5S導入の 手順を踏もう
5S活動を始めるにあたり、現場任せでただ「やれ ―っ―」の号令だけでは一向に進まず、始まったとして も、尻切れトンボ状態で終わり、いつしか貼り紙だけ が残る職場に戻ってしまいます。
活動を定着させ、5 Sの効果を引き出すためには、やはりそれなりの手順 を踏み、会社全体で進めていくことが重要です。
手順1は、しっかりとした推進体制をつくることか ら始めます。
そしてトップは嫌がらずに5S推進の委 員長に就任し、全社を巻き込む体制とします。
手順2は、5S活動での対象職場と担当区分をハッ キリさせます。
あやふやなままだと、どこの担当か不 明確な区域が現れ、無法地帯になってしまうのです。
手順3では、活動の推進計画を立てます。
5Sは永 遠ですが、半年や1年を区切りとして、年間のスケジ ュールを立て、いつまでに何を実行するのかハッキリさ せることで、今どこの段階まで来ており、自分の職場 が遅れているか進んでいるかの自党も湧いてきます。
手順4は、推進体制が確立し、5S活動の対象職 場。
区分も明確にされ、活動計画が立実されたら、全 社に向けて活動の宣言をするのです。
担当者だけでこ そこそと行っていては、進むものも進みません。
手順5では、全社に向けて5S活動を宣言しても、 5Sを全員が理解しているとは到底考えられません。
そこで、「5Sとは何だ?」という疑間を解くために、5 Sについて徹底して教育し、5Sが企業生き残りの要 であることを認識できるまで啓蒙活動を行います。
手順6は、実際に5Sと呼ばれる整理・整頓・清掃。
清潔・躾を根づかせるための活動を、全員が手を汚し て実践することです。
現場。
現実。
現物を直視し、即 時・即座・即応で対応し、徹頭・徹尾・徹底したこだわ りで活動を行いましょう。
これが3現3即3徹です。
手順7は、こうして開始した5S活動を、少なくと も月に1回は評価し、フオローし、次のステップヘとつ なげていくことです。

5S推進体制を つくってみよう
5S活動を職場で展開することは″5S運動″とか ″5S作戦″などと呼ばれています。
5S活動を進め るには、まず全社員が参加し、実践できるような推進 体制をつくることから始めましょう。
改革などの施策導入以前の対策として、まず、5S をしっかりやろうと、小さな工場や製造部門だけで進 める、コンパクトな5S推進体制の組織例を示します。
これは、理屈よりもまず現場で5Sを実行することを 重点とした取り組みで、5Sに携わる人たちの人数も それほど確保できないため、いかに少人数で実行して いくかが。
1つのポイントとなります。
●5S推進委員長…5Sの旗振り役は社長が行いま す。
規模の違いはあれ、活動を行う会社や事業所、 工場のトップが就きます。
●5S推進室…5S活動推進の中心です。
全社に顔が 知れ渡り、牽引役となれる人材を室長に置きます。
推進室には会社で一番の知識者で、委員長のブレイ ン的存在を入れ、その下には、事務局を設置します。
●5S推進委員会…これは職制である部長、課長クラ スが中心となり、委員会組織を組みます。
部署間の 共通事項や、活動の支援を行います。
また、推進室 とともに、月2回とか週1回の点検日を設けて、定 期的に現場を点検し、5Sの不備の指摘と実践方法 を指導していきます。
●5Sリーダー…各職場における職制上での責任者が なります。
職制をり―ダーとして置くことで、職務 としての5Sを位置づけます。
下にはサブリーダー を設け、補佐をしてもらいます。
●5Sマン…5Sを実際に実行するメンバーで、職場 のリーダーや一般職で構成されます。
現場で5Sを 実践しながら理論を学んでいく徹底した実行部隊 です。
●5S技術部隊…5S実行部隊が手を焼いているよう な設備改革。
改善など技術的な面から援助します。
●理屈よりもまず現場で実行することを重点に |●規模の違いはあつても、5Sの旗振り役にはト ップが就任する

