神話▼シングルタスクは能率が悪い。
現実▼シングルタスクは仕事や用事を完了するうえでもっとも能率がいい方法だ。
仕事をきちんと仕上げる時間はいつもないのに、ゼロからやり直しをする時間ならいつもある。
——ジャック・バーグマンあなたはよく、あれやこれやの用事を片づけることができず、押しつぶされそうな気持ちになっているかもしれない。
ところがそのいっぽうで、同じ1日のうちに、山ほどの仕事をこなしている人もいる。
いったい、この違いはどこから生じるのだろう?「ハーバード・ビジネス・レビュー」誌が、きわめて能率がいい社員の働き方について特集記事を組んだことがある。
こうした社員は、出社後すぐに仕事に取りかかるうえ、1日のあいだに何度か休憩時間を設けていた。
日々のスケジュールにリフレッシュする時間を組み込むことで、結局は能率を上げているのだ。
そのうえ、かれらはランチタイムにもシングルタスクに励んでいた——昼食を楽しんでいるあいだは、いっさい仕事をしないのだ。
メモをとっておこう!〈休憩を定期的にとるほうが、かえって成果をあげられる〉と。
しっかりと休憩し、自分を「オフ」にする時間があるからこそ、「オン」のときに集中できるのだ。
とはいえ、「しなければならないこと」が山積みになっているのに、そんなことでどうやって1日を乗り切ればいいのだろう?「午前中」になにを終わらせるべきか?ひょっとするとあなたも「もうムリ!やることが多すぎて窒息しそう!どうにかしてくれ!」などという無益な考えにとりつかれることがあるかもしれない。
大丈夫、解決策はある。
私はこれまでさまざまな職業の人たちに、「午前中に片づけてしまいたい仕事にはどんなものがありますか?」という質問をしてきた。
そこで得た回答をリストにまとめ、職業による特徴を一般化し、午前中の仕事の進め方を2つのパターンに分けた。
主人公は仮にデイヴとしよう。
デイヴは午前中に次の仕事をすませたいと考えている。
・内容の最終チェックをして、クライアントに提案書を送る。
・社内のスタッフミーティングに出席する。
・直属の部下の勤務評定をする。
・電話会議に参加する。
・CIO(最高情報責任者)に会ってもらうアポをとる。
・200通以上の受信メールに必要があれば返信し、不要なものは削除する。
・転職希望者への推薦状を書く。
このほかにも、重要な顧客へのプレゼンを午前中に終える予定の妻と、オフィス近辺のレストランで12時15分からランチをとる約束をしている。
無策の午前——第1のパターンデイヴは出社すると、まっさきに食堂に向かい、コーヒーをカップについだ。
食堂にはリサとテッドがいて、昨夜の親睦会について15分ほど話を聞かされた。
雑談中、かれらは何度か笑い声をあげた。
こうして同僚と親睦を深めて1日を始めるのはいいものだと、デイヴは自分に言い聞かせた。
それに、無愛想なやつだと思われたくない。
ようやくオフィスに到着すると、デスクにメモが置かれていた。
きのう退社したあと、経理部の新マネジャーが伝言を残していったのだ。
どうやらアップグレードした給与計算システムにデータを入力する必要があるらしい。
そこで、彼はしぶしぶ経理部に向かって歩きだす。
仕方ない、用事は忘れないうちにすませてしまうにかぎる、とぼやきながら。
オフィスに戻ると、書類の束をもった部下のネルソンが帰りを待ちかまえていた。
ネルソンは「マーケティングチームが無能きわまりないんですよ」と痛烈な非難を始め、その証拠として宣伝用チラシを振りかざす。
デイヴはその話をいいかげんに聞きながら、メールの受信箱をクリックし、即座に削除できるものをチェックしていく。
もちろん、上司として部下の支援に力を惜しみたくはないが、同時に自分の作業を進めないと仕事が片づかない。
ちょうどそのとき、ベティがドアのところにさっと顔をだし、「スタッフミーティングが始まります」と告げた。
