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第6章【5番目のS】しつけ(Shitsuke)って何?

目次

24「しつけ」で職場のルールを守らせる

「しつけ」とは

「しつけ」とは、決められたことが当たり前にできるようにすることをいいます。何も考えずに自然と行動できるように、習慣づけをすることです。

決められたことが当たり前にできていれば、しつけの必要はなく、当たり前にできていないためにしつけが必要になってきます。

決めたことを守らせるのは、強制力を持っている管理者の役割が必要になります。「決めたことが守れなくて困っている」と嘆いている管理者もいますがそれは強制力の発揮不足です。

「私は指導力不足です」と言っているのと同じようなものです。不適合の60%以上が「決めたことが守られない」ために起こるといわれます。決めたことを守らせることが重要です。

「しつけ」いかんで、品質やいろいろな職場の取り組みを左右させることになるのです。最後の「S」ですが、とても重要な「S」です。

「しつけ」とは、守るべきルールを守らせること

職場に道具が使ったまま放置してあったり、作業台の上にいろいろなものが散乱していたり、また、工場を巡回したときに顔を見てもあいさつがなければ、「この会社はしつけができていない」と思うでしょう。

「しつけ」は、人に対する対応の仕方から、生活をするうえで大切なコミュニケーションの手段になるあいさつが確実にできるようにすることや、決められたルールが守れるようにすることまでが含まれます。

つまり、「しつけ」とは、私たちが日常生活をするうえで守るべきことが、当たり前に守れるようにすることであり、「しつけ」は、生活をするうえでの基本でもあるのです。

また、「しつけ」で守るべきルールを守らせることは人材育成の基盤にもなり、その基盤ができていなければ色々なことを教育しても身につかないのです。

このため、守るべきルールを理解させ、そのルールを根気強く一つひとつできるようにする取り組みが「しつけ」といえます。

目的を理解させて習慣化させる

目的が理解できなければすぐ元に戻る。目的を理解できるから守ろうとする。目的を理解させれば習慣化もしやすい。目的を理解させることも「しつけ」です。

自然とできるまでは強制。それが「しつけ」

「しつけ」は「身につけさせる」ことが重要です。つまり、身につくまでは、誰かが教育したり指導したりして、自然とできるようにしなければならないことになります。

たとえば、子どもが物心ついたときに、誰もあいさつをする習慣を教えなければ、その子どもはあいさつする意味も大切さもわからないでしょう。

でも、誰かがあいさつの大切さを教え、毎日あいさつするように教育すると、当たり前にあいさつをするようになります。

「しつけ」とは、放っておいて自然にできるようになるのではなく、誰かが教えたり指導したりして、自然とできるようにすることをいいます。

逆にいえば、自然とできるようになるまで教え込むことであり、いい換えれば、できるまでは、強制的にできるようにすることなのです。

「しつけ」も人材育成の一環

従業員は会社の看板。いい看板にするためには、いい「しつけ」が欠かせません。つまり、「しつけ」は人材育成の一環なのです。

「しつけ」を教え込むのが管理者の最大の役目

「言っても聞かないから」と、自然にできるまで教え込まずに途中でやめれば、それは「しつけ」をしたことにはなりません。多くの人は、面倒なことはしたくないと思っています。

たとえば、道具を使えば、わざわざ元に戻すのは面倒ですし、トイレのスリッパをそろえるのも面倒だと思っているでしょう。

ですから、道具を元に戻すのを忘れたり、トイレのスリッパをそろえていなかったりするのです。

そのような状態を見て、誰も注意しなければ、そのままになるとともに、戻したりそろえなかったりした人も、それがよくないことだと気がつきません。

その「悪さ加減」を気づかせ、元に戻したりそろえたりを何回も何回も習慣になるまで「しつけ」をすることが管理者に求められているのです。

しかし、相手もてごわく、何回言っても守ろうとしないことが多々あります。その守ろうとしない人に対して、「なぜ守れないんだ」と問いかけても答えは返ってこないでしょう。

