MENU

第3章昼の時間を最大に生かす午後のリセット術

第3章昼の時間を最大に生かす午後のリセット術午前中にスタートダッシュして、猛然と仕事をしていると、当然、脳も身体も疲れてきます。

集中力も低下してきます。

そんなときに、簡単に集中力をリセットできる、「集中力のリセットボタン」があります。本章では、そんな「集中力リセット術」をお伝えしていきます。

目次

最高の昼その1外出ランチ・リセット術完全リセットで午後のエネルギーを蓄える

昼以後の時間術の基本は、いかに集中力をリセットするかにかかっています。

「昼休み」「午後」「夕方」……、と時間帯ごとに最適な集中力リセット術を活用することが、午後の時間創出と仕事効率化の最大のポイントとなります。

午後の仕事の効率を上げるためには、まずは「昼休み」の使い方が、ものすごく重要です。

ここで、どこまで「リカバリー」(回復)できるか、集中力をリセットできるかどうかによって、午後の仕事がすべて決まってしまうと言っていいでしょう。

あなたは、ランチをどこで食べていますか。

忙しいビジネスマンであれば、「外に食べに出かける時間がもったいない」と言って弁当を自分のデスクで食べたり、てっとり早く社員食堂で済ませたりするという人も多いのではないでしょうか。

あるいは、おにぎりやサンドイッチを買ってきて、昼休み返上で仕事をしながら食べるという人もいるかもしれません。

しかし、忙しいビジネスマンほど外食ランチに出かけるべきなのです。なぜならば、外食ランチこそが、最強の「集中力リセット術」だからです。昼休みは、集中力回復の絶好のチャンスです。

午前中の仕事で、40%や50%にまで下がってきた集中力を、昼休みの間に90%くらいまで回復できる可能性があるのに、60~70%までしか回復できないとしたならば、その後の午後の集中時間を2~3割以上もロスすることになります。

60分をきちんと休まないことによって、その後の2時間を失うというイメージです。その結果、仕事が終わらず、残業するはめになるのです。

私は、午前中は部屋にこもって猛然と執筆をしていますが、昼をすぎて脳も疲れ、お腹が減ってくると、必ず外食ランチに出かけます。

1年の昼食のうち、80%以上は外食をしています。私がそこまでこだわる、「外食ランチ・リセット術」。その具体的な方法とその脳科学的理由についてお話ししていきましょう。

ランチ・リセット術1平常心に戻るセロトニン効果

外食ランチをすると、セロトニンが活性化します。セロトニンは、「癒やし」「リラックス」「平常心」などに関する脳内物質です。

セロトニンが低下するとイライラしたり、怒りっぽくなります。また、セロトニンが低下すると、意欲も低下します。

昼までずっとデスクワークをしていると、セロトニンは低下してきます。そこで、適切な方法でセロトニンを活性化させる必要があります。

セロトニンを復活させることで、爽やかな気分になって気分転換もでき、午後の仕事もはかどるようになります。

セロトニンを活性化させる方法は、3つあります。

それが、第2章でも紹介した、「日光を浴びる」「リズム運動」「咀嚼」です。

ですから、会社から5分ほどの定食屋まで歩いていき、そこでご飯を食べるだけで、青空の下、「日光を浴び」、「リズム運動をし」、「咀嚼する」というすべてが満たされ、セロトニンが活性化されるのです。

ただ食べるだけでなく、「日光を浴びる」のと、少しの距離を「歩く」ということが重要です。

同じビルの中をエレベーターで地下に降りて、地下の飲食店街の定食屋で済ませるのでは、「集中力リセット」に役立ちません。日光を浴びていないし、ほとんど歩いていないからです。

重要なのは「日光」「運動」「咀嚼」の3つですから、会社から出てコンビニで弁当を買って、あるいは自宅で作った弁当を持って近くの公園まで歩いていって、そこで弁当を食べてもよいのです。