デイヴ以外は全員、すでに会議室に集まっているという。
デイヴは「すまない、失礼するよ」と慌ててネルソンに言い、タブレットをひっつかみ、ベティのあとを追い、ドアの外にでた。
これで、少なくともネルソンからは逃れられたというわけだ。
デイヴはスタッフミーティングを毛嫌いしている。
だからミーティングのあいだはメモをとるようなふりをして、大半の時間、テーブルを挟んで正面に座っているテッドとメッセージのやりとりをしている。
と同時に、増えるいっぽうのメールの山を減らすべく、数通のメールに返信をする。
しばらくすると、上司のグレースから意見を求められたが、なんの意見も述べられない。
そもそも、なにが話題になっているのかさえわからないのだ。
そこで彼は「ここのところ年齢のせいか耳が遠くなってきたので、よく聞こえませんでした」と、その場をとりつくろった。
ほどなく、ミーティングはようやく終了した。
1日は猛スピードですぎていく。
直属の部下のカリッサには「申し訳ないが勤務評定はまた延期させてくれ」とメッセージを送る。
そして正午までに提出しなければならない重要な提案書に急いで目を通しはじめる。
やがて電話会議が始まるが、デイヴはまだ提案書にこっそり目を走らせている——やむをえない、そうしないと間にあわないのだ。
そして、ついに送信ボタンを押し、提案書を送信するが、しばらくすると、いくつかのデータに不備があったことを思いだし、あわてて「午後になったらフォローアップのメールを送る」「データにあやまりがあれば修正する」とメモをとる。
そして、おそろしく長くなった「することリスト」のいちばん上に、その内容をつけくわえる。
そのあと、デイヴは階段を駆けあがる。
今週、CIOと打ち合わせをするアポをとるには、CIOのアシスタントとじかに交渉するほうが得策だと考えたからだ。
ところが、当のアシスタントはミーティングに出席中だという。
そこで彼はミーティングが終わるまで待つことにする。
そのとき、ふいに、転職希望者に推薦状を書いていなかったことを思いだす。
結局、妻とのランチの約束時刻に15分遅刻し、午前中、思うように仕事ができなかったことを腹立たしく思いながら食事を始める。
シングルタスクの午前——第2のパターン午前中、スケジュールがぎっしり詰まっていることを、デイヴはよく自覚している。
そこでいつもより20分早く出社し、まだ人気のない給湯室でコーヒーをカップにそそぎ、オフィスに入る。
そして、午前中に片づけるべき仕事のリストに5分間目を通し、不要と思われる項目を消去し、重要と思われる項目に二重線を引く。
次に、重要な仕事にあてる時間を捻出する方法を思案する。
そして上司のグレースに「重要な仕事を正午までに仕上げなければならないため、定例のスタッフ
ミーティングには前半だけの出席とさせていただけないでしょうか」とメッセージを送る。
ただしそのあいだはミーティングにしっかりと集中するということも説明する。
それから転職希望者への推薦状をすばやく作成し、メールで送信する。
そのあとの30分は、クライアントへの提案書の見なおしにあてる。
パソコンとスマホのアラート機能をオフにし、静かな環境で、注意深く提案書を読み直し、間違いがあれば訂正する。
そして自信をもってクライアントに提案書を送信する。
デイヴは、これほどスケジュールが過密になる前から、直属の部下カリッサと勤務評定をする予定をいれていた。
カリッサがやってくると、デイヴはカリッサに時間が15分しかないことを説明するが、そのあいだはきみに完全に集中するからと言い添える。
と同時に、そのあいだはぜったいに邪魔が入らないことを保証する。
ところが突然、ネルソンがハリケーンのような勢いで近づいてきた。
そしてマーケティングチームの無能ぶりについて、大声で怒りをぶちまけはじめた。
デイヴはネルソンの話をさえぎり、「いまミーティングの最中だから遠慮してくれ」と伝える。
