対談から数時間が過ぎた頃、突然、スタッフの方がテーブルの上にたくさんのおにぎりを持って来てくださった。
そこで、ここで一息、しばし休憩時間になる。
一人さんからは、「食べなー」と声をかけていただく。
そして、一人さん自身もおにぎりを食べはじめたのだ。
一人さんも、おにぎりを食べるんだ……。
日本一の大富豪なので、てっきり老舗の割烹料理店あたりで毎日食事をしているのかなとか勝手に思っていたのだが、その想像は見事に打ち砕かれたのだ。
それにしても、なんだか一人さんがおにぎりを食べているだけで、そのおにぎりが〝特別なおにぎり〟にさえ見えてしまうから不思議だ。
でも、目の前のおにぎりは、どこにでもある普通のおにぎりだ。
話を聞くと、一人さんの食事は庶民的なものが多いのだそうだ。
そんな一人さんだからこそ、〝普通の人〟のココロをつかむことができるのだろう。
和やかでリラックスしたおにぎりタイムの中、話題はあるおにぎり屋さんの話になっていく。
それは、おにぎりにまつわるシビアな価格設定のエピソード。
こうして、おにぎりからもビジネスの話が展開していくところが、やっぱり一人さんなのだ。
信長ビジネスで仕組みを作るときに気をつけることは?一人簡単に言うとね、「四方良し」だね。
ビジネスをするのだったら当然だけれども、①自分にとって良し、②中間に入ってくれる人にも良し、③商品やサービスを買ってくれるお客さんにも良し。
そして、④世間もそれを見て良しと思ってくれること、神も味方してくれることをやった方がいいんだよ。
もし、この〝四つの良し〟が全部揃えば、失敗はないんだよ。
信長それは、お客さんがたくさん来ても、もし、価格設定が間違っているならダメだということですか?一人そういうこと。
お客さんを満足させるだけでも難しいことだし、自分のための利益を出すことも必要だよね。
だから、この4つの要素を全部揃えようとすることは、本当に大変だと思うよ。
だけどね、脳には無限の可能性があるのだから、最初にこの4つの要素を適えるための条件を考えておくことで、失敗しないんだよ。
たとえばね、ちょうどさっきおにぎりを食べたけれども、この近くにもおにぎり屋さんがあったんだ。
そのおにぎり屋は、その場でおにぎりを握ってくれる店で、美味しくて毎日行列ができていたのに、最近、つぶれちゃったみたいなんだ。
つぶれた原因はね、たぶん、おにぎりがあと10円か20円高ければよかったんだよ。
信長なるほど。
価格設定が間違っていたのですか。
一人そう。
スーパーが安いからうちも安くしなくちゃ、ということだったのかもしれないけれど、スーパーはスーパーなんだよ。
信長じゃあ、先ほどの四方良しの考え方で言うと、そのおにぎり屋は「自分良し」ではなかったのですね。
一人そうだね。
他の要素はよかったのかもしれないけれどね。
信長ちなみに、おにぎりの値段はいくらだったんですか?一人1個100円ぐらいだね。
信長すごく安いですね。
一人人件費なんかには、結構使っていたはずだよ。
コンビニより安いから人気があったんだけど、結局、ダメだったんだよ。
いいかい。
1個100円のおにぎりを売って20円儲かるとするじゃない。
すると120円で売るとすると、2個売ったのと同じになるんだよ。
つまり、売上が半分に減っても利益は同じなんだよ。
だから、利益を落とさないことを考えなくてはね。
商売って、値上げしてもっと売るということなんだよ。
たくさん売ればいいんだよ。
そんな方法があるんですか?って言われるかもしれないけど、あるんだよ。
だから、他の店が200円だからうちは120円にするよ、という人もいるだろうし、よそが200円だけどうちは250円取るよ、その代わりにこれだけの価値があるよ、っていう方法もある。
とにかく、他と同じ値段にする必要なんかないんだよ。
信長そんなことを決定する際は、何を参考にすればいいんでしょう?たとえば、同業他社の動向を探るのか、など。
一人「シャネル方式」っていうのがあるんだよね。
