なぜ、やり遂げることができないのか誰でもやりたいことがある。タイに旅行したいかもしれない。学校にまた通いたいかもしれない。でも、何年たってもゴールはゴールのままで、現実にならない。CEOや管理職なら、会社で実現したいことがあるだろう。新しい市場に参入する。モバイル市場を検討する。あるいは、デザインやカスタマー・サービスなど、これまで弱かった部門の競争力を高める。しかし、大きな成功を収めている企業でも、必ず実現すると決意しても、できない場合がある。なぜだろうか。それほど重要なら、なぜ実現しないのだろう。私は5つの理由があると考えている。1ゴールに優先順位を付けていない古い言い伝えにこうある。「なにもかも重要というのは、どれも重要でないのと同じ」多くのゴールがどれも同じくらい重要に見えることは多い。しかし、たとえ同じくらい重要に思えたとしても、どれかひとつを選ぶのではなく優先順位なら付けられるだろう。そうしてひとつずつ処理すれば、成功する可能性はずっと高くなる。会社でも同じことが言える。いや、状況はもっと厳しい。会社では実に多くの人が働いているので、やるべきゴールも当然多くなる。それに、現実問題として、会社の経営自体に労力が要る。会社員は毎日、現状を維持するために一生懸命働く。注文を処理し、顧客をなだめ、ハードウェアを気にかける。そんな状況でゴールを5つも6つも掲げられたところでうるさいだけで、最低ライン以上はほとんどやり遂げられないこと請け合いだ。O(目標、Objective)をひとつだけ、その目標を測定するKR(主な結果、KeyResults)を3つだけ設定することで、小さな脱線がどれだけ発生しても、大きな目標を実現するために必要なフォーカスを維持できる。2熱意を持って漏れなくゴールを伝えていない「言い疲れた頃に、人は耳を傾けはじめる」──ジェフ・ウィナー、リンクトインCEOチームでフォーカスするゴールを決めたら、毎日チームに繰り返し伝えなければならない。口頭で伝えるだけでは不十分で、職場生活のあらゆる側面にリマインダーを織り込む必要がある。ゴールに向けての進捗は、状況報告ミーティングと、毎週の状況報告メールに盛り込む。すべてのプロジェクトはゴールと照らし合わせて評価する。ゴールを設定しておいて無視するのは、失敗の簡単なレシピだ。毎週月曜日のコミットメント・ミーティング、週1回の状況報告メール、金曜日のウィン・セッションでゴールを繰り返し確認することで、従業員全員の頭にゴールが浮かび、あらゆる活動がゴールと結びつくようになる。3やり遂げるためのプランがない実現すべきことがわかったら、あとは意志力があれば十分だと思いがちだ。ひたすら実行あるのみ……なのだろうか?それは違う。ダイエットをしようと思ったら、意志力のみに頼るより、支援サービスに入ったほうがうまくいく。フィットネスで健康を維持するなら、意志力のみに頼るより、個人トレーナーを付けるほうが早道だ。なぜだろうか。それは、意志力が有限の資源だからだ。1996年にロイ・バウマイスターが行った有名な研究がそれを示している。この研究では被験者を2つのグループに分け、一方にはラディッシュ(ハツカダイコン)を食べることを禁じ、もう一方には焼きたてのチョコレート・クッキーを食べることを禁じた。そして、絶対に解けない数学の問題をやらせたところ、ラディッシュを禁止したグループのほうが、クッキーを禁止したグループに比べ、2倍の時間あきらめずにがんばったという(ちなみに私はこの研究から、ラディッシュをがまんするのに意志力があまり要らない、ということも学んだ)。同僚と衝突したり、同報メールでうっかり「全員に返信」をクリックしてしまったりして仕事を辞めたくなった長い一日のあとで、ひと切れのバースデー・ケーキをがまんするのは、誰でも難しいだろう。したがって、やるべき仕事に意味を持たせ、疲れていても脱線しないようにするプロセスが必要になる。やる気が出ないときでも、やるべきことを思い起こさせてくれるプロセスだ。当初のOKRシステムは、ストレッチ・ゴール(さらに上のゴール)を賢く設定する方法にすぎなかった。しかし、コミットメント、お祝い、チェックイン・ミーティングなどの周辺システムのおかげで、仕事をするよりクッキーが食べたい気分のときでも、ゴールに向かって歩きつづけることができる。4重要事項のための時間を空けていない「重要なことはめったに緊急でなく、緊急なことはめったに重要でない」
──ドワイト・アイゼンハワーアイゼンハワーのマトリックスは、一般的な時間管理ツールだ。ほとんどの人は右下の区画(重要でも緊急でもない)に注目して、重要でも緊急でもないことをやめる。しかし、右上の区画(重要だが緊急ではない)について真剣に考え、やらなければならないことのスケジュールを立てる人がどれだけいるだろうか。緊急の仕事は、時間のプレッシャーを重く感じるので、重要であろうがなかろうが終わる。そのプレッシャーをほかの重要な仕事にも持ち込まないかぎり、それらの仕事は明日の世界にあるままだ。私たちは今日の世界に生きているので、明日の世界にあるものには手をつけない。重要事項をやり遂げるには、時間をあらかじめ空けておくしかない。締切以上にカツを入れてくれるものはない。毎週月曜日に目標へ向かって仕事をするようにコミットすれば、前に進まなければという責任感が確実に生まれる。5繰り返さずにやめてしまう「幸福な家族はみな似通っているが、不幸な家族にはそれぞれの不幸の形がある」──レフ・トルストイ私がOKRの導入をお手伝いしているクライアントには必ず、「最初は失敗しますよ」と警告している。実際にどの会社も失敗するが、失敗の形は会社ごとにまったく違う。楽な目標(サンドバッグ)を設定する人ばかりだと、誰も困難なゴールを設定しないので、最初の導入ですべてのKRを達成してしまう。これは、失敗を怖れ、真のストレッチ・ゴールとはどういうものかを学んだ経験がない会社だ。次のサイクルでは、もっと自らを前に進める必要がある。一方、常に実力以上の目標を掲げて、誰もKRを達成しないという会社もある。このような会社は、自分にウソをついている。こちらの場合、自分たちの実力を把握しなければならない。最もよくある失敗は、フォローをしないというものだ。OKRを設定するだけして、残りの四半期の間、無視してしまう会社を星の数ほど見てきた。こうした会社は四半期の終わりになって、まったく前進していないことにショックを受ける。しかし、成功する会社にはみな同じ特徴がある。「再挑戦をする」という点だ。成功への唯一の望みは、繰り返すこと。同じことをやみくもに何度もやるという意味ではない。それは愚行というものだ。そうではなく、何が機能するかしないかを念入りに観察し、機能する点を増やし、機能しない点を減らす。学ぶことが成功の肝なのだ。成功への道成功への道は複雑ではない。ただ、難しい。とても難しい。現実を見ようとせず貪欲になにもかもやろうとするのではなく、どのゴールが最も重要かを見極め、選ばなければならない。自分の考えとメッセージを明確にし、全員が同じように理解できるまで何度も繰り返し伝えなければならない。永遠に来ない明日を願って待ちつづけるのではなく、ゴールを達成するために時間を割かなければならない。疲れているときや落ち込んでいるときも前に進むための計画がなければならない。そして、失敗し、学び、何度も挑戦するための心構えができていなければならない。夢への旅路は願うことから始まる。だが、夢に到達するには、フォーカスし、計画し、学ぶ必要がある。OKRの導入前にミッションを確認するほとんどのスタートアップは、会社のミッションを掲げることに抵抗感を持つ。ミッションなど大企業の宣伝活動の一環であって、無駄がなく、俊敏なスタートアップがこねくり回すものには思えない、という。しかし、これは誤解だ。ほぼすべてのスタートアップは、たとえ明文化されていなくても、なんらかのミッションのもとで起業する。もしあなたがお金を儲けるためにスタートアップを始めようとしているなら、なにか勘違いしている。大手法律事務所のアルマンド・ローが最近発表した研究によれば、スタートアップの90パーセントは失敗に終わるという。お金がほしいなら、ウォール街のコンサルティング企業に入社するほうがはるかに安全だ。しかし、もしあなたが世界を変えたいとしたら(それだけでも途方もないゴールだが)、そのための会社を立ち上げるしかない。起業する人は、世界を変えたいと思っているということだ。つまり起業家はすでにミッションを抱えているのだ。ミッションの原型は、創業者のこんな言葉かもしれない。「学生が本当に良い先生を見つけられればいいのに」「ポーランドにいる両親と動画を共有するのがもっと簡単になればいいのに」「お気に入りのカフェでおいしいお茶を飲めればいいのに」調査を進めるうちに、同様の問題の解決を願う市場があるとわかってくる。最後にそれがミッションに結実する。「知りたいことを教えてくれる先生が見つかる」「思い出を簡単に共有して離ればなれの家族を結ぶ」そして「お茶を愛する人に、よいお茶を届ける」のように。偉大な詩でなくても構わないが、シンプルで覚えやすく、時間の使い方を決める指針となる言葉でなければならない。良いミッションは、全社員が覚えていられるくらい短いものだ。優れたミッションは人を鼓舞し、それでいて方向性がはっきりしている。グーグルのミッションは、関係者でなくても知っているくらい力強い。「世界中の情報を整理し、世界中の人にアクセスできるようにすること」アマゾンのミッションはこうだ。「地球上で最もお客様を大事にする企業を目指し、お客様がオンラインで求めるあらゆるものを検索、発見できるようにするとともに、可能なかぎりの低価格で提供する」。後半部分を忘れたとしても、お客様を大事にするという部分は覚えていられる。ジンガのミッションはシンプルだ。「ゲームで世界をつなぐ」。そして、フィルズコーヒーのミッションは、注文したときに店員に聞けばすぐに教えてくれるだろう。「人々の毎日をよくする」ミッションは短く、覚えやすいものにする。日々の仕事で疑問を抱いたときに、すぐ思い浮かんで答えを導いてくれるものでなければならない。ミッションをつくるには、次のシンプルな公式から始めよう。私たちは、[価値提案]によって、[市場]における[問題点を取り除きます/生活を向上させます]
次に、推敲を重ねる。さきほど例として挙げた短いミッションのように、価値提案だけで十分な場合もある。会社を経営していると、市場を乗り換えたり、ビジネスモデルを追加したりする場合もあるが、少なくともあなたを5年間支えてくれるミッションを探そう。ミッションは、OKRモデルのO(目標)と多くの面で似ている。志が高く、覚えやすい。重要な違いは期間だ。目標は1年あるいは1四半期の間は導いてくれるが、ミッションはずっと長持ちする必要がある。ミッションは会社がレールから外れるのを防いでくれる。OKRはフォーカスを定め、マイルストーンとなる。ミッションなしでOKRを使うのは、ジェット機もないのにジェット燃料を使うようなものだ。ややこしく、方向性に欠け、下手をすれば破滅にもつながりかねない。ミッションさえあれば、四半期ごとのOを決めるのは簡単だ。無秩序に広がる可能性の世界に向き合う必要はなく、ミッションを前に進めるのは何かを話し合うだけでいい。優先順位については議論になるかもしれない。しかし方向性がわかっているのだから、いったん落ちつけば大胆で大きな課題をひとつ選べるはずだ。OKRの基本ゴールを設定するためのOKRアプローチは、グーグル、ジンガ、ジェネラル・アッセンブリーなど各社で使われ、シリコンバレーで成功を収めている会社の間にすさまじい勢いで広がっている。このアプローチを採用する会社は、雑草のように力強く急成長を遂げている。OKRはObjectivesandKeyResults(目標と主な結果)の略だ。OKRにはある程度標準化された形がある。Oは定性的なものをひとつだけ、KRは定量的なものを3つくらい決める。これらを使って、グループや個人を大胆なゴールに集中させる。Oは一定期間(たいていは四半期)のゴールを定める。KRは、期間の終わりにOを達成できたかどうかを判定するのに使う。Oは次の条件を満たすひとつの文とする。■定性的で人を鼓舞する内容にするOは従業員が毎朝、わくわくしながらベッドから飛び出すようなものにしよう。CEOやベンチャー・キャピタルであれば、コンバージョン率が3パーセント上がった朝、喜びのあまりわくわくしながらベッドから飛び出すかもしれない。