そして親しみをこめた、だが断固とした口調で、話があるのならアポをとるよう伝える。
そしてすぐにカリッサの勤務評定に戻る。
デイヴは社内のスタッフミーティングに前半だけ出席したあと、メールを整理する。
必要なメールには返信し、不要なものは削除する作業に15分を費やす。
そして依頼があった仕事をいくつか部下にまかせ、その内容をチーム全体にメールで知らせる。
一度に集中してメールを整理すれば、信じられないほど大量のメールを受信箱から消去できることを実感する。
電話会議まであと数分あるので、CIOのアシスタントに電話をかけ、週の後半にCIOと会うアポをとれないか尋ねる。
だが「いますぐは対応できない」との返事だったので、CIOのスケジュールが空いている時間をのちほどメールで知らせてくれるよう言質をとる。
電話会議が始まる。
本音をいえば電話会議はあまり好きではないが、会議中は積極的に発言することを心がけている。
電話会議の最中に、こっそりメールやメッセージのやりとりをしたいという誘惑に駆られることもある。
だが本気で電話会議に参加していなければ、それは相手に伝わるものだし、それでは職業人の倫理に反すると、デイヴは考えている。
そして電話会議の話題が、自分には貢献できない分野に移ったところで退席する。
オフィスをでると、妻と約束したランチの時刻までまだ余裕があったので、途中で花束を買い求めた。
「2つのパターン」を比較するデイヴが「第2のパターン」で活用したテクニックのなかで、あなたにも利用できるものがあれば、それを書きだそう。
たとえば、毎朝、仕事を始める前にほんの3〜5分でかまわないから、今日しなければならない仕事の予定を立てよう。
そうすれば、仕事に追われて1日を受け身の対応ですごすのではなく、先を見越して行動を起こし、積極的に1日の仕事を進められるようになる。
つねになにかに追い立てられるようにして1日をすごすのではなく、もう少し腰を落ちつけて仕事を進めるために、はたしてどんな工夫ができるだろう?たとえば部下や後輩に仕事をまかせる(「完全支配の放棄」とも呼ぶ)ことを想像するだけで、冷や汗をたらたらとかく人は多い。
だが人に仕事をまかせれば、自分の時間が増えるだけでなく、一緒に働いている人たちの能力を伸ばし、後進を育てることもできる。
さらには、経験を積む必要がある部下に仕事をまかせていれば、今後、実際に仕事が山積し、どうしようもなくなったときにも躊躇せず安心して仕事をまかせられるようになる。
毎日の作業を「3日分」書きだすあなたがおこなう作業を3日分、書きだしてみよう。
だいたい平均的なものと思われる3日を選んでほしい。
その3日間であなたが実際にどんな時間の使い方をしたかを、メモにして残すのだ。
使うのは、アナログのノートやメモ帳でもスマホでもいい。
もちろん、石の銘板に彫り込んでもらってもかまわない……とにかく、メモさえ残せればなんでもいい。
さまざまな用事に時間をとられつつどうにか1日をすごすなかで、自分がそのときどきに最優先事項として取り組んだ作業を書きだそう。
このメモは、始業と同時に始めよう。
べつに1日を細かな時間帯に分けて考える必要はないし、詳細をことこまかく書きだす必要もない。
ただ、あとになって「自分の1日はいったいどこへ消えてしまったのだろう?」と思わずにすむよう、おもな作業を書きだすのだ。
次の図に1日分の例を挙げるので、参考にしてもらいたい(例に影響されたくないというかたは、読まずに飛ばしてもらってかまわない!)。
これはあくまでも架空の例であり、私の想像力の産物にすぎない。
では、この例を参考にして、ノートなどを利用し、あなた自身の1日の流れを3日分書きだしてほしい。
