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第2章人はゼロ秒で考えられる

目次

時間をかければ考えが深まるとは限らない

重要な課題だから午後一杯かけようとか、朝まで議論しようといったやり方を好む人が時々いる。議論を尽くそう、という考え方だ。

会社によってはそれが標準スタイルだったりする。大企業よりも時間を大切にしなければいけないベンチャーでも少なくない。

ところが、そういった会議の生産性が高く、要点を押さえているか、的確な現状把握と意思決定ができ、すぐアクションにつなげられるかというと、かなりあやしい。

もちろん仕事した気にはなる。徹底的に議論すると、充実した一日を過ごしたような気にはなる。

ただ、それで今の企業に必要な意思決定のスピードを出せるのかというと、はなはだあやしい。

だいたい、午後一杯とか夕方から深夜、下手をすると明け方まで議論すると、出席者だけでも莫大な会議コストがかかる。

しかも体力、気力を使い果たすので、回復に相当の時間が必要だ。それだけではなく、会議のあいだ中、議論に参加していない部下が待ちぼうけを食らうのが現実だ。

「部下は当然自分の仕事をやっているはずだ」と上司は思っても、重要なミーティングであるほど結果が明確に出るまでは仕事を進めづらい。

もっと悪いことに、幹部が経営合宿やビジョンミーティングで長時間席を空けると、鬼の居ぬ間に、ということで、仕事をほとんどせずにぶらぶら待っていることもありがちだ。

いつもがみがみ言っている上司、部下への権限委譲をうまくできていない上司ほど、こういう状況を作り出す。

ということで、組織全体が巡航速度に回復するまで全部で何日かかるのか、空恐ろしい。巡航速度に回復しただけでは、失われた延べ数百時間のロスは挽回できない。

幹部が長時間かけ議論した気になるために、ここまでの無駄をすることが正当化できるとは私には思えない。

肝心の議論の内容は、時間をかけた割に、いや、むしろ時間をかけた結果、極めてアバウトだったりする。

気持ちは高揚しているかもしれないが、内容は別だ。時間をかければ考えが深まるとは限らないのだ。一人の仕事でも同様だ。

特にデスクワークの大半は悩んだり、堂々巡りしたりで時間を浪費する。こうしようか、ああしようか、こう言ったら上司がどういうだろうかと悩みは尽きない。

2週間後のクライアントミーティング向けに企画書を作ることになっても、どうしようか悩む。決めてもまた少し変えてみる。目次・全体構成にまた手間どる。

数日してなんとか企画原案をひねり出しても、どうしてもしっくりこなくて何度も何度も書き直してしまう。

前回上司に怒鳴りつけられた記憶がありありとしているので、おいそれと相談にも行けない。そうこうしているうちに、タイトルもちょっと違うかもしれないと悩み出す。

ああ、もうあと2日しかない。また徹夜するしかないか……こういう経験をしたことはないだろうか。

まったくないという方は素晴らしいが、私の経験上、ほとんどの方が多かれ少なかれ悩みつつ、手探りで仕事をしている。

もやもやを抱えつつ進めている。それを上司や先輩が助けてくれることはあまりない。

ダメだしはするが、考えのプロセスを丁寧に教えてくれ、どうやったらもっとうまく考え、企画できるか教えてくれることはまずないだろう。

当然、アウトプットの質が急激に上がるはずもない。これは会社だけではなく、自分にとっても大変な損失だ。楽ができるからよい、というような問題ではない。こういうやり方ではろくに成長しない。

成長しなければ、人生は本当の意味で決して楽しくない。成長しないとか楽しくない、というだけならまだしも、のんびりやっているうちに職を失うリスクが最近は非常に高まっている。大企業ですら、終身雇用はほとんどない。

今回のリストラの対象にはならかなったと喜んでいても、次回かもしれないし、会社そのものがつぶれてしまうことも起こり得る。その時、安逸な仕事の仕方をしていると、再就職のチャンスも非常に小さくなる。

できる人、優れた経営者は即断即決

このように、ゆっくりと考える人が多いのだが、ごく一部の優れた人は、高速で動き大きな成果を出す。時間を1分も無駄にしない。

素晴らしいスピードで情報収集をし、意思決定をし、電光石火でアクションに移している。かなりのボリュームの企画書を驚くほどのスピードで仕上げることもできる。

しかも、時間をかけるとますますよい内容に仕上げていく。ただ、そういう人は本当にごく一部だ。ほとんどの人は延々と時間をかける。

しかも、急いでも急がなくても思ったように考えが深まらない。時間を2倍かけると2倍よい内容を考え出せるかというと、まずそんなことはない。どうしてこういう差が生まれるのか。一つは、前章でも述べた訓練の欠如だ。

どうすれば効率よく進めることができるか、素早く考えをまとめ、分析をし、深掘りをし、わかりやすく整理して仕上げられるか、周りを動かして一気に成果を出せるか、という訓練が学校でも会社でもほとんどない。

新入社員は、書類の書き方や礼儀作法については教わることが多い。ただ、瞬時に情報を把握すること、問題点を整理すること、解決策を考えることなど、「考える」という基本作業に関してはほとんどトレーニングされない。

