はじめに
いきなりですが、質問です。
「今から30分で新規事業のアイデアを出してほしい」もしも上司から唐突にこんな指示を受けたら、多くの人は戸惑うのではないでしょうか。
「そんなのは無理だ」と。
私はかつて、世界最高峰のコンサルティング会社といわれるマッキンゼー・アンド・カンパニーで、コンサルタントとして働いていました。
クライアント企業の問題を解決するのがコンサルタントのおもな仕事ですが、持ち込まれる問題は、一筋縄のものではありません。
答えがまったくわからない問題もあれば、状況が複雑すぎてどこから手をつければいいかわからない問題もあります。
それもそのはず、自分たちの会社や組織で解決できるような問題であれば、コンサルティング会社に解決を依頼する必要がありません。
だからこそ、クライアント以上に、クライアントの業界や業務のことを理解し、「なるほど!こんな解決策があったのか」とクライアントが思わずひざを打つような答えを導かなければなりません。
しかも、時間は無限にあるわけではありません。
たいていのプロジェクトは3カ月や6カ月単位と決められているので、問題の特定に手間取っていたり、試行錯誤を何度も繰り返していたら、あっという間に期限を過ぎてしまいます。
限られた時間の中で、クライアントがあっと驚くような成果を出す。それがコンサルタントに課せられた使命でした。
つまり、仕事の「質」と「スピード」の両方を追求しながら、高いパフォーマンスを出す。これが当たり前な風土。
振り返ると、当時、周りは超優秀、天才的な人たちばかり。
その中で私は決して超優秀というわけではなく、とんでもないところに入社したと圧倒されつつ、目の前の仕事をどうしたらスピーディーにクオリティー高くこなせるか悪戦苦闘する日々でした。
そして気づくと、その中で「質」と「スピード」を兼ね備えるための思考と技法を叩き込まれていました。
実際、数カ月で仕事の「質」と「スピード」は格段にアップし、繰り返し叩き込まれたことで、いつのまにか習慣にまでなってしまったと感じています。
同じことは、私が出会ってきた優秀なビジネスエリートにもいえることです。
私はマッキンゼーを卒業してからは、エグゼクティブコーチ・組織開発コンサルタントとして、多くの優秀なビジネスエリートに出会いましたが、彼らにもあてはまる共通点といえます。
また、彼らは仕事を楽しんでいたのも共通点。最も重要なことに集中しながら、それを楽しんでいるのです。
仕事にワクワクしているからこそ、そのエネルギーが仕事に乗っかり、まわりの人や顧客を惹きつけているとも感じています。
もちろん、実際に「今から30分で新規事業のアイデアを出してほしい」といった無茶な指示をされるケースはまずないでしょう。
しかし、仮にマッキンゼーのコンサルタントや仕事のできるビジネスエリートが、このような指示を受けたら、最初から投げ出すことはありません。
もし本当に30分という限られた時間しか残されていないのであれば、その中で、最高のアイデアを出そうと、頭をフル回転させるはずです。
そして、30分という短い時間であっても、それなりのクオリティーの高いアイデアを導き出すことでしょう。
なぜなら、限られた時間の中で、最高の質のアウトプットを出す思考法が存在するからです。私は、これを「ミニマム思考」と呼んでいます。
「ミニマム思考」とは、価値を生み出す最も重要なことに集中して、最小の力でそれを成し遂げる思考法のこと。
ミニマム思考ができる人は、仕事に取りかかる前に、集中すべき最も重要な仕事を明確にして、それ以外を「捨てる」。
だから、あらゆるムダを省くことになり、最小の力で最大の結果を手にすることができます。
つまり、ミニマム思考を実践できる人にとって、仕事の結果は「はじめる前」に決まっているといえるのです。
本書では、私がマッキンゼー時代に一緒に働いてきた優秀な上司や同僚、さらにはビジネスの最前線で出会ってきたエリートたちから学んだことをベースに、私のコンサルタントとしての経験を加えたうえで、限られた時間で、最高の質のアウトプットを出すための仕事の「段取り」を紹介します。
これはマッキンゼー入社後3カ月で叩き込まれる基本技術です。
本書は次のような構成になっています。
第1章では、最小の力で最大の結果を得るための「ミニマム思考」の概要を説明します。ミニマム思考ができているかどうかで、仕事の段取りはもちろんのこと、結果も大きく変わってきます。
第2章では、「ミニマム思考」を実践するうえで必要不可欠な「仮説」について解説します。精度の高い仮説を立てることによって、仕事のスピードも質もアップします。
第3章では、段取りよく仕事を進めていくための土台となる「全体設計」について述べます。仕事の全体像を描き、モレなく、ダブりなく仕事を設計することで、仕事の質が向上することになります。
第4章では、「アウトプット」を意識して仕事をすることの大切さを説いていきます。仕事をはじめる前に最終成果物をイメージできているかどうかが、仕事のスピードと質を左右します。
第5章では、「ミニマム思考」をさらに追求し、今までよりワンランク上の段取りをするための方法について、3つの注力ポイントをお話しします。
