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第2章 連絡

09状況を「把握」してから連絡する変更の理由も知っておく上司から「社内外の関係者に○○の件を連絡しておいてほしい」と指示されることがあります。そんな時、用件にもよりますが、連絡相手から「どうして?」と理由を問われることがあります。あらかじめ連絡内容を確認し、なぜそのような連絡が必要になったかという事情を把握してから連絡行為に移ったほうがよいでしょう。たとえば、上司から「部内会議の開始時間が当初の予定から変更になったので、連絡しておいてくれ」との指示があったとします。会議の参加予定者に「本日の会議の開始時間が都合で変更になりましたので、よろしくお願いします」と電話で連絡すると、「なぜ変更になったのか」と聞かれました。その時、「さあ、私は連絡しろと言われたので連絡したまでです。なぜそうなったかはくわしくは聞いていません」と言おうものなら、「参るなぁ、こっちだって都合というものがあるんだよ」と、相手からブツブツ不平を言われることになります。これが「本日の会議の開始時間ですが、○○部長に緊急の用件が発生した関係で変更になりました」と伝えていれば、「そういうことなら仕方がない。わかりました」と相手は納得してくれます。連絡にいたる事情を知っておく取引先やお客様に連絡するような場合も、なぜその連絡が必要になったかという事情をきちんと把握しておかないと、相手から不満を買うことになります。以前、私の知人Mさんが、A駅の乗車券の販売窓口から、このような連絡を受けたそうです。「本日、お客様が私どもの窓口にクレジットカードをお忘れになりました。できましたら本日の夕方までにとりに来ていただけないでしょうか」しかしMさんが思い返してみると、乗車券を購入するためクレジットカードを係員に渡した後、戻してもらった記憶がありません。自分がうっかり忘れてきたのではなく、係員がクレジットカードの返却を忘れていたのです。まるでMさんのミスであるかのような連絡をしてきた先方に、Mさんが不満を持ったのはいうまでもありません。もし、連絡をした人が正確な状況を把握していれば「大変申し訳ございません。うっかりお客様にクレジットカードをお返しするのを忘れておりました。ついでの折で結構ですので、窓口にお寄りいただけないでしょうか」と、まず自分たちのミスを謝罪できたはずです。とくに何かトラブルや変更などが生じたことを連絡する場合は、どちらの都合で変更やトラブルが生じたのかなど、事情を確認して、それにふさわしい対応をするべきです。連絡を指示するほうがどうして必要になったのかを話してくれないことも多いので、指示を受けたほうが積極的にその辺の事情を確認した上で、連絡しましょう。

10相手の期待に添えない結果でも連絡するよくない連絡も相手のため一般的には結果のよくないことを連絡するのは神経を使うものです。また、勇気が必要な場合もあります。そうかといって「連絡がいかなければダメだと思ってください」と言って連絡しないという「無言の連絡」は、決して好ましいことではありません。無言の連絡は、結果の知らせを首を長くして待っている人からすれば、不人情な処置ということになります。結果のよくないことの連絡でも、理由を丁重に話せば、相手の了解を得ることはできます。たとえば、複数の会社から見積もりをとって比較検討した結果、A社に仕事を依頼することにしたとします。A社には当然連絡しますが、見積書を提出してくれた他の会社に「期待に添えない結果になりました」という連絡をするかといえば、しないほうが多いのではないかと思います。発注者側は、連絡がいかなかったらダメだとわかるだろうと思っていても、相手は、今回は受注できるかもしれないと期待を込めて待っているかもしれません。その気持ちをくんで、「大変残念な結果になって申し訳ありません。次回もあるので今回は悪しからずご了承ください」と丁重に連絡しましょう。連絡なしは不信の元相手の期待に添えない結果を連絡するのは、気が重いことです。がっかりする相手を想像すると、「連絡しないで済ませられないか」と考えてしまうこともあるでしょう。しかし、連絡を怠ると、「なんの連絡もくれないのはけしからん」という不満に発展することもあります。たとえば、仕事を依頼するかもしれないからと、先方の都合を聞いておいて、その仕事が流れてしまったとします。正式に仕事を依頼したわけではないからと考えて、そのまま連絡しないでいれば、あきらめる人が多いでしょう。しかし、場合によっては、その仕事が入るかもしれないと考えてスケジュールを空けているかもしれません。断りの連絡がこないので、新しい仕事も入れられないとしたらどうでしょう。相手が不満に思うのは当たり前です。人は不満を感じると、満足した場合の3倍も多くの人にその内容を話しまわるそうです。相手の不満を買わないよう、速やかに連絡することが大切です。手間を惜しまない連絡するにはそれなりの手間とコストがかかります。郵送による連絡はもちろん、電話、FAX、Eメールなどによる連絡も送信相手先が限られていれば、手間を含むコストはそれほどかかりませんが、非常に多くのところに送信するとなるとかなりコストがかかることもあります。しかし、こちらからの連絡を待っている人がおり、連絡したほうが親切であると思われる場合は、ある程度コストや手間がかかっても、のちのちのトラブルが避けられます。