しかし、ふつうの人は、仕事の意義と進歩を実感したときにわくわくするものだ。そして、チームに合った言葉を使おう。「勝ちとる」や「刺さる」のようなくだけた言葉のほうが心に響くなら、そうした言葉を取り入れよう。■時間的な縛りをつくるたとえば、1カ月や四半期で実現できるものにしよう。ゴールまでの道のりは、わかりやすい短距離走にしたい。実現に1年かかる目標は、どちらかというと戦略、あるいはミッションかもしれない。■各チームが独立して実行できるようにするスタートアップではあまり問題にならないが、大企業では部署が相互に依存し合っているゆえの苦労がある。個人のOは個人で、チームのOはチーム内で完全に完結し、「営業部のせいで達成できませんでした」というような言い訳が通用しない内容にしなければならない。Oはミッション・ステートメントに似ているが、期間が短い。優れたOはチームを鼓舞し、設定した期間内にやり遂げるのが難しく(それでいて不可能ではなく)、設定した個人やチームが、他者とのかかわりなく独立して達成できなければならない。よいOはこのようなものだ。サウスベイ地区で、法人向けコーヒー小売り直売市場を勝ちとるすばらしいMVP(MinimumViableProduct、実用に耐える最小限の製品・サービス)を立ち上げるパロアルト地区におけるクーポンの使い方の習慣を変える次の四半期に大成功できるように現ラウンドを締めくくる続いて、よくないOを紹介しよう。売り上げ30パーセントアップユーザー倍増シリーズBで500万ドルの出資を獲得するこれらのOはなぜダメなのか。それは、KRにすべき内容だからだ。KR(主な結果、KeyResults)の基本KRでは、感覚的な言葉を定量化する(数字で表す)。KRをつくるには、「どうやってOを満たしたとわかるのだろうか」というシンプルな問いを立てる。そうすると、Oで書いた「すばらしい」「大成功」「勝利」といった表現の具体的な意味を定義することになる。一般的には、3つのKRを定義する。KRの基準は、測れるものなら何でも構わない。たとえば、次のようなものだ。成長率エンゲージメント売り上げ性能品質最後の「品質」に人は振り回されやすいものだ。品質を測るのは難しく思える。しかし、NPSのようなツールを使えば可能だ(NPSとはネット・プロモーター・スコアの略で、顧客が友達や家族に製品を勧めたいかどうかに基づいて数値化する。ハーバード・ビジネス・レビュー誌の2003年12月の記事『The
OneNumberYouNeedtoGrow(成長に必要なたったひとつの数字)』を参照)。KRを賢く選べば、成長とパフォーマンス、売り上げと品質のように、相反する可能性のある指標を用いて、力のバランスをとることができる。「すばらしいMVPをつくる」というO(目標)のKRは、たとえば次のようになる。40パーセントのユーザーが1週間に2回以上再訪する製品を勧めたいかどうかのスコアとして8(10段階中)を獲得コンバージョン率15パーセント難しい目標であることがわかるだろうか。難しいが不可能ではないKRを設定するOKRは常にストレッチ・ゴールにしなければならない。そのためには、OKRに10分の5の自信度を設定するとよい。自信度10分の5とは、「目標を達成できる自信が半分しかない」ということだ。自信度1は、「まず無理」、自信度10は「確実に達成できること請け合い」だ。この自信度10は、ゴール設定が低すぎるという意味でもある(「サンドバッグ」と言われる)。失敗すると罰せられる会社では、従業員はやがて挑戦するのをやめてしまう。大きな成果を挙げたいのなら、人より遠くに手を伸ばしても罰せられないようなやり方を確立しなければならない。KRの設定とはつまり、自分自身と自分のチームが、大きいが不可能ではない仕事を成し遂げる後押しをできるような最適点を探すことだ。半々の確率で失敗する場合こそ最適点だと、私は考える。自分のKRを見てみよう。「これを達成するにはあらゆる面でベストを尽くさなければいけないな……」と腹の底がむずむずしてきたら、おそらく適切な目標だ。うつむいて「無理だ」と思ってしまう目標は高すぎ、「ちょっとがんばればできる」と思える目標は低すぎる。OKRのはたらきOKRは連鎖する。会社がOKRを設定したら、各部門はその全社OKRに貢献する部門OKRを設定することになる。部門OKRは、全社KRのひとつに対応するものでも、すべてに対応するものでも構わない。たとえば、エンジニアリング部門が、顧客満足度はスピードと密接な関連があると判断したとする(妥当な判断だ)。そこで、次のようなOKRを設定する(私はエンジニアではないので、これらのKRにはあまり鋭く突っ込まないでほしい)。
ご想像のとおり、たとえば製品管理部門などでは部門OKRを全社OKRと簡単に合わせられるが、会社の定めたゴールを確実に達成するためには、部門によっては細かく検討する必要があるだろう。OKRに盛り込まれる価値の大半は、「何が重要なのか」「どうやって測定するか」そして「ビジネス・ゴールとは別の独自の基準で動くのに慣れている部門にとって、どういう意味を持つか」といった話し合いから得られる。カスタマー・サービス部門、デザイン部門、エンジニアリング部門は、ゴールに近づくために、他部門より努力が必要になることが多い。しかし、努力する価値はある。カスタマー・サービス部門なら、不満を抱いている顧客に上級のプランを提供できないだろうか。デザイン部門なら、定着率を伸ばすようなユーザー・オンボーディング・フロー(登録、デモ、チュートリアルなど、初回ユーザーにそのままサービスやアプリを使ってもらうためのしくみ)をつくれないだろうか。エンジニアリング部門なら、おすすめ表示のアルゴリズムを改善して顧客満足度を向上できないだろうか。社内でつながりのない孤島でいられる部門はひとつもないのだ。同様に、一人ひとりの従業員も、個人として成長するとともに会社のゴールに貢献する個人OKRを設定する。会社のOKRが顧客獲得に関連していれば、プロダクト・マネジャーは「営業技術の向上」をOに挙げ、KRとして「営業トレーニングを好成績で修了する」「担当製品のコンバージョン率アップ」などを挙げてもよい。個人OKRは、仕事のスキルを上げるとともに、よりよいプロダクトを生み出す助けにもなるツールだ。また、問題のある従業員に手を焼いているマネジャーにも福音となる。マネジャーはその従業員の個人OKRを一緒に設定すれば、具体的な懲戒処分という事態になる前に軌道を修正するようなゴールを設定できる。測定可能なKRを設定すれば、たとえ状況が改善しなくても、印象だけで従業員を処分しなくてすむ。OKRを日常の一部にするO(目標)を達成できなかった原因としてよくあるのは、四半期の初めにOKRを設定したのに、そのまま忘れてしまったというものだ。3カ月の間、同僚からの頼まれごとを引き受けたり、CEOから「読んで取り入れてほしい」と記事を渡されたり、顧客の苦情に対応したり……世の中には常に、成功に結びつかないのに時間を割かなければならないことが101個は転がっていて、あなたの気を散らす。そこで、OKRを毎週のチーム・ミーティング(実施している場合)や毎週の状況報告メールに組み込むことを強くおすすめしたい。自信度レベルを毎週調整しよう。上がったり下がったりした場合は、理由について話し合おう。OKRはぶれない明確なゴールOKRを四半期の途中で変えてはいけない。設定を誤ったことに気がついたら、くよくよせずに進み、失敗するなり楽々成功するなりの結果が出てから、その経験を活かして次回はもっとうまく設定しよう。最初から完璧な形でOKRを導入できるチームはない。OKRを変えるとフォーカスがあいまいになる。チームのフォーカスを維持することが、OKRの要点のすべてだ。途中で変えてしまうと、OKRにまじめに取り組まなくてもいい、という印象をチームに与えてしまう。派手な失敗に備えよう正直になろう。みんな失敗が嫌いだ。失敗に意義があるのはシリコンバレーの誰もが認めるところだが、それでも失敗は愉快なものではない。OKRはノルマを課すためではなく、自分が本当にできることを学ぶためにある。失敗は、高い目標に向かって挑戦しているというポジティブな指標だ。OKRは、できるとわかっている以上のことを成し遂げる後押しをするために設計されている。〝ムーンショット〟を目指せば、たとえ月までたどりつけなくても、きっと壮大な眺めを楽しめる。
プロダクト・チームのOKRマーティ・ケイガン──シリコンバレー・プロダクト・グループ創業者過去30年にわたって、ヒューレット・パッカード、ネットスケープ・コミュニケーションズ、AOL、イーベイなど世界有数の成功企業で、経営幹部としてプロダクトの定義や設計に関わる。OKRは非常に汎用的なツールで、業種や役職を問わず導入できるだけではなく、個人の生活にも取り入れることができる。しかし、あらゆるツールと同様に、ベストな適用法を検討すべきだ。OKRは、大小さまざまなテクノロジー企業で特に顕著な成功を収めたが、チームや会社が実行力を高める取り組みを進める中で、いくつもの重要な教訓を得られた。シリコンバレー企業の中心的存在は、プロダクト・チーム(耐久財プロダクト・チーム、専門プロダクト・チーム、アジャイル・プロダクト・チームなど)だ。プロダクト・チームは職域を超えた専門家のチームで、多くの場合はプロダクト・マネジャー、プロダクト・デザイナー、数名のエンジニアで構成される。さらに、データ・サイエンティスト、ユーザー・リサーチャー、テスト自動化エンジニアなどの専門的なスキルを持ったスタッフが加わる場合もある。一般に、各プロダクト・チームはその企業の特定の製品や技術を担当することが多い。たとえば、あるプロダクト・チームはモバイル・アプリ担当、別のチームはセキュリティ技術担当、さらに別のチームは検索技術担当、といった具合である。重要なのは、これらのさまざまなスキルセットを備えたスタッフは通常、会社の各部署から集められるにもかかわらず、毎日休みなく、職域を超えたチームの中で製品や技術の困難な問題の解決にあたっているということだ。大企業では、こうした職域を超えたプロダクト・チームが20から50組もあり、それぞれ異なる領域を担い、独自の目標を掲げることが少なくない。こうしたチームが取り組む問題は、お察しのとおり、プロダクト・チームのOKRを通じて伝えられ、検証・追跡される。OKRは、各チームが会社の目標に沿っていることを確認するのにも役立つ。さらに、大きな企業で、それぞれのチームが企業全体にどう貢献しているかを理解したり、チーム間の業務を調整したり、重複を避けたりするには、OKRはますます欠かせないツールとなる。ここでこの説明をしたのは、初めてOKRを導入する企業は、機能別部署ごとにOKRを作成する傾向があるからだ。たとえば、デザイン部門はレスポンシブ・デザイン[PCとスマートフォンなど、ユーザーの環境に合わせて表示を変えること]への移行を、エンジニアリング部門はアーキテクチャのスケーラビリティやパフォーマンスを、そして品質管理部門はテストとリリースの自動化を、それぞれ目標に設定するといった形だ。その場合に問題になるのは、機能別部署に属する個々の従業員が、職域を超えたプロダクト・チームを構成しているということだ。プロダクト・チームにはそのチームが担う製品あるいは技術に関連した目標(顧客獲得コストの削減、1日あたりアクティブ・ユーザー数(DAU)の増加、新規顧客のオンボーディング時間の削減など)があるが、チームの各メンバーには、機能別部署のマネジャーに命じられた目標があるかもしれない。デザイナーはレスポンシブ・デザインへの移行に、エンジニアはプラットフォーム変更に、品質管理担当者はツールの更新に時間を割くように命じられたとする。これらはそれぞれ意義のある仕事かもしれないが、職域を超えたチームを結成する理由となったビジネス上の問題解決につながる可能性は高くない。さらに、プロダクト・チームのメンバーがどの仕事に時間を割くかで板挟みになり、その結果マネジャーもメンバーも混乱し、フラストレーションが溜まって、残念な結果に終わるということもよくある。しかし、この事態は容易に避けられる。OKRを企業に導入する場合、OKRをプロダクト・チームのレベルにフォーカスすればいいのだ。従業員の関心を、プロダクト・チームの目標に向けるのだ。デザイン、エンジニアリング、品質保証などの機能別部署に大きな目標(レスポンシブ・デザイン、技術的負債の解消、テスト自動化など)があるのなら、それらはほかのビジネス目標とあわせて経営幹部レベルで議論し、優先順位を付け、関連するプロダクト・チームの目標に組み込む。機能別部署のマネジャーが、自分の部署に関連する個人目標を持つのは構わない。そういった立場の人は通常プロダクト・チームに入っていないので、板挟みになることがないからだ。たとえば、ユーザー・エクスペリエンス・デザイン部長はレスポンシブ・デザインへの移行戦略、エンジニアリング部長は技術的負債を解消する戦略の立案、プロダクトマネジメント部長はプロダクト・ビジョンの作成、品質管理部長はテスト自動化ツールの選定をそれぞれの目標にすればいいだろう。また、プロダクト・チームの個々の貢献者(エンジニア、デザイナー、プロダクト・マネジャーなど)が、特定のテクノロジーに関する知識を深めるなど個人の成長に関連する目標を多少掲げても、通常は大きな問題にはならない。ただし、当然ながらプロダクト・チームへの貢献が最も重要な仕事なので、この仕事を妨げなければ、という条件がつく。企業におけるOKRの連鎖の鍵は、職域を超えたプロダクト・チームを頂点とし、そこから部門や事業単位のレベルに下ろしていくことだ。