第6章では、「五感」を研ぎ澄ますための習慣を紹介します。ミニマム思考で成果を上げるには、雑多な情報や作業の中から何が最も重要であるかを見極め、そして精度の高い仮説を立てることが大切です。そのためには、五感を感度のよい状態に保っておく必要があります。
「最小の力で最大の結果を得る思考法と段取り」は、仕事はもちろんのこと、人生の時間を豊かにする一生モノのツールです。ぜひこの機会に身につけていただければ、著者としてこれほどうれしいことはありません。
1ミニマム思考──最小の力で最大の成果を得る
03段取りは「バリュー」を決めることからはじまる04バリューはすべて「仮説」から生まれる──仮説を立てる技術05鳥の目で仕事の全体像を見る──全体を設計する技術06最終成果物をイメージする──アウトプットをデザインする技術07ワンランク上の超・段取りは「流れ」×「スキル」
01成果を出す人は「捨てる」ことをためらわない
「来週月曜日までにクライアントに提出する企画をまとめてほしい」上司からの指示を受け、企画をまとめるために、まずは情報収集に取りかかる。
インターネットや書籍などを頼りに片っ端から役に立ちそうな情報を引っ張ってきて分析開始。通常業務を抱えながらの作業なので、昼間は営業や会議をこなし、情報収集や分析に集中できるのは夜。
「時間が足りない」というプレッシャーに押しつぶされそうになりながら連日の残業……。結局、企画書をまとめる時間が足りず、週末に休日出勤して仕上げました。
なんとか週明けの月曜日に企画書を提出できたものの、上司から返ってきた言葉に打ちのめされることになります。
「なんか違うんだよな。この企画、面白くない。明日までに違う案を出して」結局、徹夜で新しい企画書を書き直すことに……。
多くの人がこれに似たような経験をしているのではないでしょうか。必要最小限のエネルギーで、最大の成果を生み出すあなたの仕事ぶりを振り返ってみてください。
「忙しいばかりで仕事の成果が出ない」「一生懸命やっているのにお客様や上司から評価されない」「いつもバタバタしていて、締め切りギリギリ、または間に合わない」ひとつでも思い当たることがあるなら、仕事の段取りが悪いと言わざるを得ません。
そんな人におすすめしたいのが、「ミニマム思考」です。ミニマムとは、「最小、最小限」といった意味。つまり、ミニマム思考とは、最小の力で最大の成果を出すための思考法です。
ミニマム思考は、より多くのことをやろうとしない。最も重要なことにフォーカスして、成果を生み出す考え方のことです。自分の時間とエネルギーを最も効果的かつ最小限で配分する考え方ともいえるでしょう。
たとえば、太陽の光を想像してみてください。通常、太陽の光はあらゆるところを照らして分散しています。
しかし、虫眼鏡を使って太陽の光を一点に集めると紙をも燃やすエネルギーになります。
同じように、あれやこれや多くのことを抱えていると、エネルギーはあらゆる方向に分散してしまいます。
しかし、ひとつの方向にフォーカスすると、その力は強力になり、速く進みます。エネルギーを一点に集中することで、必要最小限のエネルギーを使って、最大の成果を生み出すことができるのです。
ミニマム思考ができる人は、多くの仕事を抱えません。フォーカスすべき最も重要なことがわかっていて、それ以外を「捨てる」ことができる人。
そんな人が最小限の労力で、最大限の結果を出すことができます。まさに「究極の段取り術」ということができます。
02「質×スピード」を高めるミニマム思考
私はリーダーやビジネスパーソンに、「今、集中すべき最も重要なことは何か?」という問いをしばしば投げかけますが、マッキンゼーのコンサルタントをはじめ、ビジネスの第一線で活躍する人に共通することは、この問いに即答できるということです。
つまり、最も重要なことは何かを明確に把握しているということです。彼らはそこに集中するのでムダなく最小限の労力で成果を上げるのです。
このようなミニマム思考によって仕事の段取りをすることで、ゴールに向かって確実に成果を生み出しているのです。
あなたは「今、集中すべき最も重要なことは何か?」という問いに即答できるでしょうか。できなければ、エネルギーが分散している可能性が高いのです。
現代のビジネスパーソンは、やるべき仕事を山ほど抱えています。限られた人員でたくさんの仕事をこなし、成果を上げていく必要に迫られています。
もっともっと生産性の高い仕事をしなければならないと感じ、同時に、そのすべてを完了できるのだろうかと、焦りを感じている人も多いのではないかと思います。
そんな厳しい環境の中で疲弊しているビジネスパーソンを救う新しい考え方、それがミニマム思考なのです。
ミニマム思考で「質×スピード」の両方を追求するミニマム思考は、一流の仕事をするうえで必要不可欠です。
先に述べたように仕事の「質」と「スピード」の両方を追求しながら、高いパフォーマンスを出す。これがマッキンゼーでは当たり前でした。
しかし、マッキンゼーを離れてから実感したのは、多くのビジネスパーソンは、「質」と「スピード」のどちらかに偏った仕事をしているということです。
