけてあげる」ことです。しっかりやってもやらなくても成績や結果で差がつかないのは、「不公平」です。頑張っても、頑張らなくても評価が同じだとしたら、頑張らない社員がまともです。

武蔵野の評価制度は、社員を「区別」するしくみ中央官庁の場合、キャリア(国家公務員総合職試験/旧国家Ⅰ種試験の合格者)でなければ、事務次官にはなれません。

叩き上げでは、トップに立つことはむずかしい。

国家公務員総合職試験の受験資格には、学歴による制限はありませんが、試験の難易度が高いため、トップレベルの大学出身者しか合格できないのが実情です。

つまり実際は、トップレベルの大学出身者でないと、官僚として上を目指すことはできない、ということです。出世に関しても、学歴が重要視される傾向にあるようです。

これは学歴による「差別」と解釈できます。けれど、わが社の仕事に、大学名は関係ありません。2016年度入社の新人、鈴木海人は、青山学院大学の出身です。

鈴木が「青学は箱根駅伝で優勝したから、ぜひダスキンを使ってください」と大学名をアピールしたところで、「青山学院大学卒だから」という理由で商品が売れることはありません。

武蔵野にあるのは、「差別」ではなく「区別」。中卒、高卒、大卒で、入社時の等級や号俸(その級の中のどれくらいの位置にいるか)は異なりますが、これは区別です。中卒でも、高卒でも、昇級や昇進に制限はありません。

チャンスは平等に与えています。わが社の賃金テーブルを見ると(49ページ参照〔*〕)、中卒は「Ⅰ等級1号俸」からはじまります。中学を卒業して15歳で武蔵野に入り、毎年「A評価」を取り続けます。

「A評価」を取った社員は、翌年、基本給が「5号俸」上がるのがわが社の決まりで、22歳になったときは「Ⅱ等級11号俸」、23歳になったときは、「Ⅱ等級16号俸」になります(新卒の最初の評価はB評価とし、4号俸上げる)。

1-1
1-6
1-11
1-16
1-21
1-26
1-31
1-36
1-41
1-45
2-1
2-6
2-11
2-16

一方、大卒は、「Ⅱ等級12号俸」からはじまります。新卒は仕事ができない分、最初の評価は「B評価」として計算しています。

「B評価」だと、基本給は「4号俸」上がるのがわが社の決まりで、23歳になったら、「Ⅱ等級16号俸」になります。つまり、「A評価」を取り続けた23歳の中卒と、2年目の23歳の大卒の基本給は同じになる。

わが社には、「大学卒でありながら、20年間一般社員のまま」の人間もいれば、西野與一のように、「高校を1年で中退した元暴走族で、取締役にまでなった社員」もいます。こうした人事ができるのも、学歴による差別をしていないからです。

社員の賞与額に「差」をつけないと、優秀な社員が辞めてしまう

「株式会社丸山自動車」(自動車販売・整備/新潟県)の丸山勇一社長は、かつて、「社員同士の差をつけないことが正しい」と考えていました。

「格差をつけないほうが、チームがまとまる」と考え、社内がギスギスしないように鉛筆をナメて、「成果を上げていない社員にも、それなりの賞与を支払っていた」そうです。丸山社長のこの考えは、間違い。

「『一身上の都合』で辞めた社員がいたが、辞めたあとに、本当の退職理由がわかりました。彼が辞めたのは、一身上の都合ではなくて『頑張っても差がつかない。頑張っても年収が上がらないから』でした。

彼と同じ理由で辞めていった社員がほかにもいたことを知って、『差をつけなければいけない』ことに気がついたんです」(丸山社長)丸山自動車が、武蔵野の人事評価制度を導入したのは、2014年。

導入して日は浅いですが、「たとえ1点でも差をつける」しくみに変えたことで、社員の中に「うかうかしていられない」という緊張感が出てきています。

「やる気のある社員は『よーし』という気持ちになったと思います。頑張った人、成果を出した人が評価されるしくみで、いい人が辞めない。この評価の基準が浸透すれば、『頑張った人が辞めない会社』になる気がします。

もちろん、成果が出ないと賞与も給与も増えませんが、降格しても頑張れば元に戻すといった敗者復活戦(復帰できるしくみ)を用意すれば、今期の評価が低いからといって、腐ったりする社員はいなくなると思います。

この制度を導入してから、賞与額が2倍になった社員もいます。面談で金額を伝えたら、『ええ!』と興奮気味に驚いていました(笑)。

全部奥さんに取られたみたいですけれど(笑)」(丸山社長)「株式会社米沢牛黄木」(食肉・飲食/山形県)は、大正時代より店を構え、創業93年になります。黄木修太郎社長は、創業から「93年」も経っているのに、「どんぶり勘定」で給料を決めていました。