対象職場と担当区分 を八ッキリさせよう
5S推進体制も決まり、いざ実施しようとなると、 自分の部署の担当範囲はどこまでか、という質問が推 進事務局に舞い込んできます。
5Sの実施に伴い、必 ずと言っていいほど各職場が気にするところです。
基本的には、各エリアの担当責任者がいる部署の管 轄とします。
しかし、誰が責任者なのか、どこの部署 の管轄なのか、定かでない場所というのもちらほら出 てきます。
その際は、その場所を一番多く利用する部 署か、その場所を必要としている部署が引き受けるべ きでしょう。
また、当番制をとり、周期を決めて職場 持ち回りにすることもよいでしょう。
いずれにせよ、担当が決められていないエリアをつ くってはいけません。
「あそこの部署がやるだろう」、「誰 かがやるだろう」という甘えた考えが蔓延し、責任の 所在が不明確なまま、そのエリアは無法地帯となって しまう恐れがあるからです。
推進体制が決まったら、推進室や委員会が中心にな り、各部署リーダーとともに、部署ごとの担当職場と 範囲を必ず決めます。
続いて職場レイアウトや工場マ ップを作成し、各部署やチームの色を決め、担当職場 や範囲を色分けして明確に示しておきます。
また、担当エリアマップに責任者の顔写真を貼るの もよいでしよう。
「ここのエリアはオレ(私)が責任をも って5Sを実施しているんだ」という自党も芽生えて きます。
ここで注意しなくてはいけないことは、あくまで全 社活動として会社を良くしよう、という目的に基づき 5S・3定活動を行っていくわけですから、いくら範囲 が決められたからといって、そこに意識の壁をつくら ない姿勢です。
範囲以外のエリアでもゴミが落ちてい たら、誰であっても拾うのは当たり前のことです。
逆にうちの部署に落ちていたゴミを、よその部署の 者に拾われた、「恥ずかしい」と思うような意識が育っ てきたら活動も本物でしょう。

5S推進計画を 立てよう
5S活動を始めると、誰もが「整理・整頓・清掃。
清 潔・躾」という言葉を知っているだけに、身近なところ から着手し、個人個人でバラバラに実施してしまう場 合があります。
また、汚いところ、乱れているところが 活動開始と同時に目につき、行き当たりばったりの5 Sになってしまう場合もあります。
そんな活動だけで完成だとばかりに、もうやること はないと思っている職場ほど、理にかなわない表示や モノの置き場が目立ち、時間の経過とともに崩れ始め、 やがて、見るも無残に活動前の状態に後戻りしてしま うものなのです。
ではどのように5S活動を進めていったらよいので しょうか。
まずは、活動の目標をハッキリと打ち出す ことです。
数値目標を示すことで、より具体的な計画 が立てられます。
次にその目標を達成した時の、本来あるべき姿(イ メージ、夢)を描くのです。
レイアウト図などであるべ き姿を描き、より具体的なイメージを打ち出します。
そして、日標や本来あるべき姿と現状とのギャップを 埋めるために、5S活動としては何をしなければなら ないのか、5S活動の手順を計画に盛り込んでいきま す。
計画ができればそれを実行に移し、結果をまとめて いきます。
そして、計画を実行したうえで、日標とし た数値が達成できているかをチェックして確認します。
目標が達成できたかどうか確認した後ミ未達成につ いてはすぐにその対策を立て、実行に移していきます。
そしてさらに次の計画へとつなげていくのです。
こうして5S活動の、T (引”「O①´=目標)、― (一ヨいo①=夢、本来あるべき姿)、P(「一”⊃=計画)をハ ッキリと計画書にまとめます。
後は計画に基づき、D Oo=実践)、C(o〓ooバ=確認)、A(>o汁一oD=行動)の 丁IPDCAの輪を回していくのです。
●目標達成時のあるべき姿を描く ●計画未達成が確認されたら、すぐに必要な対策 を打ち出

客観的な評価をしよう
5S・3定活動を開始するにあたり、自分たちの職 場の現状がどのような状態なのか、各職場が一律に評 価できるツールを使い、その現状をまず自党しましょ う。
そのために利用するのが、5S・3定チェックリス トです。
整理・整頓・清掃。
清潔・躾の各項目について 評価を行います。
整理では、必要なモノ、必要でないモノという考え を基本にして、モノ、機械、情報(伝票や資料)などで、 必要ではないモノが職場に置き去りにされてないか、 について評価します。
また、必要でないモノが置かれ ていても、ひと目で判断できるようになっているか、さ らに、不要なモノを廃棄する基準はあるかなどの観点 に立って、職場を評価します。
整頓では、3定といわれる定位・定品・定量表示が なされているか、通路と作業区などが区画線ではっき りわかるようになっているか、治工具が使いやすいよう に置かれているか、などについて評価します。
清掃では床や機械などにゴミ、チリがないかを基本 に、清掃度合いはどうか、清掃分担が決まっているか、 さらには清掃と点検が同時に行われているか、などを 評価し、確認します。
清潔では、職場の換気や採光などの環境面の評価 と、服装は汚れていないかなど個人の身の回りの評価、 そして整理、整頓、清掃の3Sの崩れない仕組みがで きているかまでを評価します。
躾では、服装、挨拶、時間順守、朝夕の伝達事項と いった社内ルールが決められ、1人ひとりがそれを守 っているか、を評価します。
このような客観的な目でチェックリストを使い、製 造現場や間接職場などを評価することで、各職場の弱 い項目が浮き彫りにされることになります。
その結果、 5S・3定活動の重点ポイントがはっきりしてきます。
また、継続的に評価することで、各職場の5S・3定 の推移が数値として把握できます。
●5S・3Sチェックリストを利用する ●定位。
定品。
定量表示の3定は守られているか ●各職場の弱い項目を浮き彫りにする