仕事は丁寧で、クオリティーも高いけれど、いつも期限から遅れがちであれば、せっかく仕事のできはよくても台なしです。仕事はチームプレーですから、1人が遅れれば、多くの関係者に迷惑をかけます。
また、多くの職場では、1人でいくつもの仕事を担当するマルチタスクが当たり前ですから、ひとつの仕事を片づけるのに時間がかかれば、仕事全体のパフォーマンスは落ちてしまいます。
反対に、仕事のスピードばかり速くて、質がともなっていないケースも問題があります。「仕事を早く終える人=仕事ができる人」ではありません。
もちろん、仕事が遅いよりは速いほうがいいのですが、ただ仕事を早く終えても、ミスが多かったり、誰にでもできるクオリティーだと、顧客や上司の評価は下がります。
また、ただ速いだけの仕事は、ある程度経験を積めば誰でもマスターできますから、派遣社員やアルバイト、AI(人工知能)などに取って代わられてしまうでしょう。
あなたしか思いつかないようなアイデアや、あなたにしかできない行動で成果を生み出す仕事こそが、質の高い仕事といえるのです。
そもそも、速さと質の両方に優れているとは、どういうことなのか?考察してみましょう。
仕事が速く、その質が高いとは、どのくらい速いスピードで課題を把握し、それを解決して成果を出していくかということです。
これが、「生産性が高い」ということの意味です。早く仕事を進めることと、仕事が速いことは別のことなのです。
早くとは、仕事の依頼があってからできるだけ早いタイミングで、その仕事をはじめることです。一方仕事が速いとは、仕事にかかる時間が短いということ。
早くはじめたほうが、もちろんいいのですが、早くはじめること以上に、適切なタイミングで終わらせることのほうが重要です。
適切なタイミングとは、期限までに終えるということです。このタイミングを考えて、仕事は計画したほうがいいのです。
早くはじめようと焦って、結果、質の低い仕事になるより、期限までに終わらせるように逆算して計画したほうが、ずっと質の高い仕事に仕上がります。
よって、速さと質の両方が高い人とは、質の高い仕事を速いスピードで期限までに終わらせる人のことをいいます。
それは、質の高さ、つまり成果を見極め、ムダなく行動するということなのです。そのために最も重要なことは、確実に成果を生み出すことに集中すること。
それ以外は捨てるのです。
あなたは、「質×スピード」を兼ね備えた仕事をしているでしょうか。
もしできていないという自覚があるなら、今すぐ「質×スピード」の両方を高める努力をすることをおすすめします。
私は、仕事柄たくさんのビジネスパーソンを見てきましたが、仕事で高いパフォーマンスを出し、評価を集めている人は、ほぼ例外なく、「質×スピード」の両方が備わっています。
同時に、人生も仕事も楽しんでいます。
一方、社内でくすぶっている人、まわりからの評価があまり高くない人は、「質×スピード」の両方が足りていないか、「質」と「スピード」のどちらかが欠けています。
ミニマム思考で仕事をすれば、ムダを省き、重要なことにフォーカスできるので、質もスピードも自然とアップすることになります。
経営学者のドラッカーが、ミニマム思考の人とはどんな人なのか、的確に定義しています。
「成果を上げる秘訣を一つだけあげるならば、それは集中である。成果を上げる人は最も重要なことからはじめ、しかも一度に一つのことしかしない」ミニマム思考の人は、これを徹底します。
ミニマム思考を身につければ、「質×スピード」ともにレベルの高い仕事ができるようになるのです。
それでは、ミニマム思考とはどういった要素で構成されているのでしょうか?本書では、次ページ図のような構造で、ミニマム思考を解説しています。
まず本章では、「ミニマム思考とは何か」、そして「実現すべきバリュー(価値)の決定」についてお話しし、第2章以降で詳細に解説する「仮説」「全体設計」「アウトプットのデザイン」「ワンランク上の段取り術」、そして全体の土台となる「五感を研ぎ澄ます習慣」についても、簡単に触れていきます。
まずは本章でミニマム思考の全体像をつかんだうえで、各章の内容に進んでいただきたいと思います。
あなたは「段取りとは何か?」と聞かれたら、どう答えるでしょうか?一般的な「段取り」のイメージである、スケジュール管理や時間短縮、コミュニケーション術、効率的な仕事術など、テクニック論を思い浮かべるかもしれません。
本書でも、そうした段取りがよくなるテクニックやスキルについても紹介しますが、それが本質ではありません。テクニックを駆使することで一時的な効果は上がるかもしれません。
しかし、小手先のテクニックをいくら駆使しても、その効果は限定的です。
一時的に仕事のスピードは上がっても、質は上がらないというケースがほとんどです。重要なことは思考の質を高めることです。
そのうえで段取りのテクニックやスキルを使うのです。本書における段取りの最大の特徴は、ズバリ思考法にあります。私はこれを「ミニマム思考」と呼んでいます。
ミニマム思考を語るうえで、避けては通れない最も重要な概念があります。「バリュー(価値)」です。
ここで質問です。
「あなたの提供するバリュー(価値)は何でしょうか?」即答できる人は、あまりいないのではないでしょうか。なぜなら、多くの人は自分の提供する「価値」について考えたことがないからです。
