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第5章KPIを作ってみよう

目次

01KPIステップの復習

いくつかの事例を見てきました。

これらも参考にしながら、みなさんのKPIを作ってみましょう。

復習になりますが、ステップは以下の通りです。

ステップ①KGIの確認(例)利益○○億円がKGIステップ②ギャップの確認「現在」と「KGI」のギャップステップ③プロセスの確認モデル化ステップ④絞り込みCSF(最重要プロセス)の設定ステップ⑤目標設定KPIの目標数値は○○ステップ⑥運用性の確認整合性・安定性・単純性の確認ステップ⑦対策の事前検討KPI悪化時の対策と有効性の事前検討ステップ⑧コンセンサス関係者との合意ステップ⑨運用ステップ⑩継続的に改善

02KPIマネジメントを始めるための事前準備

まず、事前準備です。

最初に、作成日と作成者を記入します。

次に、ワークシートに「KPI設計書」のタイトルをつけます。

KPI設計書には「対象」「目的」「期間」を明記します。

本稿では次の3つの具体的な事例をもとに説明していきます。

(A)会社単位のKPI=業績目標(B)商品レベルのKPI=事業計画(C)個人に落とし込んだKPI=ダイエット各自それぞれのKPI設計に合わせてアレンジしてください。

例えば、A~Cの「対象」「目的」「期間」は以下のように設定します。

(A)対象:フォレスト商事目的:業績目標達成期間:2018年下半期(2018年10月~2019年3月)(B)対象:商品B目的:事業計画達成期間:2018年度(2018年4月~2019年3月)(C)対象:自分目的:ダイエット期間:1年間(2018年6月~2019年5月)目的と期間を明確にしておくことで、関係者間で検討の範囲を明確にできます。

「こんなの当たり前じゃないか」と思うかもしれませんが、これらがずれているのに気づかずに議論しているケースがあります。

そんな事態を事前に防いでおきましょう。

ジョブ・アサインを曖昧にしない続いて、関係者を記載します。

最終決裁者、承認者、事務局を記載します。

(A)最終決裁者:○○社長承認者:ボード会参加者事務局:経営企画室Aさん・Bさん(B)最終決裁者:○○部長承認者:商品企画会参加者事務局:企画課Cさん・Dさん(C)最終決裁者:自分承認者:妻事務局:妻・ジムトレーナこれは、誰が最終的に決めるのか、誰が議論途中の承認をするのか、そして誰が事務局となって汗をかくのかを関係者間で明らかにしておくことが目的です。

いわゆる「ジョブ・アサイン」です。

日本企業は、これを曖昧にするので、無駄な工数が増え、結果として業務が増えてしまうことがあります。

それを事前に避けておきましょう。

これらの事前準備をしておくと、これ以降のステップが進めやすくなります。

03KGIを確認する

事前準備で「対象」「目的」「期間」を記入しました。

これを確認します。

ここで記入するKGIは、今回検討している「対象」が、この「期間」に、この「目的」を達成した場合の数値目標です。

(A)対象:フォレスト商事目的:業績目標達成期間:2018年下半期(2018年10月~2019年3月)(B)対象:商品B目的:事業計画達成期間:2018年度(2018年4月~2019年3月)(C)対象:自分目的:ダイエット期間:1年間(2018年6月~2019年5月)(A)(B)については、事業計画のドキュメントがあるはずです。

それを確認しましょう。

ドキュメントは、中長期のものと短期(=今期)のものなど複数あるケースがあります。

両方とも記載しておくか、最終決裁者などに確認をしておきます。

例えば、(A)KGI:営業利益10億円(3カ年事業計画書):営業利益11億円(今期事業計画書)(B)KGI:売上3000万円などです。

(C)のように個人的なダイエットの場合は、健康診断などで具体的な数値が明確な場合もあるかもしれませんが、プライベートな話なので自ら作成する必要があります。

標準体重と期間などを参考に数値設定を行います。

(C)KGI:体重66㎏(▲4㎏70㎏→66㎏)などです。

04ギャップを確認する

ギャップの確認とは、KGI数値と現状のまま「期間」終了を迎えた場合のシミュレーション数値を比較して、「見える化」しようということです。

(A)KGI:営業利益10億円(3カ年事業計画書):営業利益11億円(今期事業計画書)(B)KGI:売上3000万円2つのシミュレーション方法この(A)(B)のケースでシミュレーションするとするならば、大別して2つの方法が考えられます。