OKRの実行を習慣にするOKRを試験的に導入する多くの会社は失敗し、それをシステムのせいにする。しかし、どんなシステムでも、実際にうまく運用しなければ機能しない。四半期の初めにゴールを設定して、その終わりには魔法のように達成できていると期待するのは、あまりにも考えが甘い。ハンナとジャックの会社の例で説明したように、コミットメントとお祝いのリズムをつくることが重要なのだ。エンジニアがソフトウェア開発に利用する「スクラム」という手法がある。これは、ゴールに到達するためにチーム・メンバー各自が責任を持ち、支え合うというものだ。メンバーは毎週、今週のできごと、来週の実行にコミットする内容、そしてゴール達成を阻む障害を共有する。より大きな企業では、「スクラムのスクラム」を開催して、ゴール達成のために各チームが互いに責任を担い合うようにする。職域を超えたグループで同じことができない理由はない。月曜のコミットメント毎週月曜日、チームはチェックイン・ミーティングを行ってOKRの進捗をチェックし、会社の目標達成に向けたタスクにコミットする。私がおすすめするのは、4つの四角形からなる形式だ。今週の優先事項:目標に向けてやるべき特に重要な仕事を3~4つ挙げよう。この優先順位によってOKRが達成できるか話し合おう。今後4週間:チームに知らせるべき今後の予定。メンバーがそれらの予定に貢献したり、準備ができたりする。OKR自信度状況:自信度10分の5を設定したとして、それが上がったか下がったか。またその理由について話し合おう。健康・健全性指標:すばらしい結果を目指して歩む一方で守りたいことを2つ選ぼう。失ってはいけないものはなんだろうか。顧客との関係?コードの安定性?チームの健康・健全性?悪化してきたときに把握して、話し合おう。
この表は、とにもかくにも会話のためのツールだ。次のようなことを話し合うのに使おう。この優先順位はOKRの達成につながるか。OKR達成の自信度が下がっているのはなぜだろうか。手伝える人はいないだろうか。新しい大きなことに取り組む準備はできているか。マーケティング部門は製品部門の計画を把握しているか。従業員を追い込んでいないか。あるいは、コードで手抜きが蔓延していないか。ミーティングでは4つの四角形だけに議論を絞る方法もあるが、四角形は状況の概要を説明するためにだけ使って、詳細文書で指標、プロジェクトのパイプライン、その他関連する更新事項を補っても構わない。状況報告ミーティングの適切な頻度は、会社によって異なる。できるだけシンプルなしくみにとどめよう。状況報告ミーティングが多すぎると、チームメンバーはどんな些細なことでも挙げて、自分の存在を正当化するようになる。日常業務については、各チームの選択を信頼しよう。ミーティングの雰囲気をコントロールして、チームメンバー全員がコミットして共通のゴールを達成するために、互いに助け合うようなムードにしよう。優先事項の数は少なめに、更新頻度は短くしよう。話し合いの時間をとろう。月曜日のミーティングに確保した時間のうちプレゼンの時間は4分の1だけにして、残りの時間で次のステップについて話し合うといい。時間より早く終わるのは良い兆候だ。1時間を確保したからといって、まるまる1時間使わなければいけないわけではない。金曜は勝者のためにチームが高みを目指せば、失敗も増える。高い目標を掲げるのはよいが、ゴールの達成に失敗したときにゴールにどれだけ近づいたかわからないままでは、憂鬱になりがちだ。だからこそ、金曜日のウィン・セッション(勝者のセッション)がきわめて重要になる。金曜日のウィン・セッションでは、各チームが見せられるものをなんでも見せ合う。エンジニアは作業中のコードを、デザイナーはモックやマップを見せる。どんなチームにも共有できることがあるはずだ。営業部門は成約に至った顧客を紹介できる。カスタマー・サービス部門はサポートした顧客について話せる。ビジネス開発部門は取引の概要を共有できる。このようなセッションには、いくつものメリットがある。まず、メンバー自身が、特別な勝者のチームに属しているような気分になれる。次に、共有できるものをつくることが、チームにとっての楽しみになる。メンバーが勝利を求めるようになる。そして最後に、会社が各部門の仕事に感謝し、社員が日々何をしているのかを理解するようになる。ビール、ワイン、ケーキなどチームの好みに合った金曜日の飲食物を提供するのも、大事にされているという気持ちをチームに持ってもらうために大切だ。チームが小さく、会社で費用を負担できない場合、従業員がお金を入れる「金曜日のウィン・セッション用の貯金箱」を用意するのもよいだろう。ただ、チームが大きくなったら、会社はサポートのしるしとしてお祝い用のお菓子や酒の代金を負担すべきだ。考えてみてほしい。プロジェクトで働く人たちは会社にとって最大の資産だ。彼らに投資するのは当然ではないだろうか。OKRはゴール設定に適したしくみだが、達成するためのシステムがなければ、流行りのほかのプロセスと同様に失敗に終わる可能性が高くなる。チームに対して、従業員同士に対して、全員の未来に対してコミットしよう。そして、毎週コミットメントを新たにしよう。
OKR設定ミーティングを開催する方法OKRの設定は難しい。自分の会社をつぶさに観察しなければならないうえ、会社が進むべき方向について、厳しい話し合いをする必要もある。最高の結果を得るため、ミーティングは必ず緻密に構成しよう。次の四半期にはこのOKRを生活の一部にするのだから。ミーティングは小規模(できれば10人以下)にする。CEOなどのリーダーが主催し、上級経営幹部など責任者を入れること。電話とコンピューターは遮断する。そのほうが、参加者がすばやく行動し、議題に集中できる。ミーティングの数日前に、会社が集中して取り組むべきだと思う目標をすべての従業員に提出してもらおう。締切までの時間はごく短くする。24時間もあれば十分だ。プロセスを遅らせたくはない。それに、忙しい会社の「あとでやる」は「いつまでもやらない」と同じだ。そして、コンサルタントや部門長などに、最も優れた目標「O」(Objective)と最も多かった目標「O」をまとめるように依頼しよう。ミーティング時間は4時間半確保しよう。30分の休憩を挟み、2時間のセッションを2回行う。後半のセッションをキャンセルできるくらい早く終わらせることを目標に、集中してミーティングを進めよう。経営幹部チームにはそれぞれ目標をひとつか2つ考えてから、ミーティングに臨んでもらう。従業員が発案した目標を付箋に書いて、経営幹部にも目標を追加してもらう。大きさの違う付箋を用意して、目標には大きい付箋を使うことをおすすめする。細かい字は読みにくいからだ。次に、チームに付箋を壁に貼ってもらう。重複した内容は統合する。特定のゴールについての懸念を示すパターンを見つける。同じような目標を統合し、上から順に貼ってランク付けする。最後に、付箋の数を3つに絞る。話し合う、議論する、争う、ランク付けする、選ぶという順番だ。スピードはチームによって異なる。ここまで終わった時点で、そろそろ休憩に入るタイミングかもしれないし、まだ1時間残っているかもしれない。次に、経営幹部チームのメンバー全員に、目標を測定するための指標をできるだけ多く書き出してもらう。これはデザイン思考の手法で、フリーリスティングという。あるトピックについてのアイデアを、ひとつずつ付箋を変えてできるだけ多く書き出す。1枚の付箋紙にひとつのアイデアを書くことで、データを並べ替えたり、捨てたり、さまざまな方法で操作できる。
フリーリスティングは効率的なブレインストーミング法で、アイデアの質も多様性も上がる。チームには、落ち着いて取り組める最低限の時間より少し長めの時間を割り振る。10分くらいが適切だろう。できるだけ多くの興味深いアイデアを得たい。続いて、アフィニティ・マッピングで付箋を関連付ける。これもデザイン思考の手法で、簡単に言うと付箋同士をグループ化することだ。ふたりがDAU(1日あたりのユーザー数)を書き出したら、それらを重ねて貼り、その指標に2票入ったと数える。DAU、MAU(1カ月あたりのユーザー数)、WAU(1週間あたりのユーザー数)はすべてエンゲージメントに関する指標なので、隣同士に配置する。最後に、3つの指標を選ぶ。KR(KeyResults)は、「○ドルの売り上げ」「○件の新規獲得」「○人のDAU」のような形で、数字を先に書く。まず何を測定対象にするか話し合って決め、それから各測定対象の値とその値が本当に〝ムーンショット〟と言えるくらい高い目標なのかどうかを話し合うほうがいい。ひとつずつ決めていこう。ひとつの目安として、KRに使用率指標、売り上げ指標、満足度指標を設定することをおすすめするが、もちろんいつもこれが適切とはかぎらない。いくつもの四半期にわたって持続的な成功を収めるために、成功を測定する方法をさまざまな角度で見つける必要がある。たとえば、売り上げ指標が2つある場合、成功へのアプローチがバランスを欠いている可能性がある。売り上げだけに注目すると、従業員がシステムをゲームのように攻略しようと考え、短期的なアプローチを開発して顧客定着率を損なうおそれがある。次に、KRの値を設定する。まず、〝ムーンショット〟ゴールになっているかどうか確認しよう。達成できる可能性は五分五分でなければならない。そして、互いの案に対する懸念を出し合おう。簡単すぎないだろうか。慎重になりすぎていないだろうか。あまりに無鉄砲ではないだろうか。議論すべきは今であって、四半期の中盤を過ぎてからではない。最後に、5分をとって最終的なOKRについて話し合おう。高い志を示し、人を鼓舞するような「O」になっているだろうか。KRは意味のある内容になっているだろうか。難しいだろうか。四半期の間ずっと、このOKRを生活の一部にできるだろうか。適切だという感触を得るまで微調整しよう。それから、OKRを生活の一部にしよう。巻末の付録で、OKR設定に役立つワークシートを掲載している。