シャネル方式っていうのは、うちのお客さんたちはどんな人たちなのだろうと考えること。
お客さんたちはこのぐらいの収入があって、こんなことにお金を使う人たちで、そして、残るお金がこれくらいある人たちで、みたいなことを調査する。
その上で、彼らの手元に残るお金が50万あるとすると、シャネルのバッグは50万になるんだよ。
たとえ、バッグの原価が1万円だって関係ないんだよ。
一方で、「日本方式」という考え方もある。
たとえば、トランジスタラジオを作るなら、材料の原価、工場での人件費、そして、小売店分の利益など最初
からかかるコストを積み上げて、トータルで1万円という値段を決定するという考え方。
それが日本方式なんだよ。
でも、結局、どっちが正しいという問題でもない。
いろいろな考え方があるということだね。
信長シャネルなら、あのロゴマークがすべてですもんね。
一人そのロゴマークが大切なら、その価値を高めないと。
たとえば、帝国ホテルに行くと、ラウンジなんかでお茶を1杯とか頼むと普通に千円とかするじゃない。
でも、帝国ホテルでお茶を飲む人にとっては、お茶代が500円に安くなることで帝国ホテルにつぶれて欲しいなんて思っていないよね。
だから、あのおにぎり屋さんだって、もしかしてあと20円くらい高くたって、お客さんは買ったかもしれないんだ。
信長お客さんのためになることを考慮したことが、結果的にお店をダメにしてしまった。
一人そう、四方良しではなかったということ。
結局、お客さんにとってもお店がなくなったのだから、お客さんにも良しではなかったんだよ。
とにかく、繁盛している店がなくなるのが一番寂しいよね。
でも、お店が消えたそのほとんどの原因は、価格設定の問題だね。
信長価格設定は大切ですね。
一人自分良しばっかり考えていても、お客さんが納得しないと来ない。
そして、お客さんが来ても自分良しを考えてないと最終的に失敗してしまう。
信長そのあたりのバランスは、常にチェックしておかないといけないですね。
自分にも相手にもいい結果が得られること、双方がお互いに利益やメリットを得てハッピーになることを、「winwinの関係」などと言うが、「四方良し」なら、「winwinwinwinの関係」ということになるだろう。
自分とサービスや商品を提供する相手という二者だけでなく、提供するまでの間に関わる人々から社会への影響まで、すべてのことを考慮してビジネスを行うのは、かなりハードルが高いかもしれない。
しかし、これを常に意識しているかどうかの差はとても大きいと思う。
ちなみに、最近では、一人さんの言う③の「世間に良し」という部分はエコロジーなどを意識することかもしれない。
ひとつのビジネスに関わるすべての人々のことを考慮し、すべての要素がハッピーになれる関係を考えることこそが、そのビジネスをさらに拡大発展させるポイントになるのだろう。
次に、二人の話は、一人さんの会社である「銀座まるかん」の創業秘話から人材育成にまで及んだ。
「銀座まるかん」を日本一の会社にしたのは、斎藤一人であり、一人さんを支える社員の人たちでもあるのだ。
日本一の会社を裏で支えているのは、どんな人たちなのだろう?また、組織におけるリーダーシップの問題など、一人さんと同じマネジメントの立場にいる僕が知りたいことをここでは質問してみた。
信長さきほどもお話にでましたけど、一人さんは会社にほとんど行かないじゃないですか。
一人俺はほとんど会社に行かないからね。
一年に一回行った時に、「おー、皆頑張っているかい!」って言って終わり。
信長あとは、会社の人たちがすべてをやるということですか?一人そう。
俺の下には5人しかいないの。
本社には合計5人しかいないんだよね。
パートの人とかね。
それも、最初に会社を始めたときからいる人たちがそのままいるの。
彼らは、働きものだからずっと働いてくれているの。
そして、俺が出社するとバーッて俺のところに寄って来て話をしてしまうから、仕事にならないの。
そして、会社には俺の机も椅子もないの。
だから、名刺を持ったことさえもないの。