まず1つは、前期同時期の数値を参考に特殊要因を加味する方法です。

今期シミュレーションは「前期数値±特殊要因」として表現できます。

前期同時期の数値はすでにある数値ですので入手は簡単です。

特殊要因としては、景気や市場動向の数値の変化、あるいは顧客や競合企業の変化などを加味して、当社、当事業にプラスに寄与するのかマイナスに寄与するのかを検討します。

過去の数値に対する特殊要因などの影響をチェックすると、特殊要因の重みづけも可能です。

つまり「前期数値=前々期数値±特殊要因」と表現できます。

前期や前々期の数値はすでにある数値ですので、特殊要因の寄与が確定しやすくなります。

2つめのシミュレーション方法は、今期の現場数値などの予想をベースに検討する方法です。

今期シミュレーションは「確定数値+確度を加味した予測数値」として表現できます。

シミュレーション数値からギャップを明確にするこれら前期数値を参考にする方法と今期の現場予測を参考にする方法の2つを利用して、今期の数値をシミュレーションします。

そして今期のKGI-シミュレーション数値=ギャップを明確にします。

(A)ギャップは1億円対KGI:営業利益10億円(3カ年事業計画書)ギャップは2億円対KGI:営業利益11億円(今期事業計画書)(B)ギャップは500万円対KGI:売上3000万円(C)の体重のケースもシミュレーションは同様です。

過去の数値の変化を取っているとしたら、そこからシミュレーションできます。

過去数値がない場合は、現在とKGIの差分をギャップとおいてもよいでしょう。

体重を減らす場合は、KGI数値の方が小さい数値になるので、シミュレーション数値-KGIとするとよいでしょう。

(C)ギャップは4㎏70㎏→66㎏ちなみにこのギャップがマイナス数値の場合、つまりシミュレーション数値がKGIよりもよい数値の場合はどう考えればよいのでしょうか。

その場合はとてもよい状態ですので、今の戦略を続ければよいわけです。

そのようなケースであればKPIの設定はしなくてOKです。

しかし、そのようなケースはまれです。

おおよそのケースは、シミュレーション結果だけでは、不足があることが多いのです。

その不足(=ギャップ)をどうやって補てんするのか、次節から検討していきます。

05プロセスを確認する

次のステップはプロセスの確認です。

私は、モデル化と呼んでいます。

ステップ②で確認したギャップをどうやって補てんするのかがここでの課題です。

ギャップは以下の通りでした。

(A)ギャップは1億円対KGI:営業利益10億円(3カ年事業計画書)ギャップは2億円対KGI:営業利益11億円(今期事業計画書)(B)ギャップは500万円対KGI:売上3000万円ギャップを埋めるために「何をするか」を決めるこのギャップを補てんする方法として、例えば──、◎営業が頑張って販売するその際に──、◎高い商品を販売して売上を上げる◎購買頻度を高めて、売上を上げる◎利益率の高い商品を販売して利益を上げる◎値引き率を改善して利益を上げる◎ビジネスプロセスのCVR(歩留まり)を高めて売上を上げるあるいは──、◎プロモーションをいっぱいして集客する◎経費削減してコストを減らす◎売りやすい商品を開発して、売上増と営業費用削減を同時に実現する──などが考えられます。

これ以外の方法も無数にあります。

また、これらを組み合わせることも多いと思います。

そして、結局何をするのかを明確にします。

この際に、現場が実際にオペレーションできるのかを加味して検討することが重要です。

これを加味しないと絵に描いた餅になってしまい、実行不可能になってしまいます。

スタッフがKPIを設定する際に、これを加味せずにKPI設定をして、現場に文句を言うケースがあります。

しかし、実際は、現場のオペレーションを知らない机上の空論を描いたスタッフ側に問題があることが多いようです。

3つのコストに目を向ける利益を拡大する際には、コストを下げて、売上を上げるという手順が最適です。

コストは3つに大別できます。

①無駄金(冗費)②売上に関係しないコスト③売上に関係するコスト①無駄金(冗費)を減らすことは必須です。

以前関わった企業のケースでも、印刷物、業務委託費、会議費・交際接待費を見直しただけで大幅なコストダウンをはかることができました。

安価だといわれているクラウドサービスも、例えばIaaS(インフラを利用する分だけ課金される)でも、インスタンスを持っていて利用しないケースなどは、まさに①無駄金(冗費)です。

