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第7〓早 実践5S 躾で崩れない 5Sをつくろう

3愛の心は躾の前提

躾において、躾を行う側の人間の備えるべき条件は 「愛」です。

これは人間としての基本的条件かもしれま せんが、自分が生きていく根底で、人を愛し、自然を 愛し、モノを愛する。

こんなごくごく当たり前の心が 躾を行うための基本原則なのです。

そして、躾を行う側は、この当然とも思える基本原 則をしっかりと身に付けていること、つまり3つの愛す る心が必要となります。

それは「人への愛」、「地への 愛」、「モノヘの愛」の3つです。

●「人への愛」 職場がどんなに機械化されようとコンピュータ化さ れようと、それをつくり上げ、運営する基本要素の1 つとして人がいます。

その人には、上司と部下がいて、そこに叱り手と叱 られ手が存在します。

このすべての人を愛する気持ち が脈々として流れていない人には、部下に躾を行う資 格もありません。

●「地への愛」 人は生きているかぎり、必ずどこかに身の置きどこ ろ、心の置きどころを持っています。

そしてその中で 自分を見つめ、自分を育てていくのです。

会社に勤め る者にとって、自分の身のほとんどの時間を職場で過 ごし、この中で人は悩み、周囲に教えられて成長しま す。

この自己実現を図る職場という、地を愛せない者 が仮に躾を行ったとしても、それは虚しいものです。

●「モノヘの愛」 人がいて職場があって、そこでモノがつくられたり、 モノが取り扱われたり、サービスが提供されたりしま す。

このつくられたモノや取り扱われるモノ、そしてサ ービスされるモノヘの愛情を、より強く持たなければ いけません。

それは己のすべてを注ぎ込んだ結晶であ り、己を語るものであるからです。

そこには自分の歩 んできた道がしっかりと刻み込まれています。

製品や 商品、サービスは会社や作業者の歴史を映し出します。

躾づくり5つの方策で 崩れない5Sにしよう

社長や工場長は、「5Sがすぐ崩れる」とか「躾がで きていない」と言っていつも嘆いている様子です。

しか し嘆く前に、どうしたら躾づくりができるのかを考え、 実践すべきではないでしょうか。

なぜなら、嘆いていて も1つも躾は身に付きません。

躾は一朝一夕ででき るものでもないのです。

躾はその会社の文化であり、 歴史でもあるのです。

躾のない会社の責任は、そのほとんどが会社のトッ プや幹部にあります。

嘆いたり、憂いたりする前に、次 に示す方策を1つずつ、着実に実践します。

① 叱るための土台づくり「日で見る職場」 工場や事務所では、モノの置き方や流し方、作業の やり方、情報の流し方、管理の仕方など、あらゆるこ とが目で見て、誰もがひと目でわかるようになってい なければ、叱ることさえもできません。

② 3現3即3徹での「叱り上手と叱られ上手」 目で見る職場が徹底できたら、異常な状態に対して は、「なぜ異常なのか」、「なぜ乱れたのか」という疑間と ともに、現場の躾の不足が原因であれば、厳しく叱り ます。

その際、「叱り上手」と「叱られ上手」が存在しま す。

③ 叱るための型「躾をつくる15 の教え」 乱れる、汚れる、後退する、崩れるといった弱い現場 の体質に対して、その場で厳しく叱る時に、叱る行為 を支える規範ともなる教えが必要です。