11言葉の「省略」には注意するこんな誤解が生じやすい私たちはみなまで言わなくても、自分の意思は相手に正しく伝わったと思ってしまうことがあります。その通り、正しく伝わっていればよいのですが、そうでないと、思いもよらぬ誤解に発展してしまうことがありますので、言葉は省略しないで使いましょう。たとえば、電話が入ったけれど、忙しく、落ち着いて話を聞く時間がない時、相手が気のおけない関係者だったので、「ごめん、今、手が離せないので、後で」と言ったとします。でもこの場合、「後で」という言い方は、「後で私のほうから電話します」といった意味で言ったのか、「後で改めてお電話をいただきたい」という意味なのか確かではありません。もし、「後で電話をいただきたい」という意味で言ったのに、電話をかけてきた相手は「後で電話します」という意味で受け取ってしまっていたら、どうなるでしょう。相手は、ずっと待っているのに電話がかかってこないと、「電話すると言っておきながら、どうして電話をくれないのだ」としだいに不快になります。電話を受けたほうは、そんなこととは知らずいつまでたっても電話がかかってこなければ、たいした用件ではなかったのだろうとみなして、忙しいせいもあり、こちらから電話しようとしません。このような誤解はよく生じることです。言葉は省略せず、「後でこちらからかけます」、あるいは、「後でもう一度電話をいただきたい」とはっきり伝えましょう。指示語の使い方にも注意「」。、、、「」。、「」、、。しかし、ビジネスの世界ではそのようにうまくはいかないことがあります。仕事相手に「例の件どうなりました?」といった言い方をしたとします。「例の件」がお互いにぴったり一致すればよいですが、こちらのイメージしているものと相手がイメージしているものとが食い違うことは大いにあり得ます。例の件が、○○工事のことであれば、最初から「先日お願いした○○工事の件ですが、その後の進捗状況はいかがでしょうか」といった具合に、言葉を省略せずに話すのがベストです。相手が「例の件」と言って話し始めた場合、多少でも疑問があったら、「○○工事の件ですね」と確認してから話し合うべきでしょう。指示語は使い方によって混乱や誤解を招くことがあるので要注意です。

12重要な事柄は「確認」を怠らない確かに届いたか連絡事項をFAX、郵便などで送信した場合、送信したことは確かであっても、相手の元に届いたという絶対の保証はありません。FAX番号や住所を間違えて出した可能性がゼロとはいえませんし、先方の会社に届いていたとしても何かの間違いで相手の手元に届いていないこともあります。とくに重要な事柄は相手に確実に届いたかどうかを確認するべきです。正しく届いたかどうかを確認するという行為は、FAX、郵便だけでなく他の連絡方法を用いた場合でも必要です。重要な連絡をEメールで送った時も、当人が確実に見てくれたかどうかを確認しましょう。何かの都合でメールを開けていなかったり、誤って読まずに削除していたりすることも考えられるからです。しばらくたっても先方からの返信がない時は、タイミングを見て「先ほどメールをお送りしたのですが……」と電話で確認してみましょう。伝言の場合は行き違いに注意連絡する人とその連絡を受ける当人とが直接会話した場合は、行き違いが生じることはあまりありません。ところが、当人が不在のため伝言をお願いした場合、当人に伝わっていないことがあるので要注意です。伝言を頼んだ人がついうっかり忘れたとか、あるいは忙しくて伝言できなかったということがあります。電話をとった人に伝言を頼んだ時は、連絡内容が重要なものであれば、当人に「伝言は聞いていただけたでしょうか」と確認したほうがよいでしょう。あるいは、伝言を引き受けてくれた人に失礼にならないよう、言葉に気をつけて、「ご伝言はしていただけましたでしょうか」と確認してもよいと思います。そのためには、伝言をお願いした時、相手の名前を確認しておくことも必要です。相手が名乗ってくれなかった時は、自分の名前を再度、名乗った上で、「失礼ですが、お名前をお聞かせいただけますか」と言って確認して、メモしておく習慣をつけるとよいでしょう。名前を確認するという行為は、相手に「必ず伝言しなければならない」という義務感を芽生えさせる効果もあるので、伝言のし忘れを防止することにもつながります。当人に伝言が伝わっているかどうか確認する際も、「○○さんに伝言した件ですが」と言えば、話が通じやすいはずです。伝言してくれるはず、届いているはずという「~のはず」は危険です。「伝えた」ということと、「伝わった」ということは違います。肝心の相手にこちらの意思が正しく伝わってはじめて、伝えたことになります。確かに送信したからといって、あるいは伝言を依頼したからといって安心しないで、重要な事柄は肝心の当人の手元に届いたか、あるいは伝わったかの確認を忘れずに行ないましょう。