あるいは、毎月のコストを「見える化」するだけで、コスト削減が可能です。

最近流行りのホラクラシー経営をしている会社では、すべてのコストを全従業員が閲覧できるようにしているそうです。

誰かが管理するのではなく「見える化」することで、「①無駄金(冗費)」と「②売上に関係しないコスト」は削減できます。

コスト削減していることで有名な日本メーカでさえ、外資企業が資本注入して、CEOが経費チェックを開始したことで、経費が大幅に削減できたという話を先日ニュースで読みました。

まだまだ、無駄金(冗費)、売上に関係しないコストはあるのです。

これを見直すことでギャップを小さくできます。

次に売上拡大です。

こちらも、まずは値引きの改善や不公平な契約などの見直しは必須です。

ABM(工数管理)などを行うことができれば、すべてのコストを商品や企業に紐づけることが可能になります。

以前、ABMを導入していた組織で判明して驚いたのですが、大口顧客が赤字だった事実が判明したのです。

値引きが大きく、かつ要望が高いことから、多くの従業員が工数を使っていたので、結果として赤字でした。

この顧客に関連した従業員は表彰対象にもなっていました。

赤字なのに表彰されて報奨金を支払っていたのです。

短期の利益を捨てても、将来の利益を得るというLTV(LongTermValue)を否定するものではありません。

しかし、実際はそうなっていないケースも多いのが事実です。

売上至上主義を止めるだけでも、利益を増加させることはできます。

売上増加策を検討するここまでを整備して、ようやく売上増加策を検討します。

例えば、前述の施策でコスト削減3000万円、不利益取引で売上を2000万円改善できたとすれば、(A)ギャップ:5000万円(1億円-コスト削減3000万円-不利益取引改善2000万円)となります。

売上増加策を検討するには、売上を式で表現することが重要です。

売上=量×CVR×単価×(手数料率)と表現できます。

例えば、売上=営業量×成約率×平均単価×手数料率売上=顧客数×有料課金率×平均課金額売上=顧客数×来店頻度×平均購買額などです。

平均単価は(正価-値引き額)ですので、これを加味すると、売上=営業量×成約率×平均単価(正価-値引き額)×手数料率売上=顧客数×有料課金率×平均課金額(正価-値引き額)売上=顧客数×来店頻度×平均購買額(正価-値引き額)となります。