④ 全員で進める「躾づくりの全社的推進」 工場の躾づくりは1人で実践しても、また特定の部 署だけで進めても全社的な実現には結びつきません。

躾づくりだからこそ、全社的な展開と推進が必要にな ります。

⑤ 全員のアイデア「5S推進ツール」 全社を挙げて5Sを推進し、根づかせていくには、こ れを強力に推し進めるための道具も必要です。

バッジ やニュースなど全社員に行き届くツールを用意します

●躾の土台をつくる ●躾の規範を持つ ●全社展開で躾を進め

躾づくり5つの方策① 目で見る職場づくり」

改革・改善が一向に進まない会社では、何がムダな のか、何が問題なのかが判っていないことが多いもので す。

職場にまとわりつくムダや異常、問題を誰が見て もひと目でわかり、顕在化することによって、「叱れる 職場」をつくることが求められます。

工場や事務所では、モノの流し方、情報の流し方、 作業のやり方、管理の仕方など、あらゆることが日で 見て、ひと目でわかるようになっていなければなりま せん。

これは普通「目で見る管理」と呼ばれ、正常な姿 と異常な状態が、誰が見てもひと目でわかり、対処で きるようにすることを意味しています。

5Sとて例外ではありません。

整理・整頓。

清掃の 状況が良いか悪いか、誰が見てもひと目でわかるよう になっていることが要求されるのです。

これを「日で見 る5S」と言い、整理や整頓では赤札や看板、それに 区画線や形跡整頓などが該当します。

また、清掃や清潔では、清掃点検チェック表や清潔度5点チェックリスト、5S ・3定チェックリストなど が利用されます。

また、目で見る職場は、5Sに限ったことではあり ません。

生産を行ううえで、作業の中にも一定の標準 の姿が存在し、異常をいち早く発見してこれを管理す るために、職場の今の状況がひと目でわからなければ なりません。

標準的な姿がひと日でわかるということ は、叱れる職場なのです。

そこで作業面での日で見る職場の施策としては、人 と機械とモノを組み合わせて仕事のやり方を決めた 「標準作業」や、後工程が必要な時に前工程から必要 なモノを必要なだけ引き取る仕組みの道具として、「か んばん」が利用されています。

一方、管理面での日で見る職場の施策としては、ラ インの生産状況を知らせる「生産管理板」や、職場の異 常を管理者にいち早く知らせる「アンドン」が利用され ています。

躾づくり5うの方策∩) 「情けを持って現行犯で叱る L___

躾の定着化で、非常に重要なことは、「叱る」ことで す。

それも単に叱るだけではなく、いかに「情けを持っ て叱る」かがポイントとなります。

上司たる者、毅然たる態度で、持てるすべての情け を振り絞って部下を叱ります。

ただし、ここでのポイ ントは「情」です。

情のない口先だけの叱りは、心が通 じないばかりか、上辺のよそよそしさばかりが独り歩 きをしてしまいます。

情として「地」と「人」と「モノ」の3つに対する「3 愛の心」を持っていなければ、本当に心から叱ること ができません。

まず大切なことは、叱り手の叱るため の心そのものです。

よく「叱る」と「怒る」とを混同する人がいますが、 これはまったく別のものと言えます。

「叱る」では、叱 る相手を大きく伸ばそうとするのに対し、「怒る」では 逆に相手を威圧してつぶそうとします。

こうして両者を比べてみると、明るくきれいでかつ

決まりごとが守れる職場には、必ずうまい叱り手がい るものです。

これを「叱り上手」と呼んでいます。

叱り 上手は、3愛の心を胸に秘め、そして情けを持って、現 行犯で部下を叱ります。

そこに5Sを基礎とした、モ ノづくりの深いきずながあるとしたら、まさに「怒る な、叱れ!」なのです。

また、職場にはこれをうまく受 け止める「叱られ上手」が存在します。

今の世の中、あまりにも大人たちが「叱る」ことをし なくなりました。

叱るということは、怒ることではな いし、怒鳴ることでもありません。

「叱る」のです‥辱情 を表に出し、自分の高ぶった気持ちを相手にぶつけて 制するための「感情的行為」が怒るとか怒鳴るであっ て、叱るは、内面に情を蓄え、これを抑えて、相手を 大きく伸ばすためにする「理性的行為」です。

このためにも、叱るために「情けを持って」、「現行犯 で」、「職長を叱る」3つのポイントが重要です。

●ポイント1「情けを持つて」 ●ポイント2「3現3即3徹」 ●ポイント3「職長を叱る」

躾づくり5つの方策③ 「躾をつくる15の教え」

子供の頃よく聞いた言葉として、「食事の前にはいた だきます」、「食事の後にはごちそうさまでした」、「朝 起きたらおはようございます」、「夜寝る前にはおやす みなさい」、「食事の前には手を洗う」、「脱いだ靴は揃え る」などがあり、生活の中からにじみ出てきた躾をつ くるための数多くの教えでした。