13誤解の生じかねない言葉は注意して使ういろいろな解釈ができる言葉に注意何かを連絡した時、それほど深く考えずに不用意に使った言葉が、相手に誤解を与えてしまうことがあります。私たちは「後日、ご連絡を差し上げます」といった言い方をよくしますが、「後日」という言葉はとてもあいまいで、翌日も後日ですし、1週間後も後日です。人それぞれとらえ方が違うため、できるだけ早い返事を待っている人は、「翌日には連絡をくれるだろう」と考えてしまうかもしれません。一方、連絡すると言ったほうは「2、3日後でも、1週間後でもいいだろう」と考えて連絡しなければ、相手を不快にさせてしまうことになります。言葉によってはこちらのイメージしているものと、先方が受け取るイメージが異なることがあるのです。ある人が友人のAさんの勤務先に夕方電話した時のことです。電話口で「Aさんをお願いします」と言うと、電話に出た人に「Aは退社しました」と言われました。その時電話したほうは、「退社した」と聞いて、一瞬、Aさんが会社を辞めてしまったのかと思ってしまったそうです。しかし、何の連絡もなしに突然会社を辞めているのはおかしいので、今日はもう帰ったということではないかと思い直し、念のため確認すると、「その通りです。明日は通常通り出社します」と言われたとのことでした。「退社した」という言葉は会社をなんらかの都合で辞めたという意味と、勤務を終えて会社から退出したという2つの意味があります。このように複数の意味がある言葉も相手に誤解を与えることがあるので要注意です。相手に正確に情報を伝えるために、「後日」「退社」などのあいまいな言葉は、なるべく使わないのがベターです。「後日」でなく「2~3日後」と言い換えたり、「本日は退社いたしました」と言葉を補足したりして、誤解を与えないようにしましょう。希望的観測を伝えない相手に失望を与えたくないという思いから、つい楽観的な見通しを言葉にして伝えてしまうことがあります。見通しの通りになればよいのですが、そうでないと不信を買うことになりますので、相手に過度の期待を持たせるような言葉の使い方には注意すべきです。たとえば、取引先から注文された商品の在庫がなく、取り寄せる必要があった時、相手から「いつごろ入りますか?」と問われたとします。その時、いつもと同じくらいだろうと楽観的に考えて、「2~3日中に入荷すると思います」と言ってしまったらどうでしょうか。本当に2~3日中に入荷すればよいですが、そうでないと相手に不信感を与え、信頼関係がこわれてしまうこともあります。入荷日が不確かであれば、「明後日までに入荷すると思いますが、はっきりしたことは今、わかりませんので、確認した上で改めてご連絡いたします」といった対応をするべきです。意味があいまいな言葉や、あいまいな情報は誤解を生む元ですので、言葉を選んで、確かな情報を伝えるようにしましょう。