この数式に利益率を掛けると、利益額が出ます。

利益=売上×利益率あるいは、コストを除くと利益になります。

利益=売上-コストこれらの数値からギャップを埋めるために、どの数値をどれくらい変化させないといけないかが明確になります。

ギャップを埋めるための考え方例えば、以下のモデルを前提に考えてみましょう。

売上=営業量×成約率×平均単価(正価-値引き額)×手数料率(A)のギャップは5000万円でした。

内訳は「1億円-コスト削減3000万円-不利益取引改善2000万円」です。

「利益=売上-コスト」で、コスト側はすでに3000万円の改善を見込み、不利益取引を改善。

ここでいうと値引きなどの改善を行う前提でギャップが1億円から5000万円に減少しています。

残りの変数である「営業量」「成約率」「平均単価」「手数料率」などで5000万円を改善できればよいわけです。

例えば平均単価が100万円だとすると、以下のように考えます。

営業量×成約率×平均単価×手数料率=5000万円÷100万円=50つまり営業量だけで実現するならば、50の営業量を増やせばよいのです。

内部プロセスに手を付けるのがおすすめ経験則ですが、私自身は営業量を増やすのではなく、成約率など内部のプロセスを変えることを先に検討することをお勧めしています。

営業量を増やすには、営業人員の増加に伴う、採用・育成などのコストが増えることが見込まれます。

それよりも内部プロセスを変更して、その率を高めることを志向します。

これに成功できれば、その後営業人員を増加するにしても、その量を最小限にできるからです。

成約率などCVRを上げるには、現場の観察が不可欠です。

注力ポイントを見つけるのが重要です。

何を標準化するのか。

どのようなケースに例外活動をするのかです。

今回は分かりやすくするために、営業人員を10名増やすケースを考えてみましょう。

これから2カ月以内に10名を採用して、1カ月で戦力化して、残りの3カ月で1人あたり500万円売上を上げることで、5000万円を補てんすることとします。

採用コストや育成コストはすでにコスト側で予算化しているとします。

採用プロセスをチェックすると、今までの実績では10人採用するには30人の応募が必要でした。

2カ月で30人の応募はありそうです。

しかし、採用面接から採用までの期間が平均1カ月かかっているので、採用期間の短縮をしなければ、2カ月での入社はかないません。

さらに採用期間が長くなっている原因を調べると、長くなっている原因はこちら側の面接設定にあることが分かりました。

面接終了後に、上司のスケジュール調整をしていたからです。

面接終了時に、すぐに次回の面接設定ができれば、期間短縮ができ、期間内に採用目標確保の確率が高まることが分かりました。

これで後は実行するのみです。

ダイエットの場合このような検討ステップは(C)のケースでも同様です。

(C)ギャップ4㎏70㎏→66㎏体重減であれば、「摂取カロリー-消費カロリー」をマイナスにすればよいのです。

1㎏の体重を減らすには、脂肪1グラムは7キロカロリーなので、摂取よりも7000キロカロリー消費を多くすればよいわけです。

ですので、例えば4㎏を減らすには「7000×4㎏=2万8000キロカロリー」の消費を増やせばよいことになります。

ただし、これではピンときませんね。

期間を4カ月とすると、1カ月あたり7000キロカロリー。

1日あたり7000÷30日≒230キロカロリーとなります。

数字は小さくなりましたが、これでは何をしてよいのか分かりません。

230キロカロリーとは、運動でいうと1時間30分くらいの早歩きで消費します。

食べ物ではご飯茶碗1杯程度です。

これでイメージがついてきます。

毎日早歩きするか、ご飯を1杯減らすか、あるいはそれらを組み合わせればよいのです。

ただ、運動だと1時間30分必要ですので、これだけの時間を確保して減らすのは厳しいと思います。

もちろん、筋肉量を増やして基礎代謝を増加させるのは必須です。

これは企業における、コスト削減のパートと同様です。

これをしておくと、運動量や食事制限が軽くなります。

06絞り込み(CSFの設定)とKPI

ここまでくるとかなり視界が広がってくるのが分かると思います。

ここからが大事な「絞り込み」と「目標設定」です。

最も重要なCSF(CriticalSuccessFactor)を発見し、数値に落とし込むステップです。

CSFを絞り込んでKPIを決定するケース(A)のギャップ5000万円(1億円-コスト削減3000万円-不利益取引改善2000万円)は、2カ月以内に10名の営業を採用し、1カ月以内に戦力化し、それからの3カ月で1人あたり500万円の売上を上げることで実現できることが分かりました。

また採用にあたって10名採用に必要な応募者30名も確保できそうなことが分かっています。

ただし、内定までの期間が長く、2カ月以内の入社が厳しく、その原因は上司との面接設定であることまで分かりました。

面接終了時に次回面接設定をするには、その段階で2つの情報が必要です。

それは、①応募者の次回面接可能日、②上司の面接可能日です。

そこで次のようなフローを検討します。

応募者には、事前に面接合格時に次の面接可能日を連絡してもらいます。

その情報をもとに自社の上司のスケジュールを仮押さえしておくのです。

つまり、面接実施前に次回面接仮押さえをすることがCSFです。

30人の応募者がいますので8割程度の24人に実施できればよいと設定しました。

この「24人」がKPIです。

ダイエットのケースCのギャップ4㎏の体重減でも同様です。

1日90分の早歩きか、1日お茶碗1杯分のご飯削減です。

ご飯は自宅で食べることが多いので、家族の協力のもと、晩御飯でお茶碗1杯減らすことにしました。

そして、外食をした場合は、週末に90分の早歩きを行うことにしました。

そして、それは貯金できるようにし、4カ月で16週、32日休みがあるので、25回を90分歩くことを設定しました。

これがKPIです。

07運用性を確認する

ここでは3つのポイントを確認します。

「整合性」「安定性」「単純性」の確認です。

整合性とは、KPIを達成した際にKGIは達成するのかを確認しておきましょうということです。

安定性とはKPIの数値が安定的にリアルタイムに取得できるかどうかです。

単純性とは、KPIの説明をしたときに関係者が理解できるほど単純かということです。

「整合性」「安定性」「単純性」を確認するケース(A)のギャップ5000万円(1億円-コスト削減3000万円-不利益取引改善2000万円)は、営業職を採用して売上を拡大しようという話なので、整合性も単純性もあります。

