PART05共有部を整えるPART05のガイドラインオフィスデザインのノウハウ165扉付き什器は管理が崩れやすい166扉のない什器はファイリングシステムを維持しやすい167ファイルの利用頻度に応じて什器を配置する168ファイルと什器の住所を定める169アイデアを生むためのオープンなオフィス作りオフィス全体の書類管理170組織における自分の役割、必要な書類を見直す171書類の分類体系の作り方172基本形はオープンファイリングシステム173仕掛りBOXを部署で管理する174仕掛りBOXでの仕事の進め方175MAILファイリングで仕事依頼・報告文書を管理176MAILファイリングで情報を回覧、共有化177MAILBOXを使わないケースを考える178「緊急」「回覧のみ」などひと目でわかる分類179完結文書をグループで共有する保管ファイリング180保管ファイリングで業務効率がアップ181保存庫で管理する保存ファイリング182保存箱と什器の表示183保存ファイリングのメリット184保管&保存ファイリング維持のためのキャンペーン185保存年限の期、年の違いに注意共有サーバの文書管理186紙ファイリングが確立すると電子化がスムーズ187電子化の失敗を防ぐ土台づくり188表計算ソフトを活用してファイル管理表を作成する189ファイル管理表があれば倉庫の中も確認できる190オキカエ、廃棄のルール作り191使い勝手を評価し、改善していく
オフィスデザインのノウハウ165扉付き什器は管理が崩れやすいオフィスの書類を収納するキャビネットは、どのようなタイプが使われているでしょうか。
まず大きな違いとして挙げられるのが、扉付きか否か。
扉付きはクローズド什器、扉なしはオープン什器といいます。
一般的には、情報セキュリティ意識の高まりと地震などの防災上の理由から、扉が付いていて施錠ができる什器が広く選ばれています。
扉には、両開き扉、引き違い扉、ラテラル型があります。
【両開き扉】扉を開けばファイルの背見出しが一覧できますが、扉を開く分だけ手前にスペースをとる必要があります。
【引き違い扉】両開き扉よりも省スペースで設置できますが、背見出しをすべて見渡すことはできず、一覧性では両開き扉より劣ります。
いずれにしても扉を閉めてしまうと見えなくなるため、「とりあえずファイルを押し込んで扉を閉めてしまえばいい」と整理整頓に努める意識が働きにくいのが難点。
ファイリングシステムの管理が崩れやすいといえます。
166扉のない什器はファイリングシステムを維持しやすい扉の付いたクローズド什器ではファイルの整理整頓が雑になりやすいのに対し、管理しやすいのが扉のないオープン什器。
扉の開け閉めが不要のため、ゼロ・アクションでさっとファイルを取り出せるのもメリットです。
オープン什器を使い、統一したルールを設定して管理するオープンファイリングシステムについては、このPARTで詳しく紹介していきます。
オフィスデザインを見直す場合や、新たにオフィスを設ける場合は、このシステムの導入をおすすめします。
最大の利点は、先に挙げたように収納したファイルを管理しやすいことです。
ファイルの整頓状態が常にひと目でわかるようになっているので、ルールを守ろうという意識の維持につながります。
使用するファイル用具は限定しなくてよいので、キングファイル、ボックス、フラットファイル、リングファイルなど、文書の特徴に最も合うものを選んでください。
機能性と整理整頓のしやすさを重視してよりよいものを選択しましょう。
見た目の良いファイル用具をずらりと並べればきれいですが、それが文書の特徴に合っていないと使い勝手が悪く、ルールが破られる原因にもなります。
ファイリングシステムの維持にはマイナスに働くので注意しましょう。
167ファイルの利用頻度に応じて什器を配置する什器のレイアウトで最も重要なのは、各自が使いやすいこと。
利用頻度を考慮して近くに設置しましょう。
それぞれが現在進行中の書類を入れた「仕掛りBOX」、回覧文書などを入れた「MAILBOX」は、部署の席から最も近い什器に収めます。
完結文書を部署で共有する「保管ファイリング」の什器も近くに配置します。
逆にいうと、それらの収納を目的として什器を選び、配置するのが理想です。
