第5章実践編①──人間力を高めるセルフワーク人間力を高める「習慣」の力毎朝五分のかんたん習慣「茶禅瞑想」寝る前一分間の「あおいかわ」
人間力を高める「習慣」の力ここからは日常で取り組める「人間力」を高めるための具体的な実践方法を見てまいりましょう。
人間力とは「人間」が変わることによって高まる力です。
人間は心の持ち方を変えることによって行動を変え、行動を変えることによって「習慣」を変えていくことができます。
人間力を高める一番の方法は「良い習慣」を身につけること。
そのためにはまず、自分の心の状態を観察し、整える方法を身につけることが近道です。
皆さんは日々、自分を見つめる時間をとれていますか?やらなければいけないことに追われて、あっという間に時間が過ぎ、「ああ、今日もやりたいことができなかった……」と自己嫌悪に陥ってしまう。
以前の私は、そんなことの繰り返しでした。
仕事も家事も効率やスピードが求められる今、心の渇きに悩む人が増えています。
体内の水分が不足して喉が渇くように、心の充足感がなくなって渇くのです。
「褒められたい」「認められたい」「あなたが必要だと言われたい」。
渇きを満たしたくて、他人の賞賛、反応を求めても、すべて自分の思うようにはいきません。
むしろ、他人にそうしてもらえないもどかしさで、自分の心がますます不安定になりがちです。
大切なのは、「自分で自分を認めること」。
そうすれば心のバランスを崩すことはありません。
朝、起きたとき、夜寝る前に、もう一人の自分が「今日はどんな心持ちで一日を過ごそうか」「今日はどんな心持ちで一日を過ごせたかな?」と問いかける、そんな時間を持ってみましょう。
そこでご紹介するのが、私が朝晩に実践している二つのセルフワークです。
まずは、自分を整える「茶禅瞑想」から見ていきましょう。
毎朝五分のかんたん習慣「茶禅瞑想」茶禅瞑想とは、茶道と瞑想をかけ合わせ、現代人が内面を深掘りする一助として、私が考案したセルフワークです。
深く呼吸し、一杯のお茶を感謝とともにいただく。
ありたい自分を想像し、そうなれた(現実にはまだなれていなくても)自分に感謝する。
五分くらいで心が整うのを実感でき、見える世界が変わってきます。
詳しい手順としては「内観」「創造」「調和」の三つのステップです。
一つ目のステップは、今の自分を見つめる「内観」の時間です。
心の声に耳を傾け、自分の意識・動作を注視し客観視してみましょう。
二つ目のステップは、自分がありたい姿、そして、それを実現している姿を「創造」する時間です。
沈黙をして深く呼吸をし、耳に聞こえてくる自然の音や風を穏やかに受け容れてみましょう。
目を閉じて「ありがとうございます」と声に出して、誰かの幸せを祈る。
心の中に笑顔で満たします。
感謝の気持ちとその喜びが味わえます。
最後のステップは、自分で点てたお茶を飲み、体の中に流れていく感覚を通じながら、創造した自分の姿や感じた喜びを自分の体に「調和」させる時間です。
具体的なやり方については、後述の「Howto茶禅瞑想」を参考にしてみてください。
慣れてくれば、五分あれば、三つのステップがひと通りできるようになります。
この茶禅瞑想を習慣づけると「できなかった」自分を否定的に解釈することなく、「できている」自分のポジティブな状態を感覚として味わえるようになります。
心と体は深くつながり合っています。
やる気が出なかったり、悩んだときこそ、自分の「今」の行動に集中し、呼吸を深くし、どんな動きをしているのか。
実況中継するように観察することで、心と体が「今」に一致し始め、次第に心が落ち着いてきます。
「今」に集中することは、今を生きることにもつながります。
過去や未来を憂いて心配しても私たちは「今」に生きています。
今を大事に、あるがままを見つめること、自分の行動を直視する、見ることができれば、課題や葛藤はほとんど解決したも同然です。
意識して深く自己観察することを繰り返しやり続け、習慣化すること。
それがものごとをあるがままに感じ、葛藤を受け容れる第一歩です。
毎日、朝からお茶を点てるのは難しいでしょうから、瞑想だけをする、お茶の代わりにあたたかい紅茶やコーヒー、あるいは水を飲むなど、できることから始めてみてはいかがでしょうか。
1.呼吸に集中し、心を整える①「開始の礼」深く頭を垂れる。
②上半身(肩、首、腕)を揺らしてリラックスし、緊張をほぐす。
③背筋を伸ばし、姿勢を整えて、膝に手のひらを上にして置く。
④目を閉じ、全ての意識を呼吸に集中して、心を落ち着かせる。