足並みを揃えよう
職場は1人で動いているものではありません。
何人 かが組織として動いているのです。
そのような中で活 動を行おうとする場合には、各人がバラバラの方向を 向いていては、進むものも進みません。
そこで、次に掲げる5つの項目について、1人ひとり が足並みを揃えることが、非常に重要なカギを握りま す。
① 意識を揃える ある従業員はうちの工場はいつ閉鎖されるかわから ないと危機感を持ち、別の者はうちの工場は赤字とは 無縁、とばかりにダラダラと仕事をする。
こういった工 場ではいくら5Sを進めようとしても、各人の意識が バラバラで一向に進まないことは目に見えています。
② 目的を揃える 5S活動を進めるうえで非常に重要なのが、何のた めに5Sをやるのか、という目的の共有です。
導入初 期は行動する5Sで、職場がどんどんきれいに変わっ ていきます。
ふと気がつくと5Sを行うことが目的に なり、本来の目的を見失う事態が出てくるのです。
③ 目線を揃える ある職場の壁が汚いとします。
ある人は汚いと判断 し掃除をします。
別の人は汚れていないと判断し、掃 除をしません。
互いの汚れに関する目線が違うのです。
④ 定義を揃える 同じ整理という言葉でも、要るモノと要らないモノ を分けるだけと考える人と、要らないモノを捨てるま でと考える人と、まちまちです。
⑤ 活動を揃える 熱心な課長が朝早くから夜遅くまで、5S活動にな ると精を出します。
課長がキレイにしているそばから、 同じ部署の社員が乱していきます。
自分が苦労して整 理・整頓していないだけに、課長の大変さがわからな くなってしまうのです。

5S同舟
いざ、「5S活動」を始めると なると、人は実にいろいろな反 応を示します。
今まで総論では 「5Sは必要だ!」などと言って いた人も、実際に自分がやる立 場になると、反旗を翻すように、 「忙しくて、5Sなんかやってい る暇がないよ」とか、「整理・整頓 をしたって、原価は下がらない よ」と言い出す始末。
「総論賛 成。
各論反対」の典型です。
5Sでは、総論で反対する人 はほとんどいません。
「工場をキ レイにする」のですから、反論す ることもないのです。
しかし、実 際に自分が手を下すとなると、 日々の忙しさを思い出し、また 長年やってきた自分なりの仕事 のやり方を正されるのを恐れて、 急に反対派に回るのです。
「5S活動」を実践するにあた り、派閥は大きく3つに分かれ ます。
それ卜賛成源 , 中間流、 融鶴獨輝一の3γで・■、..‐1、 ‐=“がが5Sでありながら、実 践する段階になると、どんなエ 場でもこれくらいの派閥はでき るものです。
この中でもっともた ちの悪いのが、せっかく皆がやろ うとしている時に、人のやる気 をそぐ人たちです。
自分のやる 気のなさを、他人に伝染して回 るのです。
早く対処しないと伝 染病患者が流行することになっ てしまいます。
こうしたいろいろな派閥の意 識を1点に集め、「さあ、やり切 ろう!」とする集団をつくる妙 薬は、やはり 対す一 益□画畷弾「5Sさえも満足に できないものが、・e糧職難町.ルや IPt、それにモノづくりの革 命と言われる凸Lコ屈さやり切 れるわけがないのです。
いろいろな意見がありますが、 工場の明日を創造するために 「呉越同舟」、まさに今こそ「5S 同舟」、全員で始めましょう。
このような抵抗や固定観念を 振りほどくために、基本姿勢を まとめた「改革の基本精神十箇 条」があります。
1度全員で唱 和してみましょう。
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