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2KPIマネジメント導入・運用のポイント

01導入・運用で成功する4つのポイント ◆トップダウン、定量化、業績向上に連動、毎月フォローアップ KPIを導入・運用し、成果を出すためのポイントは次の 4点に絞られます。 ●ポイント ① トップダウンであること。 ●ポイント ② 定量化されたものであること。 ●ポイント ③ 業績向上に連動するものであること。 ●ポイント ④ 毎月フォローアップを確実にすること。 それぞれ、順を追って解説していきましょう。

02ポイント ①トップダウン予算を分解してトップダウンで落とす ◆ KPIテーマを個人に設定させてはいけない KPIを導入する規模の企業であれば、経営目標としてまず、次のような年間予算を設定しているはずです。 ●売上予算 ●限界利益(粗利益)予算 ●固定費予算 ●利益予算 この予算を達成するために毎月・毎日努力をするわけですが、 KPIテーマについても、月次決算と連動して「全社テーマ →部門別・階層別テーマ →個人別テーマ」とトップダウンに設定していくことが重要です。 そのうえで、「個人別テーマ達成 →部門別・階層別テーマ達成 →全社テーマ達成」というボトムアップで連動していくことが理想です。

もし未達成項目があれば、ポイント ④のフォローアップにおいて、未達成の原因分析と(達成のための)再発防止策を上司・部下と一体となって協議することになります。 また、目標値を上司と部下の面談によって設定すること自体は問題ありません。ですが、テーマについて、個人(部下)に設定させることは NGです。 いくら達成しても業績向上に結びつかないテーマでは、自己満足目標となり、「失敗する KPI」になってしまいます。あくまでも「目標達成 =業績達成」となるような関連づけを常に心がけること、すなわち「因果関係 =良き結果を生み出すための、良き原因(プロセス)」です。 予算(結果)と連動させたプロセステーマであることが「利益の出る KPI」の必須条件です。

03ポイント ②定量化目標は必ず定量化する ◆数値であらわされ、等号、不等号の判定基準があること 目標値は「定量化」されている必要があります。「定量的」という言葉は「定性的」の反意語です。「昨日クレームが沢山あった」は定性的で、「昨日はクレームが 5件もあった。いつもは 1件以下なのに」というのが定量的です。達成度を判定するには、定量化されなければなりません。 具体的に定量化とは数値であらわすこと、つまり単位があるということです。 単位とは、円、千円、百万円、時刻、時間( H、 M、 S)、速度( ㎞/ H)、重さ( ㎏)、長さ( m)、 m ²(平米)、 m ³(立米)、%(パーセント)などのことです。 さらに、目標値ですから、「以上、以下、イコール、未満、超」などの等号、不等号の判定基準も必要です。【設定例】「目標」(テーマ)軽微なクレーム件数 +目標値: 5件以下 →「実績」 5件なら ○(達成)、 6件なら ×(未達成)です。 初年度の目標値設定のポイントは、昨年度実績がクレーム 50件で、毎月発生しているのであれば、無理に 0としないで、まず半分の 25件以下とすべきでしょう。 もちろん労災事故や重大クレームのようにあってはならないテーマについては前年実績がどうであろうと常に目標値は「 0」とすべきです。 ◆すべてのテーマは定量化できる 目標を定量化するというと、これは「定量化できない」という反論をするヒトがどの会社にも必ずと言っていいほどいます。 しかし、結論から言うと定量化できないテーマはありません。