採用できたら育成はできるので、理解もしやすいです。

ただ採用する際に応募は集まりそうなものの、採用期間が長くなることが懸念されています。

これも理解できます。

この問題を分析すると、面接設定に時間がかかっているので、フローを変えて、面接前に応募者に合格時に次回の面接可能日を連絡してもらい、上司面接も仮押さえすることで、面接日設定を前倒しするというのも、整合性があり、単純ですし、フローも簡単です。

ただし例えば、複数の面接官がいる際に、どうやって面接官同士で合格の意思疎通をするのかという問題が浮き上がってきます。

共通の暗号を決めてもよいでしょうし、面接官の最終決定者を決めてもよいでしょう。

どちらにしても対応策が必要なことが浮かび上がってきます。

ダイエットのケース(C)のギャップ4㎏の体重減でも同様です。

カレンダー週末部分に赤丸か何か印をつけて合計数値を「見える化」しておけばよいでしょう。

これも単純ですし、整合性がありますし、安定的に実施できそうです。

08対策を事前に検討しておく

KPI数値が悪化した場合、つまりこのままではKPIが達成しない場合にどうするか。

これを先に決めておくステップです。

数値が悪化してから対策を検討すると、たいていは時間がないので、選択肢の幅が狭まってしまいます。

また、人・モノ・金という経営資源を大量に投入することが必要になります。

しかし、時間があると違います。

選択肢もたくさんありますし、投入する経営資源も少なくてすむのです。

対策検討の具体的なやり方ケース(A)の5000万円のギャップ(1億円-コスト削減3000万円-不利益取引改善2000万円)の場合、例えば、事前に次回面接情報が集まらないケースが想定されます。

