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第5章 仕事が驚くほどスムーズに進む相談の秘訣

◆成長する絶好の機会「こういうケースでは、どう対応すればいいのだろう?」「今進めている仕事のやり方でいいのだろうか?」「発生したトラブルを、どのように解決すればいいのだろうか?」このように、仕事をする上で判断に迷ったり、疑問に感じること、あるいは一人では解決できない事柄は多く出てくるでしょう。そんなときに、上司、先輩、同僚から意見やアドバイスをもらうために、「相談」をどんどん活用することをおすすめします。相談するということは、今あなたが抱えている仕事上の問題を解決することなのです。上司が若手社員に求めているのは、「仕事ができる人」ではありません。「報連相ができる人」を求めています。1日でも早く、そうなってもらいたいと願っています。そして、なかでも相談が上手くできるようになってもらいたいと思っています。なぜなら、相談できる人が、結果として仕事ができる人になっているからです。報告、連絡は他者のために行うことが多いのですが、相談は自分のために行うことがほとんどです。「相談する」ということは、自分が成長する絶好の機会なのです。「これは相談したほうがいいかな?」という考えが少しでも頭に浮かんだら、即相談するのがいいでしょう。◆自分を過信すると、ミス連発の原因にしかし、上司や先輩にいざ相談しようとしても、「そんなこともわからないのか」とあきれられたり、なかなかタイミングがつかめずに、相談できないということもあるでしょう。また、2~3年仕事をしていると、なんとなく〈わかった気〉になってしまうこともあります。私にも経験がありますが、誰にも相談せずに「このやり方で正しい」と思い込んでしまうと、ミスをしてしまうものです。そんなときには、「相談の判断基準」を自分の中に持ってみてください。「相談しようかどうか、迷ったときは相談する」という自分なりの基準があれば、悩むたびに基準がぶれることがなくなります。上司の本音としては、相談なしに何でも自分で決めて成果を出す部下を頼もしく思う一方で、「大丈夫だろうか」といった不安や、少し寂しい気持ちを持っていることもたしかです。そこで、上司や先輩には普段からいろいろと相談をするようにしてみましょう。くり返しになりますが、報連相とは日々のコミュニケーションから成り立ちます。頻繁に相談することも、上司や先輩との信頼関係につながるのです。こまめに相談することで上司との接触頻度を増やし、今まで以上に信頼関係を築いていきましょう。そして、相談した結果、もらったアドバイスを素直に実行したり、うまくいったことを報告すれば、上司からの好感度も上がり、スムーズに仕事を進めやすくなります。

◆詳しい人に教えを乞うのが早い相談することのメリットは、「上司と信頼関係を築くことができる」だけではありません。うまくいかない仕事やトラブルについて相談することで、上司や関係者を味方につけることができるのです。上司から与えられた仕事に対して、最後まで責任感を持ってやり抜く気持ちは、もちろん大切です。しかし、自分一人の力では仕事が進まないときに、「自分でなんとかしよう」「誰にも頼らず、自分だけの力で頑張ろう」と考えてしまってはいけません。なぜなら、相談することが遅くなり、大きなトラブルになりかねないからです。自分ではどうしようもなくなる前に、上司や先輩に相談し、どんどん他者の知恵を借りましょう。そうすれば、質の高い仕事をすばやくできるようになります。では、誰に相談すればよいかといえば、やはり一番多い相手は上司ということになるでしょう。ほかにも先輩、後輩、ときには社外の関係者・専門家ということもあるかもしれません。あなたが迷っていること、疑問を感じていることに対して、参考になる意見やアドバイスをしてくれる人であれば、誰でもかまわないのです。「えっ、後輩に相談?」と思うかもしれませんが、実際にはよくあることです。たとえば、上司から今年度の新製品説明会で使用する投影用スライドを作成するように指示があったとします。もしあなたがスライド作成に不慣れであれば、スライドの作成方法、プレゼンソフトの操作方法については後輩に相談したり、操作方法を教えてもらうこともあるでしょう。◆「誰に相談するか」相談する先ほどもお話ししたように、相談する相手は上司だけとは限りません。そこで、「誰に相談するのか」を上司に相談する、という方法もあるのです。上司が推薦した人に相談に行けば、上司も「●●さんが言うなら」とあなたの案に賛成してくれます。また、相談した相手もあなたの味方につけることができるのです。相談することで、上司や関係者をどんどん巻き込んでいけば、一人で悩むよりもスムーズに仕事が進みますし、トラブルが起きることもないでしょう。