会社の目標をサービス部門のOKRと結びつけるデザイン、エンジニアリング、財務、カスタマー・サービスなどの部門では、会社のゴールに貢献するOKRの設定に苦労する場合がある。従業員に難問を投げかけて存分に頭を使ってもらうと、間接部門の関わりも、より豊かで実りあるものになる。ここで、OKRコーチのベン・ラモートに、あるエンジニアリング部門長との会話を紹介してもらおう。OKRコーチングの例:売り上げを使ってエンジニアの貢献度を数量化するベン・ラモート──OKRs・com会長ベン・ラモートは経営者向けに、重要なゴールを定義し、測定可能な進歩を遂げられるようコーチングを行っている。数十社、数百人のマネジャーへのコーチング経験を持つ。詳しくは、www.OKRs.comを参照。部門長のOKRを決めるときに、CEOが指示するのではなく、部門長が自らOKRを作成できるようにコーチングすれば、OKRの質と効果が劇的に向上する場合がある。ここでは実際のOKRコーチング・セッションの形式でそれを紹介しよう。次の事例は、大手ソフトウェア企業のエンジニアリング部門に向けたコーチング・セッションからの抜粋である。エンジニアリング担当副社長(以下、VP):私の主な目標は、弊社の営業チームの目標達成を支援することです。OKRコーチ(以下、コーチ):なるほど。では、四半期の終わりに、営業部門の目標達成にエンジニアリング部門が貢献したかどうわかるのでしょうか。VP:難しいご質問ですね……(口ごもる)。コーチ:そうですか。では、昨年1年間で、エンジニアリング部門が明らかに営業プロセスの役に立ったというケースはありますか?VP:実をいうと、ありません。でも、それは貴重なデータのように思います。我々は営業の成約に貢献しているというより、見込み顧客を維持するお手伝いをしているようです。VPは検討を続け、次のKRを提案した。「第2四半期中に、5社の大手見込み顧客への営業をサポートする」「第2四半期終了までに、営業チーム向けの研修を開発する」これら2つの文は、方向性こそはっきりしているが、測定可能ではない。では、VPがこれらの文を測定可能なKRに書き換える際に、OKRコーチがどのように手を貸したかを見ていこう。ステートメント1「第2四半期中に、5社の大手見込み顧客への営業をサポートする」コーチ:大手見込み顧客と、大手ではない見込み顧客の間には区別がありますか?(あいまいさを指摘して、定義を明確にする)VP:あまりありません。コーチ:あなたと営業担当VPの間には、「大手見込み顧客」の定義について合意がありますか?(部門を超えて共同で整合性をとるようにする)VP:では、「大手見込み顧客」を「初年度10万ドル以上の売り上げ見込みがある顧客」に変えましょう。それから、この定義を営業担当VPとすり合わせます。コーチ:過去に何回営業をサポートしたか、回数を数えましたか?(KRが測定可能だとわかるように、過去の指標を確認する)VP:いいえ。コーチ:エンジニアリング部門が営業をサポートすることによって期待できる結果はどういうものですか(タスクではなく結果にフォーカスするために、ゴール達成時に想定される結果を調べる)。VP:営業プロセスの継続か、取引不成立のどちらかですね。コーチ:サポートした5社の営業で、すべて取引が成立しなかったとしたらいかがですか?ゴールが達成されたと言えますか?(境界条件を問い、方向性を確認する)VP:いいえ、技術的な理由で失注したら、成功したとは言えません。次のように定義を見直すべきかもしれません。「初年度10万ドル以上の売り上げを見込める大手見込み顧客のうち、技術的な理由で成約しない顧客を3社以下にするように、営業をサポートする」。これならいかがでしょう。コーチ:方向性はいいですね。ただ、今度はKRのフレームワークがネガティブになっているようです。同じゴールを次のようにポジティブにするのはいかがでしょう。「技術合格率」の基準を達成する。たとえば、10万ドル以上の売り上げを見込める企業10社と打ち合わせ、そのうち8社で技術的な異論が発生せずに次の段階に進むことができれば、技術合格率80パーセントとする、とか(KRがポジティブになるようにする)。エンジニアリング担当VPは、「技術合格率」を追跡するアイデアを気に入ってくれた。このOKRコーチング・セッションの結果、エンジニアリング担当VPは、エンジニアリング部門の貢献度を営業部門に対して数量化するために技術合格率が有用な指標であると、営業担当VPに確認するということで話がまとまった。
OKRのスケジュールOKRを取り入れる準備ができたら、CEOは導入のスケジュールを立てることになる。OKRに関する研修を終え(あるいは調査を完了し)、従業員がOKRを理解し、導入の心構えができたら、次のようなアプローチをおすすめする。1すべての従業員に、会社が次の四半期に追求すべきだと思う目標を提出してもらう。こうすることで、OKRへの主体的な関わりが強まるとともに、社風の健康・健全性が保たれているかどうかについての興味深い分析が可能になる。大企業なら直属の上司が回収して順次上位に送っていく方法やアンケートに組み込む方法、あるいはコンサルタントが回収して相互に関連付けてから経営幹部チームに渡す方法などが考えられる。2経営幹部チームは半日のセッションで、提案された各種の目標について話し合い、目標をひとつ選定する。議論と妥協が必要になるため、十分な時間をとりたい。その後、経営幹部チームは前述のようにKRを設定する。わずか90分のミーティングでOKRを設定したチームも見てきた。OKRの設定が遅くなる原因には、ミーティングの先延ばしや、持ち帰り作業のサボり、決断の拒否などがある。これらは人事に関する問題であり、管理職が対処する必要がある。会社のゴールは会社の運命を決める。コミットしよう。3経営幹部の持ち帰り作業:四半期のOKRを直属の部下に説明し、部門OKRを設定してもらう。部門長とそのチームによる2時間のミーティングで、全社OKRと基本的に同じ方法で決める必要がある。つまり、フリーリスティング、グループ化、ランク付け、選定だ。4CEOの承認:約1時間。さらに、完全に的外れな部門長がいた場合にはフォローアップの話し合いが必要だ。この件のみに集中する時間として、丸1日を確保しよう。5部門長は会社と部門のOKRを下位のチームに渡し、それらのチームもそれぞれOKRを設定する。6(必要に応じて)個人OKRを導入している会社では、この段階で設定する。個人OKRは最終的にマネジャーが承認すること。コーチングのための絶好の機会だ。メールですませず、1対1の面談でOKRを検討しよう。7全員参加の会議で、CEOがその四半期OKRを設定した理由を説明し、直属の部下が設定した例をいくつか挙げる。さらに、前四半期のOKRにも触れ、主な達成項目を取り上げる。決意あふれるポジティブなトーンを維持しよう。このルーティンを四半期ごとに維持しながら前進する。OKRを2週間以内に設定できなければ、優先事項を見直す必要がある。会社が結束するためのゴールを設定する以上に重要な仕事などない。次の四半期に備えるコミットメントとお祝いのルーティンを保っていれば、OKRを達成できそうかどうかは、四半期が終わる2週間前にわかるはずだ。最後の2週間にシルクハットからウサギを引っ張り出せるなどと考えてはいけない。そのような短い時間に本当に厳しいゴールを達成できるとしたら、めったに起こらない奇跡だ。避けられないことを先送りする理由はない。KRを達成できなかった場合や、KRが低すぎてたやすく達成してしまった場合は素直に認めよう。そして、その教訓を次のゴール設定に組み込もう。OKRの本質は、継続的な向上と学習のサイクルだ。チェックリストではない。KRをどれも達成できなかったなら、なぜなのか自分に問いかけて、修正しよう。全部達成してしまったら、もっと厳しいゴールを設定して先に進もう。学び、賢くなり、毎週金曜日にもっといい発表ができるように、フォーカスしよう。初めての挑戦でもリスクを減らせるOKRに挑戦する企業は最初はたいてい失敗する。失敗は危険な状況だ。というのも、チームがこのアプローチに幻滅して、再挑戦に及び腰になるおそれがあるからだ。習得に多少時間がかかるというだけで、強力なツールを失いたくはない。このリスクを減らすために、3つのアプローチをとることができる。1最初は、全社のOKRをひとつだけ決める。会社全体にシンプルなゴールを設定することで、経営幹部が自らに高い基準を課しているのが従業員に伝わる。そうすれば、次の四半期に部門や個人で同じようにOKRを設定するように指示されても驚かれない。下位のチームへの連鎖的な導入を控えると、導入がシンプルになるだけでなく、OKRを積極的に取り入れる従業員と、コーチングが必要な従業員を見分けられる。2全社でOKRを導入する前に、ひとつのチームで導入してみる。ゴールを達成するためのあらゆるスキルを備えている、独立したチームを選ぼう。このアプローチが成功すればそれを社内に広められる。あるいは、成功まで1サイクルか2サイクル待ってから、全社にOKRを展開することもできる。3OKRのアプローチを従業員に伝えるために、OKRをプロジェクト単位で適用するところから始める。この手法を活用しているのがギャザーコンテンツ社
だ。大きなプロジェクトを立ち上げるたびに、目標は何か、達成したとどうやってわかるのかを確認している(詳しくは後述)。小さな単位から始め、OKRがあなたの会社でどのように機能するかを学ぶことに集中すれば、結果ベースのアプローチを採用できる可能性が高まるとともに、チームの幻滅を招く危険性を緩和できる。
MVPのためのOKRアンガス・エドワードソン──ギャザーコンテンツ社プロダクト・ディレクターわが社ではさまざまな方法でOKRを活用し、過去数年にわたって各種の試行錯誤を重ねてきた。OKRを全社的なツールとして採用して全従業員のフォーカスを一致させている。そして、部門ごとに取り入れて自主性を尊重し、さらに従業員レベルでも活用して個人の成長を促している。しかし、やはり最も大きな効果を得られるのは、プロダクト・チームのプロジェクトに取り入れたときだ。ギャザーコンテンツ社では、新機能を立ち上げる際に、明確なO(目標)と一連のKR(主な結果)を設定して、なぜこの仕事が必要なのか、どう成功させたいのかをまとめることを義務づけている。製品ライフサイクルの中心でギャザーコンテンツでは、発売する価値のあるMVP(MinimumViableProduct、実用最小限の製品)ができるまで、新機能の複雑なところを削っていく。プロダクト・チームは「カンバン開発」という方式で動いている。カンバン開発とは、トヨタ自動車の「カンバン方式」の流れをくむアジャイル開発のスケジュール手法のひとつで、すべての潜在的なプロジェクト候補のカードを壁のロードマップに貼り、開発者が「作業予定(ToDo)」から「作業中(Doing)」、さらに「完了(Done)」へと移動させていくというものだ。チームで新しいプロジェクトを開始する準備ができると、MVPをロードマップから開発に移動する。ロードマップ上のすべてのMVPはカンバン・カードに記載される。カードには、標準化された説明や要件など必須の情報に加えて、必要に応じてメモやスケッチなどを書き込む。この構成によって、ほかの従業員に今後の予定を知らせ、スムーズに開発に移行できる。また、プロジェクトの目標と、目標を達成した場合に想定されるKRも記載する。カンバン・カードにOKRを組み込んだことにより、チームは新機能をつくる前に必ず、次の2つの重要な質問に答えることになる。1その機能で何を達成しようとしているのか。2成功と失敗をどのように測定するのか。わが社のカードの構成を次の図に示す。
「目標」(objective)が「仮説」(hypothesis)に変わっているのがわかるだろうか。これは、製品開発に実験的なアプローチを取り入れることを推奨するためだ。「こうなります」の代わりに「こうなると思います」と言うようにする。その後、仮説は証明されるか、あるいは否定される。このしくみが、私たちを科学者のような気分にしてくれる。ロジックを整理するこのようにOKRを使うと、明解な根拠を示しながらすべての機能を詳しく検討できる。さらに、会社のほかの業務にも大いに好影響を与えることができる。作業の優先順位を決めるOKRの明確な使い道のひとつは、ロードマップ上の仕事の優先順位を、予想される影響に基づいて決められることだ。つまり、ビジネス上のゴールに基づいて仕事の優先順位を決定できる。製品とビジネス上の目標を結びつけるたとえば、ある会社が新規顧客のアクティブ率向上をO(目標)に掲げていれば、各部門はその領域に最も大きな影響を与える機能を優先できる。これは、会社OKRと部門OKRを対応させて、従業員全員が気分よく同じ方向を向くようにする好例だ。〝他者〟とのコラボレーション人は次に何が起こるのかを語り合うのが好きだ。ロードマップについて社内でさまざまな議論を戦わせるのはすばらしいが、骨組みができていないまま話しても膠着状態に陥る可能性が高い。というのも、どんな人にも自分と最も近いビジネス領域を重視するバイアスがかかっているからだ。ある機能について、背景となっているビジネス・ロジックや、ほかの未実装機能との兼ね合いを迅速に伝えられれば、会話の効率も大幅に向上する(そして、感情的になりにくくなる)。ほかの機能のほうが価値があると考える人がいる場合、なぜ価値があるのか(仮説)、どれほどの価値を持つ可能性があるか(KR)を単純に話し合えばよい。こうすることで、建設的なコラボレーションが促進される。測定と学び定量化可能なターゲットを測定する最大の効果は、結果を評価しやすくなるとともに、結果から学びやすくなることだ。わが社ではリリース済みMVP(実用最小限の製品)のKRを単純なスプレッドシートで追跡・検証し、定期的に見直して、そこから得られる教訓を確認している。結果を測定するタイミングの設定に苦労したことがあったため、OKR測定ごとに締切を設けるようにした。締切が来て結果を収集したら、全員で集まって、矛盾がないか、予想外の結果が出ていないか、その他の教訓がないか話し合う。カンバン・カードにOKRをプラスすることで、優先事項の設定がより適切になり、学びのスピードがアップし、コミュニケーションの効率も改善された。また、今自分たちがしていることについて、「なぜやっているのか」を互いに伝えあう習慣もついた。
