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第4章【3番目のS】清掃(Seisou)って何?

目次

18職場にやる気をふき込む「清掃」

「清掃」とは

「清掃」とは、ゴミやほこりをまんべんなく取り除き、気持ちよく(きれいに)することをいいます。

週末に5Sタイムを設けて、終業時間の20~30分前に全員で清掃をしたり、来客があるとき、全員で時間をとって清掃したりする職場も多いでしょう。

しかしその清掃箇所を見ると、清掃しやすいところ、つまり、いつも清掃しているところばかりで、隅っこや設備の下などは対象外のうわべの清掃が多いのではないでしょうか。

そのようなうわべの清掃のやり方は、「まんべんなく」ではなく、「目立つところ」「やりやすい場所」のみで、5Sで目指している「清掃」とは違います。

せっかく時間をとって清掃するのですから、清掃の目的を理解させ、清掃する人数を「隅の担当」「設備の下担当」「設備周り担当」といったように場所ごとに人を振り分けて、まんべんなく清掃して、気持ちのよい職場にしましょう。

「みんなでやれ」は「やらなくてもいい」と同義語

「みんなでやれ」と言われても、「誰」が「いつ」やるかはわかりません。みんなでやれではなく、いつ誰がするのかを明確にした分担表でわかるようにします。

「清掃」の原点はその場できれいにすること

1日の大半を過ごす職場がほこりっぽく汚れた職場であれば、誰も「よし、がんばって仕事をしよう!」とは思わないでしょう。

ほこりや汚れがない職場だからこそ、つくっている製品も「汚れないようにしよう」「傷がつかないようにしよう」と思うのではないでしょうか。

食品工場はとくに清掃にこだわっています。それは、職場が汚れていれば製品に異物が入ったり、違う材料が混入したりして、顧客の信用をなくしてしまうからです。

そのため、製品の切り替え時や仕事の合間には、原料粉末を掃除機で吸引したりアルコールで拭いたりして徹底して清掃しています。

食品工場以外でも、仕事が終わった後や仕事の前に清掃をするのは、清掃を通して「汚れないようにしよう」「傷がつかないようにしよう」という気持ちにさせるための一環として行っているのです。

そして、「清掃は汚れたらそのときにする」のが基本です。いうなれば、「散髪屋方式」です。散髪屋さんは、カットした髪がたまると清掃するでしょう。そのため、いつも一定レベルできれいさが保たれています。

職場がきれいであれば心も清らかになるものです。

そうすれば、「汚れないようにしよう」「傷がつかないようにしよう」という気持ちが持てるようになり、きれいな気持ちで行動できるようにもなります。

清掃は品質維持の一環である

清掃で「きれい」が維持できれば汚さなくなりますし、職場が汚れなくなると製品も汚れなくなります。「清掃」は品質維持の一環といえる取り組みでもあります。

きれいな職場はお客様に安心感を与える

みなさんが何か食べようと思ったり買い物しようとお店に入ったとき、床が汚れていたりゴミが落ちていれば、この店で「おいしいものを食べよう」「買い物をしよう」と思うでしょうか。普通は「なんだ!この店は」と一歩引き、「もう来ないよ」と思うでしょう。会社もお店と同じです。

取引先の方が事務所に見えたとき、また、工場を見られたとき、机の上が散乱していたり、機械の周りにウエスや切粉が散らかったりしていれば、「つくった製品に傷がつかないのか」とか「清掃もできない人がいい製品をつくれるのだろうか」と不安になってしまいます。

自分たちがつくっている製品をいくら自慢しても、事務所や工場が散らかっていたり汚れていたりすれば、取引先は安心して「お宅に発注します」とは言わないのです。

「設備が古いから……」と言い訳する人がいますが、設備や建物が古くても、日々清掃すれば、油やほこりがなくピカピカに維持できます。すなわち、「設備が古い」ということと「清掃ができない」とはまったく別物なのです。

取引先は、設備や建物といったうわべで、その会社を評価するのではなく、そこで働いている人たちの行動の結果である「清掃状態」を見て評価します。

最新の機械をお客様に見せても、「清掃」が行き届いていなければ、「この会社は基本ができておらず心配だ」と評価してもらえません。

取引先は、働いている人が自分の職場をきれいにしていれば、「基本ができている」「指示が浸透している」「決めたことが守られている」と、きれいな職場から不良が出にくいことを知っているのです。