そして、この教えを よく見ると大きく3つに分類できるのです。

1つは、挨拶や他人に迷惑をかけないという、人と して社会人として当然身に付けているべき「道徳事項」 であり、個人の内面からにじみ出る心の規範です。

2つ目は社会的ルールや安全。

衛生上での規範を厳 しく守るという「順守事項」があり、これにより、個人 の内面的な心の規範と、社会一般のルールや規律との 架け橋がつくられるものです。

3つ目は、他人にしてはいけない行為や自分を厳し く律するための「禁止事項」です。

従来躾の教えは、家事や仕事など社会生活の中で、 ことをよリスムーズに進めるための、生活の知恵や技 術から成り立っています。

社会生活に馴染ませるため に、躾は幼年期に行われ、家事や仕事に向かう態度や 作法、仕草をつくり上げました。

この社会生活での枠 が「躾の型」となり、言葉となったのです。

しかし、戦後このような躾づくりは、人間を型には めて定形化するとか、軍隊的教育だなどの理由から行 われなくなってしまい、現在では、社会生活での規範 といった、基本部分を欠落させたまま、社会人になって しまう若者が多く見られるようになりました。

工場では社会的規範に加え、「モノづくり」に欠かせ ない技術、品質、安全、納期など、工場特有の規範や 規律が要求され、工場の躾を形づくる約束事や教えと して型が求められているのです。

生産活動や業務運営 の中で先人たちが経験してきたもので、挨拶や服装、 安全や作業方法など15 のジャンルに分けられ、「躾をつ くる15 の教え」としてまとめられています。

●個人の内面からにじみ出る「道徳事項」 ●規範を厳しく守る「順守事項」 ●厳しく律するための「禁止事項

躾づくり5つの方策④ 奈‐ ■ ・倖」佳〓

躾づくりは一個人でやるには難し過ぎます。

また、 会社の特定の部署だけがやるものでもありません。

安 全に取り組む姿勢や、不良に対する断固とした考えな ど、すべては会社の基本となる精神であり、企業文化 に通じる中身です。

そこで躾づくりとその定着化は、全社を挙げて実践 することが必要となります。

躾づくりの全社的運動は、会社全体で行う年間行事 と、各テーマ別に繰り広げられる実践活動の2つから なります。

年間行事は躾づくりにおける、全社的なお祭りと考 え、5S月間、5Sセミナー、5S見学会、5Sモデル 職場、5Sコンテスト、5S表彰制度、5S写真展、5 S∨丁R大会などを開催します。

いずれにしても、トップ自らが先頭に立ち、行事を 催すことで、5Sの取り組みへの情熱を訴え、これによ って各職場の競争意識や活性度を高めていきます。

また、実践活動は全社的推進テーマを実現するため のもので、躾の習慣化、動機付けに大いに役立ちます。

これには、5Sデー、5Sパトロール、トップ巡回、赤 札作戦、看板作戦、5分間5S、lSl分運動、朝タ 礼1分5S、社内放送5Sメッセージなどがあります。

これらの行事や活動は推進室が中心となり、年間の 活動計画に盛り込みます。

そして、各部署から事務局 に集結して、全部署が何らかの形で関わる体制をつく ります。

開催前や実施前には必ず、全社員に通知し、 会社の行事として行うことをはっきりさせましょう。

また、コンテストや5S表彰、5S見学会、トップ巡 回、赤札作戦などにおいては、必ず結果や報告書をま とめ、やはり全社員がわかるように掲示したり、結果 報告として通知しましょう。