私のいたマッキンゼーでも、仕事ができる人はそもそもセンスがいいが、それに加えて仕事ができる先輩からの伝授という形で匠の技が継承されていく。

こいつはできないと思われると、技の伝授があまりされず、「普通の人」「できない人」の烙印が押されたままになる。

ある程度の資質があり、それを見せることができて、たまたまできる組に入るとラッキーだが、そうでないとなかなか挽回しづらい。

特別な努力と工夫をして成長できる人ももちろんいないわけではないが、最初のダッシュがかなり重要になる。もう一つは、生産性という概念の欠如だ。

製造現場の生産性向上にはどんな会社でも取り組むが、企画書・報告書作成、メールのやり取りなどのデスクワークに対しては、生産性という概念があまり広まっていないし、体系的な努力もほとんどされていない。

あまりに仕事が遅ければ「遅い!もっと早くやれ」という叱責はあるだろうが、人によって内容によって、かかる時間に差があるのが当然という暗黙の了解がある。

製造原価は1円あるいはそれ以下の単位で管理するが、どれだけ速く考えているか、どれだけ早く決断しているか、どれほどすさまじく頭が回転しているかどうかについてはそれほど問われない。

それどころか、時間をかけていれば、あるいは、待ち続ければよい考えが生まれるとか、考えが天から降ってくる、という考え方まである。

「神の啓示」のような偶然はもちろんあり得るが、神の啓示は、ものすごい努力をしている人が限界まで考え抜いて、壁に当たって、ある日突然その壁の向こうに青空が見えることである。

本当に努力している人だけに舞い降りるものであり、普通の努力しかしていない人が言うと、単なる言い訳だ。

考えた時間分の成果を出したいし、出してほしいところだが、残念ながら多くの人にとって、考える時間の長さとアウトプットの量・成果はほとんど比例しない。

速い人はびっくりするほど速く、遅い人は許し難いほど遅い。

一方で、経営者を見ると、多くの人(特に優れた人)が即断即決だ。

もちろん、慎重に議論すべきことや相談相手・利害関係者が多い場合は、当然、手続き上慎重に進めるが、気持ちとしては早々に意思決定している。

悩んだとしても、A案、B案、C案のメリット、デメリットが明確に頭の中にある。優れた経営者、優れたリーダーはどうして即断即決できるのか。普段からその問題について考え続けているからだ。

必要な情報収集も怠らない。常に感度が高く、アンテナが強力に立っている。その分野の専門家とのネットワークも豊富に持つ。信頼できる相談相手が何人もいる。

最善のシナリオ、最悪のシナリオも常に考えている。どこを押すとどうなるか、競合の動きなども全部頭に入っている。

そういう臨戦状態にいつもいるので、何が起きても驚かない。慎重でいながら正確、かつ電光石火ということが十分できる。

別の言い方をすると、どんなことに対しても、「これはこうかな」という仮説を立てている。

あるいは立てることがすぐできる。仮説は立てた後で検証する。検証して違っていれば、すぐ立て直す。このスピードが滅法速く、かつ迷走しない。

たとえば、女性を対象としたスマートフォン向け占いアプリについて、「iPhone保有率の高い、都市部の20代後半女性ユーザーにとって、占いコンテンツを楽しむのは帰宅後一息ついた午後9時以降ではないだろうか。

したがって、アクティブ率を上げるにはその時間をねらった占いコンテンツの時間限定プロモーション企画を投入してはどうか」という仮説を立てたら、1.都市部の20代後半の女性ユーザーのiPhone保有率が本当に高いのか、ネット検索等で確認する。

その分野の専門家にすぐ電話したり、直接何人もの20代後半の女性ユーザーにヒアリングし、生の声を聞く。

このプロセスで、ターゲットユーザーの意識、価値観、行動様式等を理解し、現場感覚を身につける2.そもそもターゲットは20代後半の都市部の女性でよいのか、利用率が本当に高いのか、ネット検索や専門家のヒアリングで確認する3.ターゲットユーザーが占いコンテンツを楽しむのが本当に午後9時以降なのか、ユーザーインタビュー等により確認する。

また、ターゲットユーザーが何時頃iPhoneを利用するのか、ユーザーへのヒアリングに加え、インターネット上の市場調査結果を検索する4.ターゲットユーザーがどういうプロモーションに反応しやすいのか、知人のアプリディレクターに確認したり、自社サービスのデータを分析するなどを通じて仮説を検証する。

想像と違うことはよくあることなので、すぐ仮説を修正する。

経営者に多いと言ったが、もちろん契約社員やアルバイトの人でも、できる人は本当にできる。人間は本来みな頭がいいからだ。

究極はゼロ秒思考

もやもやとした気持ちをその場で言葉にし、考えを深められるようになると、考えが進むだけではなく、どんどんスピードアップしていく。3、4日かかって考えていたことが数時間でできるようになる。