さて、あなたはどんなテクニックを使ったときうまくいっただろう?どこでつまずいただろう?もっと生産性を上げたいと思っている同僚に、あなたならどんな助言を授けるだろう?あなたは明日、これまでとは違うどんなことをしたいだろう?また、次のアドバイスはかならず役に立つので、うるさく感じるかもしれないが、胸に刻んでもらいたい。
どうしても取り組まなければならないのだが、そう考えるだけでうんざりし、なかなか着手する気になれない用事は、朝イチで片づけてしまおう。
ひるむな!敢然と立ち向かえ!重要なタスクをいつまでも先延ばしにしていると、それは重荷となり、あなたの胸にいつまでものしかかる。
すると、ほかのタスクに集中するのがいっそう困難になる。
「類似タスク」をまとめて片づける平均的な1日に、あなたが何度かおこなうタスクのなかで、似たようなタスクはないだろうか?私が1日に複数回おこなう作業には「受信したメールを読み、必要があれば返信する」「必要な物(消耗品、署名が必要な書類、郵便物)をほかの部署にとりにいったり、もっていったりする」「電話をかける」「取材や打ち合わせの予定を組む」などがある。
こうした用事を「類似タスク」ごとにグループ分けし、1日の同じ時間帯にまとめて片づける予定を組もう。
そうすれば、似たタイプのタスクに1日のうちに何度も時間を奪われて思考の流れを遮断されるのを防ぐことができる。
似ているタスクをまとめて片づければ、時間を節約できる。
そのコツをいくつか紹介しよう。
・頭がいちばんハッキリしていて、明晰な思考ができる時間帯に、「類似タスク」をまとめて片づける。
・1日に1〜3回、そうした時間をつくる。
・そうしたタスクにあてる時間はあらかじめ決めておき、終わりの時間にアラームを設定する。
・アラームが鳴ったら、作業を中断する。
いつまでもだらだらと続けない。
あなたは1日中、メールやメッセージに気が散ってしまい、われながらマズいと思っていないだろうか?ソーシャルメディアのせいで大切な作業に集中できず、目前に迫ったプロジェクトの準備ができていないという状況におちいったことはないだろうか?心当たりがあるのなら、「類似タスク」をまとめて片づけていこう。
手始めに、メールやメッセージの送信にあてる時間を「1日に20分間を3回」と決めよう。
たとえば「出社したとき」「昼休みの前」「退社する前」の3回に制限するのだ。
おや、首をかしげていますね?相手はすぐに返信をもらうことを期待しているのに……と、不安でしかたない?心配無用。
私はなにもメールへの返信を週1回にしなさいと言っているわけではない。
「1日に3回」と言っているのだ。
これだけあれば十分だ。
「ラリー」を減らせば時間が増えるさらに言わせてもらえば、メールのスレッドがむだに長くなるのは、やりとりが多いせいだ。
いつまでもだらだらと会話を続けないためには、メールの最後に次のような文章を添えるといい。
・返信不要です。
・ありがとうございます。
これで、本日の業務は終了します。
・なんらかの変更があった場合のみ、返信いただければ幸いです。
・○○さん(同僚の名前)におまかせしますので、私に同報メールは不要です。
・すばらしいですね。
では、当日よろしくお願いします。
・これから数時間、ネットとつながらなくなります。
・詳細は、○○さんと詰めてください。
こうした付け足しの一言が、メールのむやみな増殖を防いでくれる。
だから私は、締切り直前でせっぱつまっているときでも、1日の最初にスケジュールを確認し、前日、退社したあとに受信したメールを苦労せずに片づけられる。
「1×10×1」システムを使う仮にあなたが数日のあいだ、オフィスを留守にしていたとしよう。
そして久しぶりに出社したところ、メールや書類の山が待ち構えていたとしよう。
とはいえ、あわてる必要はない。
こんなときは、私はあるテクニックを使うことにしている。
私はこのシステムを「1×10×1」と呼んでいるが、これもまた類似タスクをまとめて片づける手法の一種だ。