その結果、1人ひとりの 実行した活動が、全員に知られることで、活動参加ヘ の自覚が湧いてきます。

●年間活動計画を立てる ●全社活動として通知。

通達を行う ●結果報告を必ず全社へ向けて通知する

躾づくり5つの方策 「5S推進ツール

会社で働く人たちの年齢の幅は16 歳から、定年の違 いはあるにせよ60 歳くらいまでです。

その差なんと“ 年もあります。

このギャップの中で会社は活動を続け、 工場はモノをつくるのです。

のどかだった昔のようには、時代はゆっくりとなだ らかに動いてくれません。

現在では目まぐるしく風景 が変貌し、経済が激変し、人の意識が変わってきてい ます。

その中でさまざまな価値観、倫理観が往来し、それ を携えた人が5名、 lo 名、100名と集まって会社が 運営され、工場が稼働しています。

現在、躾という基本を失った世間では、想像を絶す る不気味な事件が続発しています。

建設現場では道徳 を失った建物が建設され、工場では安全や品質が崩れ 出しました。

このような時代に必要なことは、もう1 度日本人の心の梁とも言える躾を定着させることでは ないでしょうか。

それもいろいろな価値観、倫理観を L__ 持 っ た さ ま ざ ま な 人 々 に 通 じ る よ う な 、 新 し い 躾 づ く りが求められているのではないでしょうか。

そこで、じめじめ、メソメツとしたイメージの暗い躾 づくりではなく、みんなが楽しみながら取り組んで実 践していけることをめざし、全員が参加し、全員がア イデアを出し、全員で活用する道具を使った躾づくり を提案します。

この「5S推進ツール」は大きく7つに分けられます。

① 標語(標語垂れ幕、標語短冊、標語リボンなど) ② テーマ強調(ステッカー、ポスター、看板など) ③ 担当決め(担当マップ、当番札など) ④ スケジュール管理(活動計画、スケジュール表など) ⑤ 写真・VTR(テーマ写真、テーマV丁Rなど) ⑥ ニュース(社内ニュース、5S記事など) ⑦ マニュアル・フォーマット(5Sマニュアル、チェックリス ト、レーダーチャートなど) 楽しいアイデアを盛り込んだツールにしましょう。

●全員参加の楽しい躾ヘ ●躾づくり7つ道具を活用する ●自分たちのアイデアを肇り込 ~ だツールに

叱り上手の3つのポイント

●ポイントー「情けを持って」 感情をむき出しにして怒った り、怒鳴ったりすることは、乱れ た職場の責任を、他人に転嫁し ているだけです。

乱れた職場は 自分の意識の鏡です。

自分にち ゃんとした意識があるなら、乱 れた職場は、自分の力が足りな かったためと嘆けばよいのです。

そんな自分を情けないと思えば よいのです。

これが「情けを持って」という ポイントです。

こうすることで、 情は感情から愛情へ変わってい くものです。

●ポイント2「その場で」 現場を巡視している最中に、 刃具が乱雑に置かれているのを 見つけたとします。

その場で叱 らずに、午後の工程会議の席で、 「オイ、A班長! きみのところ では刃具の管理がでたらめだ。

ちゃんと直しておけ」と注意し ます。

するとA班長は「はい、わ かりました」と答えます。

この時 の「わかりました」は政治家の 「善処します」とほぼ同じです。

何もしないことを意味していま す。

その場で悪いと感じさせな ければ、身にしみないのです。

職場を巡視していて5Sの乱 れを見つけたら、その場で激し く叱ることです。

その時に、自 分自身を情けないと感じて、激 しく叱ることが大切なのです。

●ポイント3「職長を」 職場で5Sの乱れを見つけて も、その乱した一般社員を直接 叱ってはいけません。

一般社員 は、紙クズを床に散らかしても、 油で床がベトベトでも平気な自 分の職場の体質を知っています。

一般社員に本質的な罪はないの です。

だから床に紙クズを投げ、 油を床へたらすのです。

紙クズが散らかっている職場 に係長を呼び付け、その場で紙 クズを手に持って、なぜ散らか すのか、なぜ散らかっても平気な のかと激しく叱り、その場で係 長に対処させます。

たしかに汚したのは一般社員 です。

しかし、激しく叱られた のは係長です。

作業者は、自分 の汚したことが原因であるとわ かっています。

さんざん叱られた 後に、係長が自分の席へ戻ろう とすると、汚した社員が仕事の 手を止めて、「係長― すいませ ん」と謝る。

係長は手を上げな がら、ひと言「いいよ」と言って職 場を後にします。

この時に、一 般社員と係長の間に仕事の絆が できるのです。

 

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