信長その数名が頑張られているわけですね。
一人そう。
彼らは、ほめなくてもやるの。
それはね、簡単に言うと、10人でやる仕事を7~8人でやる。
そうすると怠け者は逃げていくの。
そして、働き者だけが残るの。
だから少数精鋭じゃないの。
最初から少数にすれば自然と精鋭になっちゃうの。
それにね、働き者は働くと機嫌がいいの。
でも、怠け者は働くと機嫌悪くなっちゃうの。
その反対に、働き者は遊ばせてばかりいると調子悪くなっちゃうの。
だから、会社に働き者しかいなければ、全員が働き者の会社になるの。
信長なるほど。
そうすると、採用の段階で少数精鋭の体制にしておくのですね。
一人そういうふうに決めておくと、その波動に引かれて集まってくる人は少数精鋭で働ける人なの。
そして、もしそうじゃない人がいたら、勝手に辞めていくの。
うちの会社は一人ひとりの役割があるから、誰もが休んだり病気になったりせずに楽しく働けるの。
だから、うちの会社は特別な休みもなければ、社内旅行もないんだよね。
俺としては、いつでもどこにでも連れて行くっていうのに、勝手に楽しく働いているのよ。
だから、定年もないんだよ。
信長定年がないんですか?一人そう、もし亡くなったら社葬を出すから、うちでは死ぬまで働けるよって。
そして、誰も辞める気がないから、ずーっと一緒にいるんだよ。
信長社員の人たちをほめて働いてもらう、なんていうことは必要ないんですね。
一人うん、そういうこと。
一生懸命働いてくれる従業員をほめてやりなさいよ、なんて言われることもあるけれども、ほめたこともない。
だって皆、働きに来ているんだから、働くのは当たり前なんだよ。
うちの会社の人たちって、俺が毎日旅行に行っていようが、文句など言う人は一人もいないの。
俺たちばっかり働かせて、社長は毎日ドライブしているなんてグチも言わないの。
うちの人たちは、社長が毎日ドライブしているのは、安心して私たちに仕事を任せてくれているからだって思える人たちなの。
それが自分たちの誇りなんだって思える人たちなんだ。
そして、皆が会社の中を守ってくれているんだから、俺は会社の外へ出て、世の中を見渡しているんだ。
だからうちの会社の人たちは、一人さんについていけば、どんな時代の荒波が来ても簡単に乗り越えられると信じてくれて安心しているの。
こんなふうに、俺は安心して彼らに仕事を任せているし、彼らは安心して俺に経営を任せている。
だから、ほめないと仕事をやってくれない人とか、働かない人をどうするか、なんていう問題は最初からないの。
信長それは、素晴らしい関係ですね。
やはり、そういう関係を目指すべきなんですか?一人っていうよりね、こちらの覚悟なんだよね。
たとえば、社員が働いてくれているのに、俺が給料日に給料を彼らに渡さなかったらひどい社長だよね。
それと同じで、会社に働きに来ているのにサボっている人がいたら、給料を払わない社長と同じなんだよ。
社員の方も、自分の任務を果たすプライドをしっかりと持たないとね。
うちは上下関係というよりも、対等なの。
だから俺が出社しても、社員は俺にお茶すら出さないんだよ。
なぜって、俺にお茶出したって、俺のその社員への対応は、特に何にも変わらないんだから。
社員はお客様に尽くすためにいるわけであって、俺に尽くすためにいるんじゃないの。
信長社員の方々と一人さんの関係性というか、役割分担みたいなものがとても面白いですね。
ちなみに、社員を採用するときは、どういう基準で判断するんですか?一人基準なんてないよ。
ただ忙しい職場だから、それができない人は勝手に逃げていくだけ。
働き者のところには、働き者しか残らないの。
それに、うちなんか履歴書さえももらってないんじゃないかな。
社員のことを呼ぶときも、「お兄ちゃん」とか、「○○ちゃん」とかって呼んでいるけど、一人ひとりの苗字とか年齢なんかまで知らないもん。
それでも皆、何年もうちに勤めてくれているから、俺としては、うちの社員たちは最強軍団だよねって思う。