デスクに山盛りになった書類やメールの洪水を崩していく最初の方法は、「1分間前後で片づけられるタスク」にいますぐ着手することだ。
これには、「すぐに対応できるメールへの返信」「企画の承認」「留守番電話への対応」「言われた通りにスケジュールに予定を組み込む」といったタスクが含まれる。
次に、「10分以内で片づけられるタスク」を特定しよう。
このグループのタスクは、1日のうちできるだけ早い時間帯に取り組むのがいい。
最後に残ったグループは、「片づけるのに1時間か、それ以上かかるタスク」だ。
こうしたタスクは、作業に取り組む時間を今後2、3日のスケジュールのどこかに予定として組み込もう。
この分類作業は、朝、もろもろの雑事が降りかかってこないうちにざっとやってしまうことが肝心だ。
1日2回「空白タイム」をつくる平日のスケジュールを作成する際には、かならず毎日2回、アポや打ち合わせをいれない30分の時間を設け、その時間に類似タスクをまとめておこなったり、予期せぬできごとに対処したりしよう。
私はこの時間を「空白タイム」と呼んでいる。
空白タイムを毎日設けるには強い意志が必要となるが、多忙をきわめる経営層のなかにも、実際にこのシステムを活用している人は数多くいる。
たとえば次から次へと途切れなく会議が続くと、仕事は絶望的に遅れてしまう。
だが、毎日、あらかじめ空白タイムをスケジュールに組み込んでおけば、その時間を活用し、長期的なプロジェクトの達成に向けて集中して作業に取り組むこともできる。
だからこそ、空白タイムには、現実にアポが入っていると考えるようにしよう。
そして、どれほど緊急な要件がもちあがろうと、この空白タイムはけっして後回しにできないものだと見なそう。
この方法を、かかりつけ医の例で説明しよう。
あなたが定期健診の予約をとろうと医院に連絡したところ、「予約がとれるのは、1か月先になります」と言われた。
ところが朝の8時に電話をかけ、「熱があってだるいんです」と言えば、その日の午前中に時間をとってくれる。
これは、開業医が救急患者の診察をできるよう、スケジュールにゆとりをもたせているからだ。
多忙をきわめるプロフェッショナルにとって、空白タイムは非常に有益な役割をはたす。
おしゃべりな同僚に仕事の邪魔をされても、空白タイムに挽回できる。
だいいちスケジュールにいっさいの余裕がなければ、とんでもない非常事態が生じたとしても、対処する時間をとることができない。
雑談が長い相手を「たった一言」で遮断するでは、始終オフィスをぶらぶらと歩きまわり、とくに用もないのに話しかけてきては、なかなか立ち去ろうとしない人にはどう対処すればいいのだろう?とくに間仕切りもないオフィスで働いている場合は、どうすればいいのだろう?私が隠してあげよう。
一点集中術は、あなたの姿を隠すためのマントなど必要としない。
しょっちゅうオフィスをぶらついては仕事の邪魔をする人が、あなたのデスクのそばにやってきたとしよう。
彼は、自分だったらこんな野球選手をドラフトで指名すると熱く語りはじめた。
だが、締切りを目前に控えているあなたに、彼の相手をしている余裕はない。
そんなときは次のような対応をするとよい。
・視線を上げ、「いま身動きできないんだよ」とはっきりと告げ、また視線を下げる。
・にっこりと笑い、邪魔者を撃退するためにつけているヘッドフォンを指さし、いまは話ができないことをジェスチャーで示す。
・「そりゃいいね。
でも、ちょっといまは仕事が山積みなんだ」と言い、仕事に戻る。
これ以外にも、あなたの仕事の邪魔をしてくる人間に対して言うべきことは、いろいろと思い浮かぶだろう。
あなたのやるべきことは、そんなせりふのどれかを躊躇せずに「言うだけ」だ。
えんえんと続くおしゃべりにいまは関わってはいられないということをやんわりと伝えたいのであれば、あたたかい笑みや温和な表情とともに必要なせりふを言えばいい。