一方、定められた期間、保存しておく記録などの「保存ファイリング」は、利用頻度が低いので別室などの保存庫で管理するとよいでしょう。
また、極秘情報は扉で仕切られ、施錠ができる什器に収納してください。
168ファイルと什器の住所を定めるオープンファイリングシステムを構築し、上手に維持していくためには、個々のファイルのあるべき場所を誰の目にも明らかにすることが大切です。
「だいたい、あの辺りにある」では、常に場所が定まらず、探す手間がかかってしまいます。
そこで什器には順番にアルファベットを振っていき、ファイルにつけた番号とともに場所を表示するようにしましょう。
建物の場所を住所で示すように、ファイルの場所を記号と数字で明確にするのです。
【什器の記号】・部屋の入口から時計回りにAからアルファベットを振っていきます。
・表示は、什器の左上の角に。
アルファベットと並べて「総務課」など部署名を並べて示すと、間違いがありません。
【ファイル番号】・什器の左上から右、下へと番号を振っていく手法と、左下から始める手法があります。
どちらかに必ず統一しておきましょう。
バラバラでは混乱のもとになります。
【ファイルへの表示】・「A013」のように什器の記号(A)、ファイルの通し番号(013)を続けて表示します。
これがファイルの住所です。
169アイデアを生むためのオープンなオフィス作り文書を共有することで、重複した文書が占めていた空間を削減することでコミュニケーションスペースをつくり出すこともできます。
そうしたコミュニケーションの場で、雑談からアイデアを生み出すことが推奨されることも多くなっているようです。
一方、インターネットを活用しネットワーク上でコラボレーションして業務を進める機会も増えています。
スピーディに組織の力を活かして成果を出すためには、紙文書は時代遅れのメディアなのでしょうか?そうではありません。
紙文書であっても、アイデアを一カ所に集めてファイリングしておけば、その組織の「知のデータベース」として活用することができます。
個々のアイデアを基に、さらにアイデアを派生させたり、新たなアイデアの創発を誘発することが期待できます。
ほかの人にアイデアを奪われたくないと書類を個人で抱え込んでしまわず、共有することで組織に、ひいては社会に貢献できると考えましょう。
その際、作成日や作成者、その所属部署が明確になっていれば知的財産権も明確になるので、盗用を警戒することなく安心して共有することができます。
できるだけ、オープンな場を生み出すオフィスをデザインすることを考えましょう。
5共有部を整えるオフィス全体の書類管理170組織における自分の役割、必要な書類を見直す個人で行なっているファイリングのスキルを応用して、オフィス全体のファイリングシステムを構築することができます。
その際、組織のメンバーの賛同と理解を得て、共通の目的を掲げることができれば、作業を分担して効率よく進めることができるでしょう。
最初に、組織のなかでのそれぞれの役割、必要な書類について見直してみてください。
・組織のなかで、また業務上、自分自身はどのような役割を担っているのか。
・自分の担当する業務のために、本当に必要な書類は何か。
・必要な書類は、どこに配置すれば使いやすいか。
・その場所は同僚、上司にとっても使いやすいか。
グループのなかの誰かが、他の人の理解や協力を得ることなく独自のファイリングシステムをひとりで作り上げてしまうと、システムはなかなかうまく機能しません。
逆に、たとえば、ISO規格の認証取得のためであったり、業務の手順に従うためであったりというように、グループが同じ方向を向いていると作業がスムーズに進みます。
組織にとって文書管理をする目的はどこにあるのか、上司や自分の所属するグループが、自分に何を期待しているのか、じっくりと考えてみましょう。
171書類の分類体系の作り方オフィス全体の書類管理は、基本的に部署単位で行ないます。
総務課、営業課といった部署名を大分類として、業務分類体系をつくりましょう。
まず、部署が担うメイン業務を中分類として、横軸に記入していきます。
大きな組織であれば、その課に属する「管理係」「営業企画係」など係の名称を並べていけばいいでしょう。