1ヶ月かかっていたプロジェクトをものによっては1週間で終わらせることもできるようになる。生産性は数倍〜数十倍上がる。

課題が整理され、問題点の本質が見え、本質的な解決策とそのオプションが浮かび、オプションのメリット、デメリットがすぐわかるようになる。

問題の本質と全体像を押さえた確実な対策が打てるようになる。そうした思考の「質」と「スピード」、双方の到達点が「ゼロ秒思考」だ。

ゼロ秒とは、すなわち、瞬時に現状を認識をし、瞬時に課題を整理し、瞬時に解決策を考え、瞬時にどう動くべきか意思決定できることだ。

迷っている時間はゼロ、思い悩んでいる時間はゼロとなる。文字通り瞬時にできることが多いが、もう少し時間がかかる場合もある。それでも、従来に比べて驚くほどのスピードアップとなる。

今、目の前で何が起きているのか、どういう現象なのか、一瞬のうちに判断し、判断したら次の瞬間に進むべき道を複数考え、長所短所の比較をし、即座に方針を決定することができるようになる。

普段から企画や事業について考え抜いている人が突然の変化にすぐ対応できるのは、「ゼロ秒思考」が身についているからだとも言える。

自然と先が読めてしまう。はっきりとではなくとも、だいたいの方向性が瞬時に見えるようになる。

情報収集を延々として判断を先延ばしにしたり、不安に駆られて部下を叱り飛ばしたり右往左往するのとは正反対だ。

リンゴが落ちるのを見て閃いたというニュートンの逸話も(本当かどうかはともかくとして)、まさにこれだ。普段から考え抜いていた課題に対して、瞬時に閃きが生まれる。

大リーグのイチロー選手は、バッティングだけではなく素晴らしい守備でも有名だが、バッターが打った瞬間に、ピッチャーの投げたボールのコース、打球音、打球の方向、風向き・風速などのすべての情報をもとに、どの方向に走り出すべきか判断しているはずだ。

0.5秒考えていたら、ライナーを地面すれすれでダイビングキャッチすることはできない。

そもそも人類は太古の昔から、サバンナでライオンに出会ったら槍で戦うのか、一目散に逃げるのか、味方を呼ぶのか、瞬時に決めてきた。迷っている時間はない。目の前のライオンは、牙をむいて今にも襲いかかってくる。

何もしなければ食われてしまうという状況で、取り得るアクションを瞬時に考え、メリット・デメリットの比較をし、瞬時に判断と行動をして生き延びてきた。

現代人のようにあれこれ悩み、逡巡することはなかったはずだ。逡巡するような動物だったら、生存競争に負け、とっくに絶滅している。

何が言いたいかと言えば、人間にはもともと素晴らしい判断力、思考力とそれに基づく行動力があるが、のんびりしていてもなんとかなるという甘やかされた環境、出る杭は打たれがちなムラ社会、周囲との摩擦を起こさない行動様式、慎重に考えるよう釘を刺してきた先輩たち、詰め込み式の学校教育、あるいは行儀よさを要求した保守的な親の躾、等々の複合的な影響でせっかくの能力に蓋をし、退化させているではないかということだ。

特に日本の学校教育においては、記憶力と、試験でよい点を取るための些末なノウハウが重視される。

頭の良し悪しや、本来の思考力・判断力の強化ではなく、限られた試験空間でのみ通用する特殊なテクニックの習熟度合いでテストの点数が決まる。

数学の公式・定理と証明方法を丸暗記するとか、解けそうな問題からまず解いてしまうとか、ありそうな答えから逆算するとか、例年の傾向から導き出したその年の出題傾向を踏まえて集中的に練習するとかだ。

そのなかで培われた、自分はできる/できない、優秀だ/優秀でない、頭がいい/頭が悪い、褒められた/褒められなかった、といった過度の自意識により、本来持って生まれた能力を活かせず、がんじがらめになっている人がほとんどではないか。

もしそうだとすると、過度の自意識を取り払い、がんじがらめでこわばっている頭をほぐすことができれば、誰でも元々持っている高い能力を発揮できるはずだ。

こういうもったいない状況をなんとかできないだろうか。なんとかできないはずはない。そう思ってずっと考え、後ほど説明する「メモ書き」を工夫し続けてきた。

ゼロ秒思考と情報収集

「ゼロ秒思考」といっても、情報が不足していればもちろん最小限の調査・情報収集が必要となる。

そうでなければ考えるベース、枠組みがなく、当てずっぽうになる。

問題や解決策に関してある程度の背景知識がなければ、自己流すぎる判断となり、場合によって大きく見誤ることになる。

普段からアンテナを立てておくこと、感度を高く持っていろいろなことに関心を持っておくことが大切だが、それでも足りない場合は、さらに調べたり、詳しい人に聞いたりすることになる。

慣れてくると、二つの点である程度の勘が働くようになる。一つは、適切な判断をするために必要な情報を自分が持っているかどうかに関してだ。

右に行くべきか左に行くべきか、A案なのかB案なのかC案なのかの判断をするために必要な情報は何か、その情報を自分は持っているのか、その情報がどうであればどういう判断をすべきかが見えるようになってくる。