バリューというのは、文字通り「価値」という意味ですが、もっと平易な言葉でいえば、自分もしくは相手にとっての「メリット」です。
この仕事をすることによって、自分自身やお客様、仕事相手にメリットがある。それこそバリューのある仕事です。
たとえば、スターバックスコーヒーが提供している価値とは何でしょうか。
家(第1の場所)でも職場(第2の場所)でもない「第3の場所」を提供するというコンセプトにスターバックスの価値の真髄が表されています。
つまり、単においしいコーヒーが飲めるカフェではなく、利用者が自由に過ごせる空間を提供することが価値なのです。禁煙でちょっとおしゃれな空間。
そこで、WiFiや電源を無料で使えるのでパソコンで仕事ができますし、友人とのおしゃべりにも使える。
また、一人でじっくりと本を読むこともできます。おしゃれな空間で知的な活動や遊びの体験ができるというのが、スターバックスの価値。このような価値を提供するカフェ空間は、それまでは存在していませんでした。
一方、最近モーニングサービスなどで人気を集める「コメダ珈琲店」の価値は何でしょうか。
「誰もがくつろげる『街のリビングルーム』でありたい」という会社のコンセプトにもあるように、まるで自宅にいるような居心地のよさがコメダ珈琲店の提供している価値。
漆喰をモチーフにした壁、天井の木材、本物のレンガなどを使った店舗は、ぬくもりが感じられ、どこか「昭和」の時代を彷彿とさせるなつかしさがあります。
だから、利用者は気軽な服装やスッピンでふらっと店舗に来て、リラックスすることができるのです。
両者が提供している価値とは、コーヒーという商品そのものではなく、コーヒーと一緒に体験する空間。
これに顧客は「いいね」と満足し、人気のカフェとして成長したわけです。これがバリュー(価値)です。
バリューとは、「こんなものがあったらいいな」や「こんな悩みが解決したらいいな」に応えるということともいえます。
あなたの仕事はバリューを出しているかマッキンゼーでのバリューは、「クライアント・インタレスト・ファースト」。つまり、顧客の利益を最大化することでした。
常に顧客の利益を最大化するために、自分が生み出すバリューは何か?を問われ、自問自答していました。
当時、クライアントがハッとするような仮説を見つけて検証すること、現場から新しい知見につながる生の情報を集めることを、自分の仕事のバリューと決めて、いつも意識していました。
仕事におけるバリューに正解はありません。それぞれの仕事に異なる価値があり、答えはひとつではありません。
バリューとは仕事の当事者が、顧客にとってのバリューは何かを、自分自身で見つけ出すと決めることです。
ワクワクと感じ、ぐっとくる価値を見つけること。そしてそれを楽しむことです。なぜなら、ワクワク感や楽しみは、必ず伝わっていくものだからです。
企画書を作成するときのバリューは、顧客(あるいは上司)に「この企画書と自分を必要だと思ってもらうこと」かもしれませんし、接客の仕事であれば、「お客様にここで商品を買ってよかったと感じてもらうこと」かもしれません。
たとえば、飲料メーカーの企画担当者が、新商品を開発するときのバリューは、「疲れた脳にエネルギー補給できて、かつおいしいコーヒーを飲みたいというお客様のニーズを満たすこと」かもしれません。
ミネラル・ウォーターの「い・ろ・は・す」(日本コカ・コーラ)は、環境にやさしいボトルというバリューのもとに開発された製品。
水の産地という「質」をバリューとして訴求する多くのミネラル・ウォーターとは異なるバリューを打ち出しているのです。
「い・ろ・は・す」のペットボトルは軽量で、そのため、購入すると二酸化炭素削減という環境問題に貢献できるというわけです。
クリエイティブな仕事にかぎらず、どんな仕事にもバリューは存在します。バリューを見つけて、提供することを楽しむことができます。オフィスでお茶を淹れる仕事にもバリューがあります。
どんなバリューが考えられますか?「おいしいお茶で会議の参加者の気持ちが和み、効果的な話し合いができるように促すこと」というバリューを提供すると決める。
おいしいお茶を淹れて、会議がスムーズに進むようにベスト・タイミングで提供する。こんな「おもてなし的お茶出し」も大切なバリューになりえるのです。
バリューを見出すと、お茶出しも楽しい仕事になる可能性があると思いませんか。
ミニマム思考の人は、「何をしているか」ではなく「どんなバリューを生み出しているか」で仕事を進めます。
そして、バリューを生み出すことを、ワクワクして楽しみます。そのバリューに乗って、ワクワクする楽しさが顧客にも伝わるのです。
バリューを意識すれば結果も変わる与えられた仕事に対して、「どんなバリューを出すべきか」を常に意識することによって、集中すべき重要なことが見えてきます。
たとえば、「60代男性にワクワク感を体験してもらえるような機会を提供することがバリューになる雑誌を創刊する」のであれば、60代男性がどんなことにワクワクするか情報収集をし、それを分析するはずです。
少なくとも若者の嗜好や流行について情報収集することはないでしょう。バリューが明確になっていない仕事は、ムダが多く迷走することになります。当然、結果も出ません。