例えば、 5 S(整理、整頓、清掃、清潔、躾)の達成率というテーマはどうでしょうか。 このようなテーマであれば、 5 Sパトロールを毎月実施することにして、定点観測の対象を決めて、チェックリストを作成します。 そして、「会議室の整理・整頓・清掃・清潔」なら、 10カ所程度のチェックポイントをあらかじめ決めておいて、各ポイント 5点満点で計 50点として達成率を計算すればいいのです。 具体的にどうチェックするかですが、整頓であれば、「直角・並行・垂直」「三定:定位、定物、定量(位置を決め、置くものを決め、置く量を決める)」「識別表示(中味が何かがわかる)」などといった基準を使います。 また、識別には、モノの識別と状態の識別があります。工場では、部品 Aと部品 Bを見分けること(色、形状、識別番号、ロット番号など)や仕掛品について、不適合品か未加工品か、次工程・前工程は何か、などの状態を合わせて識別することが求められます。 なお、躾については、会釈・挨拶があるか、会議の定刻を守っているか、などのチェックリストを作成し、対象とするとよい職場環境づくりにつながるでしょう。 これらに加えて、 7 Sや 8 Sという考え方もあります。 7 S、 8 Sとは「整理、整頓、清掃、清潔、躾、整備、安全 +節電、節水」です。 蛍光灯が切れていたら整備不足でマイナス 1点、階段が濡れていて危険ならマイナス 1点、使っていない応接室の電灯がつけっぱなしならマイナス 1点というように、整備不良・不安全状態・もったいない状態があったら、リストから減点するといいでしょう。 チェックリストの達成が、目標の達成につながることを念頭に置いて、定量化されたチェックポイントを設定しましょう。

04ポイント ②定量化機会損失防止、実際損失防止、売上・利益伸長の目標を設定する ◆毎日 30分のモノ探しで生じる損失とは 前項で挙げた 5 Sは、会社が利益を上げるうえで不可欠な取り組みです。 この 5 S活動を行う意味は、機会損失の防止です。 卸売業を営む D社では、商品や資材の整理整頓が不十分なために、モノ探しが毎日のように発生しています。モノ探しは付加価値を生みません。探した結果見つからず、在庫品があるのに新たに発注することもしばしばです。 では、社員 100名全員が毎日 30分のモノ探しをすると 1年間にいくらの損失になるでしょうか。 1日 8時間勤務で、年間所定日数を 250日とします。 1秒 = 1円( 1時間 3600円)で考えてみましょう。 100名 × 3600円 × 0・ 5時間 × 250日 = 4500万円 なんと 4500万円が、 5 Sが不十分なことによる年間の人件費の損失金額になるのです。 ただしこれは、機会損失です。 5 Sが不十分だからと言って 4500万円の支払いが発生するわけではありません。 時間で考えると、 1日の所定労働時間が 8時間ですから、そのうち 0・ 5時間、すなわち 6・ 25%です。付加価値を生まない時間が少なくとも 6%以上あったら、前章の「年商の 10%のムダがある」という話が現実味を帯びてきます。 以前、米国の調査で、平均的なビジネスマンの累積のモノ探しの時間は、年間で 8週間ほどであるという結果が公表されていました。 年間 250日、 8週間 × 5日 = 40日と仮定すると、モノを探すことによる損失の時間割合は「 40 ÷ 250 = 16%」。米国のビジネスマンでも一般的にこれだけのムダがあるとしたらびっくりです。 整理・整頓をきちんとしておけば、このようなモノ探しの時間損失は確かに減ります。 ただし、前項の 5 Sパトロールで言えば、評価が 30点の職場は、 70〜 90点を目指すべきですが、平均的に 90点をマークしている職場で、 90 → 100点に評価を上げるために、数十時間を費やすのは、費用対効果から見て不利益になる可能性があります。 同様に「見える化」もやりすぎると、消費する時間が付加価値を生まないため、人件費の機会損失を発生させる可能性があり、要注意です。 5 Sを徹底しても、売上・利益が増えるわけではありません。 目標の設定にあたっては、機会損失の防止だけでなく、実際損失の防止、売上・利益の伸長なども踏まえた項目を用意するようにしてください。