OKRで毎週の状況報告メールを改善する初めて状況報告メールを書いたときのことはよく覚えている。2000年にヤフーのマネジャーに昇進し、小さなチームを受け持ったときに、「担当するチームがその週に実行した内容をまとめた状況報告メールを金曜日までに送るように」と指示された。私がどう思ったか、みなさんも容易に想像がつくだろう。自分のチームが仕事をしていると証明しなければならない。チームの存在を正当化するだけではなく、もっと人が必要だと証明しなければならない。なにせ、どんなときにも人は要る。そこで、私はみんなと同じことをした。部下が実行したあらゆる細かい仕事をリストにまとめて、読みにくいレポートを作成したのだ。やがてマネジャーを管理する立場になったので、同じように報告させ、さらに長く恐ろしいレポートを取りまとめた。これをデザイン・マネジャーのアイリーン・アウとゼネラル・マネジャーのジェフ・ウィナーに送信した(ジェフは賢明にも、冒頭に概要を書くよう言ってきた)。転職する先々で同じように長く退屈なレポートを書いていたが、斜め読みされるのが関の山だった。ある職場では、レポートを書くこと自体をやめた。各マネジャーがプロジェクト・マネジャーにレポートを送信し、プロジェクト・マネジャーが取りまとめて私に送信するようにして、内容に大きな問題がなければそのまま上司に転送する方針にした。ある週、私はレポートを読むのを忘れていたが、誰からも何も連絡はなかった。レポートはみんなの時間の無駄だったのだ。そして、2010年にジンガに入社した。ジンガについてはいろいろ言われることもあるが、組織運営の重要な点で、非常に優れた組織だった。そのひとつが状況報告レポートだった。ジンガでは、すべてのレポートが管理チーム全員に送信される。私はそれらを楽しく読んだ。いや、これは間違いではない。20通あっても、楽しく読んだのだ。なぜだろうか。それは重要な情報が、消化できる形でまとめられていたからだ。私はこのレポートのおかげで自分のやるべき仕事を理解し、順調に進んでいる業務を参考にできた。初期のジンガは、今まで見てきたどの会社よりも急速に成長した。あれは、コミュニケーションの効率性が大きく功を奏したのではないかと思う。ジンガを退職したあと、私はコンサルティングを始めた。アジャイル開発の手法を取り入れながら、これまでに働いてきたさまざまな会社にも合うように状況報告メールをつくり替えた。今は、企業の規模を問わず導入可能な、シンプルでしっかりした形式ができている。1メールの冒頭に、チームのOKRと、今四半期に達成できる自信度レベルを書く。OKRを書くのは、あなたがなぜ今の行動をとっているのかを、全員(そして、時によっては自分自身)に思い出させるためだ。自信度は、KRを達成できると思われる確率だ。これを10段階で測る。1は「絶対に起こらない」、10は「すでに手中に収めている」という意味だ。自信度が3未満になったら赤でマーク、7を超えたら青でマークしよう。色をつけると斜め読みでもわかりやすくなり、上司にも同僚にも喜ばれる。自信度を記載することで、あなたもチームメンバーも進捗を追跡し、必要に応じて修正できる。2今週の優先タスクと、それらが達成されたかどうかを書き出す。達成されなかった場合は、理由を簡単に述べる。達成する必要があるのに達成できていない理由を把握するのが目的だ。詳しい形式については、後述のメール例をご覧いただきたい。3次に、来週の優先事項を並べる。P1(最優先)は3つまで。複数の手順を要する、内容の濃い仕事にする。たとえば、「プロジェクトXENOの最終版仕様を作成する」は良いP1だ。おそらく起草から、複数のグループによるレビュー、承認までが含まれる。さらに、ほかのチームと自分の上司に、ミーティングを予定していることを示せる。「法務部門と話をする」は悪いP1だ。この優先事項は30分くらいしかかからず、明確な結果がなく、タスクの一部にすぎないという印象を与える。そもそも何の話をするのかすら説明していない。若干のP2(第2優先)を追加しても構わないが、それらも濃い内容にしなければならない。数は少なく、内容は大きく、と心がけよう。4リスクや障害があれば挙げる。アジャイル開発のスタンドアップ・ミーティングと同じように、自力で解決できないことは人に頼って構わない。責任のなすりつけあいはやめよう。マネジャーも、経営幹部同士が「お前のせいだ」と言い合っているのを聞くのはまっぴらだ。同様に、目標達成の障害があれば、それも書く。たとえば、スケジュール的な、あるいは技術的な困難のために、提携先の問題解決に予定より長くかかっている場合などだ。上司は驚くのが好きではない。驚かせないようにしよう。5メモを添える。
最後に、これらのカテゴリーに収まらないが絶対に入れたいことがあれば、メモを追加する。「ジムの紹介で、アマゾン出身のすばらしい人を採用しました。ジム、ありがとう」や、「リマインダー:今週の金曜日、当チームはジャイアンツ戦観戦のために不在になります」などが適切なメモだ。短く、タイムリーで、有用な内容にする。言い訳、セラピー、小説執筆の練習などに使ってはいけない。この形式を使うと、大企業が直面するもうひとつの重要な課題が解決する。調整だ。従来の方法で状況報告レポートを書くには、木曜日の夜までにチームの状況を提出してもらい、取りまとめて事実確認をしてから編集しなければならなかった。しかし、新しいシステムなら、自分の優先事項はわかっている。部下の状況は、部下の優先事項と自分の優先事項の整合性がとれているのを確認するためだけに使う。部下からの報告も、自分からの送信も金曜日で問題ない。全員が互いに対してコミットする、誠実でフォーカスした状態を保つことができる。仕事は雑用のリストではなく、グループ一丸となって共通のゴールに向かうものでなければならない。状況報告メールはこの事実を全員に念押しし、チェックボックス式の思考に陥らないようにするために役立つ。組織としての取り組みを調整することは、企業の競争とイノベーションを可能にするために欠かせない。状況報告メールをあきらめるのは戦略的なミスだ。状況報告メールは、重要なリソースを無駄遣いするタスクにもなれば、チームが互いにつながり、助け合う手段にもなるのだ。
よくあるOKRの失敗例チームのOKR導入を支援していくうちに、企業が直面する課題について多くのすばらしい話を聞くことができた。また、失敗につながる〝よくあるミス〟もわかってきた。私が「失敗」と定義するのは、OKRをひとつも達成できない場合、すべてのOKRを達成してしまった場合、OKRプロセスがビジネスに有用な影響を与えない場合だ。よくあるミスを紹介しよう。・四半期ごとのゴールが多すぎるゴールはひとつだけに絞ろう。OKRは、全従業員が覚えているくらい明確なものにしたい。5つも設定したら明確でなくなる。ただし、グーグルのような企業には複数のOKRが必要だ。グーグルは検索エンジン、ブラウザー、SNSの改革、自動運転車の開発など幅広く手がけている。もし「あらゆる製品を最高にソーシャルにする」という目標をひとつだけ掲げたとしよう。自動運転車部門は、人格を持ち友達になってくれる自動運転車〈キットくん〉を開発するかもしれない。ソーシャル・カーは気が利いているかもしれないが、たぶん市場で求められてはいない。グーグルのように、まったく異なる市場に向けて別のビジネスを展開しているのであれば、市場または事業ごとにOKRセットが必要になるだろう。逆に言えば、ほとんどの会社(そしてすべてのスタートアップ)は、ひとつの明確なOKRを設定して取り組みの方向性を統一したほうがいい。・週ごと、あるいは月ごとにOKRを設定してしまうプロダクト・マーケット・フィット[製品と市場の最適な組み合わせ]を見つける前のスタートアップがOKRを使うべきかと聞かれたら、自信を持ってイエスとは言えない(「プロダクト・マーケット・フィットを見つける」という目標でないかぎりは)。1週間以上同じ路線を維持できないなら、OKRの導入は時期尚早だ。プロダクト・マーケット・フィットが見つかっているなら、四半期いっぱいコミットしよう。第一、3カ月もかけずに本当に大胆な目標が達成できるだろうか。1週間で達成できる目標は、おそらくただのタスクでしかない。・目標に数字を入れてしまうこれはMBAを取得した人に多い失敗だ。数字が好き。お金が好き。そうでない人なんて、この世にいるだろうか。しかし、OKRは部門を超えたチームを統合するためのものだ。つまり夢見がちなデザイナー、理想を抱いたエンジニア、お客様を大切にするカスタマー・サービス担当者などもチームの一員だ。人々を鼓舞する目標、従業員がベッドから飛び起きて新しい1日と新しい課題に向かうような目標を立てよう。・自信度レベルの設定を忘れてしまう70パーセントのKR達成を期待されたので、簡単な目標2つと、ほぼ不可能な難しい目標をひとつ設定した、という事例を多くの企業で見てきた。これはポイントがずれている。OKRは〝ムーンショット〟を後押しするためにある。あえて上を目指すことで、実際にどの程度の能力があるのかを把握するのだ。自信度レベル10分の5とは、ゴール達成の可能性が50パーセントという意味だ。つまり、自分自身の限界を広げることになる。・自信度レベルの変化の追跡を忘れてしまう四半期の最後の月に入ってOKRを気にするのを忘れていたと判明するほど残念なことはない。新たな情報が入るたびに、変化を記録しよう。チームメンバーに、自信度レベルが5のまま上がっていないと知らせよう。手伝いを申し出よう。・月曜日に4つの四角形を状況報告に使ってしまう必要なことを話し合おう。今の優先順位で、本当にKRが達成できるか。ロードマップにある今後のプロジェクトに調整は必要か。チームの健康・健全性の現状はどのようになっているか。それはなぜか。・金曜日に厳しい話をしてしまう
誰もが厳しい1週間を送ってきたはずだ。金曜はビールを空けて、達成した仕事を祝って乾杯しよう。特に、すべてのKRを達成する見込みがない場合は、あえて「大胆な目標を掲げることによって実際に何を達成できたか」を考え、胸を張ろう。