それは応募者の場合と内部の上司の場合があります。

応募者の場合、多忙なケースとほかがあります。

多忙なケースに対して、早朝、深夜、休日の面接を設定するのかどうかが判断のポイントです。

例えば、採用活動2週間時点で目標24の6割の14の情報入手ができていない場合は、残りの10については早朝、深夜、休日の面接設定も可とするといった対応を取ります。

ダイエットのケース(C)の4㎏のギャップの体重減でも同様です。

例えば、16週中、32日の土日中25日は90分早歩きであることを決めました。

これは、週に1日程度外食をするため、そこでカロリー減できないのを補てんするためです。

ところが、想定以上に外食が増える、あるいは外食時のカロリー摂取が多かった場合、体重減に悪影響を及ぼします。

そのような場合どうするか。

方法は2つです。

夕食に加えて朝食からもカロリーを減らす、もしくは休日に加えて平日も早歩きで歩き始めるというものです。

平日だと時間が限られているので、例えば3分の1の30分の早歩きの時間を設けるというものです。

1カ月目の体重減少が1㎏に満たない場合、平日3日間30分間の早歩きを行うと決めておくわけです。

09コンセンサスを得て運用していく

次に、関係者との合意を得ておくステップと、実際に運用していくステップです。

事前準備のステップで最終決裁者と承認者と関係者を明確にしています。

これらの方々とKPIマネジメントの内容を確認し、コンセンサスを得ます。

何のコンセンサスを得るのか。

1つは、KPIをこれにするということ、そして、この数値にするということです。

もう1つはリスク対策の承認です。

事前に、どの時点で、どの程度数値が悪化したときに、何をするのかコンセンサスを得ておきます。

最終判断者は、最終承認者だと明確に確認しておきます。

これができると、スピードを落とさずにリスク対策が打てます。

そして、運用を始める前に、関係する従業員全員にKPIマネジメントを始めることを伝えます。

社内報や組織のトップからのメッセージなどを活用して伝えます。

当然KPIの進捗状況も適宜伝えていきます。

前述のようにKPIは信号です。

今の状況がうまくいっているかどうか、多くの従業員、できればすべての従業員が知っていることが必要です。

その意味でも、事前の広報とKPIの進捗共有はとても重要です。

10継続的に改善を繰り返す

これは、KPIに限らない話ですが、運用しながら、磨き続けようという努力が大切です。

それは「きちんと振り返りましょう」ということです。

KPIとKGIの両方とも達成というのが最も素晴らしいストーリーです。

しかし、そうではないケースも起こります。

①KPI達成→KGI達成②KPI達成→KGI未達成③KPI未達成→KGI達成④KPI未達成→KGI未達成これら4つの組み合わせが考えられます。

KPIとKGIが両方とも達成、未達成というのは理解しやすいです。

本来、このような相関があるべきです。

正確に表現すると、両方が未達成の場合は、本当は期中に手を打って、こうならないようにしなければいけません。

しかし、KPIとKGIの達成、未達成がちぐはぐになっているのは、まずい状態です。

構造的に間違っているわけです。

つまり両者の関係性が希薄なのか。

それとも関係性はあるけど、その水準、つまり数値が高すぎる、あるいは低すぎるのか、振り返りをする必要があります。

絶え間のない改善を行うことで、KPIマネジメントのレベルを向上させることができます。

11究極のKPIマネジメントとは?──すべての判断をKPIに紐づける

KPIマネジメントの究極は、すべての判断をKPIに紐づけられるかどうかにかかっています。

私が担当した事業開発案件は、リクルートでは珍しい個人ユーザと実際に面談するビジネスでした。

リクルートのアドバイザーは、個人ユーザの要望に合った企業ユーザを紹介します。

紹介数を増やすことをCSFとおいて、毎月、四半期あるいは半期ごとに紹介組数をKPI設定していました。

その際の判断基準の例を紹介しましょう。

①新人アドバイザーの育成期間短縮の検討育成期間が短縮できれば、新人アドバイザーが戦力化する期間が短くなります。

結果、個人ユーザの接客数が増加します。

これは紹介の量を増やす行為なので検討します。

もちろん粗製乱造にならないように育成内容のチェックは必要です。

②個人ユーザ1組あたりの接客時間短縮の検討接客時間を短縮できれば、1日あたりの個人ユーザの接客数が増加します。

これは紹介の量を増やす行為なので検討します。

もちろん時間に追われて、接客レベルが品質低下にならないかの確認は必要です。

③紹介組数がトレンド通りKPI達成見込みなので集客の広報量とコストをコントロールします。

④本部スタッフを採用するKPIの増加に直接は関係ないので慎重に判断します。

⑤狭い店舗への出店の検討KPIの増加に直接は関係ないので検討します。

浮いたコストは集客コストに回します。

⑥顧客アンケートのウェブ化による事前ニーズの把握紹介の質向上に寄与する可能性があるので検討します。

多くの従業員がKPIについて興味を持っていれば、現場で判断できることが増えます。

つまり自律自転の組織となります。

これにより、圧倒的にスピードを早めることができます。

変化が激しい時代、一部の本部人材が判断するよりも、現場で最適な判断ができた方が圧倒的に強い組織となります。

その意味でも、KPIマネジメントを全従業員に展開し、これをすべての判断基準にするのがお勧めです。

そして現場に権限移譲ができると、現場での自律自転による改善が日常的に起こります。

本部機能は、次のことに時間をかけることができるのです。

そして気づくはずです。

多数のPDDSが高速で回りだし、それを見ていると「不安の壁」は意味がなくなります。

これがしばらく続くと「振り返る」ことが当たり前になり、振り返りから学べる組織へと進化していくのです。

コラム最強の振り返りは「リアルタイム」

私が以前担当した組織が年に2回だけPDDS(振り返り)をしていた話をしました。

最初は組織全体で振り返る期間が短くなり、最後は組織全体ではなく、特定の店舗で異なるPDDSサイクルが回るようになっていったと説明しました。

結果、年間で数百のPDDSサイクルが回る組織に進化していきました。

ところが、世界にはさらにすごい組織が存在します。

すべての従業員が実施している業務を一元管理しているのです。

メンバーが実施した内容、そのプロセス、成果を世界中で閲覧・参照できるのです。

つまりほぼリアルタイムでPDDSサイクルを回しているのです。

世界にはそんなすごい会社も存在します。

これが現在の究極の組織なのだと思います。

みなさんの組織は、この組織と比較して、どのような状況でしょうか。

おわりに

この本の企画はいくつかの幸運が重なり、日の目を見ることができました。

「こんなラッキーがあるのか」と正直思いました。

最後に、そのことについて書こうと思います。

お付き合いください。

きっかけは、2017年9月22日に日経スタイルに寄稿した記事「データ経営に落とし穴──ダメな会社はKPIで見分ける」でした。

当時、私は3週間に1度、日経スタイルに「転職の企業選び」について寄稿していました。

転職を考える際、あるいは今自分が属している会社について理解を深めるために、「働き方改革」「生産性」「転職と年収」「今後伸びる会社」「長時間労働」「副業」「テレワーク」「今後必要な人材」「転勤」などについて書いていました。