それは、大きな理由がないためです。ですから、強制的にその場で「すぐやるように」と、ことあるごとにやらせることも必要なのです。

目的を理解させて「しつけ」をする

最初は強制力を発揮する必要がある「しつけ」ですが、単純に「ルールを守れ!」と強制するだけでは、次第に反発を招き、ルールを定着させるのが難しくなります。

「なぜルールを守らなければいけないのか」「ルールを守らなければどうなるのか」という、ルールの「目的」や、その影響度を理解させ、納得感を与えるように指導することも大切です。

相手を見て言い方を変える

「命令口調」「お願い口調」「諭し口調」など、相手の性格に合わせていろいろな口調を使い分けるのもしつけの技術です。

25「あいさつできる職場」は職場づくりの基本

「あいさつ」は営業活動でもある

「しつけ」は、「決められたことが当たり前にできるようにすること」です。

そして決められたことが当たり前にできることの中でも基本中の基本といわれるのが、「あいさつ」をすることです。

朝、会社に来たとき「おはようございます」と元気にあいさつされると元気をもらった気がします。相手を気持ちよくするのがあいさつです。

同じように、事務所や工場に取引先の方が来られたとき、「おはようございます」とか、「お疲れ様です」と大きな声であいさつすると、「この会社は元気があって気持ちがいい」との印象を与えます。

つまり、事務所や工場でのあいさつは、事務所や工場ができる営業活動のひとつといえます。

上司が手本を示そう

みなさんの会社では、朝出勤したときに元気に「おはようございます」とあいさつすると、早く来ている人も「おはようございます」と返していますか?出勤してきた人はあいさつしますが、すでに出社している人は無言という会社も、なかにはあります。

しかし、あいさつはコミュニケーションの基本であり、お互いがあいさつを交わし、気持ちのいい1日のスタートが切れるようにすれば、職場の活性化につながっていきます。

朝の出勤時、出張から帰ったとき、お客様が来られたとき、帰られるとき、仕事が終わって帰るときなど、その時々であいさつするのは大切なことです。

その大切なあいさつを全員が元気にできるようにするためには、上司が手本となって元気な声であいさつをすることです。

部下が「おはようございます」とあいさつしたとき、上司がジロッと睨んであいさつしなければ、部下もあいさつをしなくなり元気な職場はできません。

やはり上司が手本を示し、率先して元気な声であいさつしてこそ、元気な職場ができるのです。

「あいさつ」を定着させる「オアシス運動」

あいさつの大切さは誰もが知っていますが、すぐできない人がいるのも事実です。

そのすぐできない人を含めて、キッチリあいさつができるようにする活動に、朝礼時に決められたあいさつを唱和する「オアシス運動」や「三つのオ運動」があります。

オアシス運動とは、「おはようございます」「ありがとうございます」「失礼(しつれい)します」「すみませんでした」の頭文字をとったもので、「三つのオ運動」とは、「おはようございます」「お疲れ様です」「お気をつけて」の頭文字をとったものです。

いずれも、朝礼などみんなが集まったときに唱和することにより、「自然とすぐ言える」「全員、同じあいさつができる」「元気な声が出せる」ことを狙いとして行われています。

「あいさつをわざわざ朝礼で唱和しなくても……」と思われる人もいるでしょうが、元気なあいさつが当たり前にできるようにするのは、職場づくりの基本であり、第三者に好印象を与えるとても大切な取り組みです。

トレーニングで元気なあいさつができる

できないことをできるようにする。苦手なことを克服できるようにする。習慣としてできるようにする。それがトレーニングです。

26「報・連・相」で約束事を守らせる

約束事は社会人として守らなければならないもの

私たちは仕事をするとき、約束事(=職場のルール)が守られるのを前提に行動しています。前提である約束事が守られなければ、計画的な行動や職場の秩序の維持が難しくなるでしょう。

約束事は、「あいさつをする」「使ったものを片づける」といった職場の秩序を維持するものから、「報・連・相」のように、仕事をするうえで欠かせないものが大半であり、それを守るのは決して難しいものではありません。

約束事が守れずに、不適合やクレームになることも珍しくありません。ですから、約束事を守るのは、職場の秩序を維持したり品質を維持したりするうえで非常に大切です。「しつけ」は、その約束事の大切さを理解させ、守らせるための取り組みでもあります。