次の小分類は、サブ業務。
メイン業務または係が行なう業務は複数あるはずなので書き出してください。
これで業務分類体系の基準表が出来上がります。
重複しているもの、分けたほうがいいものがあれば見直しをして、それぞれについて文書をリストアップしていきます。
172基本形はオープンファイリングシステム企業や部門により業務はさまざまですが、変わらないのが情報のライフサイクル。
「生成・収集」に始まり、「加工」「伝達」「保管」「保存」を経て「廃棄」に至ります。
この情報の流れに沿ったファイリングシステムであれば、「ウチの業界には合わない」「特別な部署だからうまくいかない」といった問題を回避できます。
そういうアプローチにより構築した基本形がオープンファイリングシステムです。
オープンファイリングシステムでは、情報ライフサイクルの各段階に最適なファイル用具を使い、4つのファイリングシステムで効率よく文書管理を行ないます。
①仕掛りファイリング現在進行中の案件のファイリングシステム。
書類の作成、収受、起案、決裁、施行までの過程の書類を整理、管理します。
②MAILファイリング伝達段階にあるすべての情報を管理します。
③保管ファイリング完結した書類をグループ共有情報として分類、管理します。
④保存ファイリング重要情報や保存年限のある書類を保存庫で管理します。
詳細部分はローカルルールを設け、グループの特性に合うようカスタマイズすれば業務に即したシステムが完成します。
173仕掛りBOXを部署で管理する個人の仕掛り文書を「仕掛りBOX」で管理する方法については、PART2(こちら(*))で述べました。
組織を挙げてオープンファイリングシステムを構築する際も、仕掛りBOXを共有什器で保管し、それを机に運んで作業することは同じです。
部署のメンバー全員の仕掛りBOXを用意し、名前を記入して、それぞれが抱える案件の文書を仕掛りホルダーに入れて管理します。
これにより次のような効果が得られます。
①業務対応力の向上仕掛りBOXに入った進行中の書類はメンバーの誰もが見られるので、担当者が不在でも顧客の問い合わせに速やかに対応できます。
担当者も外出先から的確な指示を出すことができます。
②進捗状況を把握しやすい業務状況が“見える化”され、管理者はメンバーの進捗状況を把握できるようになるので、タイムリーな指示が出せます。
③仕事の配分がしやすいメンバーごとの仕掛り案件数が見えるので、部署全体として仕事の配分などがしやすくなります。
ほかの人も文書を閲覧でき、情報を共有できることは大きな意味を持ちます。
各人の机の上に書類が山と積まれた状態と比べ、業務効率が格段にアップします。
174仕掛りBOXでの仕事の進め方仕掛りファイリングでは、出社したら収納棚から自分の仕掛りBOXを取り出し、机まで運んできて使用します。
仕掛りBOXの中を常にチェックし、仕掛り文書だけが入っている状態を保つように気をつけてください。
書類は案件ごとに仕掛りホルダーに分けて整理します。
1日のはじめに案件の優先順位を決めて仕掛りホルダーを縦長にセットし、一番手前から取りかかります。
こちら(*)で解説したように、作業が終わった仕掛りホルダーは横向きにしてボックスに戻すと、紛れることがなく進捗が一目瞭然です。
そして、提出や引継ぎが必要な文書については、提出先のメンバーのMAILBOXにメモをつけて入れれば、受け渡しが完了します。
また、提出するのではなく、保管ファイルへ移動させるべき書類はそちらへ移してください。
この手法による大きなメリットとして、情報漏洩の防止があります。
机の上に取り組んでいる書類以外を置かないことで、多くの書類が混ざり合うことを防ぎ、紛失、誤配布、誤廃棄による情報漏洩を回避できます。
また、外出する際には書類を仕掛りBOXに戻すことで、クリアデスクを実現できます。
同時に不在にしている間に積み上げた書類を盗み見られる恐れもなくなります。
175MAILファイリングで仕事依頼・報告文書を管理伝達段階のすべての情報を部署の管理下に置くMAILファイリング。
ほかの情報と混ざり合うのを防ぎ、部署共有の情報として保管する保管ファイリングへつなぐ役割を果たします。