たとえば、城の建造に必要な石材を切り出す仕事に従事しているとします。
このとき、「白で統一された世界一の美しさで感動を与えること」がバリューになる城をつくることを最初から意識できていれば、白くて見栄えのする石を選んで切り出すに違いありません。
しかし、事前に仕事のバリューを意識することなく作業をはじめてしまえば、石の色にこだわらず、手当たり次第に石を切り出してしまうでしょう。
バリューが明確になっている仕事は、やるべきことの道筋がはっきりと見えているので、仕事をはじめる前にレベルの高い結果を得られることが予想できます。
もっといえば、仕事の準備の段階で結果は出ていると言っても過言ではありません。
あなたが今、取り組もうとしている仕事のバリューは何ですか?もし即答できないなら、その仕事が迷走するのは必至。
まずは立ち止まってバリューを明確に決めることからはじめる必要があります。仕事で結果を出すには、最初にバリューを決めたら、そのバリューを実現するために具体的な段取りを組んでいく必要があります。
当然、その段取りもミニマムを意識し、最小の力で最大の成果を得られるようにするのです。バリューを出すための段取りを組んでいくうえで必要不可欠な技術が3つあります。
- ①仮説を立てる技術(第2章で詳細に解説)
- ②全体を設計する技術(第3章で詳細に解説)
- ③アウトプットをデザインする技術(第4章で詳細に解説)
この3つの技術がミニマム思考の基礎となるのです。
これらの技術を身につけたうえで段取りをすることによって、バリューを出し、仕事の質とスピードの両方を同時にアップさせることができます。
また、どんな業界・業種の仕事にも応用できる考え方なので、あらゆる仕事でコンスタントにスピーディーに質の高い成果を出すことが可能になります。
次ページから3つの技術を簡単に見ていきましょう。
まずは、①仮説を立てる技術から。
コンサルタントがクライアントから依頼されるのは、「売上が伸びない」「収益性が悪い」「新規事業を立ち上げたい」といった自社では解決困難な大きな問題ばかりです。
クライアントのほうから「○○が問題だから、××してほしい」という具体的な問題点や解決策が示されることはありません。
したがって、コンサルタントが、その会社が抱えている問題を把握・分析し、その問題を解決するための核心的な課題を見つけ出すことになります。
何が最も重要な課題か──。このような問題解決のキーとなる真の問題のことを「イシュー」といいます。イシューを見つけ出して解決することは、クライアントにとって大きなブレイクスルーになります。
そのため、コンサルタントにとっては、このイシューを解決することが目指すべき「バリュー」となることがほとんどです。
しかし、「売上が伸びない」とひと口に言っても、その要因はさまざま。製品そのものに競争力がないのかもしれませんし、ターゲットとする販売対象がずれているのかもしれません。それこそ何十、何百と要因は考えられます。
だからといって、片っ端からそれらの要因を検証していたら、いくら時間があっても足りません。企業を取り巻く環境はたえず動いていますから、数カ月間の限られた期間で、最も重要な課題を発見し、それに対する解決策を提案しなければなりません。
そこで、何が最も重要な課題であるか目星をつけてから、問題を深掘りしていきます。
過去の事例や報告書を読み込んだり、経験を積んできたまわりの先輩やプロフェッショナルの意見を聞いたりして、売上が伸び悩んでいる原因を探り当てていきます。
その結果、真の問題が「特定の営業マンに売上が偏っていて、全営業マンに営業スキルが浸透していないこと」にあると目星をつけたとします。
そのイシューを解決できれば、売上が伸びてクライアントにバリューをもたらすことができます。イシューを見定めたら、それを解決するための方法論を考えることになります。
つまり、「こうすればイシューを解決できるのではないか」という仮説を立てるのです。
先のケースでいえば、「営業ノウハウをインターネット上で共有すれば、全体的に売上の底上げができるのではないか」という仮説を立てれば、営業ノウハウの共有に絞って、問題解決策を講じることができます。
もちろん、設定した仮説が正しいとはかぎりません。仮説は、バリューを生み出すための「仮のアイデア」です。もっと平たく言えば、仮説は「こうであったらいいな」という個人の願望です。
願望ですから、外れることもあります。検証の結果、売上が伸びなければ、次の仮説を立てればいいのです。仮説を立てて検証し、結果が出なければ、次の仮説を立てて検証する。これが「仮説を立てる技術」です。
最初から確度の高い仮説(高い確率で成果につながる仮説)を立てられる方法論とツールをもっていると、短い時間で大きな成果を出せます。
そのノウハウとツールについては後述しますが、確度の高い仮説と検証をハイスピードで繰り返しながら仕事を進めることによって、スピードと同時に仕事の質を担保することができるのです。
「仮説」が有効なのは、長期間に及ぶ大きなプロジェクトだけではありません。
仮説を立てる技術が身についている人は、日々の仕事の中でも自然と仮説を設定しながら段取りを組んでいます。