これなら「外食」でなくても、セロトニン効果が得られます。昼休みだけでも、外に出て、青空の下を少し歩くだけで、セロトニンはかなり活性化します。

こんな簡単なことでも、集中力のリセットと、午後の仕事効率のアップに大きく役立つのです。

よく噛むことでセロトニン回復効果を上げる

それでは、ランチに何を食べれば、集中力リセット効果が大きいのでしょうか。

栄養素の話を言い出すとキリがありませんのでそこまで言及はしませんが、歯ごたえのあるものをよく噛んで食べることが重要です。

たとえば、立ち食いそばを急いで5分ほどで食べても、セロトニン回復効果は得られません。

あるいは、コンビニで売っているとてもふわふわのパンや、栄養ゼリーや栄養バーも「噛む」効果は弱いでしょう。

きちんと10分以上噛むことで、セロトニンの活性効果は表れるので、「あわてて食べるランチ」には、集中力リセット効果はないと思ってください。

また、「リズム運動」や「咀嚼」は、同時に言語脳を使ってしまうと、セロトニン活性効果が弱まります。

つまり、本を読みながら、あるいは仕事をしながら、あれこれ考えながらご飯を食べるというのは、セロトニン活性効果が弱まるのです。

「歯ごたえのあるもの」を、10分以上かけてよく噛み、食事に集中して食べるのが、最も効果的にセロトニンを活性化させる食べ方といえます。

ランチ・リセット術2記憶力アップの場所ニューロン効果

「歩く」「移動する」「場所を変える」というのは、脳に対して非常によい効果を発揮します。それは、移動することによって、「場所ニューロン」が活性化するからです。

場所ニューロンというのは、海馬に存在する、場所を司る細胞で、もともと自分がどこにいるのかを忘れないように記憶するための細胞です。

場所ニューロンが活性化することによって、海馬全体が活性化し、記憶力が増強します。「歩きながら勉強すると記憶しやすい」というのは脳科学的に正しいのです。

海馬というのは記憶の一時保管庫です。脳に入力されたすべての情報は、海馬に一時保存されます。勉強したり、仕事をしたりするということは、「海馬を使う」ということです。

つまり、海馬が活性化すると、記憶力が高まり、勉強や仕事がはかどるのです。場所ニューロンは、行ったことのない場所に行くほど、より活性化します。

ですから、どうせランチを食べるのなら、いつもと違った店に行くほうがいいでしょう。裏路地など、普段行かないエリアの店を探索する、というのも効果的です。

ランチ・リセット術3ひらめき力が上がるアセチルコリン効果

もし、あなたが外食ランチをしているとしたら、「いつもの店で、いつものメニューを食べる」派でしょうか。

それとも、「新しい店で、いつもと違ったメニューに挑戦する」派でしょうか。おそらく、外食が好きな人は、この「常連派」と「食べ歩き派」のどちらかに分かれるはずです。

いつもの店で、絶対にはずれない「いつものメニュー」を食べるのは、悪いことではないのですが、「ランチ・リセット術」的には、「新しい店で、いつもと違ったメニューに挑戦する」ことをおすすめします。

いつもと違った行動をとるとき、脳ではアセチルコリンが活性化します。「マンネリ」と「チャレンジ」という言葉がわかりやすいでしょう。

いつもと同じ刺激(マンネリ)は、「安心」「安定」をもたらしますが、脳を刺激しません。

「おいしい店かどうかわからないけど、ちょっと入ってみよう」「このメニュー、初めてだけど食べてみよう」という「チャレンジ」によって、アセチルコリンが活性化するのです。

アセチルコリンは、「創造性」や「ひらめき」に効果があります。

つまり、アイデア出しや企画を考えるという仕事と深く関わった脳内物質です。ですから、昼休みに「いつもと違う行動」を意識すると、それだけでアセチルコリンを活性化し、脳をイキイキとした状態に切り替えることができるのです。

最高の昼その2脳をリセットする仮眠の技術仮眠の脳科学的根拠

精神科医になって2年目、私は北海道の旭川の病院に勤めていました。その病院は、道北地区の基幹病院で、道北で最も忙しい病院と言われていました。

精神科も例外ではなく、外来にはものすごい数の患者さんが来ます。

精神科の外来は、午前中で30人の患者を診察すればいっぱいだと言われますが、そこの病院は50人以上の人数を診察しないといけないのです。

5分診療で4時間ぶっ通しでようやく診察が終わるという過酷さです。精神科の診察というと、イスに座って話を聞いているだけなのですが、話の内容に深く集中して聞くため、想像以上の体力と精神力を消耗します。