だって、ある機械を売りに来た営業マンが、社員の仕事ぶりを見て機械より速いって言ってびっくりして帰っちゃったんだから。
信長まるかんの商品をですか?一人そう。
創業初期の頃の話なんだけど、社員が商品を手作業で箱に詰めていくんだけれどね。
それを機械で行う設備を売りに来た人が、みんなの働きぶりを見て、機械より速いって言って帰って行ったの。
こんな感じで、社員の問題で苦労したことなんか一回もないんだよ。
採用するといっても、今、働いている人たちが忙しくて手が足りないとすると、彼らに「じゃあ、人を探してきて!」って言うと、その人が新しい人を連れてくるわけ。
信長働き者が連れてくる人は、同じように働き者なんですね。
一人最初の社員も、俺が一人でやっていたところに手伝いに来てくれた人からはじまったわけだから。
信長第一号の社員がそうなんですか。
それはすごい話ですね。
一人だいたいね、会社をはじめた当時は、まだ健康食品っていうのがほとんどなかったから、俺が自分のために作って自分で飲んでいたの。
いろいろな材料を混ぜ合わせて青汁を作って粉にして、そして、それを病気の人なんかに無料で分けてあげていたの。
するとだんだん、それを欲しいという人たちが増えてきたので、原価だけをもらって作っていたの。
その頃は、まだ、薬局かなんかで材料を買ってきて作っていた時代だったからね。
でも、ある日、問屋に行って材料を揃えたら安く作れたので、お金を預かっていた人に差額を返すからって言ったら、「その分は、とっといてください」って言われたの。
そして、その人たちが、俺の代わりに商品を口コミで周囲の人にも売ってくれたの。
信長最初は、自分のためだけの商品だったんですね。
一人そう。
そうすると、今度は「化粧品を作ってください!」とか言われたりして、だんだんと自然発生的に今の商売の形ができ上がってきたんだよ。
それがうちの会社のはじまりだよ。
そして、その頃から「人生とは、こういうものなんだよ」っていう話をしていたら、皆がテープレコーダーを持参してきて、俺の話を聞きにやって来はじめたんだ。
遠方からだと、ブラジル辺りから来た人もいたよ。
また、そのテープをみんなに配ったりして会社も少しずつ発展しはじめた。
そして、こんなふうに今のように大きくなったんだよ。
信長ちなみに、それは何歳の頃ですか?一人20代の頃だね。
当時、一度だけある所の市長さんに会うように言われたことがあって、そのときに名刺があった方がいいと言われて、紹介者が名刺を作ってくれたの。
俺が名刺を持ったのはそのときだけだな。
信長これまで、ビジネス上のライバルなどはいましたか?一人いない。
だって仕事に関わる人と会わないから。
あ、でも昔、長者番付の発表がある頃は、実業家で日本マクドナルドの創業者だった藤田田さんとは、よく比べられたりしていたな。
信長一人さんが仕事をする上で、一番大切にしていることって何ですか?一人黒字を出すことだな。
あとは、自分が仕事を楽しむってこと。
だから、楽しく黒字を出すことだな。
この二つが揃うことが一番大切だな。
「銀座まるかん」の恐るべき創業秘話を聞くことができた。
現在のまるかんという会社を見ると、誰もがすごい会社だと思ってしまうけれども、創業時は、なんと一人さんが調合した青汁を身近な人に配るところから商売がはじまったというお話だった。
つまり、最初は必要性から生まれた、ほんの小さいビジネスからスタートしたのだ。
この話を聞くと、「自分にも出来そうだ!」と勇気づけられる人も多いのではないだろうか?一般的にビジネスをはじめるときには、お金や人脈が必要だと言われている。
けれども、それは必ずしも正しいとは思わない。
なぜならば、小さい規模でビジネスをはじめて、少しずつ大きく育てることこそがまるかんの極意だからだ。
対談中によく一人さんからは、「信長君、〝ビジネスは固定費をかけないで小さく〟が基本だよ」という言葉をいただいた。
ぜひ、肝に銘じておきたい。
また、人材活用に関しても、採用の段階で妥協しないという見解は、多くの企業にとっても参考になるのではないだろうか?人間関係のエキスパートである一人さんならではの考え方を、ぜひ覚えておきたい。