使用するのは、MAILBOXとMAILホルダー。
書類が散らばったりしないようにMAILホルダーに入れ、それをMAILBOXに投入します。
MAILホルダーはクリアーホルダーを、MAILBOXは中の状態が見えるように手前が大きくカットされた形状を選んでください。
誰のものかわかるように「MAILBOX〇〇」と、○○に担当者名を表示します。
このMAILBOXはメンバー全員分を並べて、専用スペースで管理します。
それぞれのボックスの中が見通せるように扉なしの収納棚を選んでください。
小規模の組織であれば、各人の机の上に置く方法をとってもいいでしょう。
注意したいのは、MAILファイリングは部署に届いた郵便物、ほかの部署からの伝達事項などを伝えるだけのシステムではないということです。
部署内で行なわれる上司から部下への仕事の依頼や、部下から上司への報告など、すべての書類のやり取りに活用します。
相手が外出中、会議中、電話中のため、また忙しいからと、仕事の依頼や報告ができないことは頻繁にあるはずです。
MAILファイリングにメモをつけて投入すれば、書類の手離れが良くなり、次の仕事にスムーズに取りかかることができるのです。
176MAILファイリングで情報を回覧、共有化MAILファイリングが郵便物や往復文書の受け渡しに便利であることはいうまでもありません。
部署ごとに個人のMAILBOXに加えて受付用のMAILBOXをひとつ用意し、個人名のない郵便物や往復文書はそこに入れるようにしてください。
ほかの部署からの文書についても、顔と席がわからなくとも確実に受け渡しができ、手間が軽減されます。
往復文書の所在場所が明確になることで、「あれはどこに行った?」と探す時間を減らし、書類の紛失を防ぐことができます。
情報の回覧、共有化にも大きなメリットがあります。
MAILBOXを見れば一目瞭然なので、「今、誰の手元にあるかわからない」という困った状況を回避でき、どこで滞っているかを把握して、即座に対応することができます。
さらに効率よく運用するために、全員が回覧を済ませた後に投入する回覧済みのMAILBOXをひとつ用意し、受付用と専用スペースに並べて置きましょう。
これらは必要に応じて保管ファイリングに移すことで質の高いデータベースの構築に役立ちます。
MAILファイリングの仕組みができあがれば、「有益な情報」と判断した人が、ほかのメンバーに容易にその情報を伝えることができます。
こうした情報は、グループの共有財産となりますから、MAIL回覧のシステムを大いに有効活用しましょう。
177MAILBOXを使わないケースを考えるMAILファイリングを取り入れると、机の上に見たことのない書類が突如現れるという事態を防ぎ、滞りなくスムーズに情報を伝達できます。
メールの受信トレイをイメージしてみるとわかりやすいでしょう。
未読の件数が表示され、まだ見ていないものがあると把握できるように、自分のMAILBOXを一瞥しただけで自分宛の伝達書類が何件きているか確認できるのです。
「回覧や郵便物にはいいけれど、仕事の依頼や書類の提出に使うのは抵抗がある」という人もいるかもしれません。
やはりこれまで通り面と向かって指示を出したい、説明をしたいという思いはあるでしょう。
もちろん、それをしてはいけないということではありません。
非常に重要な案件であったり、これまでにない複雑な作業を必要としたりするなど、直接書類を受け渡しして、丁寧に説明をしたほうがいい場合もあります。
また、機密性の高い情報については、MAILBOXに入れて誰の目にも触れられる状態にするのは危険です。
直接、担当者に渡すようにしてください。
伝達する情報の性格に合わせて、受け渡しの方法を選びましょう。
簡単なコメントを書いたメモをつけるだけでは不安なときは、口頭で直接説明するのがいいでしょう。
178「緊急」「回覧のみ」などひと目でわかる分類MAILファイリングのシステムでは、収納棚のMAILBOXをチェックすれば自分が見るべきものがあるかどうかがわかります。
その中身を把握しやすくするために、ホルダーやラベルによる分類を取り入れる方法があります。