9月22日のKPIの記事もそのうちの1つでした。

2カ月後の11月24日、メッセージが届いたのです。

フォレスト出版の寺崎さんという方からでした。

後にこの本の編集担当になってくれる方です。

内容は、シンプルで、ストレートに「KPIの本を出したいので、執筆してほしい」というものでした。

そうなんです。

1つめの幸運は、寺崎さんが目を止めてくれたことです。

私は、シンプルで、ストレートなコミュニケーションが好きです。

表敬訪問や無駄なミーティングをできる限り避けたいと考えています。

寺崎さんは私の意図を汲んでくれて、リアルでのミーティングは2回か3回だけにして、残りはメールのやり取りですませてくれました。

別の方からのアプローチであれば、ここでとん挫したかもしれません。

そのおかげで、ストレス少なく執筆ができました。

2つめの幸運は、当時の上司である柳川さんが、私のことを信頼してくれて、執筆を二つ返事で了解してくれたことです。

当然、リクルート内に執筆のレギュレーションがあります。

それを遵守する前提ですが、人間同士の信頼がなければ、話は進みません。

広報の安永さんもいつもメールに参加してくれていました。

ありがとうございます。

3つめの幸運は、KPIについての講座を直近に依頼されたことです。

年明けにFringe81の松島さん、Oneteamの佐々木さんから同社の幹部向けにKPI講座を依頼されました。

2社とは共同で経営会議改革をしているご縁で興味を持ってもらいました。

また3月には、リクルートホールディングスのM&A担当役員の岡本さんから同部署のメンバー向けにKPI講座の依頼がありました。

岡本さんが以前私の講座を受講して、それをメンバーに伝えたいと興味を持ってくれたのです。

この2回の講義のおかげで、再度資料を読み込み、整理し、頭がリフレッシュできました。

当日、質問を受けたのも参考にできました。

参加者のみなさんありがとうございました。

4つめの幸運は、私の転職に関わることです。

私は、この本の企画依頼があった1カ月後の12月に、29年働いていたリクルートグループを離れ、株式会社FIXERにジョインすることを決めました。

同社の社長の松岡がシンプルにストレートに誘ってくれたのが決め手でした。

初めて松岡に会って、決断するまで、わずか3週間での転職決断でした。

本来であれば、転職、引継ぎ、新職場での準備などドタバタの中での本の執筆です。

延期しなければいけないかもしれません。

少なくとも、引継ぎは、かなり大変なことになるはずでした。

ところが私にとって神風が吹いたのです。

当時、私はリクルートワークス研究所で4つプロジェクトを担当していました。

1つは海外の委員。

本部がフランスにあり、主な委員はヨーロッパとアメリカ各国にいます。

これを誰に引き継ぐのかが問題でした。

ところが、4月からの組織再編の中で、一緒に委員をやっていた海外事業の責任者のロブさんが引き継いでくれることが決まりました。

彼はオランダにいて、しかも主な委員との人間関係は私以上。

メールだけで引継ぎができて、実質引継ぎ不要でした。

これはうれしい誤算でした。

2つめは社会課題解決。

こちらは、素晴らしい成果が出たうえに、さらにバージョンアップさせるミッションを一緒に担当していた二葉さんが引き継いでくれました。

だから、こちらも実質引継ぎなし。

3つめはリクルートワークス研究所の副所長業務です。

転職を告げる際に「驚いた」と言った所長の大久保さんでしたが、友人として決断を応援してくれました。

大久保さんの指揮のもと、豊田さん、村田さん、石原さんたちマネジャーのみなさんが協力して対応してくれました。

4月からは元同僚の奥本さんが副所長に就任してくれました。

ですので、こちらも実質引継ぎ最小。

最後は私自身の研究テーマです。

これは引き継ぐ話ではありません。