信長先ほども部下との人間関係の話が出ましたが、僕はリーダーとして、やはり、つい皆に努力して頑張って欲しいって思ってしまうんです。
リーダーシップってどういうものなのでしょう?努力をさせようとすること自体が無意味なんですかね。
一人無意味だね。
もし、何かすべきなら彼らに意見をするより、皆に信長君を好きになってもらうことだね。
それに、人は好きな人の真似をしたくなるものなんだよ。
リーダーなら、下にいる者たちに親分のことを大好きになってもらう。
信長好きになってもらう……。
一人もし皆が信長君のことが好きだったら、皆、信長君の真似をするようになっちゃうんだよ。
信長君に魅力があればすべてが上手くいくっていうわけだ。
だから部下の人たちに自分のことを大好きになってもらうことが大事なんだよ。
信長どんなリーダーシップをとるべきか、というよりも、まずは僕自身の魅力次第なんですね。
ところで、人を変えるのは難しいのは承知の上でお訊ねします。
やる気のない人に、やる気を出させる方法ってあるんでしょうか。
一人どういう風にやる気がないのかな。
信長例えばホストの例で言うと、僕らの仕事ってそれぞれが自分の売上を上げないといけない仕事なんですけど、なぜかやる気がなくて、営業をせずにずっとテレビを見たり、ゲームをしている人とかいるんです。
特に、仕事前の時間帯は大事で、僕らの仕事はその時間に営業を頑張るかどうかでほぼ決まるんですけど、そんな営業にも熱が入らない人もいるわけです。
一人一番いいのは、そういう人は、丁重に辞めてもらう方がいいの。
直らないのなら。
信長やる気を出させようと思うことが、無駄なのでしょうか?一人無駄だねえ。
そういう人は、辞めさせられそうになると、ちょっとだけやる気になったりするの。
そのときに、やる気のあるふりを見せたりするだけ。
でも、最終的にお店の利益にならない人に真剣になって手間暇かけるのは、経済的にも見合わないでしょ。
だから無駄なの。
それよりも、やる気のある者を伸ばした方がいい。
そして、やる気のある人をやる気のない人と入れ替えちゃった方が楽なの。
つまり、やる気のない人間がいられないような会社にしちゃえばいいの。
やる気のない部下をクビにすることは薄情でも何でもないの。
やる気のない子は、きっとホストには向かないの。
そして、その子に向いている仕事があるの。
だから早く首にしてあげた方がいいの。
信長たとえば、企業研修や、その他、「やる気をアップさせるセミナー」とかってあるじゃないですか。
ああいうものを採用するのも、あまり意味がないのでしょうか?一人ないかもしれないね。
伸びる人っていうのは、すぐ伸びるの。
うちの本社の人とか、手間暇かけなくても、勝手に伸びてくれる。
そして、こちらから手間暇や時間をかけている人ほど恨み事を言うものなんだよ。
本当に感謝できる人はね、こちらが何もしていなくても感謝の心を持ってくれているものだよ。
たとえば、ある人が歌が上手いかどうかは外見を見るだけではわからないけれど、ちょっと歌ってもらえばすぐにわかるでしょ。
だから、従業員だって一週間でも働いてもらえば、わかるの。
人を雇う側の人は、断る勇気も持たなくてはいけない。
面白いことにね、いつでも断る覚悟のある人のところには、そういう人は来ないものなの。
だいたい、人を育てようなんて思うこと自体がおこがましいの。
優秀な人は、俺が育てたから優秀なんじゃない。
うちの社員やお弟子さんたちが優秀なのは、勝手に優秀なの。
もちろん、俺ができることは、とことん手伝うけれどね。
信長君はただ俺が手伝っているだけで、もともと優秀なの。
俺が優秀にしたんじゃないの。
信長人を育てようなんて、おこがましいんですね。
ちょっと反省しました。
それよりも、僕がリーダーとして皆に好かれる人間になるべき、ということがよくわかりました。
経営者という立場にいる僕も、これまでホストを志して面接に来てくれる若者たちをたくさん面接してきたが、半分以上は採用の段階で落としてきた。