クリアーホルダーの色を変え、ラベルをつけてひと目でわかるようにするのです。
【ホルダーによる分類】・緊急=赤いクリアーホルダーを使用・回覧のみ=青いクリアーホルダーを使用・記入の必要あり=黄色いクリアーホルダーを使用【ラベルによる分類】・社外書類=クリアーホルダーに赤いラベルをつける・社内文書=クリアーホルダーに青いラベルをつける赤は緊急性を意味する色として広く用いられ、青はそれとは対照的な意味で使われることが多く、落ち着いた印象があります。
こうした分類は、MAILファイリングだけでなく仕掛りファイリングにも利用できます。
自分の仕掛りBOXに入った仕掛かりホルダーの中に緊急に対応すべきものがあれば、すぐにわかるといったメリットがあります。
また、赤いラベルは「今日中」、青いラベルは「今週中」、もしくは赤いラベルは「極秘」、青いラベルは「秘」というように、より具体的に要件を表示する方法もあります。
179完結文書をグループで共有する保管ファイリングすでに完結した文書を、部署共有の情報として扱うために用いるのが保管ファイリングです。
現在進行中の他の仕事や、未来の仕事に活かせるように分類、整理、管理します。
保管ファイリングを構築する場所は、部署で共有する収納棚です。
扉の付いていないオープン什器を使い、ファイリングの状況が常に見えるようにしましょう。
保管ファイリングに用いるファイル用具は、文書の種類や閲覧の仕方に合わせて選びます。
①簿冊式ファイリング書類の順番を整えて管理する文書には、綴じて整理する簿冊式ファイリングが向いています。
ファイルを並べたときに背見出しが見やすいのも特徴です。
②ボックス・ファイリング書類をホルダーに整理し、ボックスにまとめて入れて管理する様式。
個々のホルダーに入れる書類は少ないものの、ホルダーの数が多く、一定の単位ごとにボックスに入れて管理したい場合に向いています。
◎書類以外の情報名刺ホルダー台紙、CDファイル用台紙、透明ポケットなどの「ファイルサポート用品」を利用して、書類以外の情報も同じファイルで管理します。
180保管ファイリングで業務効率がアップ保管ファイリングを構築、運用することで、業務や組織運営の効率が上がり、コストを削減できるといったメリットが得られます。
主なポイントをまとめてみましょう。
①情報をスムーズに取り出せる文書の取り扱い方、業務の仕方、情報量などに合った用具を使うことで、情報をスムーズに取り出せます。
書類以外の情報も一括管理することで、一度の検索でアクセスできます。
②情報の私物化を防ぐ個人による書類整理、管理業務を大幅に減少させ、情報を確実に共有化できます。
③引き継ぎがスムーズ人事異動、退職時の引き継ぎが滞りなく行なえ、ノウハウをスムーズに継承できます。
それによって、新たに入ったメンバーもほかの人と同じ情報を駆使して仕事ができます。
オフィスを去る人が書類を持ち出すことによる情報漏洩の防止にもなります。
④コストが削減できる重複書類が大幅に減り、コピー代、スペースなどの削減につながります。
この保管ファイリングの維持管理を容易にし、情報を活用しやすくするのが見出しの表示です。
什器の番号から保存年限などまで、一見するだけで判断できるようにわかりやすく表示してください。
181保存庫で管理する保存ファイリングオフィスには、頻繁に使われる書類だけを厳選して保管しましょう。
ほとんど閲覧されないけれど部署、企業にとって重要な情報や、保存しておく必要がある書類は、保存ファイルとして保存庫で管理することをおすすめします。
そうした書類を管理するのが「保存ファイリング」で、ふたつの形式があります。
①永年保存型社史、経営や商品、資産に関する文書など、永続して保存する重要情報を管理。
10年が経過したら、見直しながら保存管理します。
②一定期間保存型諸規定により廃棄できない文書の保存管理。
3年、5年、7年、10年と法律などに定められた期間、保存し、年限がきたら確実かつ速やかに廃棄します。
保存庫はあちこちに設けるのではなく、一括管理できるようにしてください。
文献として価値が高い情報については、資料室で管理するのがいいでしょう。
什器としては移動棚を選ぶと、価格的には高いもののスペース効率が最も良くなります。