必要な情報、知識が5種類あるとして、それらの間に相互連携があるのか、あるとすると、どういう相互連携ならOKでどういう相互連携ならOKではないか、ということも見えるようになってくる。

二つめには、情報が足りない場合、どこからどうやって鍵となる情報を取ったらよいかに関しての勘である。

問題意識を高く持つようにすると、今自分が何を知っているか、何を知らないのか、知らないことは必要に応じ、どこから取ればいいのか、誰に聞けばいいのか、今は情報収集しないとしても、必要に応じ、どう深掘りをすればいいか、だいたいの目星がつくようになる。問題は、大半の人が調べすぎてしまうことにある。

インターネットで検索したり、業界イベントに行ったり、本を読んだり、ああでもないこうでもないと結論のない議論をしたり、そのうえでまたネット上のディスカッショングループを過去ログまでくまなく読んだり、何週間も延々と調べる。

それ自体はもちろんよいことだが、時間がかかるばかりで判断・決断を延ばしがちだ。先延ばしにすることで方針決定の精度が上がるならいいが、ほとんどの場合、上がらない。

「こういう問題だから今すぐこうすべきかな」という仮説を立て、それを情報収集の結果で検証し、さらに仮説の精度を上げるようなことはあまりされないからだ。

むしろ、情報収集にかまけるあまり判断が遅れて傷口が広がり、効果的な対策が打てなくなることのほうが多い。

こういうことを言うと、「素早く意思決定をするうえで、どの程度情報収集をすればいいかわかりません。いつも迷ってしまいます。

ちゃんと調べたのかと常に上司には突っ込まれますし。いったいどれだけ集めればいいのでしょうか。調べれば調べるほど不安になってしまいます」という質問が返ってくることがままある。

そういう時には、「今考えておられる課題・問題点の仮説に対して、取りうる解決案を三つあげてください。

それらのメリット、デメリットを書きあげてだいたい目星をつけてから情報収集を始めると、アクション指向で素早く進めることができますよ」とお答えしている。

あるいは、「情報収集しなくても、どうすべきか本当はある程度想像できていますよね」と聞くと、「そうですよね。なんとなくですが、ある程度は進むべき方向がわかっているように思います」と言われることのほうが多い。

そういうチャレンジを受けないと、まず情報収集をしようとする。判断を先延ばししようとする。いやな判断を先延ばしにするために情報収集を延々と続けるのではないかと思われるほどだ。

私が知っている限り、ある程度の経験を積んだ現場の方々は、何が問題でどうすべきなのか、おぼろげにでもイメージをお持ちだ。

しかし、それを具体化する訓練を十分にはしていないので、どうしたらいいかわからない、まずは情報収集しないといけないと思いこんでいるだけか、上司の叱責や嫌みを恐れて意見を言わず、情報収集を継続するという安全策を採っているだけだ。

特に大企業であればスタッフ組織が強く、突っ込みが各所から無数に入ってくるし、揚げ足取りも多いので、過剰に情報収集してしまうことになる。

右に行くべきか左に行くべきか、それを素早く決めるために何を知らないといけないのか、普段からアンテナを立てていれば、実はそれほどむずかしいことではない。

まともな人、つまり大多数の人にとってだいたいの勘は働くからだ。

足を引っ張るのは、過去のトラウマ体験、上司の叱責、組織の階層の多さによる効率低下、官僚主義からくる形式重視やビジネスからの乖離などだ。

もちろん、今あるだけの情報で仮説を立て、方針を出すにはコツがいる。自分への追い込みも必要だ。

「もっと情報がほしい、今のままだと不完全だ」と言いたい気持ちをこらえて、大胆に仮説を出す癖をつけることだ。

それだけで、仮説構築のスピードと質は劇的に高まる。

むずかしそうだが、本当にやらなければならないことに素早く取り組むという達成感、進捗感から、ストレスはむしろ小さくなる。

先延ばしにしようとする気持ちは誰にでもあり誘惑も多いが、間違いなく前倒しのほうがずっとよい。早く対処できれば手遅れになる前に対処できる。早めに着手すれば改善もしやすい。

情報収集を重視して結果として手遅れになるよりはよほどよいという気持ちが鍵だ。

注意すべきは、人によっては、スピード重視という名のもとに、調査不足でもまったく調べず、専門家に聞きもせず、アンテナも立てず、無防備に動いてしまうことがあることだ。

「素早く情報収集をし、全体像を考え、代替案を立案し、比較検討し、決定後は強力に推進する」といった基本動作を無視して、限られた情報や自分の好み・過去の経験則によって決めつけたまま動こうとする。これは非常に危険だ。

仮説はあくまでも仮説にすぎず、確認もしていない。程度問題ではあるものの、出した仮説の根幹だけはすぐ確認、検証しておく必要がある。

ゼロ秒思考はメモ書きで身につける

ゼロ秒思考を身につける最短、最良の方法が、ここまで何度か言及してきた「メモ書き」だ。

「メモ書き」は、元々は私がマッキンゼーに入社した際、インタビューの仕方、分析のやり方、チームマネジメント等で役立つアドバイスを先輩から多数いただき、それを漏らさず書き留めよう、書き留めたうえでしっかり理解し自分の物としよう、というプロセスから生まれた。