やはり、ホストに向いてない人を育てるのはコストもかかるし、向いてない人は、採用してもすぐにやめるリスクもあるからだ。
それに、何よりもこの僕自身が「人のことは変えられない」と思っている。
それが、今回一人さんの話を聞いて、さらに確信に変わった。
同時に、この話を聞いたときに学生時代のことを思い出した。
人間的に好きだったある先生の授業は勉強が楽しく、一方で、いくらベテランの先生でも嫌いな人の授業はまったく頭に入ってこなかったのだ。
結果的に、好きな先生の授業はいい成績を取ることができた。
いずれにしても、「上の立場にいる人間は好かれるべき」ということは、すべてのシチュエーションに当てはまるものであり、その関係も恋人、夫婦、友人などすべての人間関係に当てはまると思う。
もしあなたがリーダーなら、リーダーとして好かれる上司であることを心がけてみよう。
そうすれば、悩んでいるすべての問題は解決するかもしれないのだから。
信長一人さんはビジネスの交渉はしますか?一人したことはない。
信長交渉する前に勝負は決まっているということなんですね。
一人交渉をすること自体がもう負けなの。
それに、大きい話を持ちかけられると引っかかってしまうこともあるよね。
たとえば、商品を千個毎に現金で購入してくれていた相手から、一万個買うから手形の支払いでもいいですか、となるとお金が突然滞ったりね。
もちろん、こういう流れを前もって読める人は、「前金でください」とか言える人だと思うけど。
今後、信長君もさらにお金持ちになると思うけれど、気をつけてもらいたいのは、たとえば、ボクサーのマイク・タイソンが昔テレビに出ていた頃、試合に勝つと、彼は一度に20億円位のお金が入ったらしいんだ。
そして、試合に勝つ度に、友達が大勢寄って来るのでごちそうをしていたらしい。
ところが、彼のお金がなくなった途端に、皆が一気にいなくなったと言うんだよね。
だから、お金持ちになると、そういうこともある。
実は、そんな人たちに引っかからない方法が、ひとつだけあるんだよ。
それは、すべてを割り勘にすること。
自分の食べたものにお金も払わない人はダメだよ。
信長実は、僕は若いスタッフと一緒のときには全部自分が出していますけど、やめた方がいいのでしょうか。
一人本来ならね。
でも、食事を奢るなら、「ごちそうさまです」と相手に言ってもらえる関係にしておくこと。
なぜって、ごちそうになったら、「ごちそうさま」と言うことは当たり前なのだから。
信長君にこれを言えない人は、よそでも同じように言わないはずだよ。
こういうことはね、教育の一環なの。
だから、「ごちそうさまって言えよ」って伝えることも大事。
ごちそうさまと言わないと、世間は通らないんだということを相手側も知っておくべき。
ちなみに、毎回奢ってあげているのかい?信長はい、毎回。
100%ですね。
うちの業界は芸人と同じで、若い者を面倒みるっていう習慣があって、全部出してあげるという。
一人自分がお金を出したければ、出すのはいいんだけれどね。
ただ、元お金持ちだった人は皆、「お金がなくなったら、皆が去っていった」って言うんだよ。
でも、お金がなくなったから来なくなった人が悪いみたいに言うけれど、本来ならお金がなくなる方もおかしいんだ。
無計画にお金を散財した自分も悪いんだよ。
だから、俺は奢ることはよくないと言っているわけではない。
ただ、奢られることをあてにしている連中を相手にすると、人生がダメになることもあると言っているんだ。
それと、お金持ちになったら、どうしてもついついバカなことをしてしまうことがあるからね、気をつけないと。
若いスタッフにごちそうしたりするのは、僕がこの世界に入った頃からの暗黙のルールのようなものであったが、それは、必ずしも正しいわけではなかったのかもしれない。
「ごちそうさまです!」という言葉を聞くのは、とても気持ちがいいものだ。
もちろん、その言葉を聞くために、こちらはごちそうをしているわけではないのだけれど。