午後1時半に診察が終わった後、昼食を食べ、ソファーに横になると、疲労困憊で立ち上がれない状態になります。

午後からは、病棟回診をしなければいけませんが、そんな立ち上がれないほど疲れきった状態では、回診もろくにできません。

そこで私がしていたのが、30分の昼寝です。昼ごはんを食べたら、昼休みの残り時間は、すべて昼寝に充てます。そうすると、必然的に昼寝時間は30分となります。

しかし、この30分の昼寝によって、脳と身体の疲れが猛烈に回復するのです。私の新人医師時代は、そんな30分の昼寝に救われていました。

25年以上前、仮眠に疲労回復効果があることは、科学的には十分に証明されていませんでした。

しかし、現在では、仮眠には絶大な脳の疲労と集中力の回復効果があり、病気の予防にも効果的であることが知られています。

仮眠は、集中力や記憶力など、脳のパフォーマンスを全般的に改善します。

アメリカのNASAの研究によると、26分の仮眠によって、仕事効率が34%アップ、注意力が54%アップしたそうです。

アメリカでは、仮眠室やナップポッドと呼ばれる睡眠マシンを導入する企業が増えており、Googleやナイキなどの大手企業も導入しています。

日本の厚生労働省が作成する「健康づくりのための睡眠指針」が、2014年に11年ぶりに改定されました。そこには、以下のように書かれています。

「午後の眠気による仕事の問題を改善するのに昼寝が役に立ちます。午後の早い時刻に30分以内の短い昼寝をすることが、眠気による作業能率の改善に効果的です」仮眠の効果について、国がお墨付きを与えているのです。

最適な仮眠時間は、20~30分

仮眠には、最強の脳のリセット効果があります。それでは、何分の仮眠が最も効果があるのでしょうか。

仮眠については様々な研究がありますが、20~30分が効果的な仮眠時間として挙げられています。

30分を超えると効果が徐々に悪くなり、1時間を超える仮眠は、脳のパフォーマンス的にも健康的にも悪影響を及ぼします。

1時間を超えると深い睡眠に入ってしまうため、その後、目を覚ましてもすぐに脳は正常のパフォーマンスには戻りません。

また、1時間を超える仮眠は、夜の睡眠に悪影響を及ぼし、不眠の原因にもなります。

また、仮眠は遅くとも午後3時までには終わらせるべきで、それ以後の仮眠は、やはり夜の睡眠に悪影響を及ぼします。

仮眠の健康に対する影響ですが、1日30分以下の仮眠が、アルツハイマー病の発症リスクを5分の1にするという研究があります。

しかし、1時間以上の仮眠は、アルツハイマー病のリスクを2倍に増加させます。

働く男性の場合、週に3回以上、1回30分の昼寝をする人は、死亡率が37%低く、心臓病での死亡率は64%も低いという研究もあります。

また、糖尿病に関しても同様で、毎日30分程度の仮眠をとる人は、糖尿病のリスクが低く、逆に1時間以上の仮眠をとる人はリスクが高くなる、という研究があります。

こうしたデータを総合すると、1日30分前後の仮眠は、疲労回復、認知症予防、心臓病予防、糖尿病予防、身体の健康という観点からも非常にいいのです。そして、1時間を超える仮眠は、健康によくないということが言えます。