ただ、数千ページ書き、多くの人にも書いてもらううちに、メモを書くと自意識を取り払い、素直にものを考えられるようになることに気づいた。

1分という制約の中で、素早く迷わず、相当量を書き出すことが鍵だったと考えている。

「メモ書き」は、こわばった頭をほぐす格好の柔軟体操であり、頭を鍛える手軽な練習方法だ。

頭に浮かぶ疑問、アイデアを即座に書き留めることで、頭がどんどん動くようになり、気持ちも整理されるようになる。

自意識にとらわれ悩むことがなくなっていく。「メモ書き」により、誰でも、この境地にかなり早く到達できる。自分でも驚くほど頭の回転が速くなる。

具体的には、A4用紙を横置きにし、1件1ページで、1ページに4〜6行、各行20〜30字、1ページを1分以内、毎日10ページ書く。したがって、毎日10分だけメモを書く。

たとえばメモ1のようになる(なお、本書ではメモ上の実際の行数ではなく、ダッシュ「」で始まる項目を「行」と表現する)。

こんな単純なものでいいのか、と思われるかもしれないが、簡単で気軽にできるところがポイントだ。

メモ1は、ある大手流通業で、部下1000名ほどの地域本部営業リーダーが書いたものだ。非常に優秀な方で受け答えも普段は素晴らしいが、部下に対してはすぐ怒鳴りつけてしまう。

「怒鳴りつけることで部下は萎縮するし、いいことは何もない」と本人は私に話してくれるが、部下に対してはついやってしまう。それをなんとかしようと彼が書いたメモだ。

彼は、最初に「どんな指導を自分だったら受けたいか?」というタイトルを思い浮かべ、6行書いた。

いたってまともな内容だ。

  • ・自分の課題を明確にしてほしい
  • ・自分の課題に対して具体的な行動指導をしてほしい
  • ・フィードバックして、何が良くなっているのか明確にしてほしい
  • ・良い、悪いをはっきり伝えてほしい
  • ・やる気を持たせてほしい

・自分でもできるかもと自信を持たせるフィードバックがほしい

この内容には特に文句のつけようがない。指導のあり方について非常に的確な理解をしている。

しかし彼は、自分がなぜすぐ部下を怒鳴りつけるのか、なぜそれを自分でも止められないのか、あまりわかっていなかった。

ところが、この「どんな指導を自分だったら受けたいか?」というメモを始めとして10数枚書くことで、「怒鳴りつけることが自分のコミュニケーションの手段になってしまっていた。

怒鳴ることで部下を萎縮させ、自分も非常に気分が悪くなり、結局いいことは何もないということまで百も承知なのに、自分をコントロールしなかった、コントロールできなかった」ということへの気づきが生まれた。

これ以外に彼が同時に書いたメモのタイトルは、

  • ・自分はどんな指導者になりたいか?
  • ・自分が怒鳴られたらどんな気持ちになるか?
  • ・怒鳴られた相手の気持ちは?
  • ・自分はどんな時に怒鳴りたくなるのか?
  • ・怒鳴りちらした後、何を感じるか?
  • ・感情的爆発とは何か?
  • ・誰に対して怒鳴ることが多いか?
  • ・誰に対して怒鳴らないか?

などで、それぞれに深い内容が書かれていた。

こういったアプローチにより、これらのメモを書き始めて10分程度で、彼は長年悩んでいた自分自身のコントロールしがたい癖について深い理解を得ることができた。

誰も言ってくれなかった、相談もできなかった、自分でもどうしたらよいかわからなかった自分の行動の理由に初めて気づき、改善の大きな一歩になったという。

「メモ書き」は、1ページを1分以内、毎日10ページ書く。時間はわずか10分だ。費用はかからず、頭や感情の整理に即効性がある。

右記の営業リーダーのように、行動上の課題を解決し、スタイルまで変更することができる。メモ書きを3週間から1ヶ月続けると、頭にどんどん言葉が浮かぶようになる。

メモに書くよりも早く、言葉が湧いてくる。1ヶ月前にはもやもやとしていたものが、言葉が明確に浮かび、アイデアが続々と出てくるようになる。

頭の速さに手の動きがついていけず、もどかしく思いながらアウトプットし続けることになる。

さらに数ヶ月続けると、瞬間的に全体像が見えるようになり、「ゼロ秒思考」に近づいていく。

ものによっては、瞬間的に問題点が見え、課題が整理でき、答えが見えてくる。この変化には、性別、年齢、経験を問わない。

メモ書きの効能メモを書くと、頭が整理される

ほとんどの方はノート、手帳、ルーズリーフ、ポストイット、メモパッド、あるいはPCのメモ帳、ワードファイルなどに何らかのメモを書いておられると思う。

ミーティングの予定などとは別に、考えたこと、思いついたこと、嫌だったこと、こうしようと思うことなど人さまざまだ。

どんな形であれ、メモに書くと、うっかり忘れるということが減る。考えもある程度整理される。

何年も前からやっておられる方は、ご自身でずいぶんいろいろと工夫しておられるだろう。

赤・青・黄色など、ラインマーカーで色をつけたり、ノートのスペースを左右に区切って使ったりだ。

いま一つしっくりこなくて、種々の方法を常に模索しておられる方も多いかもしれない。私もかなり多くの工夫をしたのでよくわかる。

私がお勧めしたいのは、前節でご説明した、A4用紙を横置きにし、1件1ページで、左上にタイトルを書き、1ページに4〜6行のみ、各行20〜30字、毎日10ページ、1ページを1分以内に書くやり方だ。