そして確かに、奢られる方は、いつも奢ってもらっていると、それが当たり前になってきて、だんだんとありがたみを感じなくなってくるという光景を目にすることも多い。
マイク・タイソンの例ではないが、うちの業界でも、お金が厳しくなり奢ることができなくなると、それまで周囲にいた人たちが誰も残っていなかったというのはよくある話だ。
やはり、本当の信頼関係を築くには、どこかでイーブンな関係を作っておくことは必要なのだ。
お金で人間関係を良くしようとしてはいけないのだ。
今後は、ときには割り勘もして、お互いにとって良い緊張感を保っていこうと思った。
「ワクワクすることを追求すれば、すべて上手くいく」というのは成功法則の分野においては基本中の基本のルールだ。
そう、人はワクワクすることにだけ夢中になれるし、情熱が傾けられるのだから。
でも、そのワクワクが自分でわからない人も実際に多い。
そんなときは、一人さんが教えてくれたように、自分で自分に問いかけてみる。
「好きな色は?」「好きな食べ物は?」「好きな本は?」etc.。
そんな質問は、大の大人には少し子供っぽいかもしれない。
でも、子供の頃の自分を取り戻してみるのだから、こんなシンプルな質問がいいのだ。
そして、そんな質問の数々から本当の自分を掘り下げていくことができるのだ。
あなたもきっと、自分への質問に100個答えられたら、あの頃の情熱を取り戻せているはずだ。
一人さんのここがすごいな、と思えるところはたくさんあるけれど、中でも、そのユニークでキャッチーなネーミングのセンスにはいつも衝撃を受けている。
たとえば、これまで一人さんがネーミングしてきたものには、次のようなものがある。
①本読み大会②天国言葉に地獄言葉③地球は行動の星etc.。
まず、①の「本読み大会」とは、一人さんが推薦した本を全国のまるかんの関係者たち数千人が読むという定期的な読書イベントのようなものであり、それを「本読み大会」と呼んでいるのだ。
それも、推薦本に指定された本は、計3回読むということになっているらしい。
たとえば、もし、僕が誰かに自分の本を3回ほど読んでもらいたい場合、僕なら「この本、3回読んでみて」などと普通に頼んでしまうだろう。
でも、そんなことを言われた人は、それが仕事でもない限り、興味がなければ読んではくれないだろうし、ましてや、3回なんて絶対に読んではくれないだろう。
そう、人は強制された行動などは、決してしないものなのだから。
でも、「本読み大会」と名付けられると、不思議と人は競って本を読むようになる。
何しろ、“大会”なので、誰もが参加したくなるのだ。
まったく、「上手いこというな~」と思った。
現在、密かに自分の店でもこの本読み大会をやってみようと計画中だ。
また、②の「天国言葉に地獄言葉」というのも一人さんらしいユニークなネーミングだ。
自分の人生を変えたいのなら、ネガティブな言葉を避け、ポジティブな言葉だけを使うように心がけるべきだ。
だけど、そんなポジティブな言葉という言い方さえも、一人さんにかかれば「天国言葉」とネーミングされ、ネガティブな言葉は「地獄言葉」となってしまう。
なんともわかりやすく印象に残る言葉ではないだろうか?何度も聞いてきた言葉であっても、その本質を伝えるインパクトのあるネーミングになることで、僕たちは改めて〝はっと〟するのである。
③の「地球は行動の星」にも同じことが言えるだろう。
「行動することが大切だ」というフレーズも世界中の成功本に書かれている言葉だが、こんな表現をするのは、一人さんくらいだろう。
「行動することが大事」と言われても、残念ながら多くの人は行動しない。
けれども、「地球は行動の星」と言われると、「そうだったよね!本当に。
僕も行動しなきゃね!」と何故か素直に思えるのだ。
もし、何かを上手く伝えたい、誰かを説得したいという人は、一人さんのこのユニークなネーミング戦略を取り入れてみるのはいかがだろうか?もちろん、僕も自分なりのセンスで取り入れてみようと思う。
コメント