OKRと年間レビューデイドリー・パクナッド──ワークボード社CEOワークボード社はOKRを導入し、日々の仕事の中でゴールにフォーカスし、継続的かつ組織横断的な透明性を実現する企業である。ここ10年くらいの間に、ビジネス・ゴールは使い古され、魔法の力を失った。私たち個人の生活では、ゴールとは志であり、重要な判断を促し、目的を与えてくれるものだ。それなのに、職場、とりわけ大企業では、従業員の3分の2が、ゴールは給与の支払い以外にほとんど関係がないものと考えている。多くの大企業では、最も強い動機付け、満足の源としてのゴールは力を失い、個人とリーダーが自分自身、チーム、そしてビジネスを成長させるためのツールセットから取り除かれてしまった。ゴールがビジネスのパフォーマンスを左右するのではなく、逆にパフォーマンス評価がゴールを左右するようになると、年間レビューのためにゴールがつくられるようになる。12カ月後の給与を確保するためにゴールを設定するようになると、ゴールは必然的にあいまいになり、達成のハードルも下がる。ビジネスの速度が上がるにつれて、年間ゴールはビジネスの現実から切り離され、影が薄くなってしまった。このような問題は特に大企業において顕著だが、若い企業でも、ゴールはCEOが現場ではなく取締役会と共有するものになってしまっていると言わざるをえない。どちらの場合でも、従業員が毎日、自らの時間と取り組みについて適切に判断する役には立たないし、能力を高めて優れた成果を出す足しにもならない。ゴールが秘める魔法の力を取り戻すにはまずゴールを、「パフォーマンスを評価するしくみ」から、「人を鼓舞し、能力を高めるしくみ」に切り替えよう。つまり、会社におけるゴールのモデルや存在そのものをつくり替えるのだ。志のある短期的なゴールを、アグレッシブな数量的指標、そして毎週繰り返される実行と責任のリズムと組み合わせて、小さな結果をゆっくり出すのではなく、すばやく大きな結果を出そう。ゴールは、昔のように管理部門が決めるものではなく、ダイナミックで具体的な形があり、従業員を毎日鼓舞するものでなければならない。ゴールはすばらしい結果を目指す私たちの自由意思に入り込む。短いリズムによって、結果が改善し、満足度が向上する。魔法の実現まであと5歩だ。1ゴールを使って成功を定義し、推進するゴールが機能するのは、そのゴールが人を鼓舞し、私たちに自然に備わっている、上を目指す心をとらえることができたときだ。ゴールはチームにとっての勝利を定義するものでなければならない。また、1回きりではなく、リアルタイムに従業員をまとめられるものでなければならない。形のあるゴールは、あらゆる従業員の貢献度を上げ、日々の活動の中心となる目的を提供してくれる。明確で短期的なゴールと指標を定義することにより、優先順位を定義するだけでなく、最も価値のある活動にフォーカスする大義名分を従業員に与えることになる(リーダーはしばしばゴールの理解度を甘く見積もる。本当にゴールを理解している人はたったの7パーセントだ)。2旧式のゴールモデルを捨てて、結果を増幅してくれるゴールを取り入れるOKRのような手法は、最も可能性の高い結果ではなく、可能なかぎり最高の結果を達成する手助けになる。OKRでは、大胆かつ志の高い目標を、すばらしい結果を表すKR指標と組み合わせる。すべての従業員にとって、会社が何を達成しようとしているのか、そして一人ひとりがどこに時間を割くべきかがはっきりする。つまり、横並びから脱却するためのしくみなのだ。従来型のアプローチでは、ゴールを達成したかどうかが評価に結びつくので、従業員が天井を低く見積もるようになる。それに対し、OKRは天井を取り除き、可能なかぎり最高の成果にフォーカスするので、結果が増幅される。OKRを使って可能性を最大化するには、OKRを人事評価から切り離そう。3成果の達成をリアルタイムで管理するゴールとOKRの価値は、実行できたかどうかで決まる。売り上げのような短期的なゴールであれば、12週からなる四半期の1週1週が重要になる。ビジネスの変化速度が加速していく今、リーダーはチームが脇道にそれていたり、障害を乗り越えられずにいたり、道を見失っていたりすることを発見するのに、月ごとや四半期ごとのレビューまで待てない。リアルタイムにゴールを設定し、実行の透明性を継続的に確保すれば、ゴールへのフォーカスを保ち、結果を容易に予測し、社員に責任を自覚するよう促すことができる。4ゴールをメールのように身近な存在にするチームは、チームのゴールと会社のゴール、そしてそれぞれの進捗を3秒で確認できなければならない。3秒もあれば、受信トレイにある最新のメールに目が行く。ゴールから見て、メールはチームメンバーの時間とフォーカスを奪うライバルだ。わが社の研究によれば、パフォーマンスの高い人は、毎朝ゴールを確認してから、自分の志に合わせて時間を意識的に使っている。ゴールにフォーカスした組織にするには、誰もが毎日ゴールに集中できる環境を整えよう。5ゴールがトップダウンとボトムアップの両方向に流れるようにするいまどき、純粋な階層構造の組織が機能することはめったにない。職域を超えてチームを編成し、率いろうとする組織のほうが、敏捷性が高くなり、成功する可能性も上がる。トップダウンでしかゴールが決まらない大企業では、機会が奪われ、場合によっては市場も失われる。才能のある人材とすばらしいアイデア
は、会社全体に分散している。彼らの高い志が自由に社内を流れるようになれば、その会社の勢いは誰にも止められない。上長がすべてを把握していることを前提とした、下向きに硬直しきった流れを改めよう。イノベーションが抑圧されず、幅広い戦略がスムーズに進行するように、ゴールに向かおう。継続的に評価する1回きりのパフォーマンス評価をやめ、継続的に話し合ってコーチングと調整を行っていこう。1対1(ワン・オン・ワン)の面談を少なくとも月に2回は実施して、エンゲージメント、パフォーマンス、方向性の3点を調整する。弊社ではこれらの3点に5つのレベルを設定し、マネジャーと従業員の両方が見解を共有するよう推奨している。こうすれば、上司と部下の間に認識のずれがあった場合にすばやく対応できる。年末までに改善する機会と認められる機会が24回得られるわけだ。この、従来の方法よりも誠実かつ親密なやり方をすれば、従業員のスキルが蓄積され、パフォーマンスが向上する。レビューはパフォーマンスに関する一連の面談のひとつにすぎないため、シンプルに終わる。こうして情報を共有しておけば、予想外の事態も発生しない。
OKR活用のヒント複数の事業分野がないかぎり、全社のOKRはひとつだけにしよう。フォーカスがすべてだ。OKRには3カ月の期間を設けよう。たったの1週間で、どれほど大胆なことができるだろう。目標に指標を入れないようにしよう。目標は人を鼓舞するためのものだ。毎週のチェックイン・ミーティングは、会社のOKRで始め、次にグループOKRを取り上げよう。個人OKRは扱わない。それは1対1(ワン・オン・ワン)の個人面談のほうがやりやすい(もちろん、個人面談は毎週やっていますよね)。OKRは連鎖する。まず会社のOKR、次にグループ別や役割別のOKR、最後に個人のOKRを決める。OKRの推進は、唯一の仕事ではない。唯一実行しなければならない仕事だ。日常業務については部下を信頼し、ありとあらゆるタスクをOKRに詰め込まないように注意しよう。月曜日のOKRチェックインは会話の機会だ。自信度の変化、健康・健全性、優先順位について必ず話し合おう。従業員に会社のOKRを提案してもらおう。OKRは単なるトップダウンではなく、ボトムアップの絶好の機会だ。OKRは誰でも見られるようにしよう。グーグルでは社内イントラネットに載せている。金曜日のお祝いは、月曜日の憂鬱を癒す解毒剤だ。活発な雰囲気を保とう。
あとがきと謝辞私はジンガで初めてOKRに出合った。やがてOKRとなる考え方の大枠は、ピーター・ドラッカーが提唱した〝目標による管理〟(MBO、ManagementbyObjectives)システムを、元インテルCEOのアンディ・グローブがインテルに導入する際に生まれた。その後、ジョン・ドーア(元インテル経営幹部、現在は大手ベンチャー・キャピタル、クライナー・パーキンス・コーフィールド・アンド・バイヤーズのパートナー)が、投資するスタートアップに次々と広めた。グーグル、そしてのちにジンガがOKRを全面的に取り入れ、会社をひとつにまとめ、活力を高めた。リンクトイン(私の退職後にOKRを採用)やジェネラル・アッセンブリー(私が2013年にコンサルティングを実施)の成功も加わり、OKRは企業の成長を効果的に促進する存在になった。ジンガを退職したあと、私はスタートアップへのコンサルティングを始めた。新しいスタートアップが自分と同じような苦労を繰り返す必要はない、と思ったからだ。まっさきに、そして繰り返し目についたのは、痛々しいほどの、場合によっては致命傷にもなる「フォーカス不足」だ。プロダクト・マーケット・フィットを見つけたスタートアップでさえも、ビジョンに向かって全従業員が仕事をするように仕向けるのに四苦八苦する。そして、次の投資サイクルは常にあっという間に来るので、全従業員が実行家になる道を見つけなければならない。だから、私はOKRというしくみに頼ることにした。ジンガ風のアプローチをシリコンバレーの若いスタートアップに持ち込んでわかったのは、こうした会社はミーティング全般への耐性が低く、ましてや詳しい分析を行う2時間のミーティングなどとんでもないということだった。そこで、ミーティングをスリム化して、週に1回、会社と各チームのOKRの状況を話し合うだけにすると、うまくいった。会社によっては、指標分析や営業ディスカッションでフォローする場合もあるが、まずゴールの確認から始めることで、ゴールの達成度合いに大きな違いが生まれる。私がコンサルティングした会社ではすべて、毎週のお祝い行事を実施していた。ローンチと連動している会社、単純に金曜日のたびに実施する会社などいろいろだ。しかしある日、お祝いを実施していないスタートアップがあった。若い会社だったので、それが絆を深める重要な儀式だという発想に至っていなかったのだ。そのため、同社がお祝い行事を試験導入するときに、どのような形で実施するかを私がアドバイスすることになった。思い起こすと、アジャイル開発の現場では、開発者が毎週金曜日にデモをするのが定番の儀式となっていたが、デザイナーは開発者ではないので参加できずに不満そうだった。そこで、全従業員にデモを勧めることにした。これが驚くほどの変化を生んだ。各チームがほかのチームの仕事を理解し、互いに敬意を抱くようになったのだ。加えて、毎週金曜日の成功を祝う行事は、あらゆるスタートアップが経験する、試行錯誤を繰り返す過酷で厳しい歩みを癒してくれるようになった。リサーチの過程では、グーグル・ベンチャーズ(現・GV)でOKRを推進するリック・クラウに長い時間をかけて話を聞いた。グーグル流のOKR導入は私が本書でおすすめしているものと違うので、リックが公開している動画や資料は一見の価値がある。個人的な経験から言わせてもらうと、ほとんどのスタートアップと中規模企業では私が本書で紹介するアプローチが有効だ。しかし、チームは一つひとつ違うので、遠慮なく試行錯誤してほしい。小説家のように書くのを手伝ってくれたキャシー・ヤードリーには特に感謝したい。また、次のみなさんには、ベータ版読者として、本書を改善するために大量のアドバイスと貴重な意見をいただいた。ジェームズ・チャム、デイビッド・シェン、ローラ・クライン、リチャード・ダルトン、アビー・コバート、ダン・クリン、スコット・ボールドウィン、アンガス・エドワードソン、アイリーン・アウ、スコット・バークン、ジョージ・アランゴ、フランシス・ローランド、サンドラ・コーガン、A・J・キャンディ、ジェフ・アトウッド、アダム・コナー、チャールズ・ブルワー、サマンサ・ソーマ、オースティン・ゴベラ、アリソン・クーパー、エド・ルイス、ブラッド・ディッカソン、パメラ・ドルアン、デイビッド・ホール、ステイシー=マリー・イシュマエル、キム・フォーソーバー、デレク・フェザーストン、ジェイソン・オルダーマン、アムネ・アジーム、アダム・ポランスキー、ジョー・ソーコル、ブランディ・ポーター、ベサニー・ストール、スーザン・マーサー、ケビン・ホフマン、フランシス・ストー、レオナルド・バートン、エリザベス・ビューイ、デイブ・マルーフ、ジョシュ・ポーター、クラウス・カースガード、エバン・リトバク、ケイティ・ロー、エリン・マローン、ジャスティン・ポンクゼック、エリン・ホフマン、エリザベス・イバラ、ハリー・マックス、ターニャ・シャドネバ、ケイシー・カワハラ、ジャック・コローカス、マリア・レティシア・サラメントス=サントス、ハンナ・キム、ブリタニー・メッツ、ローラ・ディール、ケリー・ファデム、フランシス・ナカガワ、アン・グエン。そして読者のあなた、ここに書かれてはいないあなたが一番の力になった。次に会ったときには私に向かって大声で呼びかけてほしい。読者のみなさん、本書で学んだことをぜひメールで教えてほしい。そして、本書の次のバージョンをさらに良いものにするために力を貸してほしい。Email:Radicalfocus@cwodtke.com