つまり、引継ぎ先が素晴らしい人たちであったので、引継ぎコストが限りなくゼロにできたのです。

通常では考えられない状況です。

これを「神風が吹いた」と表現したのです。

このおかげで1月から3月の週末に執筆の時間を確保できました。

5つ目の幸運は、転職先に株式会社FIXERを選んだことです。

当社は、クラウドサービス・ベンダーで、顧客が保有しているシステム資産をクラウドに載せ替え、それで生み出されるランニングコストを攻めのシステム投資に回すことを支援しています。

ベンチャーですが、すでに社員100名。

それも若いメンバーから年配のメンバー、さらに9カ国のメンバーがいます。

彼らと人間関係をつくるためには、1on1ミーティングをしたり、さまざまな判断をしたり、日中はかなりエネルギーが必要です。

しかし、幸いなことに夜と土日祝日はまったく仕事の連絡が来ないのです。

ベンチャーなので、覚悟していたのですが、これは意外でした。

そのおかげで4月以降の休日に最後の原稿校正の時間を取れたのです。

このようにいくつかの幸運に支えられて、企画から出版までスムーズに何とか形にすることができました。

本当にラッキーでした。

私は、この本を含め7回本を書こうとしました。

そのうちすでに3冊が形になり、今回4冊目が上梓されました。

しかし、残りの3冊は結果、日の目を見ませんでした。

3冊とも文字数的には本にできる量を執筆しました。

アイデアは面白かったのですが、本にはできなかったものが1冊。

社内のOKが取れず、本にできなかったものが1冊。

編集者の方との意思疎通ができず、自然消滅したものが1冊。

今回は、そうなりませんでした。

このラッキーによって生まれた本が、みなさんのお役に少しでも立てれば、本当にうれしいです。

2018年中尾隆一郎

【著者プロフィール】中尾隆一郎(なかお・りゅういちろう)株式会社FIXER執行役員副社長1964年5月15日生まれ。

大阪府出身。

1987年大阪大学工学部卒業。

89年同大学大学院修士課程修了。

同年株式会社リクルート(現・株式会社リクルートホールディングス)入社。

主に住宅、人材、IT領域を歩み、住宅領域の新規事業であるスーモカウンター推進室室長時代に同事業を6年間で売り上げを30倍、店数12倍、従業員数を5倍にした立役者。

リクルート住まいカンパニー執行役員、リクルートテクノロジーズ代表取締役社長、リクルートホールディングスHR研究機構企画統括室長、リクルートワークス研究所副所長などを経て、2018年4月から現職。

2017年6月より株式会社旅工房社外取締役を務める。

専門は事業執行、事業開発、マーケティング、人材採用、組織創り、KPIマネジメント、管理会計など。

良い組織つくりの勉強会(TTPS勉強会)主催。

29年勤めたリクルート時代は、約11年間にわたってリクルートグループの社内勉強会において「KPI」「数字の読み方」の講師を担当、人気講座となる。

著書『転職できる営業マンには理由がある!(共著)』(東洋経済新報社)、『リクルート流仕事ができる人の原理原則』『リクルートが教える営業マン進化術(共著)』(全日出版)。

最高の結果を出すKPIマネジメント著者中尾隆一郎ブックデザイン小口翔平+山之口正和+永井里実(tobufune)図版制作コットンズ発行者太田宏発行所フォレスト出版株式会社〒162-0824東京都新宿区揚場町2-18白宝ビル5FTEL03-5229-5750(営業)03-5229-5757(編集)URLhttp://www.forestpub.co.jp/RyuichiroNakao2018●フォレスト出版株式会社『最高の結果を出すKPIマネジメント』(2018年7月2日初版)に基づいて制作されました。

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