14早め、早めの親切な連絡を心がけるこまめに状況を伝えるお客様から依頼された仕事の遂行に一生懸命に取り組んでいても、相手にその様子が見えないと、その一生懸命さは相手にはわかりません。相手にこちらの状況が見えない場合こそ、早め、早めの報告・連絡が必要です。きめの細かい報告・連絡をすれば相手の信頼を勝ち取ることができますが、そうでないと相手の不信を買うことになりかねません。ときおり、相手に報告・連絡しておこうと考えている間に次から次へと用事が入って、つい報告・連絡が遅れ遅れになってしまうことがあります。皮肉なことに、そうした時に限って、「あれ、大丈夫ですか?その後、なんの連絡もないので気になって……」という問い合わせが入ったりします。「今、ご連絡しようと思っていたところです」とあわてて弁解しても、素直に信じてもらえません。「先手必勝」という言葉がありますが、ホウレンソウしたほうがよいと思ったら上司に指示されるまでもなく、早めにすることが肝心です。口頭による報告にこだわらず、Eメールでも構わないので、こまめに報告・連絡しましょう。トラブルの時こそ早めの連絡ビジネスの世界では予期せぬまずいこと、望ましくないことが起こるものですが、そのような時も早めの報告・連絡が必要です。たとえば、納めた製品に何か欠陥があったとします。製品に欠陥があることは決して好ましいことではありませんが、製造物である限り、完全無欠というわけにはいきません。欠陥が見つかった後の対応が大切です。ここでも早め、早めの報告・連絡と適切な処置があれば、当初の不満は相当程度拭い去り、さらにお客様の信頼を回復することができます。しかし、適切な対応を欠くと、お客様の不満は不信に変わり、場合によっては不買に発展してしまうかもしれないので注意しましょう。相手の不安を取り除く取引先やお客様から何かを依頼され、依頼相手がこちらの返事を心待ちしているような場合は、相手の立場に立ってできるだけ早く連絡するべきです。お客様から注文いただいたものが、たまたま在庫がなくて取り寄せることになったとします。お客様には「○月○日までにはお届けできると思います」と予定を伝えてあっても、相手にはまだ、「本当に届くだろうか」と不安があるかもしれません。お伝えした日時に確かに届けられることが確定したら、待っているお客様に安心していただくために、すぐ連絡をしましょう。「ご注文いただいた品は約束の日時に確かにお届けにあがれます」と言えば、お客様は安心し、そのような親切な連絡をしてくれた担当者に感謝します。「こんなことは」とか「そこまでは」と思わず、相手の立場に立って、早め、早めの親切な連絡を心がけましょう。

15連絡の「タイミング」を考慮する早いだけではダメ上司から「この件を○○に連絡しておいてくれ」と指示があれば、速やかに連絡するのは当然です。一方、上司からの指示ではなく、自分の判断で関係者に連絡をする場合、内容によっては連絡するタイミングを考慮する必要があります。たとえば、取引先から仕事の打診があった時、多少不確かであっても、「まだ確定した話ではありませんが」と前置きした上で、上司を含む関係者に早めに伝えておくべきです。ただ、あまりにも不確定な要素が多くて、漠然としている場合は関係者に連絡するタイミングを考えたほうがよいでしょう。話がひとり歩きしてしまい、内容に大幅な変更があった時に迷惑をかけてしまうことがあるからです。こちらが外部の取引先に仕事を発注する場合も、どうなるかわからない、不確定な段階で話をするのは考えものです。まだ確定ではないと前置きしても、相手にそれなりの準備をさせてしまうことがあります。連絡するのは具体的な仕事内容が決まってからにするなど、連絡するタイミングには注意しましょう。気の利いた連絡とは何かタイミングを逸することなく、早めに連絡したほうがよいことが多いのは確かですが、なかには、相手の状況などを深く考えずに素早く連絡をしたことで、「気が利かない奴だ」と思われてしまうこともあります。私の知人であるA氏が体験した話です。仕事で地方都市に出張した際、宿泊したホテルの部屋に読みかけの本をうっかり忘れてしまったそうです。分厚い本なので気づかないわけもなく、ホテルからA氏の元に「忘れ物がありましたが……」といった連絡がすぐあるかと思っていたら、1日たっても2日たっても何も言ってきません。しびれを切らしたA氏がそのホテルのフロントに電話すると、電話口に出たフロントマンは「確かにお預かりしています」と言います。A氏が「おたくのホテルは客が忘れ物をしても、すぐに連絡を入れないのですか?」と聞くと、「ご連絡して差し支えない場合と、そうではない場合がありますので、その辺のところは十分見極めて、こちらからご連絡をとったほうがよいと判断した場合はご本人様に直接ご連絡するようにしております」と言われたそうです。それを聞いたA氏は、このホテルのお客様へのホウレンソウは不十分であると思っていたのは、自分の誤解であることに気づきました。忘れ物があったということで、お客様の事情をあまり考えずにご自宅に連絡をとったところで、「ウチの主人がなぜそちらに泊まったのですか。誰と一緒だったのですか」と家庭争議に発展することも稀にはあるかもしれません。素早い連絡は大切だといっても、やみくもに思いつきの行動に移るのではなく、連絡のタイミングや状況を少し考えて行動してこそ、本当に気の利いた連絡ということになります。