メモに書くことで、もやもやした思い、懸案事項、考えも整理される。頭がすっきりする。

もやっとした思いを言葉に直し、手書きし、目で確認することで、メモが外部メモリになる。そうすると、驚くほど頭の働きがよくなる。

そう、人間の頭はそれほどキャパがあるわけではないので、何かに気を取られるとうまく動かないのだ。

頭がうまく動くようになるだけではなく、なんとなく考えていたこと、なんとなくできていたこと、すなわち「暗黙知」がはっきりと形になる。つまり「形式知」化する。

そうか、こうやって自分はやっていたのか、ということを初めて認識する。

これがなぜ大事かと言えば、たとえば部下やチームメンバーに指示する時に「ともかくやれ」とか、「よくわからないけれどこうやれ」ではなく、具体的ノウハウとして伝えることができるようになる。

何がポイントで何を避けなければならないのか、ノウハウの伝達が容易にできるようになる。

友達や目上の人と話をする時も、より具体的にシャープに会話できるようになり、コミュニケーションがスムーズになる。

繰り返しになるが、私は、人はみな頭がよいと考えている。訓練次第で素晴らしく働く頭を持っている。もちろん教育も重要だが、教育があってもなくても頭はよい。

だいたい、学校教育はこの100年間程度のことで、それ以前から人間は頭を使い、立派に生きてきた。ただ、その生来の頭のよさが活かされていないことに大きな問題がある。

瞬時に判断し、過酷な自然の中でも生き延びてきた人類が、中途半端に知恵をつけたり、上司に叱られたり、先輩に遠慮したり、自信を失わせられてきたために、頭が働かなくなっている。

人間の頭は心と切り離せないため、心が乱れると頭がうまく動かないのだ。堂々巡りをしたり、あと一歩のところで戻ったり、決めかねたりする。それがストレスでさらに頭が働かなくなっていく。これは実にもったいない。

なんとかして本来の力を発揮できるようにしたい。頭は絶対に動くはずだし、誰でも持っている素晴らしい能力を出さないのはもったいない。

そう思っていろいろな方向からチャレンジしてみた。本を読んで答えを探したり、多くの人とディスカッションをした。

ノートに書いたり、A4用紙に書いてみたり、京大式B6カードに書いたり、ポストイットを使ったり、あらゆる方法を試してみた。よいと思えば人にも勧め、やってもらった。

いろいろ回り道したが、結局、頭の整理には「A4用紙へのメモ書き」が一番効果的であることがわかった。

多くの問題が、「A4用紙へのメモ書き」によってかなり簡単に解決されていくことに気づいた。

メモに書くと、それだけ悩みが減っていく。霧が晴れて前が見えやすくなる。

1件1ページでどんどんはき出していくと、みるみるうちにもやもやがなくなり、頭がすっきりと整理され回転がよくなっていくことが誰でも実感できる。

メモを書くと、自信が出てポジティブになる

メモを書くと、何よりも頭がすっきりする。頭に浮かぶこと、揺らいでいることを言葉にしていくので、もやもやがほとんどなくなる。

そうすると、今心配しても仕方がない心配事、なんとなく気になっている懸案事項などが整理され、本当に大事なことだけが見えてくる。

たとえば次のメモ2のような感じだ。

プロジェクト発表会についていろいろ気になっていたものが、このメモ1ページを書くだけで、「そうか、一番気になっていたのはデモがうまくいくかどうかだった。そうだ、そうだよね。デモがうまくいくかどうか、もう1回試してみよう」という気持ちになった。

1ページで済まなければ似たようなタイトルで何ページか書くと、もやもやがはき出されてくる。

その間、ほんの数分だ。また、「何か気分が悪いのは」というタイトルで書いたメモがメモ3だ。見てもらうとわかるが、頭に浮かんだまま、何も吟味せず書いている。

感じたまま、浮かんだまま書き留めたものだ。時間はもちろん1分以下。それでも書かないと気づかない気づきがいくつもある。発見がある。

メモを書いた方から、「こういうことを書くなんて考えてもみなかった、こんなことを考えていたんだ」という驚きの言葉もよくいただく。

こういったメモを普段から多数書いていると、意外に大事なことが見えてくる。

本当に大切なことが何か、何が気になっていたのか、気にしないようにしていたことが何なのか、そういうことが、つい、うっかり、気づいてみたら、書き出されてくる。

「つい、うっかり、気づいてみたら」が重要なポイントだ。

目をつぶろうとしてきたこと、考えないようにしてきたこと、でも実際は非常に気になっていたことがはっきり見えてくる。

また、大事なことが見えてくると、大事でないこととの区別がつきやすくなり、自然に大事なこと以外、あまり気にならなくなる。

消えてなくなるわけではないが、それほど問題ではないのではと感じ始め、少なくとも今気にする必要がない、気にしても仕方がない、という気になり、だんだん気が散らなくなる。