◆上司のスケジュールをつかんでおく「今日は上司の機嫌が悪そう……」「やっと帰ってきたと思ったら、また次の打ち合わせに出かけてしまった……」いざ相談しようと思っても、このような状況だと、なかなか相談しにくいですよね。また、相談すること自体怒られるのではないかとビクビクしてしまい、「相談する勇気が出ない」「相談するのを躊躇してしまう」という悩みを、多くの方から聞くことがあります。しかし、この章ですでにお伝えしている通り、相談とは「問題解決」のための手段なのです。質の高い仕事をするため、ミスやトラブルを避けるためにも、一刻も早く相談する勇気を身につけましょう。では、どんなタイミングで相談すればよいのでしょうか?まずは、相談するタイミングをつかむ練習をしましょう。相談するタイミングをつかむコツは、普段から上司のスケジュールを把握しておくことです。いざ相談しようとしても、上司のスケジュールによっては後回しにされることもあります。また、報告や連絡と違い、相談には時間がかかる場合が多いです。それに、時間があったとしても、その場で解決しないことも多いでしょう。さらに、切羽詰まった状態でいきなり相談をしに行くと、次のように後回しにされてしまうかもしれません。部下「課長、ご相談があります!」上司「悪いけど、今から出張なんだ。来週の水曜日まで帰らないから、木曜日でいいか?」部下「あっ、はい。わかりました(もっと早く相談しておけばよかった……)」このような状況にならないためにも、早め早めに動くことが必要です。上司のスケジュールを把握するということは、「上司の余裕がありそうな時間を見つける」ということです。逆に、上司が忙しそうな時間帯も把握できるので、話しかけるべきタイミングを見極めることができます。このように上司のスケジュールを把握することで、相談するタイミングを失うことも後回しにされることもなくなりますし、相談する相手への気配りもすることができます。◆「その後」を必ず伝えるほかにも、相談相手に対する気遣いが必要なことがあります。それは、相談したあとの結果報告やお礼です。意外と忘れてしまう人が多いので、ここは気をつけなければいけません。相談した人は、アドバイスがもらえたことで完結したと思ってしまいます。ところが、相談された相手にしてみれば、まだ完結していません。自分がアドバイスしたことを実行したのかどうか、アドバイスが役に立ったのかどうか、結果がどうなったのか気になったままなのです。ですから、アドバイスをもらった結果についてもちゃんと伝えるようにしましょう。あなた「▲▲先輩ありがとうございました。アドバイス通りに分析した結果、とても説得力のある調査になりました。課長からもほめられました。本当にありがとうございました」先輩「そうか、よかったな。またわからないことがあれば、いつでも相談して!」このように、相談相手に対する配慮も忘れなければ、また次回相談したいと思ったときにも「●●さんのためなら……」と時間を割いてくれるはずです。そういった人を周りに増やしていくことで、あなたの仕事はどんどん進めやすくなっていきます。

◆自分なりの意見が必要上司や先輩、関係者に相談することで仕事は一気にスムーズに進みます。しかし、「とりあえず相談しよう!」という考えはNGです。相談といえども、考えることを上司に丸投げして、すべて任せてしまうのはよくありません。「少しは自分で考えろ!」と言われてしまう原因になります。研修の中で「上司に相談しても、『どうしたいの?』と聞かれてしまって答えられなくなる」という相談を受けることがあります。「どうしたいの?」と上司から聞かれると、固まってしまう方が多いようです。しかし、上司も自分の意見がない部下には、手取り足取り教えてあげようとは思いません。「自分なりにいろいろと考えているものの、どうしても結論が出ないので相談してきた」ということであれば、手助けしてあげようと思うものです。「今はこういう状況で、問題を抱えているから、(手っ取り早く)解決策を教えてください!」というスタンスでは、あなたの評価を下げる原因になってしまいます。「私が考えた答えは●●です。そこで、その考えに対して、アドバイスをもらえませんか?」という姿勢で相談に行けば、上司から的確なアドバイスをもらうことができ、あなたへの評価も変わるはずです。このように、自分なりの考えや意見を持って相談することで、上司に限らず相談相手は親身になって相談に乗ってくれるようになります。◆抱えている問題を分解して「仮説」を立てる「仮説」とは、仮に考えた説、答え、結論ということです。「今ある情報をもとに、仮の結論を考えること」であり、現時点で考えられるベストな答えのことです。限られた情報の中でも、まず一度答えを出すということが、ビジネスではとても重要です。そして、相談では「仮説」を立てることがとても大切なのです。仮説を立てるために、まずは抱えている問題を整理していきましょう。次の「問題の8段構造」を使って問題を構造化することで、情報を整理することができます。①目的:最終的なゴール、目指すところ②目標:あるべき姿、達成すべきレベル③現状:現在のレベル④問題:目標と現状とのギャップ⑤原因:問題が発生した(複数の)原因⑥問題点:対処すべき真の原因⑦課題:問題解決のためにやるべき事柄、問題点の解消⑧解決策:課題を遂行するための具体的アクションこの8段構造が頭に入っていれば、今はどこのステップに位置しているのかということが明確になり、状況を相談相手にわかりやすく伝えることができます。当然ですが、相談する時点では、ステップの途中までしかわかっていないので、相談することでステップ8(解決策)を目指すことになります。仮説を立てる際には、8段構造の中でも「目的」「目標」「現状」をはっきりさせておくようにしましょう。仮説の精度は、せいぜい80%程度でかまいません。あとは、相談相手からの意見やアドバイスによって100%に近づけていければいいのです。また、仮説を立案する際の注意点として、情報やデータを客観的に扱いましょう。そして、相談相手からはいろいろな質問もあるはずです。そうした質問にも答えられるような準備として、データや資料をしっかり揃えることも忘れてはいけません。