その結果、「やる気のある社員が辞めていった」そうです。頑張っても、頑張らなくても評価に差が出ないなら、やる気のある社員が辞めて、「居る気のある社員」だけが残る。

黄木社長が人事評価制度を導入したのは2012年ですが、それ以降、とくに「大卒」の定着率が上がりました。10人いる大卒は、ひとりも辞めていません。

「頑張れば頑張っただけ評価されるから、社員にとって、やりがいがあります。相対評価だから、当然、C評価を取る人も出る。

でも、半期でいったんリセットされ、新しく全員が同じスタートラインに立てるので、社員は腐らずに頑張れると思います」(黄木社長)多くの社長は、頑張っていない社員にも、「ゼロ円ではかわいそうだ」と、賞与を2~3万円支払います。

けれど、それでは社員は辞めてしまう。なぜなら、中途半端だから。頑張った人にはたくさん支払い、そうでない人には払わない。

「頑張った人と、頑張らなかった人の賞与に格差をつける」のが正しい。中途半端な人事評価をするほうがよほどかわいそうです。チャンスは平等に与え、そして成績によって差をつける。これが本当の「公平」です。

「残業時間の減少」を人事評価に連動させる

前年同月よりも総残業時間が減ったら、賞与を増やす武蔵野は、「不要な残業を減らす」方向で業務改善を進めていて、「残業時間の減少」を評価に連動させています。

普通の会社は、「その日の仕事は、どんなに時間がかかっても、その日のうちにやれ」と社員に命じますが、武蔵野の幹部は、「できなかったら、次の日にやれ!」と命じています。

2013年までは、月100時間近く残業していた社員が6人いて、残業時間の平均は、社員ひとり当たり「76時間」でした。

そこで私は、2015年5月の経営計画発表会で、「今期は残業時間を45時間以内にする」と発表しました。「45時間以内」という数字に根拠はありません。

新聞に「月に45時間以上の残業は違法」とする判例が掲載されていたことを覚えていたので、それに則って、「適当」に決めました。

「平均76時間」あった残業時間を45時間以内にするのは、並大抵のことではない。社員はだれひとり、実現できるとは思っていなかった。

ところが、実際は、「目標値の45時間」を下回り、「平均35時間」にまで減っています。しかし、残業時間が減ったからといって、社員が喜ぶとはかぎらない。

残業手当が少なくなるので、可処分所得(個人所得から税金や社会保険料などを差し引いた手取り収入)が減るからです。わかりやすく言うと、月20万円の給料をもらっている人が、約200時間の残業をすれば、給料が2倍(40万円)になる。

だから社員にとっては、「残業がない会社」よりも「残業がある会社」のほうがいいわけです。社員は、「残業が多すぎるのは嫌だけれど、可処分所得が減るのはもっと嫌だ」と考える。だから、残業を減らしすぎると、社員が辞めます。

そこでわが社は、前年同月よりも自分の部下の総残業時間が減って、それでも業績が下がらなかったら、賞与を増やす決まりにしています。

残業削減によって浮いた財源は、ベースアップと賞与に使うこれだけ残業時間を減らすことができたのは、積極的なIT投資にあります。

アルバイト・パートも含め、全従業員にタブレット端末(iPadmini525台)を支給した。金額にして、「ウン千万円単位」の投資です。

ですが、単純に時給を1000円とすれば(実際には、残業代はもっと高い)、月40時間で4万円。2ヶ月で8万円です。

タブレット端末を1台8万円で買っても、2ヶ月でもとが取れる計算です。実質的な償却は2ヶ月で終わるから、残る10ヶ月は純利益になる。

また、残業が減れば水道光熱費も減る。2015年は、残業が減ったことで、「1億円」の経費削減に成功しました。この1億円の財源を会社の利益にすると人が辞めるので、次の2つの原資としました。

・賞与を120%に増やす

・基本給の金額を上げる(ベースアップ)

残業削減によって増えた利益を社員に還元すれば、可処分所得が減らないので、社員は辞めません。そして、さらに残業を減らす工夫を続けました。

私が「今度は残業時間を20時間にする。まだまだ縮める」と言ったら社員は震え上がっていましたが、わが社が「残業を減らしながら、過去最高の増収増益」を達成できたのは、「残業時間の減少」を人事評価に連動させ、浮いたお金を社員に還元しているからです。

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