05ポイント ②定量化月次の定量化で人事考課にも活用できる ◆考課者訓練が必要なくなる KPIの結果を個人の査定、評価に使っている会社は多いでしょう。では、果たしてそれが有効に機能しているでしょうか。業績目標の達成につながるものになっているでしょうか。 本来「 KPIテーマ」を適切に毎月設定し、目標値を定量化することができれば、結果は毎月自動的に出るため、「考課者訓練」のようなものが一切不要になります。 日本の職能資格制度は、定性的で曖昧な職能要件書や評価基準がベースとなって、さらにテーマ設定も明確でないため、そのような不明瞭なものを無理やり判断させる、「成績考課、職能考課、情意考課」が存在しています。 定性的で曖昧な評価でも、考課者の頭の中で無理やり指数化し、最終的には昇給額・賞与額などの金額(数値)に換算されるわけです。 もちろん、上司が結果だけを単純に採用するのではなく、その実施状況やテーマ並びに結果数値、進捗度合いや部下全体の得点バランスを見たうえで、多少の定性的評価を加えることは間違いではありません。 例えば、 KPIの導入初年度は上司による加減点幅を 20%、翌年度加減点幅を 10%、運用に慣れてきた 3年目以降は加減点 5%などとするとよいでしょう。 いずれにしても、すべての KPIテーマを定量化して、「目標管理の毎月のフォローアップ」をしっかり行えば、査定時期の評価担当管理職の負担は激減するのです。

06ポイント ③業績向上と連動売上、変動費、限界利益、固定費、営業利益と必ず連動させる ◆「売上と利益の方程式」とは 成功する KPIマネジメントの3つめのポイントは、業績向上に連動することです。 では、そもそも業績とは何を指すのでしょうか。 この質問に対する回答は、経営者、従業員、投資家など、立場によって内容が異なるはずですが、おおむね次のようなものになるでしょう。「売上(年商)、限界利益、売上総利益、営業利益、経常利益、納税額、税引後利益、社員の平均年収額、配当額、キャッシュフロー、企業規模、資本金額、顧客満足度、社会貢献度など」 一般的に民間企業の企業業績と言えば、「売上高、経常利益額」などがこれにあたります。 本書では、基本的に「管理会計」の考え方をもとに解説をしていますが、会計に関するもう1つの考え方に、「財務会計」があります。財務会計は、経理担当が作成する月次決算や年次決算で、税務申告のもとになり、銀行などに提出する決算書のことを指します。 両者の違いを説明しておくと、まず、財務会計も管理会計も売上金額・営業利益額は同額です。財務会計では、総費用について「売上原価・製造原価、販売費及び一般管理費」としており、管理会計では、「総費用 =変動費と固定費」とする違いがあります。 経営改善の現場で多用されるのは、管理会計です。その一番の理由は「損益分岐点売上高( BEP = Break Even Point)」が容易に計算できるからです。 管理会計の変動損益計算書では、「売上に比例して増える変動費」と、「売上にかかわらずある程度一定の固定費」とに分離することにより、「利益を ○円増やすには、売上を ○ ○円増やせばよい」という判断ができる、すなわち「売上と利益の方程式」がわかるのです。 損益分岐点売上を使った、損益分岐点分析の最大の特徴は、限界利益と固定費を比較することです。「売上に比例する変動費」を換言すれば「売上に比例する限界利益」です。 そしてこの限界利益と「売上に比例しない固定費」とを比較することで、現在の売上をいくら増やせば、赤字にならないのか、あるいは現在の売上がいくら減ったら、利益がゼロになるのかを簡単に求めることができます。 損益分岐点売上高は次の計算式であらわせます。 損益分岐点売上高( BEP) =(固定費 ÷限界利益) ×現在の売上高 このとき、「固定費 限界利益」だと赤字で、赤字にならないために必要な売上高「固定費 限界利益」だと黒字で、利益がゼロになってしまう売上高 がわかります。 計算式であらわすとこうなりますが、これは、固定費が限界利益より大きいと赤字、固定費が少ないと黒字という過不足割合の比率を、現在の売上に掛けているにすぎません。 もっと簡単に計算すると、固定費が 5、限界利益が 4のケースであれば、営業利益は「 4 − 5 = △ 1(赤字)」、利益ゼロにならないためには現在の売上を「 5 ÷ 4 = 1・ 25倍」すればいいことがわかります。 固定費が 4、限界利益が 5の場合であれば、営業利益は「 5 − 4 = + 1(黒字)」、利益ゼロになるまでは、現在の売上が、「 4 ÷ 5 = 0・ 8( 80% = 2割減少)」になるまで余裕があることがわかるのです。