営業先へ提案をするときには、「営業先が抱えている課題を解決する方法」について仮説を立てたうえで、その解決策を提案します。
企画書をつくるために情報収集をするときも、「このようなテーマで企画書を作成する」という仮説をもっています。
また、社内の会議でも、「この会議で出さなければならない結論」について、自分なりの仮説をもって参加します。
このように「当たり」をつけることによって、どんな仕事でも「質×スピード」を兼ね備えた仕事を実践することができるのです。
仮説を立てるために質問する仮説はバリューを生み出すための仮のアイデア。そう定義すると、バリューと仮説はコインの裏と表の関係にあります。
したがって、実際のビジネスの現場では、バリューと仮説は、ほぼ同時進行で考えていくことになります。
「はじめに」の中で、「今から30分で新規事業のアイデアを出してほしい」と上司に言われたらどうするかという質問をしました。
ミニマム思考をする人なら、まずはバリューを見定めると同時に、仮説を立てることにフォーカスするに違いありません。
30分というごく短い時間しか残されていませんから、あらゆる可能性を模索するのは不可能です。
アイデアをまとめる前に、ある程度、「この方向性でいく」と当たりをつけておかなければ、あっという間に30分は過ぎてしまいます。
「今から30分で新規事業のアイデアを出してほしい」と言われた人が、スイーツ(お菓子)の開発をしているとしましょう。
スイーツの新しいアイデアといっても、選択肢はいくらでもあります。思いつきでアイデアを挙げることはできるかもしれません。しかし、それが市場や上司が求めているアイデアとはかぎりません。
そこでミニマム思考の人は、最初の10分で仮説を立てることに専念します。そのためにできることは何でしょうか。
もちろん、市場調査などをしている時間はありませんから、指示を出した上司に質問をすることが、いちばん早くバリューを認識し、筋がいい仮説を立てるための方法といえます。
たとえば、上司から「50代男性が占める売上シェアが低い」という話を聞き出せれば、50代男性にウケることがバリューになり、「50代男性にウケるスイーツを提案できないだろうか」というのが仮説になると当たりをつけられます。
この仮説があればアイデアを絞ることができますし、上司を納得させられるアイデアを提案できる可能性が高まります。
ミニマム思考の人は、バリューと仮説という、フォーカスすべき最も重要なことを明確にします。バリューと仮説の設定がミニマム思考の第一歩となるのです。
仮説を立てたら、その仮説が正しいかどうかを検証しなければなりません。
そのために、私たちコンサルタントは必要とされるさまざまな情報を収集したり、現場に足を運んで自分の目で見て、聞いて、体験したりします。
また、アンケートをとったり、関係者にヒアリングをしたりといったことも日常的に行います。
たとえば、新しい形態のカフェを展開するプロジェクトに携わったとき、もともとこのカフェは、あるスイーツを売りに展開して成功していたので、そのスイーツを売りにしたカフェを展開できないかというテーマでした。
しかし出店を予定している地域はカフェの激戦区だったので、私が考えたのは、「このスイーツを朝食で売れないか」という仮説でした。
それは、朝食はパン派という人が増えていたのと、ふと「ホテルの朝食でホットケーキを食べていると、幸せな気分になるなあ」と思い出したことがきっかけでした。
しかし、当時、スイーツは食間に食べるものという前提もあり、本当に朝食でいけるのかを検証する必要がありました。
そこで、現場、つまり朝食を出している場所に行ってヒアリングとアンケートを実施しました。
結果、パンの代わりに、手軽にどこででも朝食として食べられるマフィン風のものがいけそうだとわかってきました。
こうしたプロセスが、「仮説を立てたら、次は検証する」ということです。とにかく徹底的に現場で情報収集して、仮説が正しいかどうかを確かめるのです。
そして、その結果、仮説が間違っていなければ、その仮説を実行するステップに進んでいきます。
仮説を検証していく段階では、目の前の思いついたことから、やみくもに作業を進めていくわけではありません。
行動に取りかかる前に、全体の設計図をつくります。
つまり、「バリューを出す」というゴールに向けて、全体から鳥の目で俯瞰できるような「地図」を描くのです。段取りが悪い人は、たいていこの「地図」をもっていません。
目の前のことや思いついたことから作業をはじめてしまうので、重要な作業を後回しにしたり、やらなければならない作業を忘れてしまったりします。
ミニマム思考の人は、最初に全体像を把握して、常にそれを意識して仕事を進めます。
これが全体を設計する技術です。
コンサルタント時代に、これを叩き込まれたおかげで、それがいつしか習慣となり、今では常に、今の仕事が全体のどの部分なのか、自然に意識するようになっています。
先述した「50代男性にウケるスイーツを提案できないだろうか」という仮説に戻ると、この場合であれば、それを検証するための作業を事前にすべてピックアップします。