解説及川卓也私は2006年にグーグルに入社したのだが、そのとき初めてOKRというものを知った。「グーグルではOKRというのを使って目標管理をしています」というひと言と簡単な説明を受けただけで、見よう見まねでOKRを使い始めた。前職のマイクロソフトでも同じように四半期ごとの目標設定はしていたので、理解したつもりだったが、すぐにその考えが浅はかだったことに気づく。会社や上位組織のOKRを理解していないことには、自分のチームのOKRを立てにくいし、目標(Objectives)を達成したかどうかを測る結果(KeyResults)の設定も難しい。わかったつもりだった自分が恥ずかしくなったほど、最初は苦労した。苦労はしたが、その効果を実感するまでにさほど時間はかからなかった。自分たちがやることが明確になったため、タスクの優先度付けが進み、無駄を省くことができた。また、結果が見えることで前向きにタスクへ取り組めるようになった。OKRを使っていなかったときは、忙しいのにもかかわらず、成果が出ていないと感じることがままあったが、OKRを使うことで、都度OKRと今のタスクの関連を考え、やることやらないことを判断できるようになった。OKRの副次的な効果としては、他のチームがやっていることの理解度が上がることも挙げられる。他のチームがやっていることもついつい気になってしまうことはよくある。なんであんなことやっているのだろうと思うと、それが自分たちのモチベーションにも影響を与えかねない。余計な口を挟み、チーム間の雰囲気が悪化してしまうこともある。しかし、OKRがあれば、他チームがなんのためにそのタスクに取り組んでいるのかがわかる。OKRにより、全チームが大きなひとつの目標に向かって取り組んでいることが見えるようになる。グーグルの例が有名になったこともあり、日本でもOKRの認知が高まっているようだ。グーグルで勤務した経験があるためか、私のところにも次のようなOKR導入のサポート依頼がよく来る。一度導入をしてみたのだが、失敗して、再度導入を考えている。導入をしてみたのだが、どこかしっくりこないので、少し一緒に見てほしい。このような悩みを抱える企業がいかに多いか、独立していろんな企業のお手伝いをするようになって実感した。本書はそのような企業や組織への良いガイドになるだろう。第1部は物語でOKRを解説し、第2部は実際にOKRを用いるための技術を解説している。物語的に解説をする書籍は少なくはないが、本書のこのスタイルも極めて効果的だ。OKRはただの管理ツールではなく、目標を軸に人を鼓舞し、全員が一丸となって目標に向かって進むためのツールである。CEOのハンナ、共同創業者のジャック、エンジェル投資家のジム、CTOとなるラファエルなど、本当にシリコンバレーにいそうな登場人物たちの苦悩と喜びが綴られた第1部は、読者に人に働きかけることの重要性を理解させ、第2部の使い方の解説への良い序章となっている。第2部で解説される手法も極めて実践的であり、組織の規模や種類によって、導入や活用のヒントを見つけることができるだろう。OKRを導入したはいいが、計画時とレビュー時以外は放っておいてしまったという企業は少なくない。本書で解説される、1週間などの短いサイクルをひとつのサイクルとして考え、レビューを行う手法は、アジャイルソフトウェア開発プロセスと同じだが、このサイクルでのレビューも単に進捗確認という、ともすれば無味乾燥、もしくは「詰められる」ようなストレスフルな場ではなく人をエンパワーする場として活用することが強調されているなど、今までのタスク管理とは明らかに一線を画するものである。また、本書で、OKR導入の最初は失敗するものだと明言されていることも導入を行おうとする人たちを救うだろう。私自身も私が導入をお手伝いしている企業も失敗を繰り返した。だが、第1部での物語が示すように、最初の失敗を経て、OKR導入を進め定着させていく、そのプロセスが企業を強くする。本書の第1部と第2部のハーモニーが、ともすれば挫折をしかねない読者の皆さんのOKR導入を助けることだろう。グーグルはOKRで人と組織をエンパワーするところで、本書の中でも書かれているが、グーグルにおけるOKRは本書で説明している方法とは少し異なる。「世界中の情報を整理し、世界中の人々がアクセスできて使えるようにする」というミッションに沿った事業が複数にわたる大企業であるグーグルのOKRでは、その目標(Objectives)はひとつではなく、3つから5つが推奨されており、本書では避けるように言われている数値目標を含むものも可能となっている。また、それぞれの目標への結果(KeyResults)は3つが推奨されている。期末のOKRレビューでは各結果が0から1・0までの数値で評価され、それをまとめたものが目標への結果となる。OKRのフォーマットはシンプルなもので、本書で書かれているような4つのマスは使っていない。目標と結果だけが記されている。それをどのように膨らませて活用するかは各部署に任される。全社レベルの年間OKRが毎年初めに発表され、期初にそれに沿う形で四半期ごとにも発表される。前期のOKRの結果のレビューと次期のOKR発表は全社員の前で行われる。グーグルは毎週木曜日(米国以外で働く社員のために金曜日から木曜日に変更された)にTGIF(ThankGodIt’sFriday)という全社集会を行い、それを世界各地のオフィスに配信しているが、その様子はとても全社集会という名前で表されるような堅いものではなく、本書で記されている金曜日のウィン・セッションそのものだ。あれだけの大企業になりながら、創業当初のような雰囲気を保ち続けているというのもグーグルの強さの秘訣だと思うが、このTGIFと同じようなカジュアルさで全社OKRの発表も行われる。また、OKR用の社内ツールがあり、このツールを通じて、全社員がどの部署のOKRも見ることができる。個人OKRは必須ではないが、書いている社員のOKRはオンラインの社内名簿からたどることができるようになっている。OKRは基本的にはトップダウンで行われるものであるが、グーグルにおいてはトップダウンとボトムアップが混在する形で行われる。OKRに対してはどの社員も意見を言うことができる。また、組織階層が深い組織だと、下手をすると、上位組織のOKRを待つあまり下位組織のOKR設定が遅くなることがあるが、グーグルでは上位を待たずにOKRの準備を始めることが一般的である。これもトップダウンとボトムアップが融合されているアプロー
チのなせる技であ
り、それでも整合性がとれているのは、ミッションや年間のOKRなどがきちんと全組織に共有されているからである。グーグルは自社のマネジメントエクセレンスを社外に積極的に公開している。OKR運用についても解説されている(注、英文)。私が社員として働いていて感じたグーグルのOKR活用の肝は、OKRを軸に全部署・全社員が同じ方向に進むためのフレームワークとして活用していることだ。OKRというプロセスを完璧に回すことにはこだわらず、人と組織をエンパワーすることを目的にしている。このようなOKR活用が、大企業となっても常に結果を出し続けることにつながっているのだろう。グーグルの手法と本書で解説しているやり方は異なるが、このOKRの目的は同じだ。手法に関しては企業や組織に適したものを採用するのがよいが、この精神は大事にしてほしい。個人的な目標達成にも大きな効果日本でのOKR認知向上に伴い、私のところにもOKR導入支援を求める会社が増えている。私がお手伝いしているのは主にスタートアップが多いが、スタートアップにはOKRはまさに必須のフレームワークだと感じる。なぜか。まず、スタートアップにはリソースがない。少ない人と少ない時間。次の資金調達までに目標に達しないと、それで終わりだ。全社員一丸となって同じ方向に進まない限り成功はない。そんなことはどんなスタートアップの経営者もわかっているのだが、実はこれが難しい。目標をいざ文字にしようとしてみたら、うまく表現できない。そもそも何のためにそのタスクをこなしているのかわからなかったりする。極端な場合にはOKRを設定してみる過程で、ずっと続けてきたタスクが実は要らないものだったことがわかったりする。目標への理解とそれに向かう姿勢が求められているというのは、実はスタートアップに限らない。大企業でも同じだ。顧客のニーズが多様化し、マーケットへの投入もスピード重視になる中、どんな組織でもぶれることは許されない。それこそ一日一日何をするかが全社員に問われる。長年事業を展開し続ける中で、本当は形骸化しているにもかかわらず、惰性で継続している仕事もあるだろう。それもOKRで改めて価値を問われることになる。私が支援している企業で、ある部署をOKRの対象外とするべきではないかと議論になったことがあった。その部署は他部署のサポートを行っており、自らが目標を持つのではなく、他部署からの依頼で動く。だから、自らは目標を立てられないという理由だ。しかし、サポートのやり方は進化させられるし、サポートを受けている部署の目標に貢献することになるので、OKRが設定できるはずだ。そのように働きかけ、OKRを用意してもらった。結果、その部署もより目的意識を持って仕事に臨めるようになったようだ。よく「時間がない」という言い訳を聞く。言い訳と言い切ってしまうのは厳しすぎるかもしれないが、実際、そのように言うのは言い訳にすぎない。時間はどんな人にも平等に与えられている。学生であっても、新社会人であっても、中堅社員であっても、幹部社員であっても、1年は365日で、1日は24時間だ。その限られた時間を何に使うかを決めるのは自分だ。時間がないというのは、そのタスクを自分が優先していなかったということにすぎない。本当に大事だと思うタスクならば、優先度を上げ、それに時間を割けばよいのだ。この「時間がない」という言い訳は、個人的なタスクを遂行できなかったときに使うことが多い。たとえば、英語の勉強や健康維持のための定期的な運動などだ。つい目の前の締め切りが近いタスクに時間を割いてしまい、英会話スクールに行けなかったとか、週3日の予定だったジョギングが週に一度や2週に一度になってしまったなどはよく聞く話だ。だが、これも目の前のタスクを自分が優先させていたにすぎない。個人の長期的な目標のために英語が必要ならば、きちんと時間を割くべきだし、健康維持が何よりも大切ならば、目の前のタスクがあっても朝夕にジョギングできるようにすべきだ。個人的なタスクが失敗しがちな理由はその優先度を上げずに時間を確保しないということだけが理由ではない。進捗が見えづらいためにモチベーションが維持できないことも、タスクを継続する阻害要因だ。ジョギングをし始めたはいいが、走るのが全然楽にならないし、体重も減らない。走り始めたものの挫折してしまうのはたいていこんな理由だ。タスクの優先度を明確にし、継続するためのモチベーションを維持するために、実はOKRが役に立つ。ここではあえて仕事と関係ない例を挙げたが、「何のためにやるのか」を自らに問うことで目標を明確にし、その成果を測るための結果を用意する。そして、定期的なチェックを行うようにするのが良い。定期的なチェックでは、金曜日のウィン・セッションのように自分を褒め、次週に向けて鼓舞するように工夫するとよいだろう。ダイエット中であっても、自分へのご褒美として少しのスイーツを食べるなどは良いアイデアだ。賛否両論あるかもしれないが、個人的にお勧めなのが家族関係、特に夫婦関係の改善や維持のためにOKRを使うことだ。あえて夫婦関係の意味を考えるきっかけになるかもしれないし、結果として考えるものを本書のお勧めに従ってポジティブな形で記せば(そしてもちろんそれを達成する)マンネリズムなどには陥らないだろう。ただし、OKRのようなビジネス手法を家庭に持ち込もうとして喧嘩になったとしても責任は取れないが……。家庭へのOKR導入はドラスティックな提案だが、個人の能力開発や個人プロジェクトの目標管理にOKRが向いていることは間違いない。もし、みなさんの会社でのOKR導入が難しいならば、まずは自分や自分の周りからだけでも始めてみることをお勧めしたい。目標を改めて見つめ直し、その達成に向けてのアクションと進捗を可視化するフレームワークであるOKRはみなさんの物事への取り組みを劇的に変化させるだろう。本書がみなさんのOKR活用時のバイブルとして愛されていくことを期待したい。注https://rework.withgoogle.com/guides/setgoalswithokrs/steps/introduction/