◆損益分岐点売上高を計算する 図の D社の損益分岐点売上高(利益 =ゼロのときの売上高)を計算してみます。 損益分岐点売上高 =(固定費 ÷限界利益) ×(現状の)売上高 =( 5億円 ÷ 6億円) × 10億円 =約 8・ 333億円 すなわち、売上高 8億 3330万円ほどです。検算をしてみましょう。 限界利益 = 8・ 333億円 × 60% = 4億 9998万円( ≒ 5億円) 固定費は変わらない前提として、「営業利益 =限界利益 −固定費 ≒ 0」となります。つまり、売上高が 8億 3330万円以上なら、この会社は赤字にはなりません。 なお損益分岐点の計算上では、現在の経営資源(ヒト・モノ・カネ)の投資額から見て、一定の操業度では収益構造が変わらないものと仮定して計算します。 収益構造が変わらない条件とは、変動費率(限界利益率)と固定費額が不変であることです。

◆ KPIテーマは管理会計と連動する 管理会計上のキーワードをまとめると、「売上、変動費、限界利益、固定費(人件費、物件費)と営業利益」という結果数値となり、成功する KPIでは、各テーマは、必ず管理会計のこれらの科目分類に連鎖する必要があります。 これらのキーワードと、それに連動するプロセスを関連づけたものが次ページの図です。 KPIマネジメントの主要なテーマは、この図でほぼカバーできると言ってよいでしょう。

07ポイント ③業績向上と連動目標設定の具体的手順 ◆結果に連動しない目標は設定しない それでは、目標設定の手順を具体的に見ていきましょう。 売上予算を計上するとき、「売上目標は年間 ○億円」と決めるはずです。同時に、「月次の予算」も設定します。この月次予算は過去データから見て、当然ばらつきを考慮している必要があります。 売上にはばらつきがあり、月次で増減しますが、「固定費」は毎月ほぼ一定です。 このとき、固定費も月額予算として、それぞれ科目ごとに金額が不変な地代家賃、リース料などと、人件費(残業など)、水道光熱費など操業度・消費量によって金額が変動するものとに分けて予算金額を設定することがポイントです。 変動費は売上に比例して増減しますので、「変動費率目標 ○%」とします。 KPIマネジメントの成功において最も重要なことは、「結果目標とプロセス目標」とは、その影響の大小はあれど、常につながっていて連動するということです。 逆を言えば、まったくつながりのない無関係な仕事があるとしたら、その業務自体がムダかもしれないということになります。 例えば、販売業において「売上」という結果数値を1つの見方で分解すると、「売上 =客数 ×客単価」となります。 さらに、「客数」をプロセスに分解すると、 客数 =新規来店客数 +リピーター来店件数、性別・年代別、地域別など 同じく、「客単価」なら、 客単価 =新製品 +定番商品、購入数量別、アイテム別など に区分できます。 また、「売上」も月別金額、対前年同月比、月平均、ばらつき具合などに分解できるでしょう。 変動費や固定費についても同じことができます。 つまりこれらの連動した1つずつのプロセスがテーマとなり、「インプット →プロセス →アウトプット」それぞれをいくらにするのか、現状を踏まえて目標値を設定するのです。 ◆結果目標をプロセス目標に分解する 具体例で考えてみましょう。 オフィス街に店舗を構えるコンビニ( E社)では、年間の予算管理をしています。 F C本部から与えられた、7月度(営業日数 31日)の売上目標金額が、 2170万円とします(このコンビニの全国平均の客単価は 700円です)。 これをプロセスに分解すると、 売上 = 2170万円 ÷ 31日 = 70万円/日 しかし、この単純平均をそのまま日別売上目標に置き換えることはできません。