◆「ご相談があります」は魔法の言葉事前準備をしっかりと行い、相談相手のスケジュールも把握し、問題を整理したら次のステップです。毎日の仕事の中で、どうしても「今相談したい!」と思うこともあるでしょう。そんなときや、なかなか相談するタイミングがつかめないときには、ぜひ最初に「相談があります」と切り出してみてください。「相談があります」と切り出す最大のメリットは、相手の都合が確認できることです。報告や連絡に比べ、相談には時間がかかり、相手にとっても負担が大きくなります。「相談があります」と切り出すことで、相談相手も「相談か。じゃあ、これくらいの時間がかかるな」と大まかな時間の計算ができます。本当に時間がないなら、あとで改めて時間を割くなどの対処をしてくれるはずです。具体的に相談に乗ってもらうためには、次の4つのステップが基本となります。①何に関する相談なのかを伝える(相手の都合を確認する)②現状について伝える(問題の8段構造で整理する)③自分の考え、答えを伝える(仮説に基づいて考える)④相手に意見、アドバイスを求める例に当てはめて考えてみましょう。部下「部長、A社のデータ調査の件でご相談があります。今、お時間よろしいでしょうか?」部長「今ならいいよ」部下「ありがとうございます。これから各項目の詳細について分析するのですが、●●の部分でどのように進めていいか迷っています。私としては……。部長のご意見を聞かせていただけないでしょうか?」部長「そうだな、基本的には同じでいいと思うよ。ただ……」ここで、部長はあなたからの相談の申し入れに対して、「今急ぎの仕事をしているけど、A社のデータ調査の件なら、おそらく2、3分で終わるだろう。だから、相談に乗ってあげることができる」と、その場で判断したはずです。でも、仮に「A社のデータ調査の件」とは伝えず、単に「今、お時間よろしいでしょうか?」と聞いていたら、「ごめん、今忙しいからあとにして!」と言われてしまっていたかもしれません。「A社のデータ調査の件でご相談があります」とひと言添えるのと、添えないのとでは大きな違いです。また、相談は5分かかるのか、10分かかるのか、見積もりしづらいものです。そのため、「あとでお時間いただけますでしょうか?」とか「ご都合がよろしいときにお声がけいただけますでしょうか?」といった配慮も必要になります。◆「お聞きしたい」より「教えていただきたい」また、相談をする際の切り出し方にはこんな例もあります。たとえば、あなたが後輩から相談を持ちかけられたとします。そのときに、「先輩、お聞きしてもいいですか?」と言われるのと、「先輩、教えていただいてもいいですか?」と言われるのとでは、受ける印象がまるで違うと思いませんか?「お聞きしたい」と言われると、何を聞かれるのだろうかと少し警戒してしまいます。でも「教えてください」と言われると、自分が優位な立場のまま、教えてあげようという気にもなります。ほんのわずかな違いなのですけどね。後輩「先輩、A社のデータ調査の件、教えていただいてもいいですか?」先輩「(教えるんだったら)今いいよ」このように、報連相する際には、相手の自己重要感を刺激することで、快く相談に乗ってもらえるということも覚えておくと便利でしょう。