そういう状態になれば、常に大事な課題に集中しやすくなるので、課題の解決が進みやすい。

先送りすることも減るので、悪化する前にアクションを取れ、早めに解決できる。悪循環に陥りにくくなる。結果として成果が出るようになり、自信が湧いてくる。何より、気が散らない状況は、ストレスも少なく、気分も爽快だ。

メモ書きによって、自分の置かれた状況、目の前の課題が素早く可視化され、優先順位も自ずと明確になり、課題が速やかに解決され、好循環が始まり、人間が生来持つ自信とポジティブさが自然にでてくるのだ。

メモを書くと、腹が立たなくなる

腹が立った時、気分が悪い時は、それを全部メモに書き出すとすごく楽になる。相手の名前はストレートに書く。

仮に山下さんだとすると、名前をぼかさず「山下さんはどうしていつも私を罵倒するのか」といったメモを書く。

さらに、続けて次のようなタイトルのメモを一気に書きあげる。

  • ・山下さんはどういう気持ちで私を罵倒するのか?
  • ・彼は誰を罵倒し、誰を罵倒しないのか?
  • ・罵倒した後、山下さんはどう感じているのか?
  • ・罵倒した翌日、山下さんの態度はどうか?
  • ・山下さんはどういう部分に対して反応するのか?
  • ・山下さんを怒らせないようにするには、どうすべきか?
  • ・山下さんが罵倒するのはどういう時か?
  • ・山下さんに罵倒されて、自分はどう感じたか?
  • ・自分は何が悪かったのか?
  • ・自分にも改善点があったのか?
  • ・山下さんのよい点はどういうところか、悪い点は?
  • ・山下さんが怒りっぽいのは劣等感があるからではないのか?
  • ・山下さんが心を許す友達は誰か?どういう付き合いをしているのか?
  • ・山下さんとうまくやっていくには?

これで15ページ、15分だ。始めてわずか15分後には、かなり気持ちがしずまってくる。

今日の会社の出来事などで気分が優れない方は、ぜひこのように10〜15ページ書いてみてほしい。

相手がどうしてそんなひどいことをしたのか、相手がどんなに悪い人間か、ということを思い切って書く。遠慮なく書く。誰に見せるわけでもない。人の名前も省略せずに書く。

言ってみれば、悪口を書き殴る。そうすると不思議なほど、気分が落ち着く。悪口を書き殴ったにもかかわらず、1件1ページで10〜15ページ書き終えるとすっきりする。

同時に、最初は到底見えなかった自分の落ち度も見えてくる。

「絶対に許せない、本当にひどい」と思っていたことが、もう少し客観的に見ることができるようになる。不思議なほどできるようになる。

メモを書くと腹が立たなくなるのは、人目を気にせず遠慮なくはき出せ、はき出したものをしっかりと見ることができるからだと考えている。

その結果、自分の状況を客観視できるようになり、今起きたことが本当はどういう原因で起きたのか見えるようになり、それに対して何をすべきなのか、何をすべきではないのかが把握できるようになるからだ。

人によっては、これがすぐできる。そうでない人も、メモ書きを繰り返していると、だんだんできるようになる。そうなると、むやみに腹を立てることが減り、気分を害されることがなくなっていく。

かなり大変な状況、無茶苦茶な状況でも、感情的にならず冷静に対処できるようになる。

さらに、これまで、「あいつの言うことなんか絶対聞かない。許せないやつだ」と思っていたものが、ちょっと違う視点で見ることができるようになり、聞く姿勢が出てくる。

メモを書く前より少しだけ冷静になれる。客観的に自分を見ることができるようになる。その途端に、これまでついケンカ腰だった相手への接し方が劇的に変わる。

自分でも驚くほど穏やかなものになる。

もちろん、相手が明らかに悪く、明確な悪意をもって接してきているように思える場合は、簡単に怒りがおさまるものではない。

それでも、それを全部メモに書くと、相手がなぜそういうことをするのか、相手は何を考えてそうしたのか、自分にはまったく非がないのか、どうなればこういうことにならなかったのか、状況判断がより正確にできる。

したがって、対策を立てやすい。

敵意を持って接する相手の過去のトラウマや悲しい事情なども想像できると、一触即発になりづらくなる。

そうなると、感情のぶつかり合いではなく、はるかに健全な、対応しやすい状況に変わる。

どこからどう見ても相手が悪い場合でも、相手がなぜそうするのかを15ページほどメモに書くと、やむにやまれない相手の状況などが想像され、腹が立ちにくくなってくるし、対処法が見えてくる。

ちなみに、どうしても「そういう見方しかできないのは可哀想な人だ。どうやったらもっとうまく接することができるだろう」と冷静な気持ちで対処できず、腹が立つとしたら、こちらにもなんらかの落ち度、引け目、劣等感があることが多い。