きれいな職場は、みんなの行動を変える

周りがどんどんきれいになってくると、「きれいな状態」が自然となり、少し汚くなってきたところで「もう少しきれいにしなければ……」と感じる人が増えてきます。

身の回りのエリアをきれいにするということは、そのほかのエリアとの「きれい度」の差を目に見えるようにするということです。

すると「もっときれいにしようよ」と働きかけたとき、その言葉に説得力が出てきます。きれいな職場は、みんなの行動を変える大切な要素でもあるのです。

19発生源対策が「きれい!」を持続させる

まずは、「汚れる」「落ちる」「散らかる」の元を断とう

設備の不備で、清掃をしても次から次に原料が散らかったり油が漏れて汚れたりしていれば、いくら清掃をしようという気持ちがあっても、やる気がなくなってしまいます。

まず、不備な設備を修理することが先決で、「清掃すればきれいになる」といった気持ちを持てるようにする必要があります。

5Sでいう清掃は、設備が本来の状態を保っていることが前提になります。

そのため管理者は、壊れたものはすぐ修理して本来の状態が保てるようにし、その本来の状態を維持できるようにした後、5Sを徹底するよう指導していきます。

「汚れない」「落ちない」「散らからない」工夫をしよう

汚れたら拭く、こぼれたり散らかったりすれば清掃をするといった具合に、私たちは当たり前に清掃をしています。

しかしそれは、本当にしなければならない清掃なのでしょうか。

仕事をするとき、「汚れないようなやり方をする」「落ちないように注意して運ぶ」「散らからないようにカバーを取り付ける」といったように、作業の仕方を工夫をすれば、当たり前にしていた清掃が当たり前でなくなります。

「清掃をするのは当たり前」と思うと、清掃がひとつの仕事になってしまいます。そうではなく、「汚れたりこぼれたり、また散らかったりするのは異常」と考えれば、仕事のやり方やカバーを取り付けるといった改善につながり、清掃をしなくてもいい工夫が生まれてきます。

この「汚れない」「落ちない」「散らからない」工夫は、現場で「なぜ汚れる」「なぜ落ちる」「なぜ散らかる」と現象を確認していくと生まれます。

その出てきたアイデアを、一つひとつ実行していけば、当たり前の清掃が当たり前でなくなっていきます。

発生源対策が工夫につながる

「汚れる」「落ちる」「散らかる」の元を断つ取り組みが工夫のできる職場になります。工夫しながらの発生源対策が、職場の活性化につながっていきます。

気づきが「きれいを維持しよう」につながる

事務所や工場で床に落ちているゴミを見つけたとき、そのゴミを拾う人がどれだけいるでしょうか。おそらく、2割もいないのではないでしょうか。

「床にゴミが落ちているのを見つけても拾わない」、すなわち「きれいにしよう」という気持ちが足りないのは問題です。

よく気がつく人のいる職場は、きれいが維持されています。

それは、汚れや散らかりに気がつき、そのつど清掃しているからであり、注意して見ていると、汚れたり散らかったりしないようなやり方や工夫をしていることに気がつくでしょう。

汚れや散らかりに気がつかない限り、汚さないようにしたり散らからないようにする行動に結びつかないのです。

「きれい」を維持したり発生源対策をしたりするには、まず「気づく」ことが大切であり、そのためには、「汚れているよ」とか「散らかっているよ」とお互いに声かけをすることです。

声をかけられることで気がつき、声をかけることで異常を見つける目が養われてくるでしょう。

気づかせよう

「汚れている」「落ちている」「散らかっている」。これに気づかせることが清掃の基本。気がつかない人に、「掃除をしなさい」と言っても維持はできません。

20すぐ、ちゃんと使える道具をそろえる

きれいな職場はちゃんと使える清掃道具でつくられる

「清掃」とは、ゴミやほこりをまんべんなく取り除き、気持ちよく(きれいに)することをいいます。

しかし「きれいにしよう」と思っても、ボロボロのほうきや穴の空いたチリ取りでは、きれいにしようという気にはならないでしょう。

鉄粉や切粉などの鉄類をボロボロのほうきで掃いても取れずに残り、何回も掃かなくてはならない清掃道具では「清掃をしろという前に道具ぐらいそろえてくれ」と言いたくなります。