◆イチ押し案を真ん中にはさんで相談は、相手を説得したいときにも有効な手段です。たとえば、商品開発プロジェクトも順調に進み、無事に商品が完成したとします。そして、最終の価格設定の段階になり、プロジェクトメンバーの総意として定価5万円が妥当であると決定しました。ただし、最終的な価格を決めるのはリーダーの課長です。このあと、課長に対して「メンバー全員で話し合った結果、定価5万円と決まりました」と報告し、承認を得なければなりません。この場合、どのように話をもっていけば、課長は「YES」と言ってくれるでしょうか?これまでの話し合いの経過や、価格の妥当性を論理的に説明して納得してもらう、という方法がありますが、ほかにもあります。それは、課長が決断したという状況をつくることで、説得するという方法です。その前に、ちょっと考えてみましょう。仮に、あなたが休日に友人とランチをすることになったとします。メニューには3つのランチコースが書かれています。Aコース……500円Bコース……1000円Cコース……1500円あなたならどのコースを選びますか?多くの人はBコースを選ぶでしょう。なぜなら、真ん中のコースだからです。実は、私たちはいくつかの選択肢を示されると、両端を嫌い、真ん中を選ぶ傾向があります。そこで、こうした人間の心理を応用して、上司に相談してみるといいでしょう。部下「課長、新商品の価格設定の件でご相談があります。メンバーで議論を重ねた結果、最終的に3つまで絞り込みました。A案3万円、B案5万円、C案7万円です。課長のご意見をお聞かせいただけないでしょうか?」課長「そうだな、B案が一番良さそうな気がするけど」部下「わかりました!では課長のおっしゃるようにB案にします」この方法なら、課長の意見を尊重していますし、結果として課長が決断したという形になります。課長を説得するのではなく、相談することで最も好ましい案を課長自ら選び、納得してもらったのです。◆違った案を選ばれたら、やってみるのも大切ここで気をつけたいのが、意見やアドバイスをもらった相手を尊重し、否定しないで、まずはやってみることです。「せっかくのアドバイスなのですが、今回のケースには当てはまらない気がしまして」など、否定したい理由はいくらでもあるかもしれません。しかし、せっかく相談に乗ったのに、頭ごなしに否定されては「だったら最初から聞くな!」と上司を怒らせる原因にもなります。そうした固定観念を一度外して、素直な気持ちで受け入れるということも、ときには必要です。実際に動いてみた結果、思うように物事が進まないようなら、軌道修正はいくらでも可能なのですから。

◆聞きたい答えが返ってこなかった……「せっかく上司に勇気を出して相談したけど、聞きたい答えが返ってこなかった」「聞きたかった答えじゃないけど、もう一度聞けないし、結局わからないまま」相談したけれど、上司から聞きたい答えを聞けずに、このような思いをしたことはありませんか?コミュニケーションでは、どうしても相手に伝えたい意図がうまく伝わらないこともあります。そんなときは、上司から聞きたい答えを引き出す工夫も必要になってきます。まず、上司と部下の行き違いの例を見てみましょう。部下「次回C社訪問の際に、提案書を持って行きたいと考えています。先方はコスト意識が高い方なので、とくに価格面について訴求したいと考えています。課長のご意見を伺えますでしょうか?」上司「そうか、提案書を持って行くんだな。先方の担当者は●●さんか?●●さんはけっこう気難しい人だと聞くから、失礼のない態度で接しないといけないな。そしてまずは信頼関係を築くことが大切で……」部下側としては、提案書の訴求ポイントが、価格面を強調したものでよいのかどうかを聞きたいわけです。しかし、課長はその点に触れず、まずはコミュニケーションが大切であることを説いています。部下は内心、「もちろん、そんなことは十分わかっていて、これまで信頼関係を築いたからこそ、やっと提案までこぎつけることができたんですけど……」と反論したくなっています。では、どうすれば上司から聞きたい答えを引き出すことができるのでしょうか?◆「もう1点お聞きしたいことが……」と切り替える先ほどの例で部下が反論してしまったとしましょう。部下「課長、そうではなくて、私がお聞きしたいのは価格面を強調した提案書でいいのかどうかということで……」このように即座に否定してしまうと、上司も否定したくなるものです。「いや、そうじゃないんだよ。わかってないのは君のほうだ!」と、上司の話はさらに長くなり、聞きたいことも聞けないままです。そんなときには、聞きたい答えではないとしても、一度肯定的に受け入れるのがポイントです。「たしかに信頼関係は重要ですね。当日は失礼のないような態度で臨みます。ありがとうございます」と、ここで課長の話をいったん受け入れて、話を終了させます。そして、改めて聞きたいことについて質問して、聞きたい答えを引き出します。相談とは、仕事をスムーズに進めるための「根回し」でもあります。相手を味方につけて、自分にとって仕事を進めやすい環境づくりが不可欠です。切り出し方、話の受け入れ方を少し変えるだけで、仕事は驚くほどスムーズになり、信頼も勝ち取ることができるのです。

 

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