価格的には、軽量棚が安価で済みます。
用具には、ファイル類と保存箱を使います。
原則としてオフィスの共有什器に収めてある保管ファイルを、そのまま保存箱に移します。
保存箱は廃棄年別に用意して、管理します。
182保存箱と什器の表示保存ファイリングについても、中身がひと目でわかる表示をすることが大切です。
ファイル類については、保管ファイリングで見出し表示がきちんとされていれば、わざわざ改める必要はありません。
保存箱は廃棄年ごとに分け、その廃棄年と保存箱ナンバーを表示します。
さらに、後述するファイル管理表(→こちら(*))から、その保存箱に入っているファイル類の明細リストを「保存箱ラベル」として印刷し、貼り付けます。
保存庫には西暦の末尾に合わせ「0年」〜「9年」まで10分割した棚を用意し、「総務課2年廃棄」などと部署と廃棄年を表示します。
「2年廃棄」の棚には2022年廃棄だけでなく、2032年廃棄、2042年廃棄も収めます。
183保存ファイリングのメリット保存ファイリングを構築すると、さまざまな面において効率アップとコスト削減が図れます。
主なメリットについて、見てみましょう。
①業務効率の向上廃棄年によって保存ファイルを管理することで、保存しておく年限が満了した文書を確実に廃棄でき、その選別に要する作業が大幅に軽減できます。
②経費の削減閲覧頻度が低下した文書を保存庫に移すことで、オフィス内に利用しない大量のファイルを置くスペースをとらずに済みます。
書類のみ廃棄し、使えるファイル用具を再利用することで、新たな用具の購入費を抑えられます。
③保存ファイルも活用しやすい管理されていない未整備の保存庫では、文書情報と物品などが混在している状況をよく見かけます。
保存ファイリングで保存対象のファイルを明確にすることで、物品との区別がつくようになります。
ファイル管理表を利用すれば保存庫の書類も検索できるので、必要に応じて取り出して活用することができます。
184保管&保存ファイリング維持のためのキャンペーン保管ファイリング、保存ファイリングのシステムを維持し、円滑に運用していくためには、PART1でも紹介した「オキカエキャンペーン」(→こちら(*))、「廃棄キャンペーン」(→こちら(*))が重要です。
【オキカエキャンペーン】オフィスでの活用期間が過ぎた書類を保存庫へ移します。
“旬”を過ぎた保管ファイルが保存ファイルに変わるのは、このタイミングです。
①ファイル管理表で「オキカエリスト」を作成し、そのリストに基づいて現物ファイル類を取り出す。
②取り出したファイルを廃棄年の保存箱に入れる。
③新たに設けた保存箱はナンバーを表示し、「オキカエリスト」にその番号を記入する。
④保存箱の中身をリスト化した「保存箱ラベル」を貼り、保存庫の廃棄年別の棚に設置する。
【廃棄キャンペーン】保存庫での保存年限が満了した書類を廃棄します。
①ファイル管理表で「保存庫廃棄リスト」を作成し、そのリストに基づいて保存庫から現物ファイル類を取り出す。
②再利用できるファイルはストックヤードに、再利用できないファイルや書類は廃棄物の置き場に運ぶ。
いずれのキャンペーンも社内のイベントとして年間スケジュールに組み込み、確実に実施しましょう。
185保存年限の期、年の違いに注意保存ファイリングであらかじめ廃棄時期を明確にしておくと、迷うことなく文書の整理ができます。
ファイル管理表をきちんと作成しておけば、どのファイルが保存年限満了となり、捨ててよいかが簡単にわかります。
保存年限の記載の際に注意したいのが、期と年の違いです。
・会計年度の起算日/書類が完結した翌期の4月1日例保存年限3年で、2019年度に完結した文書。
2020年4月1日が起算日となり、2023年3月31日で保存年限満了。
・暦年の起算日/書類が完結した翌年の1月1日例保存年限3年で、2019年に完結した文書。
2020年1月1日が起算日となり、2022年12月31日で保存年限満了。
5共有部を整える共有サーバの文書管理186紙ファイリングが確立すると電子化がスムーズオフィスでのファイル共有サーバの文書管理を考える際、忘れてならないのが紙ファイリングの確立です。