たとえば、「50代男性のスイーツ市場調査」などは欠かせない作業です。
また、競合の動向や自社のリソースの調査なども必要でしょう。
やるべきことを実際に設計図に落とし込めば、必要な時間が見えてきますし、優先すべき仕事も見えてきます。
作業のヌケやモレを防ぐこともできるので、あとで「あれをやっていなかった!」とあわてることもなくなります。
「今から30分で新規事業のアイデアを出してほしい」というケースでは、さすがにじっくりと設計図をつくっている暇はありません。
しかし、頭の中にやるべきことの設計図をなんとなくでも描く思考が身についていれば、30分のうち15分を使って、「50代男性にウケるスイーツのアイデアをできるだけたくさん出すこと」、そして、「社内の自分のまわりにいる50代の人最低3名、できれば15名くらいに、どんなときにスイーツを食べているのかや、出てきたスイーツのアイデアを食べてみたいかなど、さっとヒアリングして検証してみること」が優先事項だとわかります。
どんな仕事にも期限があります。
「いつでもいいからやっておいて」という仕事は存在しません。
あるとすれば、それは価値のない仕事の可能性が高いでしょう。
ですから、やってもやらなくても仕事の成果や評価には結びつかないはずです。
一流の仕事人は、限られた時間の中で最高のパフォーマンスを出します。
たとえば、一流といわれるサッカー選手は、前後半90分という時間の中で結果を出します。
得点できないからといって、「あと5分延長してほしい」などとは言えません。
90分という限られた時間の中で、ゴールという成果を生み出せるから、一流のサッカー選手として活躍できるのです。
将棋のプロ棋士も、対局では、それぞれ考えるためのもち時間があり、無制限に次の一手を考えることはできません。
どんなにすばらしい手を考えても、時間がオーバーしては意味がないのです。
もち時間内で最高の一手を導き出し、相手に「まいりました」と言わせる必要があります。
一流の料理人も同じ。
お客様を2時間も3時間も待たせるわけにはいきません。
注文を受けてから数十分の間で最高の料理を出さなければ、お客様を満足させることはできません。
仕事をはじめる前に明確にゴールをイメージするミニマム思考ができる人もまた、限られた期限の中で、最高のパフォーマンスを生み出します。
たとえば、マッキンゼーのコンサルタントなら、約3カ月から6カ月という決められた期限の中でクライアントを納得させるような成果を出します。
ミニマムに考えて行動することを徹底的に訓練されるのです。
そのために、仕事に取りかかる前からゴールイメージを描くことが重要です。
ゴールが決まっていれば、そこから逆算して作業の段取りを組み、全体設計図を描くことができます。
ゴールがはっきりしていると、やるべきことも明確になります。
つまり、〝今〟集中すべきことが明確になるということ。
一方、ゴールが定まっていなければ、手当たり次第に作業をし、必要ではない作業までせざるをえなくなります。
すると、短時間で最高のパフォーマンスを得ることはむずかしいでしょう。
全体設計を描き、常に描いた全体像を意識して作業することで、仕事のムダがなくなり、質とスピードは格段に向上します。
たとえば、マッキンゼーのコンサルタントであれば、明確な最終アウトプット(最終成果物)のイメージをもっています。
具体的には、クライアントへのプレゼンテーションで発表するためにまとめる数十枚の「資料」こそが最終成果物となります。
もちろん、仕事に取りかかる時点では、資料の中身まではイメージできていないことがほとんどですが、「最終的に30枚程度で資料をまとめて、クライアントに喜んでいただく」といったバリューを実現するゴールイメージをもっています。
このようにゴールや最終成果物を意識しながら仕事をするには、アウトプットをデザインすることが必要になります。
これは、どんな仕事にも求められる技術です。
「自分の最終アウトプットは何か?」この問いに明確に答えることができるようにすること。
そして、常にそれを意識して、今の作業が全体のどの部分の作業なのか、その作業が最終アウトプットにつながる作業なのかを把握して作業を進めるのです。
あなたが営業マンであれば、お客様に商品・サービスを買ってもらう状態が最終成果となり、企画を立てるのが仕事であれば、企画書そのものが最終アウトプットとなるでしょう。
商品のキャンペーンを打つプロジェクトが仕事であれば、それによって商品が売れることが最終成果物になります。
成果は「空・雨・傘」でまとめる「今から30分で新規事業のアイデアを出してほしい」と指示された場合、ミニマム思考の人は、まず最終アウトプットをイメージしてから、アイデア出しに取りかかります。
与えられた30分のうち、最終アウトプットとしてまとめる時間はせいぜい5分程度。
大量の資料を用意している余裕はありません。
こうしたときに役立つのが、フレームワーク。
「思考の型」と言い換えてもいいでしょう。
マッキンゼー時代、解決策を打ち出すときに、「空・雨・傘」というフレームワークを活用することを徹底させられました。
出かける前に空を見上げたとき、真っ黒な雨雲に覆われているという「事実」があったとしたら、普通の人は雨が降ってきそうだと「解釈」します。