効果的な仮眠の方法

効果的な仮眠の方法について紹介しましょう。

理想的には平らなところで寝るのがベストですが、イスに座ったまま机の上で顔を伏せて眠るようなやり方でも、かなりの効果が得られます。

また、眠る前に、コーヒーや緑茶などカフェインを摂取しておくと、約30分後にはカフェインの効果が表れるため、自然に目が覚めやすくなります。

1時間の昼休み時間で、30分で食事をして、残りの時間を仮眠に充てると、ちょうど20~30分を仮眠時間として確保できます。

私の場合は、仮眠を習慣にしているわけではありませんが、疲れているとき、強い眠気を催したときには、我慢せずに20分ほどの仮眠をとるようにしています。

能率が低下したまま仕事をしてもはかどらないどころか、時間の無駄になります。

「ひどい疲れ」を自覚したときは、無理して仕事を続けるよりも、短時間でもいいので仮眠して、疲労回復、集中力回復をしたほうがいいのです。

最高の昼その3午後のリセット仕事術終業に向けてのラストスパート力をつける

午後2~4時というのは、食後の眠気が出たり、仕事の疲れが出てきたり、1日の中で最もパフォーマンスの下がる時間帯といえるでしょう。

交通事故の統計を調べると、居眠り運転の事故が多発するのは、深夜の3~4時と、午後2~4時の2つのピークがあることがわかっています。

これは、日本だけではなく外国の統計でも同様です。

つまり、午後2~4時というのは、生物学的に覚醒度が低下し、眠気が出やすい時間帯ということです。

覚醒度が低下するというのは、集中力も仕事効率も低下していることを意味します。

これが4時を過ぎると、「もうすぐ終業時間なので、それまでに終わらせないと!」という、最後の頑張りが発揮されることもあり、集中力が高まります。

ですから、集中力やパフォーマンスが下がりやすい、午後の2~4時をどう乗り切るかというのは、時間術的には重要な意味を持ちます。

ダラけてしまいやすい午後の時間帯をどのように乗り切るのか、「午後のリセット術」についてお伝えしていきます。

なお、以下の「午後のリセット術」は、「集中力が下がってきたときのリセット術」ですから、必ずしも午後に限った話ではなく、午前中の疲れたときや、やむを得ない夜の残業のときなどにも、そのまま活用してください。

午後のリセット1運動リセット術

脳を活性化させる最も簡単で即効性のある方法を1つ挙げろと言われたら、私は間違いなく「運動」と答えます。

たった10分間の運動で、ドーパミンやノルアドレナリン、セロトニンなどの脳内物質のレベルが高まり、次の90分間がよりエネルギーに満ち、集中力と学習効率が高まり、意欲もアップして前向きになり、イライラしない穏やかな気持ちで仕事ができるのです。

「仕事中に運動しろ!」と言われても、そんなの無理だと思うかもしれませんが、リフレッシュのための運動は1分だけでも効果が得られます。

たとえば、1階から3階に行くのにエレベーターを使わずに、階段で上がってみる。

その程度のことなら当たり前すぎて運動にならないと思ったら、ダッシュで一気に駆け上がってみましょう。結構、息が切れます。

あるいは、普通よりも早足で階段を上がるだけでも、結構な運動になります。場所をとらずに、短時間で負荷の多い運動としては、スクワットが一番です。

自分1人が立てるくらいのスペースがあればできますし、1分間で5回ゆっくりスクワットするだけで、いい運動になります。

ゆっくりとした動きで10回もやれば、それだけで太ももが張ってきますし汗もかきます。

とにかく、机に向かって座りっぱなしの状態は、疲れがたまりやすく、集中力も下がってきます。

「集中力が下がってきた」「仕事が手につかない」と思ったら、少し歩いたり、身体を動かしたりすることを意識するといいでしょう。

午後のリセット2場所替えリセット術

外食ランチのときにも説明したように、場所を変えると場所ニューロンが活性化するので、海馬が活性化して、脳がリフレッシュします。

これは、ランチに限らず、常に言えることです。机に向かって座りっぱなしの状態は、疲れやすく集中力も下がります。

「仕事がはかどらない」「仕事が手につかない」と思ったら、少しの距離でもいいので、「歩く」といいでしょう。

「歩く」とセロトニン活性化効果と場所ニューロン活性化効果が得られて、気分転換になります。

たとえば、トイレまで歩く、自販機まで歩き飲み物を買ってくる、コピー機のところまで行ってコピーする。

ほんの短い距離でもずっと机に向かっているマンネリ化した疲れた脳に対しては、フレッシュな刺激になります。

また、移動していなくても、普段とは違う場所にいるだけで、見えている風景が違うだけで、場所ニューロンは活性化します。

私の場合は、午後からはカフェで執筆することがあるのですが、3時間もすると飽きてきて、集中力が下がってきます。そういうときは、少し歩いて別のカフェに行きます。

そうすると気分も一新し、新鮮な気持ちになって、また集中力が高まり、先ほどよりもはるかに仕事がはかどるようになります。

場所が変わったせいで、場所ニューロンが活性化したのです。「カフェ移動仕事術」は、普通のサラリーマンには難しいと思います。

しかし、「缶詰仕事術」で紹介したサラリーマンの方のように、会社の会議室を借りて、人的雑念を遮断して缶詰状態になりながら、「場所替え」で気分転換するという方法もあるでしょう。