現実には、その店舗の立地条件など地域性があり、曜日別とか、天候、さらに月の上中下旬ごとに来店・売上傾向が異なるはずです。ここでは曜日のみ考慮して考えてみましょう。 カレンダーを見ると、この年の7月は、土日( 10日)、祝日( 1日)、月〜金( 20日)となっていました。 まずは、過去データを分析します。土日祝日の売上を 1倍とすると、平日は 2倍となっていました。すなわち、売上比率が「土日祝:平日 = 1: 2」となります。 E社は、ビジネス街にあるので、平日の方が週末よりも来店客数が多いのでしょう。 指数計算すると、「土日祝( 11日) ×( 1倍) +平日( 20日) ×( 2倍) =延べ 51日」。 売上目標単位 = 2170万円 ÷ 51日 = 42・ 549万円(単位数) これによって、 土日祝( 11日) × 1倍 × 42・ 549万円 = 468・ 039万円…… A 平日( 20日) × 2倍 × 42・ 549万円 = 1701・ 96万円…… B A + B = 468・ 039万円 + 1701・ 96万円 = 2169万 999円 ≒ 2170万円 延来店客数目標は、 2170万円 ÷ 700円 = 3万 1000人 土日祝の売上目標設定は、 42・ 549万円/日

平日の売上目標設定は、 85・ 098万円/日( 2倍) と設定されます。 これが、プロセスに分解するということです。 ◆ KPIマネジメントとは、 PDCAサイクルを回すこと 次に客数が決まります。平均客単価 700円と固定しておいて、 土日祝の 1日あたり来店客数目標設定は、 42・ 549万円 ÷ 700円 = 607・ 84 → 608名…… C 平日の来店数目標設定は、 85・ 098万円 ÷ 700円 = 1215・ 68 → 1216名…… D となります。検算すると、 総来店客数目標( C × 11日 + D × 20日) =( 6688名 + 2万 4320名) = 3万 1008名 月次売上目標(修正) = 3万 1008名 × 700円 = 2170万 5600円(再設定)

現実の客数や客単価は毎回変動します。毎日予算と実績を比較して、目標未達成なら、残りの日数で挽回できるように計画を立て直す必要があります。 この客数と客単価を上回ることができるように、経営者は販売促進活動をしなければなりません。これらを月次の KPIテーマと目標値に落とし込むと、次ページのように展開されます。 本来 KPIとは、このように計画を立て、毎日、毎週、毎月、過去そして将来にわたってチェックして改善するものです。 まさにマネジメントサイクル( PDCA)の実践なのです。

08ポイント ③業績向上と連動結果をプロセスに連動させる ◆仮説と検証を繰り返す 前項のコンビニ E社の、ある年の7月の売上目標は 2170万 5600円(購入客数目標 3万 1008名、客単価目標 700円)でした。 このとき売上実績が 2108万 5440円であれば、売上項目は惜しくも未達成です。 目標:実績 = 2170万 5600円: 2108万 5440円 = △ 62万 0160(不利差異) 達成率は、 2108万 5440円/ 2170万 5600円 = 97・ 1% 残念ながら、あと、 2・ 9%(ポイント)足りません。 達成率 97%ならば、あくまでも目標管理の判定結果は ×(点数はゼロ)です。