そして、傘をもって出かけるという「行動」をとるでしょう。
・空……現状はどうなっているか(事実)・雨……その現状が何を意味するか(解釈)・傘……その意味合いから何をするのか(行動)このように「空・雨・傘」のフレームワークを用いることは、現状の分析や検証を経た解決策を論理的に伝えられるため、説得力をもったアウ
トプットとなります。
したがって、マッキンゼーのコンサルタントであれば、「今から30分で新規事業のアイデアを出してほしい」と言われた瞬間に、「空・雨・傘」でまとめようとアウトプットをイメージし、仮説の検討や全体設計を進めていきます。
そして、最終的に次のように「空・雨・傘」でまとめた資料を上司に提出するでしょう。
・空……50代男性の売上シェアが少ない・雨……糖尿病など生活習慣病を気にする年代だから・傘……糖分を抑えたスイーツの開発こうしたフレームワークを最終的なアウトプットのイメージとして段取りを進めれば、思考のスピードは上がり、相手を納得させるアイデアを出すことができます。
つまり、「質×スピード」を兼ね備えた仕事が可能になるのです。
ミニマム思考は、「仮説を立てる」「全体を設計する」「アウトプットをデザインする」という3つの技術から成り立っていますが、これらを実践していくうえでは、どのような手順で最終成果物を出すかという具体的な「段取り」が必要になります。
みなさんは、「段取り」と聞いてどんなことをイメージするでしょうか。
段取りには、大きく分けて2つの種類があります。
ひとつは、ゴールに向けた「流れ」としての段取り。
仕事やプロジェクトは、いくつかのプロセスによって成り立っています。
その道のりを明確にし、段取りを最終成果物までの地図ととらえることによって、ミニマムに仕事を完遂できます。
こうした考え方を実践するために必要となるのが「全体を設計する」「アウトプットをデザインする」といった技術なのです。
もうひとつは、1個1個の作業の質とスピードを上げるための段取り。
たとえば、資料の束をコピーするとき、1枚ずつではなく、ソート機能を使ってまとめてコピーすることによって作業の効率と効果は上がります。
これらは作業そのもののスピードを上げるための「スキル」といえます。
多くの人は、段取りというと後者のスキルをイメージしがちですが、質とスピードを同時にアップさせるには、流れとしての段取りを意識しなければなりません。
ミニマム思考ができる人は、目標を達成するための最短の「流れ」を意識しながら、そのうえで段取りを組んでいきます。
小手先のスキルだけが「段取り」ではない仕事は「流れ」の中でこなしていくものです。
一つひとつの作業は、最終的な成果物に到達するためのステップにすぎません。
たとえば、営業の仕事でも、アポ取りだけが仕事ではありません。
そのあとに、顧客を訪問したり、提案書を書いたり、アフターフォローをしたりといったステップを踏まなければなりません。
ひとつだけで完結する作業はないのです。
したがって、ひとつの作業をスピードアップさせるスキルを学ぶことも大切ですが、「流れ」としての段取りを意識しなければ、質×スピードは向上しません。
たとえば、インターネットなどの情報から「仕事の速い人はメールが届いた直後に返信する」ということを知って実行する人がいます。
学んだことをすぐに実行に移すことは称賛されるべきですが、それは小手先のスキルにすぎません。
届いたメールに対して律儀に即レスポンスをしていたら、他の作業が中断して集中力が途切れ、かえって仕事の進捗は遅れ、質も低くなってしまうおそれがあります。
なんでもかんでもすぐに返信するのではなく、すぐに返信すべきメールと後回しにしてよいメールを振り分けたり、返信する時間のルールを自分で決めたりするなど、仕事全体の段取りの中で、スキルとしての段取りを活用していく必要があるのです。
流れとしての段取りを意識するためにも、全体設計図で仕事の全体像を把握しておく必要があります。
仕事の全体像を意識できていれば、今、フォーカスすべきものが見えてきます。
第5章では、このようなワンランク上の超・段取り術について具体的に解説します。
五感を整えて究極的に仕事の「質×スピード」を高めるここまでお話ししたことがミニマム思考の概要になりますが、さらに仕事の「質×スピード」を高めるにはどうすればよいのでしょうか?私は、体や仕事をする環境を、なるべくベストコンディションに近づけておくことだと考えています。
徹夜したり、体に異常を抱えていたり、心がかき乱されたりしていれば、パフォーマンスが上がりづらくなるのは誰しも経験していることだと思います。
逆に「五感」が研ぎ澄まされ、集中力が上がっている状態だと、同じ時間でもはるかに密度の濃い時間となり、「質×スピード」が劇的に向上することも経験しているのではないでしょうか?第6章では、この「五感」を研ぎ澄ます習慣について、お話しします。
以上、ミニマム思考についてざっと説明しました。
次の章からは、ミニマム思考の各構成要素をさらに掘り下げていきましょう。
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