気がついたときにすぐ清掃ができるようにするためには、使える清掃道具を近くにそろえる必要があります。

ここでいう「使える」とは、ボロボロのほうきでも掃ければよいというのではなく、本来の働きをする「きちんと掃けるほうき」をいいますが、ボロボロのほうきを置いている職場が多くあります。

新品の道具を使うときは大事に使おうとするように、きれいな清掃道具がきれいな職場をつくろうとするのです。

間違っても、清掃道具を経費削減の対象にしてはいけません。逆にどんどん使うように仕向けることです。

「ほうきを買ってください」とは言ってこない

担当者はボロボロのほうきで清掃をしていても、「買ってください」とはなかなか言いません。管理者は、「言ってこい」ではなく、使う道具をこだわるようにすることが大切。

清掃道具はすぐ使えるところに置こう

床が汚れているのに気がつき、「掃除をしよう!」と思って清掃道具を探すと、工場の端の清掃道具保管場所に置いてあったとします。

あなたは、わざわざ工場の端まで清掃道具を取りに行って清掃をするでしょうか。

普通は、「忙しいから後でしよう」と思い、引き続き仕事をしているうちに終業時間がきて、「また明日」になるのではありませんか。

誰しも面倒なことは避けたいものです。この面倒なことを避ける行動のひとつが「後にしよう」なのです。

だから、「後にしよう」と思わせず、気がついたときにすぐ清掃をさせたいなら、近くに清掃道具を置きましょう。

管理者的な発想であれば、「遠くといっても1分もかからないじゃないか」「それぐらい取りに行けばいい」ということになりますが、仕事に追われていれば、「わざわざ取りに行ってまでも……」と思ってしまうのです。

床が汚れているのに気がつき、近くに清掃道具が一式ぶら下がっていれば、汚れたり散らかったりしたときに清掃がしやすく、管理者も「そこにある清掃道具ですぐ掃除しろ」と言えるのです。

この「そこにある清掃道具ですぐ掃除しろ」と言えることが、「後にしよう」をなくすことにつながります。

このように、使いたいときにすぐ使えるところに清掃道具があり、「そこにある掃除道具ですぐ掃除しろ」と言える環境をつくることが、気がついたときに清掃をする習慣につながっていきます。

道具を置く場所にもこだわる

1カ所で集中管理すれば見栄えも管理も楽ですが、使う側からすればそのつど取りに行くのは面倒。

道具の置き場所は使う側を優先しましょう。

清掃道具もきれいを維持しよう

清掃道具が油にまみれていたり、ほこりだらけのモップを使って清掃をすると、逆に汚すことにつながるでしょう。そのような清掃道具を使っていませんか。

清掃道具も製品や治具と同じように、いつでも使えるようにきれいさを維持して保管することが大切です。

清掃するときに「こんな道具を使って清掃するのか?」ではなく、「これを使えばきれいになる」と思って清掃できるようにするのです。

清掃道具は「汚れている場所で使う」とのイメージがあるため、汚れていても気にならないことが大半です。このため、「汚れているのが当たり前」になり、清掃道具を見る目がマヒしているようです。