ただしマネージャーとしては、従業員のモチベーションを下げずに、再発防止策を立案し、翌月挽回すればよいような施策を考えるべきです。 売上実績が 2108万 5440円のときの、ジャーナルを分析すると、「購入客数 3万 1008名、客単価 680円」と出ました。 購入客数の目標は達成しています。 KPI設定のシートの 4項目の判定結果は「 ○」です。売上テーマでは「 ×」ですが、この「来店(購入)者数」というプロセス目標は達成しています。同じく「平均客単価目標」は「 700円 → 680円」で未達成「 ×」です。 この結果とプロセスを連動させるのが、成功する KPIの真骨頂です。 原因分析の結果、客数は達成、客単価が未達成でした。再発防止策はどのようにすればよいでしょうか。客単価を上げるだけでなく、客数を増やす工夫も必要です。来店者イコール購入者ではありませんから、来店しても、買わずに帰る客を減らす努力や来店者そのものを増加させる販売促進活動などを考えます。 そうすると、例えば「 700円以上買うと、スピードくじが引けて景品をその場でプレゼント!」キャンペーンを実施することなどが考えられるでしょう。 マネジメントサイクルを回しながら、仮説と検証を繰り返していくことが重要です。

09ポイント ④毎月フォローアップを実施毎月集計・評価を行う ◆半年、 1年ごとの振り返りでは意味がない KPI活動を導入・運用している企業でも、その目的が業績向上というより、人事評価のためという意味合いが強い会社は、半期ごとに集計と面談を実施しているところが多いような気がします。 つまり、年 2回(盆暮)のボーナス査定時期、年に 1度の昇格・昇給時期に 1年分の集計をして評価・査定するということです。

ですが、業績向上につながる KPIを運用するためには、あくまでもこれを月次決算と連動させることが必要です。 すなわち毎月集計して、目標未達成項目は翌月以降に是正しなければなりません。 半年に 1回あるいは年 1回の振り返りでは遅すぎるのです。 KPIは、あくまでも業績向上を第一、個人の評価を第二です。 この点をまず、しっかりと押さえる必要があります。 部門の評価は、ボーナス・決算賞与・昇給原資の決定に、そして、個人への配分は個人評価を使うのが原則ですが、毎月の結果については、翌月の月次決算が出るタイミングで集計・評価して、翌月のテーマ及び目標設定に生かせるように、原因分析と再発防止をきっちり行う必要があります。「毎月実施すること」このように書くと大変そうですが、年 2回の評価時期に膨大な時間を費やすよりも、毎月こまめにフォローしておけば、評価時期の負担が減り、毎月の業績向上効果と社員のモチベーション維持に期待ができるのです。

10ポイント ④毎月フォローアップを実施「敗者復活制度」をつくる ◆社員のモチベーションを維持することが重要 毎月の各テーマの達成度判定はあくまでも「 ○か ×」です。 月次売上目標を 1000万円として、その月の売上結果が 990万円としたら、判定は ×です。これを 100点満点で、 99点を与えてしまうと、 1000万円というハードルを設定した意味がないからです。したがって、この目標設定はある程度慎重に行う必要があります。 前年対比はもちろん、年間予算(月次と期首からの累積)をにらんで、簡単に達成できず、少しストレッチをかけた目標設定が必要ということです。 ここで、もっとも重要なことは社員のモチベーションの維持です。 売上目標のような累積性のものであれば、例えば半年以内を執行猶予期間とし、次ページのように「敗者復活制度」として回避できます。 したがって、累積回復した8月度は、 100点を超えることもあります。 このケースにおいては、 5カ月目で累積達成できたということは、毎月予算配分の誤差とも考えるべきであり、ポイントを復活させるという配慮をするわけです。 とはいえ、この敗者復活期間は、あまり長すぎてもよくないので、企業の実情にあわせて半期、四半期あるいは移動平均など適切に設定すべきでしょう。

11ポイント ④毎月フォローアップを実施原因分析と改善はどうやって行うか ◆目標設定の妥当性を検証する フォローアップこそ管理職のマネジメント力が養われる場です。 マネジメントとは、マネジメント(デミング)サイクルの実践に他なりません。 すなわち、「 P → D → C → A」です。 KPIを成功に導くには、 【P】毎月のテーマと目標値設定(計画) 【D】毎日(毎週)の支援(実行) 【C】結果の集計 【A】翌月初めのフォローアップとテーマ・目標値修正(測定・分析及び改善) に上司が積極的に関与することがポイントです。