約束事の基本「報・連・相」を徹底しよう

職場を維持するための重要なルールの中に、報告・連絡・相談(略して報・連・相)があります。

これは、仕事を指示したり指示されたり、また、お互いが連携して仕事をするうえで、欠かせないルールです。

指示したり指示されたり、お互いが連携して仕事をするとき、

  1. ①報告がなければ問題把握ができない
  2. ②連絡がなければ連携した行動がとれない
  3. ③相談がなければ、問題が起こった後で手を打つ

「後手管理」になることになり、多くの問題を発生させることになります。逆に、報・連・相がキッチリできていれば、同じ目的に向かって取り組むことができます。

つまり、報・連・相は、職場でのコミュニケーションの基本ルールといえるのです。最近は、メールが活用されているため、報・連・相がやりやすくなっていますが、すべてメールですましてはいけません。

メールは一方通行のため、一方の考え方を流すだけで、相手の考え方を聞きながら調整することができないためです。また、微妙な言い回しもメールでは難しいでしょう。

ですから、「メールでやりとりしています」と、メールだけで報・連・相をすまそうとするのは危険です。

「報・連・相」で職場の活性度合いがわかる

  • 報・連・相のできている職場はミスがない。
  • 報・連・相ができている職場は活力がある。
  • 報・連・相ができていれば一体感のある職場ができます。

報・連・相で大切なことはタイミング

報告するタイミングが悪ければ、方向づけがズレてくることがあります。そして、連絡が遅ければ、手を打つタイミングが遅れ、大きな損害を出すことになります。

さらに、相談のタイミングがズレれば、違ったものができたり、クレームにつながったりすることがあります。

ニュースに出てくる不祥事などを見ると、報・連・相ができていないために発生したものや、手を打つタイミングが遅れて大きな問題になっていることがあるでしょう。

それほど、報・連・相は大切であり、報・連・相のタイミングも大きな影響を与えるのです。

27すぐ、確実に指導できる環境をつくる

すぐ指導できる職場にしよう

「決められたことが当たり前にできるようにする」ためには、指導したことが実行されているかを確認しなければなりません。そのため、指導された人が、指導したとおりに行動しているかを観察する必要があるでしょう。

そして、指導したことができていなければ、「ちょっと……」と呼び出し、なぜできないのか原因を見つけ、できるようにすることが大切になってきます。

できない原因を見つけてできるようにするためには、現場で現物を観察しながら、おかしいところを確認することが重要です。

気がついたときにその場で指導することが、「しつけ」をするうえで大切です。その場で注意すれば、注意された人もすぐ身につけるようになります。

また、すぐ注意してコミュニケーションをとることが、ルールを守る大切さ、報・連・相の必要性を理解することにつながっていきます。

指導したことが確実に実行できるようにする

指導したことが確実にできるようにするためには2つのポイントがあります。1つは、できていない原因を現場で現物を観察しながら確認してつぶすこと。

もう1つは、決めたことを一覧表にまとめたチェック表をつくり、「決めたことが確実にできているかどうか」がわかるようにすることです。

何か不具合が出れば、「こうしよう」といった取り決めをします。また、何かを実施するときには注意点などを指示します。これらを一覧表にまとめます。

いろいろな決めごとや新たに決めごとをつくったときは、それを守りながら仕事をしますが、日を追うごとに決めごとを忘れ、いつの間にか守られずに、それが不適合の原因になったりしています。

一度つくった決めごとは徹底して守らせ、習慣化するまでやらせることが大切です。そのためには、決めごとを一覧表にまとめ、決められたことが守られているかどうかがわかるチェック表をつくり、定期フォローができるようにし、決めごとが確実に守れる仕組みをつくります。

決めたことが定着するまでチェックする

決めごとを決めることはかんたんにできます。決めたことを定着させるのは根気がいります。だから、決めたことを定着させるためには、一覧表にして日々のチェックが大切です。

決めごとの本来の目的を果たすように指導する

決めごとを一覧表にしてみんながよく見えるところに掲示すれば、忘れかけた決めごとを思い出すとともに、「ちょっと……」と、やっていない人を呼び、注意しやすくなるでしょう。