間仕切りも何もないようなオフィスに勤務する人からはよく「シングルタスクなんて無理ですよ」という嘆きの声を聞く。
無理もない。
注意力を奪うものがそこらじゅうにあるのに、そうしたものと一線を画する境界線がないのだから。
とはいえ、絶望することはない。
しょっちゅうタスクを切り替えている人よりも、シングルタスクに取り組む人のほうが、邪魔になるものを遮断する能力は高いということが研究からもわかっている。
シングルタスクをまっとうするには、作業に専念し結果に責任をもたなければならない。
とはいえシングルタスクを可能にするための理想的な環境づくりをしてくれと、職場に要求することはできない。
だが周囲で人々が動きまわり、さまざまな事態が勃発するなかでいちいち右往左往していてはまともな仕事などできない。
もし、周囲であまりにも会話が多いようなら、ホワイトノイズ発生器(気持ちを安定させ、集中力を高めるためのノイズを発生する機械)を試してみるのもいい。
それほど価格は高くないし、数年はもつ。
そうして、いったんフローの状態に入ることができれば、外部の刺激は気にならなくなるはずだ。
時間を区切って「籠城」するでは、いまの職場環境ではどうしても集中力を高められないという場合はどうすればいいだろう?そんなときは時間を区切って、オフィスの会議室などを利用させてもらおう。
「仕上げてしまいたい仕事があるので、一時的に外部との接触を断っています」と周囲に知らせておけば、邪魔が入りにくくなる。
周囲の人たちはあなたのスケジュールを把握しようと努めてくれるし、そのうえ、急ぎの用件でないかぎり、あなたに不要なメッセージを送らないようにするはずだ。
こちらの都合で相手に遠慮してもらうのだから、心遣いを示して、相手にいつ対応できるのかは先に明確にしておこう。
そして、依頼された仕事は責任をもってやりとげると伝えよう。
留守番電話には応答メッセージを、メールには自動返信の設定をしておこう。
ほんとうは忙しくて対応できないのに中途半端な態度を示すより、ずっといい。
すべて「記録」しながら前進するシングルタスクは、身につけていく習慣だ。
あなたのシングルタスク力を強化する方法を選び、それを実践していこう。
なにか具体的なことを実践するのだ。
たとえば、それは「アポなしでの相談は断る」「SNS断ちをする」「計画を立てるための時間を朝かならず設ける」「会議中は会議のみに集中する」「メールをしょっちゅうチェックするのではなく、1日に3回まとめてチェックする」などだ。
そして目標としていた行動をとれたかどうか、毎日、記録に残そう。
1週間に4日間目標を達成できれば、成功だ。
15日間、記録をつけたら、自分にご褒美をあげよう。
「いまここ」に集中する能力を伸ばせたということ自体も見返りだが、そのほかにも、かたちとして達成感を味わえるなにかをご褒美としてぜひ自分にあげてやってほしい。
以上に挙げた例の多くは、平均的な職場を想定したものだ。
とはいえ、あなたがどんな環境に置かれていようと、どんな責任を負っていようと、基本的な考え方は変わらない。
フリーランサーであろうと、学生であろうと、アーティストであろうと、主婦や主夫であろうと、本章で紹介したやり方を活用できるはずだ。
Pointタスクをまとめて「集中的」に処理する毎朝「3〜5分」の時間をとり、今日の予定をすべて書きだす。
「類似タスク」をグループ分けし、まとめて同じ時間に処理する。
メール送信は「出社時」「昼休み前」「退社前」の3回に制限する。
メールは文末に「一言」加えることで、不毛なラリーになるのを防止する。
積み上がった仕事は「1×10×1」システムで一気に解決する。
1日2回、「空白タイム」をスケジュールに強制的に入れてしまう。
毎日「小さな目標」を設定して、達成できたかどうか記録を続ける。
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