購入したときだけきれいでも、いつの間にか、汚れたまま保管しているのが現状ではないでしょうか。清掃道具も機械と同じように定期的に清掃することを勧めます。

そうすれば、清掃しているときに、「これはもう使えない」とか、「修理しよう」といったことにつながり、メンテナンスができます。

設備も冶具も使った後に清掃するからいろいろな不備に気がつき、修理や取り換えを行うことができ、いつでもすぐ使えるように維持できるのです。

同じように、清掃道具も使った後に少し清掃すれば、買い替えや手直しができるようになります。つまり、清掃をすることは道具や工具を点検することにつながるのです。

必要なモノはそろえる

職場が離れていて道具が2つ必要であれば2つそろえます。経費節約に乗じて「1つあればいい」といった発想では、きれいな職場は維持できません。

場所に合った清掃道具をそろえる

床や機械の上下、作業台の上など、清掃場所はさまざまです。それぞれの場所に合った清掃道具をそろえなければ、きれいを維持することは難しいでしょう。

たとえば、機械や作業台の上などは、10センチほどの清掃道具を機械や作業台の横に吊るしておき、作業が終わるたびに清掃ができるようにします。

このように工夫して、効率よく清掃できるようにすることが必要です。

21「清掃」の習慣化を進める

清掃はこまめに

1件処理するのに5分で終わる仕事を20件まとめると100分かかります。

1件が5分の仕事でも、まとめるとひとつの仕事になってしまい「ついでにやろう」とならず、「時間がかかるから後でやろう」と後回しになります。

同じように、仕事が終わるつど清掃すると、2分ぐらいで終わるものが、1日分まとめて行うと、20分から30分かかるため、納期に追われていると、仕事優先となり、清掃の時間がとれなくなります。

仕事優先で、清掃の時間がとれたりとれなかったりすると「時間があればする」ことになり、「清掃をするのが当たり前」になりにくくなります。

清掃はまとめずに仕事が終わった後にこまめに行うと「きれい」が維持できます。

ひと仕事終わるたびに清掃をするのがコツ

「清掃」の原点は、ひとつの仕事が終わったときや汚れが発生したときに、そのつど清掃をすることです。

たとえば、加工が終わり、切粉を取り除いたり周りを清掃したりするまでを「機械加工」の仕事とすれば、まとめて清掃の時間をとらなくても、いつもきれいな職場が維持できます。

清掃はまとめれば時間がかかるため、それが「ひとつの仕事をつくる」ことになり、後回しになりがちになるのです。

ひと仕事終わるたびに清掃をすれば職場の「きれい」が維持できるのです。「清掃までして仕事が終わり」と、清掃を仕事に組み込むことが、きれいな職場を保つコツです。

気づいたその場できれいにしよう

「ゴミ箱がいっぱいになっている」「部品が散らかっている」「ゴミが落ちている」という職場はどこでも見受けられます。

その状態を見て当たり前と思い、やり過ごすか、「これではいけない」と思い、ゴミを捨てたり掃除したりするかに分かれますが、多くの人が、この状態を見てもやり過ごしているのではないでしょうか。

清掃とは、「ゴミが落ちていることに気づく」「汚れていることに気づく」、そして、その場で「ゴミを拾う」「清掃する」ことを習慣化することです。

気づいたその場できれいにできる人は、元々散らかしたり汚したりしないはずなのですから。また、気づく人は、仕事をしているときにも異常に気づけます。ですから、製品の品質も保たれることになります。

このため、いつもきれいな職場からは不適合が出ないといわれるのです。「ゴミが落ちていることに気づく」「汚れていることに気づく」ためには、職場を眺めるのではなく観察することです。

観察とは、「どの状態が本来なのか」を考えて職場をじっくり見ることで、いい換えれば、「おかしい箇所を探す」ことです。

これは、難しいことではなく、ゴミ箱がいっぱいになっていれば、「なぜ捨てないの?」と思うでしょう。その「なぜ?」が、「おかしい箇所を探す」ことにつながり、職場をきれいに保つことになります。

気づきを行動に結びつける

「落ちている」「汚れている」に気がつけば、「拾う」「汚れを落とす」行動に結びつきます。そのためには、その場で「拾わせる」「汚れを落とさせる」ことが必要です。

column45S実践講座4トップは清掃にこだわり抜こう

■きれい度の差はトップの関心度の差

工場、事務所を見ると、徹底して清掃がされており、「さわやかだなぁ」と、思わず感激するところがあります。

場合によっては、床を粘着テープで掃除しているところもあるほどです。また、粉塵が出る工場の中には、常に清掃した後がわかるところがあります。

逆に、「粉塵が出るので清掃をしても意味がない」と、最初からあきらめている工場もあります。

「さわやかだなぁ」と思う工場や事務所と、「もう少し清掃すれば」と思うところの違いは、何なのでしょうか?それは、組織のトップの5Sに対する関心度の差が大きいように思われます。

■清掃へのこだわりが成長させる

トップが「きれい」にこだわっていれば、「清掃しなさい」と口癖のように言い、その思いが全員に伝わり、忙しくても清掃が当たり前にできるようになってくるのではないでしょうか。

トップが「こだわる」ことは、従業員を「成長させること」なのかもしれません。こだわればいろいろなことができるようになり、トップの思いがわかるようになるでしょう。

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