電子文書は紙文書と違ってすぐに置き場所が埋まることがないからと、とりあえず何でも保存しがちですが、そのような考え方ではうまく機能しないでしょう。
紙ファイリングが確立すると、その部署、オフィスにおいて何が足りないのかが明確になり、ステップアップがスムーズにいきます。
次のようなプロセスを踏んでください。
①紙ファイリングの導入まずは紙文書の50%削減を目標にします。
不要な文書の廃棄はどのようなオフィスであれ必須課題です。
②紙文書の整備紙文書のファイル管理表を作成し、ルールを設定して、ファイルの見出し表示を行ないます。
③より高度なシステムへ紙文書に加えて、電子ファイリングシステムを導入し、紙文書をさらに減らします。
RPA(RoboticProcessAutomation/ロボティック・プロセス・オートメーション)の採用なども検討しましょう。
基本的に、紙で管理できるものは紙ファイリングで運用し、紙では管理しにくい文書の場合はそれに最も適したシステムで管理します。
紙ファイリングで整理するスキルと習慣が身についていれば、維持管理が続けられるでしょう。
187電子化の失敗を防ぐ土台づくりここまで繰り返し述べてきましたが、整理術で重要なのは整理する習慣とスキルです。
紙も電子も「情報の入れ物」であることに変わりはありません。
整理の習慣やスキルは電子化を成功させる土台であり、それなしにはうまくいきません。
その部署でどんな情報を持っているのか、利用した情報はどこに戻し、どの部署が管理するのか、いつ保存庫に移し、廃棄するのか……。
こうした整理のための情報は常に明確にしておかなければなりません。
そして、習慣やスキルと並んで土台をなすのが、情報の性質についての理解です。
その情報は誰が利用するのか、発生、更新、利用の頻度はどの程度か、量や重要度はどうなのかなど、正確に見極め、それに応じたファイリングをする必要があります。
そのうえで、紙と電子のそれぞれの特徴を正しく認識しなければなりません。
紙でなければならない情報、ファイリングができていれば紙でも対応可能な情報については、紙ファイリングで管理します。
これらの土台をひとつずつ築き、ノウハウとして蓄積して初めて、電子化が成功すると考えてください。
とうにファイル共有サーバを構築したという場合でも、うまく運用できているとはいいがたい状況にあるなら、紙ファイリングから見直してみましょう。
188表計算ソフトを活用してファイル管理表を作成するファイル管理表は表計算ソフトを活用して作成するといいでしょう。
管理表の維持管理、背見出しなどラベルの出力、オキカエリスト、廃棄リストの作成などがスムーズにできます。
部署、組織で共有するファイルすべてを網羅するとなると、いうまでもなく膨大な数、大変な作業になります。
それでも作成するのは、現物と常に一致したファイル管理表があればこのうえなく便利だからです。
まずは、部署で管理している文書をファイル単位で登録していきます。
ファイルに含まれる個別フォルダーまでひとつひとつ登録すると更新も大変なので、オフィスの保管ファイリングはファイル単位、保存庫の保存ファイリングは保存箱単位から始めるといいでしょう。
ファイル管理に必要な情報も、最初はシンプルにとどめてください。
最初から「高度で完璧なシステムにしたい」と、複雑な分類にしてコード番号を振ったりするのは挫折のもと。
ゼロからいきなり100点満点を目指しても長くは続きません。
入力する項目は、見出し、サブタイトル、戻す場所(置き場所)、廃棄の時期くらいにしておいたほうがよいでしょう。
共有ファイリングとして最低限の情報を網羅し、確実に継続できるよう努めてください。
続けているうちに必要だと思う項目や分類などが出てきたら、付け足すといいでしょう。
189ファイル管理表があれば倉庫の中も確認できる「共有ファイルをすべて登録するなんて、想像しただけで気が遠くなる」という声が聞こえてきそうですが、ファイル管理表は必要不可欠。
ファイル管理表が存在しなければ、ファイリングシステムは構築されていないも同然だと考えてください。
膨大な作業を不安に思うのではなく、使い勝手がどれほど良いかを想像してみてください。