以前、アメリカのダラスにある「サウスウエスト航空」の本社を訪れたとき、驚いたことがありました。

それは、会議室が数十室並んでいるのですが、すべての部屋の内装や装飾が異なっていたのです。

アメリカでは多くの会社でそうしているそうですが、「内装が異なる」=「いつもと違う場所に来た」ということで、場所ニューロンが活性化するのです。

脳が活性化するので、いろいろなアイデアが生まれやすくなり、会議が活発でクリエイティブになるというわけです。

目の前の風景がいつもと違うだけで、場所ニューロンが活性化する。

疲れたときは、「場所替え」するだけで、簡単にリフレッシュできるということは、覚えておいて損はないでしょう。

午後のリセット3ガラッとリセット術

デスクワークをずっと続けていると、集中力も低下し、肩がこったり、目がショボショボしたり、疲れがたまってきたりします。

「同じ仕事」を長時間続けることが、最も集中力を低下させる原因となります。そこで、ガラッと仕事の内容を変えてみましょう。

一番わかりやすのは、「会議」や「打ち合わせ」です。1時間デスクワークをして、30分の会議を挟み、また1時間のデスクワークをする。

そうすると、「30分の会議」が気分転換になり、ちょうどよい休憩になるわけです。同じ30分の会議も、午前中に行えば「時間泥棒」になりますが、午後に行えば「気分転換」になるのです。

会議や打ち合わせ以外にも、電話対応、資料作成、発送業務、コピー、アイデア出し(クリエイティブな作業)、部下への指示・確認(コミュニケーション)、メール返信なども、「ガラッとリセット術」として使えます。

逆を言えば、これらの仕事は、高い集中力を必要としない非集中仕事です。そうした仕事は、緊急性がないかぎり、午前中にやるのはもったいないのです。気分転換の「ガラッとリセット術」用に、午後にとっておいたほうがいいのです。

午後のリセット4休憩リセット術

午後の仕事は、疲れやすく集中力も途切れやすいものです。それを防ぐためには、疲れる前に休むということです。

限界まで頑張って5分休憩するのではなく、機械的に45分仕事して5分休むというインターバルのイメージです。

午前中以上に、午後は集中力の波を意識すべきです。マラソン選手は喉がかわく前に給水します。

それは喉のかわきを自覚した状態というのはすでに脱水傾向になりはじめているサインだから、そこで水分補給しても遅いということなのです。

脳の休憩もそれと同じで、脳がヘロヘロな状態まで頑張ってしまうと、5分休んでも十分に回復できません。疲れすぎない前に休むというのが休憩のコツです。

もっともよくない休憩とは?

あなたは休憩時間に、主に何をしていますか。ほとんどの人は、スマホをいじっているのではないでしょうか。

休憩時間に入るやいなや、早撃ちガンマンのように、ポケットからスマホを取り出して、メッセージのチェックや、ゲームをはじめるという人が多いです。

非常に残念なことではありますが、脳科学的にみて、スマホというのは最もよくない休憩時間の使い方です。

なぜならばスマホは、逆に脳を疲れさせるからです。つまり、休憩になっていません。

人間の脳は、視覚情報の処理に脳のキャパシティの90%を使っていると言われます。

パソコンに向かって仕事をするデスクワークの人は、仕事による視覚情報の処理で脳が疲れています。

「見る」「読む」という作業で脳が疲れているわけですから、休憩時間くらいは「見る」「読む」ことから脳を解放するべきです。

さらに脳は、光るものを見ると興奮する特性を持っています。

ゲームでボールが消えるときの点滅、あるいは爆発シーンのような、光の点滅や閃光で脳は興奮します。ですから、スマホでゲームをすると、脳は興奮します。

つまり、スマホゲームは脳の休息やリラックスにはならず逆効果なのです。「神・時間術」の立場で言えば、脳を休ませて集中力を回復しなければ、それは休憩しているとは言えません。