付録デザイン思考を使ったOKR設定ミーティングの進め方イントロダクションOKRの設定は難しい。自社をつぶさに観察し、厳しい話し合いを行い、企業としての目標を設定しなければならないからだ。経営幹部とのOKR設定ミーティングの進め方を紹介しよう。チームを選ぶOKR設定チームはできるだけ小さく、できれば10人以下の規模にする。上級経営幹部を入れること。ミーティングのスケジュールを決めるチームとのミーティングの時間を4時間半確保する。2時間のセッション、30分の休憩、もう2時間のセッションで構成する。メモ:裏の目標は、最初の2時間のセッションで成果を上げて、後半のセッションをキャンセルすることだ。ミーティング前の仕事ミーティングの数日前に、会社が集中して取り組むべきだと思う目標をすべての従業員に提出してもらう。締切はごく短くする。24時間もあれば十分だ。ペースを落としたくないし、忙しい会社の「あとでやる」は「いつまでもやらない」と同じだからだ。従業員からの目標案をコンサルタントか各部門長に集めさせ、最良で人気がある目標を選ばせる。選んだ目標をミーティングの前に大きめの付箋紙に書き出しておく。従業員の目標案だけでなく、各経営幹部にもそれぞれ目標をひとつか2つ考えてミーティングに臨んでもらう。小道具を用意する。多様な大きさの付箋を用意して、目標には大きい付箋を使うことをおすすめする。細かい字は読みにくいからだ。ミーティングを開くメモ:後半の2時間のセッションをキャンセルするという裏の目標を達成するために、ミーティングでは集中力を維持しよう。できれば電話とコンピューターの利用は完全に禁止する。そうすることで、参加者は議題に注意を払い、迅速に動くようになる。1目標を追加する。従業員から提出された目標を書いた付箋紙は、あらかじめホワイトボードなどに貼っておく。各チームメンバーの目標を大きな付箋に書いてもらい、追加する。集中と迅速な作業を促すため、制限時間は必要と思われる時間より少々短めに設定する。たたき台として適切なのは5分。必要に応じていつでも延長できる。2討論し、目標をランク付けし、選ぶ。チームに、内容が重複する目標を統合させ、特定のゴールに対する懸念を示すパターンを見つけさせる。次に、ランク付けした目標の付箋紙を上から順に貼っていく。最後に、付箋紙を3枚に絞る。メモ:スピードはチームによって異なる。ここまで終わった時点で、そろそろ休憩に入るタイミングかもしれないし、まだ1時間残っているかもしれない。3指標のフリーリスティングを行う。絞った3つの目標のそれぞれについて、チームのすべてのメンバーに、その目標を測定するための指標をできるだけ多く書き出してもらう。フリーリスティングはデザイン思考の手法で、あるトピックについてのアイデアを、思いつく限り書き出すというシンプルなものだ。1枚の付箋紙にひとつのアイデアを書く(小さな付箋を使うことをおすすめする)。フリーリスティングはブレインストーミングの非常に効果的な手法で、アイデアの質と多様性も上がる。チームには、落ち着いて取り組める長めの時間を割り振る。ひとつの目標につき10分くらいが適切だ。4アフィニティ・マッピングを行い、選定する。次に、書き出した指標についてアフィニティ・マッピングを行う。これもデザイン思考の手法で、内容が似ている指標の付箋紙をグループ化するという意味だ。2人がDAU(1日あたりのユーザー数)について書いていたら、それらを重ねて貼り、その指標に2票入ったと数える。DAU、MAU(1カ月あたりのユーザー数)、WAU(1週間あたりのユーザー数)はすべてエンゲージメントに関する指標なので、隣同士に配置する。最後に、3つのタイプの指標を選ぶ。私はKRについて、「○ドルの売り上げ」「○件の新規獲得」「○人のDAU」のような形で、文頭に数字を書くようにしている。KRの決定に当たっては、まず測定対象を決めるために話し合い、それから各測定対象の値と、その値が本当
に“ムーンショット”と言えるくらい高い目標なのかどうかを話し合ったほうがやりやすい。ひとつずつ決めていこうが私のモットーだ。ひとつの目安として、KRに使用率指標、売り上げ指標、満足度指標を設定することをおすすめするが、もちろんこれが必ずしも適切とは限らない。成功を測定する方法をさまざまな角度で見つけてみよう。たとえば、売り上げ指標が2つある場合、成功へのアプローチがバランスを欠いている可能性がある。売り上げにのみ注目すると、従業員がシステムをゲームのように攻略しようと考え、短期的なアプローチを開発して顧客定着率を損なうおそれがある。5値を設定する。KRの値を設定する。本当に“ムーンショット”ゴールになっているかどうか確認しよう。達成できる自信は五分五分でなければならない。互いの案に対する懸念を出し合おう。簡単すぎないだろうか。慎重になりすぎていないだろうか。あまりに無鉄砲ではないだろうか。議論すべきは今であって、四半期の中盤を過ぎてからではない。6作業を評価する。最後に、5分間で最終的なOKRについて話し合おう。高い志を示し、人を鼓舞するようなOになっているだろうか。KRは意味のある内容になっているだろうか。難しいだろうか。四半期の間ずっと、このOKRを生活の一部にできるだろうか。適切だという感触を得るまで微調整しよう。それから、OKRを生活の一部にしよう。
OKRワークシート会社のミッション御社のミッションは何か。ミッションがすでにあることが望ましい。OKRはミッションの線路を走る電車のようなものだからだ。ミッションがなければ、OKRはどこに向かうかわからない(どこにも向かわない可能性のほうが高い)。ミッションがない場合、時間をとってシンプルなミッションを設定しよう。ミッションがある場合、思い出すためにここに書き出そう。OKRの数業務内容が多岐にわたる大企業の場合(たとえば、グーグルには相互に本質的な関連性がない検索、SNS、自動運転車などの部門がある)、ビジネスモデルごとにOKRを設定する。しかし、それらのOKRはできれば全社OKRの役に立つものにすべきだ。小さい企業では全社でひとつのO(目標)、3つのKR(主な結果)のみに絞り、その後各部門が、全社OKRを実現するために独自のOKRを設定するべきである。忘れないでほしい。フォーカスしよう。年間目標今年のテーマはどのような内容にするか。定着率だろうか。ブランド認知だろうか。顧客獲得だろうか。会社として達成したい大きな目標をひとつだけ挙げるとすると何だろう。それが年間目標だ。ただし、短いサイクルをすばやく繰り返す小企業では、年間OKRを飛ばして、四半期OKRのみを設定してもよい。O(目標):年間目標の指標年間目標を達成したと判断するための3つの指標を挙げよう。リマインダー:指標は終わったら完了マークを付けるようなタスクではなく、あるタスクがどれだけ効果的に変化を起こせるかによって上下する数値だ。たとえば、「サインアップ率10%上昇」はよいKR、「新しいサインアップ・フローをローンチする」は悪いKRだ。ローンチはタスクであって、指標ではない。KR:KR:KR:・年間目標は人を鼓舞する、やりがいがあるものになっているか。KRは厳しいか。各KRを達成できる確率は50%になっているか。・達成するために本当に1年かかるか。・従業員全員の取り組みをひとつにまとめる内容になっているか。四半期目標会社のミッションに向けたひとつの大きな目標を挙げよう。3カ月かかるもので、達成できる自信度が50%でなければならない。チームからアイデアを集めよう。OKRを効果的に使うには、上から命じるのではなく、みんなで一緒に設定するこ
とが大切だ。O(目標):四半期目標の指標年間目標を達成したと判断するための3つの指標を挙げよう。リマインダー:指標は終わったら完了マークを付けるようなタスクではなく、あるタスクがどれだけ効果的に変化を起こせるかによって上下する数値だ。たとえば、「サインアップ率10%上昇」はよいKR、「新しいサインアップ・フローをローンチする」は悪いKRだ。ローンチはタスクであって、指標ではない。KR:KR:KR:・四半期目標は人を鼓舞する、やりがいがあるものになっているか。KRは厳しいか。各KRを達成できる自信度は50%になっているか。・達成するために本当に3カ月かかるか。・従業員全員の取り組みをひとつにまとめる内容になっているか。部門OKR全社OKRを支えるために、どのような目標と3つのKRを設定するか(部門や機能、つまりマーケティング、エンジニアリング、プロダクト、デザインなどについてそれぞれ考えよう)。・他部門のサポートなしで達成できる内容か(他部門に足を引っ張られてOKR未達成になるのは避けたい)。・真の意味での結果になっているか。結果を得るタスクになっていないか。「価格ページをローンチする」はただのタスクで、「問い合わせコンバージョン率12%以上の価格ページをローンチする」は結果だ。・CEOは、部門目標に3カ月かかると思うか、KRが成功する確率が50%になっていると思うか、確認する必要がある。個人OKRこの四半期に全社OKRをサポートするため、個人として設定する目標と3つのKRは何か。たとえば、新しいスキルを学ぶ、良い人材を採用する、個人で携わっている目標で結果を出すなどが考えられる。戦術ゴールを設定したら、ゴールを実現するための戦術に集中しよう。各OKRを実現するためには、どのようなプロジェクトが必要だろうか。これがロードマップになる。ここにそれらの困難なタスクを挙げよう。いくつ挙げてもかまわない。また、OKRを達成するために、四半期の中で何回順序を変更してもよい。OKRは戦略なので変化しないが、プロジェクトと優先順位は戦術なので変化する。ここでプロジェクトの価値を検証しよう。
2.3.…週間進捗今週、プロジェクトを実現するために実行したことは何だろうか。これを、計画ミーティングやメールで毎週設定し、共有しよう。メモ:この部分は状況報告ミーティングとメールによるレポートに転記される。まず、四半期の第1週の内容を書いて練習してみよう。P1:P1:P1:P2:P2:このワークシートが、OKRについて考える一助になると幸いだ。詳しくは、http://eleganthack.comを参照。
著者紹介クリスティーナ・ウォドキー(ChristinaWodtke)ウォドキー・コンサルティングのプリンシパルとして、企業を洞察段階から実行段階に移行するためのトレーニングを行っている。また、カリフォルニア美術大学とスタンフォード大学夜間講座で、次世代のアントレプレナーを対象に教鞭をとっている。これまで、リンクトイン、マイスペース、ジンガ、ヤフー、ホットスタジオ、イー・グリーティングスなどの企業の再設計と初期製品の販売を主導。さらに、コンサルティングスタートアップを2社、製品スタートアップを1社設立し、デザインを扱うオンラインマガジン、ボックシズ・アンド・アローズを創刊した。インフォメーション・アーキテクチャ・インスティチュートの共同創業者でもある。カンファレンスから大学、理事会まであらゆる場所で発言し、インターネット上の多くのサイト、特にeleganthack.comで持論を展開している。著書101ThesesonDesign(デザインに関する101の仮説)InformationArchitecture:BlueprintsfortheWeb訳者紹介二木夢子(ふたきゆめこ)国際基督教大学卒。ソフトハウス、産業翻訳会社勤務を経て独立。マニュアルやプレスリリースなどの翻訳を手がける傍ら、出版翻訳に携わる。解説者紹介及川卓也(おいかわたくや)早稲田大学理工学部を卒業後、日本DECに就職。営業サポート、ソフトウエア開発、研究開発に従事し、1997年からはマイクロソフトでWindows製品の開発に携わる。2006年以降は、GoogleにてWeb検索のプロダクトマネジメントやChromeのエンジニアリングマネジメントなどを行う。その後、スタートアップを経て、独立。現在、企業へ技術戦略、製品戦略、組織づくりのアドバイスを行う。
OKRシリコンバレー式で大胆な目標を達成する方法電子書籍版データ作成日2018年3月19日第1版著者クリスティーナ・ウォドキー訳者二木夢子解説及川卓也発行者村上広樹発行日経BP社装幀小口翔平+三森健太(tobufune)編集中川ヒロミ電子書籍制作ワイズネット●この電子書籍は、印刷物として刊行された「OKRシリコンバレー式で大胆な目標を達成する方法」(2018年3月19日第1版第1刷発行)に基づき制作しました。記事中の個人名、所属、肩書き、会社名、製品名などは掲載当時のものです。また、掲載時の紙面とは一部異なる場合があります。●おことわりご覧になる端末機器の機種により、表示に差が認められることがあります。あらかじめご了承ください。●ご注意本作品の全部または一部を著作権者ならびに株式会社日経BPに無断で複製(コピー)、転載、公衆送信することを禁止します。改ざん、改変などの行為も禁止します。また、有償・無償にかかわらず本作品を第三者に譲渡することはできません。
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