ファイル管理表があれば、現物のファイルを探してこなくとも、どこに存在していて、いつ捨てるのかがわかります。
自分の席から離れた収納棚に保管されていても、必要な情報を確認できるのです。
規定の年限までの保存ファイリングについては、外部の倉庫に預けてあっても、その中身がわかります。
わざわざ出向いていかなくとも、何を保存しているのか一目瞭然です。
また、全社的に共有ファイルを網羅したシステムを構築できれば、本社に居ながらにして支店にあるファイルがわかりますし、支店から本社の状況もわかります。
そして、ファイル管理表が威力を発揮するのが、現物のファイルが見当たらないときです。
もともと存在しないのか、使用中なのか、すでに廃棄したのか、管理表の記載を見ればすぐにわかります。
こうした情報を、その業務に詳しい人も、そうでない人も同じように得られるのです。
皆が情報を共有できるため、判断が分かれることなくルール通りに運用できます。
190オキカエ、廃棄のルール作りファイル管理表には必ず廃棄の時期を記載します。
これはファイリングの最も重要なルールのひとつです。
これによって、担当者が異動や退職をしても、その文書をとっておくべきか、いつ捨てるのかがわかります。
ファイル管理表はなるべくシンプルな体裁にとどめておくのが正解ですが、廃棄の年に加えて、できればオキカエの年も早いうちに設定し、記載したいものです。
ここでいうオキカエとは、オフィスの共有什器での保管から、保存庫への移動のことです。
オキカエの時期については法的な決まりはないので、組織で決定することになります。
利用頻度が高く、その情報を利用することで利益が生み出せる期間にとどめ、使わなくなった書類がオフィスに滞留しないようにしましょう。
時間とともに利用頻度は低下しますが、一般的にオフィスでの保管は2年間といわれています。
廃棄の時期は迷ったら短めに設定保存年限については、法律などで定められていれば、それに従います。
業務上、法定年限より長い期間、保存したほうがいい場合もあります。
法律などによる決まりがない書類の保存年限は、3つに分けて対応します。
「最重要」「長く保存すべき」「短い間のみ保存」の3つです。
このうち、長く保存する文書、短い間保存する文書はさらに3つに分けます。
とはいえ、最初から完璧に保存年限を設定するのは難しいので、試行錯誤を繰り返すつもりで臨みましょう。
迷ったときは短めに設定するのがコツです。
「捨ててしまったら取り返しがつかない」と不安に思うかもしれませんが、捨てる際に確認すれば問題はないでしょう。
捨てられないものは、そのときに年限を延ばせばいいのだと考えてください。
短めにしておいたほうが試行錯誤のタイミングも早くなり、ルールづくりが進みます。
191使い勝手を評価し、改善していく整理術やファイリングシステムを上手に活用するには、受け身で捉えず、積極的に使い勝手を評価することが役立ちます。
「この工程は時間がかかって、効率が良くない」「どうもしっくりなじまない」などと不満に思ったときは、どう改善したらいいかを考えてみてください。
全社を挙げてのシステムなら、部署のファイリングマネージャーに改善策を提案するといいでしょう。
大前提になるようなルールは変えられませんが、業務に合った工夫ができるかもしれません。
個人で実践しているシステムなら、自分のニーズに合うようにカスタマイズを進めましょう。
どの方法が最適であるかは、それぞれの目的や仕事の内容、状況によって異なるからです。
しばらく実践していくとファイリングのスキルが身につき、改善策やカスタマイズのアイデアにも磨きがかかるでしょう。
そうするなかで、「便利になった」「仕事がスムーズにできるようになった」と実感することが、継続につながります。
そうして習慣化すれば、自然と続けられるようになります。
慣れ親しんだやり方を捨てるのは勇気がいると思うかもしれませんが、整理術によって仕事の効率が上がれば、「絶対的に足りない」と思い込んでいた時間に余裕が生まれるはずです。
その違いを実感し、さらに使い勝手を評価し、改善していくことが喜びになるはずです。
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