いつも気にしていることを突っつかれるから腹が立つ。身に覚えがないだろうか。

メモ書きをすると、それまで持っていた引け目、劣等感などが確実に減っていくので、腹が立つ状況そのものが急速になくなっていく。

腹が立つのは、多くの場合相手が何か悪いこと、こちらにとって嫌なことをするからではあるが、こちらがそれを受け流せない状況でもあるからなのだ。

メモ書きはそれを大幅に改善する。重要な点は、決して我慢することではない。我慢は体によくない。心にもよくない。臭いものに蓋をしても臭いは消せない。むしろ、こもってもっと悪臭になる。我慢するのではなく、臭いの元を断つことが必要だ。

A4の紙に書き出すという、ごく簡単な方法が、我々の大きな悩みだった腹立ち、いらだちを大幅になくしてくれる。

メモを書くと、急成長できる

メモを書くと、頭の整理ができるようになる。

頭の整理ができるというのは、今何が大切か、大切でないか、今何をすべきか、しなくてもよいのか、常に明確にわかっているということだ。

いろいろな問題が同時に起きても、慌てず騒がず、必要な情報を収集し、重要・深刻なものから順次解決していくことができる。

そうすれば、どんどん成果が出る。やればやるだけ前に進む。結果として自信がつき、ポジティブになり、何かあっても容易に感情を乱されない。

以前であれば腹が立つような状況でも、相手の言動の背景がわかるようになるので、我慢するのではなく、自然体でいられるようになる。

自然体というのは、自分に自信を持ち、かつ謙虚な状況のことだ。肩肘を張らない。人を見下したりしない。

相手の立場が上だからと言って過度に緊張したり萎縮したりもしない。相手が下だからと言って馬鹿にしたり、子ども扱いしたりしない。

直情的にかっとすることもむやみに感情的になることもなく、常に平常心でいられる。といって、熱い思いがないわけでは決してない。

むしろ、目的意識が強く、目指すところも高いので、熱意がみなぎった状態でもある。言うのは簡単だが、実際は非常にむずかしい。

ほとんどの人は、自然体を維持したいと思いながらもうまくできずにいるかもしれない。

会社でそれなりに出世している人も、上司、部下、同僚との関係で多かれ少なかれ緊張して、どこかに無理が生じていることが多い。

メモ書きにより自然体を維持しつつ、最善手を打っていると、そうでない人たちとはっきり差がついてくる。

最善手の積み重ねが効いてくるし、困難な状況での取り組む姿勢も大きく違ってくるからだ。

メモを書くと、メンバーを活かし、人を立てつつ、目的の達成を目指すことができるので、余計なぶつかり合いも減り、チームワークを自然に実現できるようになる。

そうすると、自信がさらにつき、好循環が進む。自分でも驚くほど一層の成長を遂げる。頭が常に整理されているので、感情に流されることが減る。

全体像が見えるので、今何をやるべきか、次は何に対して準備しておくべきかがはっきりと見え、仕事のスケールが大きくなっていく。

たとえば新入社員であれば、何もかも初めてのことだらけで緊張しっぱなしだろうと思う。

そういう時は、目につくこと、感じたこと、注意されたこと、今度こそと思うことを毎日20〜30ページでも書くといい。

多分10ページには到底収まらないが、それでも1日わずか20〜30分のことだ。

それだけで悩みが激減するし、明らかに仕事の覚えがよくなるので、やってみてほしい。

メモを書き始めてほんの3〜4週間でも、「会議での他の人の発言がよく把握できるようになった」「発言が以前よりも注目されるようになった」「取り上げられるようになった」と多くの方からフィードバックいただいた。

メモ書きは仕事で成長するための効果的な方法でもあるのだ。

メモを書く際は、A4用紙を横置きにし、左上にタイトルを書いて下線を引く。これ以上ないほどシンプルだ。

ノートではなく、パソコンでもなく、カードでもなく、小さなメモパッドでもなく、A4用紙だ。

しかも1ページにびっしり書くのではなく、わずか4〜6行のみ書いて終わりにする。それこそ、あっという間に書けるので、負担にはならない。

A4なので、文字だけではなく、さらっと図を書くこともできる。スペースを気にして小さな字でびっしり書くこともない。

横置きにする理由は、現状の課題と解決策、これまでの問題点と対応等、時間の流れを表現することが多くなっていくからだ。

縦置きももちろんトライしてみたが、横置きのほうが明らかに表現しやすい。タイトルに下線を引く理由は、それによってタイトルを際立たせるためだ。

タイトルとその下の4〜6行を明確に区別する。

パワーポイント等であれば太字にしたりするところだが、手書きの場合は、さっと下線を引けば用が足りる。

右上には、年月日を入れる。私は「2014123」といった省略形で書く。これが一番見やすく、かつ書く手間が少ないからだ。

メモ書きはタイトル、日付、本文までの全部を1ページ1分以内に書くというスピード重視なので、「年」や「月」など書いている余裕はない。

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