⑤丹田※を意識し、口から息を深くゆっくり吐き(6秒)、お腹がへこむのを感じる。
鼻から息をゆっくり吸い込み(6秒)、お腹が膨らむのを感じる。
これを3回繰り返す。
※丹田は臍下9センチ辺り⑥鼻から息を吐き、不安も吐き出すようなつもりで「吐いてる、吐いてる……」と心で唱える。
息を吸うときはエネルギーを取り込むつもりで「吸ってる、吸ってる……」と心で唱える。
(丹田呼吸3回繰り返す)⑦右手、左手と順番にゆっくり肩の高さまで広げ、すべてを受け容れる。
⑧手を元に戻す。
2.内観する①自分はなぜこの世に生を受けたのか?何をなすべきなのか?今注力すべきことは何か?静かに内なる自分に問いかける。
(丹田呼吸は続けたまま)②最初はなかなか思い浮かばないので、少し時間をかける。
3.創造する①斜め上を見るように頭を上げ、ありたい姿(自分がどうあるべきか)を具体的に想像する。
そのとき、周りにはどんな人がいますか?どんな声が聞こえますか?自分はどんな表情をしていますか?ありたい姿になった状態を想像しましょう。
②自分への感謝と喜びを愛で包みましょう。
4.調和する①正面を現在、左が過去、右が未来とイメージし、胸の前で合掌した手を、左に動かし過去を、次に正面に戻し現在を、そして右に動かし未来を、また正面に戻し、時空と調和していく。
②両手で、丹田、みぞおち、頭頂部に手を当て、エネルギーを感じながら、心、身体、魂と調和していく。
5.お茶を点て、飲む※コーヒー、白湯でも可①お茶碗をお湯で温め、自分の心の汚れも取り去る気持ちで布巾で清める。
お茶を点てる一連の動作を丁寧に認識する。
②ありたい自分の姿を、目を閉じて思い浮かべる。
③感謝と喜びの気持ちでお茶碗を持つ。
④「ありがとうございます。
私は幸せ者です。
自らに一燈を点じ世の中を明るくします」と言い、お茶を頂く。
⑤大きく一呼吸し、大いなる感謝の心と喜びを一杯にする。
⑥「終了の礼」深く頭を垂れる。
寝る前一分間の「あおいかわ」毎朝五分の「茶禅瞑想」でスタートした一日。
その一日の締めくくりにもう一つ、私が欠かさず習慣にしていることがあります。
それは「あおいかわ」を流すこと。
聞きなれないのも無理はありません。
私の造語です。
次の「あ」「お」「い」「か」「わ」の一語ずつを自らに問いかけながら、一日を振り返っています。
「あ」愛をもって、自分や人に接することができたか。
「お」慮ることはできたか。
人にだけではなく自分にも。
「い」祈る。
自分と人の人生が幸せであるように祈れたか。
「か」感謝。
自分に、命と役割が与えられたことに感謝できたか。
「わ」笑う。
ここまで愛、慮る、祈る、感謝する、と固かったので、最後は「ははは」と笑う。
人は明るいに越したことはありませんから、夜寝る前には「楽しかった」と終わりたいものです。
この五つの頭文字からなる「あおいかわ」を実際の川に例え、今日一日「自分に」「人に」「世の中に」対して流すことができたか、と振り返る。
そして「さあ、明日もあおいかわを流そう」と眠りにつくことにしています。
慣れてくると一語十秒で、一分もかかりません。
私は夜寝る前のルーティーンにしていますが、朝でもよいと思います。
寝る前にやるときの注意点は、一つ一つを深く考えすぎないこと。
眠れなくなってしまいますから。
長くても二分くらいで終えるようにしましょう。
また個人だけでなく、職場や企業単位での実践もおすすめです。
私がCOOを務めるパッションジャパン株式会社の毎週末のミーティングでも、全員で「あおいかわ」を問いかけ、一週間を振り返るようにしています。
人間力を高めるためには、毎日わずかでも、自分と向き合う時間を持つことが重要です。
自分を受け容れることができなければ、相手を受け容れることはできません。
上流は常に自分と心得て、「あおいかわ」を流せる日を少しずつ増やしていきましょう。
そうするうちにおのずと、周囲との人間関係がスムーズになっていくはずです。
次の第六章では、人間力を高める習慣づくりの一助として、一か月分の実践のヒントを一日一話形式でまとめました。
誰もが抱える人生の問題、人間関係のさまざまな悩みを「人間力」の観点からどう受け止め、どう解決していくことができるか。
三分間で目を通せるコンパクトな分量ですので、「茶禅瞑想」「あおいかわ」と併せて、お仕事を始める前や就寝前の習慣づくりにお役立ていただければ有難いです。
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