休憩に入る前よりも、休憩が終わった後のほうが、脳が疲れて集中力が下がっているとしたら、それは10分の休憩で、その後の集中時間を大きく奪うことになるのです。

脳を休める究極の休憩

それでは、どのような休憩が、脳を休めるのでしょうか。言い方を変えると、あなたは何をすれば癒やされるでしょうか。できるだけたくさん挙げてみてください。

アロマ、音楽、おいしい食事、入浴、サウナ、マッサージ、川のせせらぎ、日向ぼっこ、ペットと遊ぶ……。

いろいろあると思いますが、これらに共通する特徴は、五感の中で「視覚」以外を活性化しているということです。

音楽、川のせせらぎは「聴覚」。おいしい食事は「味覚」。アロマは「嗅覚」。マッサージやペットと遊ぶのは「触覚」。入浴、サウナ、日向ぼっこは「温痛覚」。

いずれも、「視覚」を使わずに、「視覚」以外の感覚を刺激していることがわかります。これが「癒やし」の特徴です。

「視覚」を使わずに、「視覚」以外の刺激を与えることが、「癒やし」につながる。つまり、脳を休めることになるのです。

そうはいっても、これらの癒やしは、「音楽」くらいしか仕事中に実践するのは難しそうです。

しかし、仕事中でもできる、脳を休める最も効果的な休憩があります。それが、「目をつぶる」ということです。

目をつぶるだけで視覚情報が遮断され、脳は休息モードに入ります。

脳波を調べるとわかりますが、目を開けているときは、「ベータ波」という周波数の高い波がほとんどですが、目を閉じた瞬間に、「アルファ波」というリラクゼーションの波が出はじめるのです。

冷たいタオルを目にあてて、目を休ませるのもいいでしょう。あるいは、机に顔を伏せるのも効果的です。目を閉じて何も考えずボーッとする。

これが、脳科学的に最も簡単で効果的な休息と言えるのです。

その他にも、先に挙げたように、雑談などのコミュニケーション、身体を動かす、体操、少し歩くくらいの運動なども効果的な休憩となるので、それらを組み合わせながら、疲れすぎる前に定期的に休憩時間をとるように意識してください。

一流企業が取り入れるマインドフルネス

さらに目をつぶるよりも、もっと効果的に脳を休める休息方法があります。それが、「瞑想」や「マインドフルネス」(瞑想の一型)です。

アメリカでは、Googleやナイキなどの超一流企業が、効果的な休息・リフレッシュ法として、積極的に瞑想を取り入れていることで注目が高まっています。最近では、瞑想の効果について科学的研究が盛んに進んでいます。

瞑想の効果として、集中力を高める、創造力を高める、記憶力が向上する、ストレスを軽減する、不安が減少する、共感・思いやりの気持ちが強まる、などが報告されています。

休憩時間に瞑想をすることで、その後の仕事時間で集中力が高まるわけですから、「集中仕事術」的にも、瞑想は最高のリフレッシュ法といえるでしょう。

瞑想やマインドフルネスの具体的な実践方法は、いろいろなやり方があります。それを一言で説明するのは難しく、それだけで1冊の本が必要になるほどです。

詳しい実践方法を知りたい人は、瞑想については、『最高の休息法』(久賀谷亮著、ダイヤモンド社)、マインドフルネスについては、『マインドフルネスの教科書』(藤井英雄著、Clover出版)をおすすめしますので、そちらを参考にしてください。

午後のリセット5 5分仮眠術

午後に仕事をしていて、猛烈な眠気に襲われることはないでしょうか。

そんなとき、コーヒーを飲んだりガムを嚙んだりして、根性を振り絞って必死に仕事をしようとする人も多いでしょう。

そういうときは無理せず、「5分」でいいので仮眠をとりましょう。不思議なことに、たった5分間の仮眠でも、眠気がほとんどとれてスッキリとすることに気づくはずです。

人間の覚醒度は90分の周期があります。

「ウルトラディアンリズム」については、第1章で説明しました。

「猛烈な眠気」が出るのは、「ウルトラディアンリズム」の山と山の間の谷にあたる部分、つまり覚醒度が最も低下しているときなのです。

この状態は、注意力、集中力、仕事力が最も低下する時間帯ですから、どんなに無理して仕事をしてもまったくはかどりません。車を運転している最中に、猛烈な眠気に襲われるときも同じです。