この決めごと一覧表は、「品質関係」「設備関係」「安全関係」「5S関係」などに層別し、その項目ごとにまとめれば、指導状況がわかりやすくなります。

決めごと一覧表を作成するうえで大切なことは、決めごとの目的がわかるようにすることです。

決めごとの目的を理解しなければ、何のためにやっているのかがわからず、決めごとを守る大切さが理解されません。

そして、目的と実施している内容が合わなければ、内容を見直すようにします。決めごとの本来の目的を果たすように指導するのも「しつけ」なのです。

28成長させる指導を心がける

注意することが相手を伸ばす

決められたことが決められたとおりにできるようにするためには、できていないときにその場で注意することが肝心です。

この「注意する」が意外に難しく、つい、相手の立場やそのときの雰囲気、また、気まずくなることを嫌い、「ま、いいか……」で見過ごしてしまうことが多いようです。

この、「ま、いいか……」は妥協と同じで、妥協してしまえば、「しつけ」をあきらめたも同然になります。

逆に、注意してその人が行動を改めれば、そのぶんだけその人が成長したことになります。また、自分のおかしいところに、気がついていない人が意外に多いものです。

注意されて、「えっ?それはやってはいけないの?」と改めて気がつく人が多いのです。このため、気がついていない人に気づかせることは、その人の今後の行動が改まることになり、注意された人にとってはプラスになります。

ほとんどの人は、「自分はやっている」「がんばっている」と思っています。

いい換えれば自分の行動を顧みていないのですが、「これができていないよ」と行動を見直させることは、結果として成長させることにつながっていきます。勇気を持って、できていないことはどんどん注意することが大切なのです。

注意された人のフォローは不要

注意された人に、「気にするな」とフォローをしてはいけません。気にしてほしいから注意したのであり、無責任なフォローは、成長を妨げます。

「注意」する際に気をつけたいこと

注意の仕方にも、厳しい口調、やさしい言葉、人を通じて伝える、などいろいろあります。

たとえば、気の弱い人に強い口調で注意すれば、それは注意したことにはならず、相手から反感を買うかノイローゼにさせることになりかねません。

でも、反論しない人には、つい強い口調になってしまったり、逆に、反論する人にはやさしく言ったりする傾向があります。

それは、成長させようとして注意しているのではなく、人の顔色をうかがって言い方を使いわけているだけで、気づかせる注意になっていないといえます。気をつけましょう。

成長させる「しつけ」をしよう

「しつけ」は、しつけをする人が相手をどのように育てたいかをまず描き、その描いた成長計画に基づいて、注意したり礼儀作法を身につけさせたりすることが大切です。

たとえば、「何のために片づけるの?」とか、「この部品の在庫はどうして決める?」と聞き、目的ややろうとしていることを理解させる教え方もいいでしょう。

「しつけ」のやり方にも、その人を成長させようとする方法と、相手のことを考えずに自分の考えを押しつける方法がありますが、その人を成長させる「しつけ」を心がけることが大切です。

職場は、その職場で働いている人が成長しない限り、会社・上司がどのようなすばらしいことをやろうとしても定着していかないことを理解しましょう。

注意も目的を理解させながらする

注意されて「してはいけないことだ」と気づかせるためには目的をしっかり理解させることが肝心です。ただ「ダメだ!」「ダメだ!」と言うだけでは注意したことにはなりません。

column65S実践講座6「根気」と「やる気」を大切にする

■「根気」がなければ5S活動は定着しない

何かを定着させようと思えば、何回も同じことを言い、その場で実行させ続けなければ、定着しないことは理解いただけると思います。

しかし、一度できたからと思って安心していると、元に戻っていることが多くありませんか。5S活動は、「根気」との勝負なのです。

言ったことをなかなか実行しない相手と、実行させようとする側との長い戦いに負けてはいけません。

■「根気」の勝負に勝てば「やる気」になる

仕事の区切りに清掃ができるようになると、職場はきれいになっていきます。そうすると、維持しようとする気が起きてきます。つまり、「やる気」が出てくるようになるのです。

5S活動を定着させるためには、「根気」が必要になり、「根気」の戦いで5Sが定着し、職場が変化してくると「やる気」が出てきて、職場はさらによくなっていきます。

「根気」と「やる気」は表裏一体といってもいいでしょう。「根気」がなければ「やる気」もなくなり、「根気」が持続すれば「やる気」も持続します。「根気」と「やる気」は、どちらが欠けてもうまくいかないのです。

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