フォローアップで大事なことは、まず、目標設定が妥当であったかの検証です。そして、個々のテーマ +目標値において未達成項目についての是正処置です。 是正処置のステップは、まず原因分析であり、(達成するための)再発防止策を一緒に考えることです。 ここで使いたいのが「 4 M手法」です。 4 Mとは、「 Material(材料)、 Machine(設備)、 Man(人)、 Method(手順)」です。 5 M( +マニュアル =手順書)というヒトもいます。 ISO 9001など導入している企業では、原因分析としてお馴染みの 4 Mですが、どのように深く掘り下げて追求するのか、例を通してみてみましょう。 ◆ 4 M手法で原因分析を行う 焼肉チェーン店( F社)の KPIに「お客様からの重大クレームゼロ」があったとします。 あるとき「食事後お腹が痛くなった」というクレームが発生しました。 F社に原因があるかどうかは不明ですが、クレーム対応を要求されました。対応を 4 Mで考えましょう。

【材料】新鮮な食材を使っているか?【設備】衛生的な調理器具を使っているか? 提供する皿やどんぶりは殺菌消毒されていたか?【人】資格をもった腕の良い調理人が調理したか?【手順】マニュアルに従って手順どおり調理したか? 巷で報道される、食品偽装や耐震偽装、燃費問題などが発生した場合、この 4 Mのどれか、あるいは複数に問題があったことが多いようです。【材料】賞味期限切れの食材を使ってしまった。【設備】忙しくて、調理器具の殺菌消毒をさぼってしまった。【人】人手不足で新任のアルバイトに調理をまかせてしまった。【手順】法律どおりのマニュアルに規定されたトリミングを怠ってしまった。 もし、これらに思い当たれば再発防止策を立てる必要があります。例えば、【材料】受入検査をきちんとする。信頼できる食肉業者を選定する。【設備】調理器具・食器、トイレなどの殺菌・清掃などを徹底する。【人】チェーン店全体で有資格者を確保する。人手不足であれば、本部で集中加工するなど。【手順】手洗いをしているかなど手順を文書化し、手順どおりの作業を確実にさせる。 これらは、自社に非がないことを証明する場合にも有効です。クレーマー対策として、これら 4 Mを記録によって証明できることが企業のリスク管理にもなります。 この 4 Mの追跡ができることを「トレーサビリティー(追跡能力)」と言います。 ◆原因がヒトだったら、さらに掘り下げを 原因分析を実施した際、【人】「ヒューマンエラー(人為的ミス)」に分類することが多い場合はさらなる掘り下げが必要です。 ヒトによるミスと思われる場合でも、次のような「スキル方程式」を基準にして区分するとよいでしょう。スキル方程式 =知識 ×技能 ×コミュニケーション力 ×管理力【知識不足】必要な知識を身につけていないために発生するミス。【技能不足】知識・手順は理解しているが、実際にやりこなすことができない。【コミュニケーション不足】いわゆる「報連相」のこと。 報告:上司または仕事の依頼者への結果の伝達 連絡:関係者への必要事項の伝達 相談:問題解決あるいは発生防止のための協議【管理力不足】管理力とは自己または部下の PDCAが実践できるか。 このように定義して「スキル」として何が足りないかを具体的に指摘することが重要です。 この 4項目に問題がなければ、はじめて「うっかり」ミスとなります。 うっかりは「集中力不足」などに起因することが多いので、業務が多忙すぎるか、健康管理に問題はないか、場合によっては労務管理の問題にも発展します。 さらに、「意識不足」もあります。能力十分なのに期待どおりの成果を上げられない場合はこのケースです。モチベーションが維持できるように上司は配慮する必要があります。

 

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