これも、「ウルトラディアンリズム」の覚醒度の底辺にいるので強烈な眠気が出るのです。こうしたときは集中力が低下しているので、事故を起こす可能性が高いのです。すぐに車を停めて5分でいいので仮眠してください。

眠気が最も強い、すなわち覚醒度が一番下である底辺にいるということは、しばらくすると覚醒度は上がっていくことを意味します。

ですから、たった5分の仮眠で頭はスッキリして、眠気はなくなります。5分間の仮眠をとることで、覚醒度アップの波に乗る。次の90分を高い集中力で乗り切ることができるのです。

最高の昼その4 午後の仕事術午後の仕事術1 退社時間を決める

午後4時をすぎると、再び集中力は高まってきます。脳が締め切りを意識し、ラストスパートをかけるからです。

午後の遅い時間帯の仕事効率をアップさせるために、ぜひやっていただきたい、「午後の仕事術」を2つ、お伝えしましょう。

アメリカ人は、家族で一緒に食事をするために「5時に帰る」という話を序章でしました。ここに、アメリカ人の生産性の高さの秘密が隠されています。

5時までに仕事を終わらせる、というのが絶対条件です。それを達成するために、彼らは午前中も午後も、集中力を高めて必死に全力で仕事をします。

圧倒的に仕事の密度が濃いのです。つまり、アメリカ人は、毎日「制限時間」を設けているのです。

日本人は、「仕事が終わらなければ、残業すればいいや」と最初から思っているから、いつまで経っても集中力が高まらず、効率も上がらず、無意識にだらだらと仕事をしてしまいます。

日本でも最近、「残業ゼロ」を導入し、定時に退社させる会社が増えています。

「残業ゼロ」を導入した会社は、社員のトータルの労働時間は大幅に減っているのに、企業業績は好転する例が少なくないそうです。

つまり、「残業ゼロ」「定時退社」によって、大幅な効率化が実現し、それが多くの会社の実例として報告されているのです。

あなたの会社が、「残業ゼロ」「定時退社」を推進していなくても、個人として「退社時間を決める」だけで、集中力は高まり、実際に早く仕事を終わらせて、早く帰ることができるでしょう。

「5時に帰る」は無理にしても、「6時に帰る」「7時に帰る」と、自分なりに帰る時間を決めて、その時間には仕事を終わらせて必ず帰宅するという習慣を作りましょう。

それだけであなたの仕事は、圧倒的に効率的になるのです。

午後の仕事術2戦略的ケツカッチン仕事術

「ケツカッチン仕事術」について、第1章で説明しました。「ケツカッチン仕事術」は毎日の仕事にも応用することができます。たとえば、毎日夜の9時、10時まで仕事をしている人がいるとします。

その人が、たまたま今日は7時から合コンの予定があるとします。6時半までに必死に仕事を終わらせて、合コンがはじまる時間に、必ず間に合わせますよね。そして実際に、間に合うのです。

夜に何の予定もないと、「まあ、仕事が終わらなければ残業すればいいか」と思ってだらだら働いてしまいます。実際に何時間も残業するはめに陥るのです。

夜に、絶対に動かせない用事を入れてしまえば、その時間までに仕事を終わらせて、退社しないといけません。

「ケツカッチン仕事術」を日々の仕事に組み込むことで、日々の仕事効率をアップさせることができます。

私の場合、ウェブで映画のチケットを購入することがよくあります。午後7時の回の映画チケットをオンラインで購入します。

そうすると、何がなんでも6時半には仕事を終わらせて、映画館に向かわなければいけません。

オンラインの映画チケットはキャンセルできないので、もし仕事が終わらなければ、チケット代金がすべて無駄になってしまいます。ですから、必死に仕事を終わらせようと、自然に力が入ります。

「7時までに仕事を終わらせる」と自分で心の中で決めても、なかなか守れないものです。

しかし、7時から変更不能な予定を入れてしまえば、それまでに絶対に終わらさなければいけなくなります。戦略的にケツカッチンの状態をつくり出す。

戦略的ケツカッチン仕事術は、仕事を効率化する究極の「午後の仕事術」と言えるでしょう。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

コメント

コメントする

CAPTCHA


目次