16大切な連絡には手間隙を惜しまない言いづらい内容の連絡もある仕事の上で、上司あるいは関係先に「うまくいきました」と報告・連絡する場合と、反対に、「申し訳ありませんが……」と相手の期待に反することを報告・連絡しなければならない場合があります。相手の期待に反する結果でも、真心を尽くして伝えれば、相手も人間であり、やむを得ないとこちらの言い分を認めてくれることが多いので、そのような事柄の報告・連絡に当たっては手間隙を惜しまず誠意を持って臨むべきです。直接会って、真意を伝えようこちらの率直な思いを伝えるには直接、お目にかかって肉声で伝えるのが一番です。もちろん、電話でもこちらの思いを十分伝えることができるのであれば、それでもよいですし、丁重な手紙が効果的なこともあるでしょう。ただ、ITが普及したからといって、Eメールですべて済ませてしまうというのはいささか考え直したほうがよいと思います。もちろん、取り急ぎ連絡するためにEメールを使用しても構いませんが、その後、直接お目にかかるなり、電話するなりといった礼を尽くした対応が必要です。私が以前、本田技研工業の関係者に聞いた話があります。相当前のことですが、当時、本田技研工業の社長をしていた創業者である故本田宗一郎さんの元に、以前から懇意にしていた浜松のオートバイ販売店のご主人から「ウチの倅が大学を卒業するのだが、本人はホンダに入社を希望している。なんとか採用試験を受けさせてほしい」という手紙が履歴書つきで届いたそうです。このご主人とは本田さんは顔馴染みの間柄であり、なんとかしてあげたいと思って、人事の担当者に「よろしく」と言って応募書類を渡しました。ところが採用試験の結果は芳しいものでありませんでした。「採用は難しい」という報告を受けた本田さんは、応募書類と試験成績の出ている書類を持って会社を出て、一路浜松に車を走らせました。そして目指す家に着き、部屋に通されたところで、ご主人に深々と頭を下げて謝ったということです。「申し訳ない。試験の結果、採用基準に達しなかった。あなたとは長いつき合いだが、あなたが私に頼みごとをしてきたのは今回がはじめてだ。あなたの最初で最後かもしれない頼みを聞いてあげることができない俺を許してくれ。すまん、この通りだ」そう言って、下げた頭を上げようとしないので、ご主人は「わかった。頭を上げてくれ。あなたがこのように来てくれただけで十分だ。息子の入社はあきらめる。そしてこれからもホンダ車を大いに売っていくよ。今日は本当にありがとう」と快く了解してくれたそうです。悪い結果連絡もこのように誠意を見せ、心から謝れば相手もわかってくれるものです。謝罪の時だけではありません。お礼を伝える場合も、直接会って話したほうが、感謝の気持ちがより強く伝わるはずです。

「連絡」とは「連絡」は、自分の意見をつけ加えず、簡単な事実情報を関係者に知らせるものである。報告は上司と部下というタテ型のコミュニケーションが大部分だが、連絡は同僚、他部署、取引先といったヨコ型のコミュニケーションの比重が高くなる。適宜・適切なホウレンソウの効用①「上司を安心させられる」部下からの報告は上司にとって精神安定剤。タイミングよく仕事の中間報告や完了報告があると、上司は安心する。また、次の仕事の指示も遅滞なくできる。適宜・適切なホウレンソウの効用②「適切な手が打てる」何か好ましくないことが起きた場合でも、早い段階でホウレンソウすれば、部下より権限を有する上司により適切な手が打てる。ホウレンソウが遅れると問題が大きくなる。適宜・適切なホウレンソウの効用③「上司の判断を誤らせない」何かまずいことが発生して、それに自分がかかわっていたとしても、真実を包み隠さず正直に報告すれば上司の判断を誤らせることはない。叱責を恐れず正直にホウレンソウするべき。適宜・適切なホウレンソウの効用④「大ごとに発展するのを防げる」「蟻の穴から堤も崩れる」という。少しでも気になることがあったら、すぐに上司や関係者にホウレンソウを。大ごとに発展するのを防げる。適宜・適切なホウレンソウの効用⑤「上司の意図に沿った仕事ができる」仕事を指示されたら、ホウレンソウを心がけ、疑問点や不明点をその都度、確認していけば、仕事内容が、上司の意図したものとかけ離れたものにならない。適宜・適切なホウレンソウの効用⑥「『伝えた』が『伝わった』になる」伝言を依頼したり、メールを送っても、当の本人に伝わっているとは限らない。重要な事柄は本人に伝わったか確認を。それではじめて、「伝えたこと」が「伝わったこと」になる。

コラム2完済のお礼に花束を届ける信用金庫●手間を惜しまない姿勢が信頼関係をつくるマンションや一戸建ての家を購入するに当たって、金融機関の住宅ローンを利用する人が多いかと思います。10年、あるいは20年で住宅ローンが完済すると、金融機関から「住宅ローンはすべてお支払いいただきました」というお知らせと、当初交わした「借用証書」に済みという印が押されて郵送されてくるのが一般的です。ところが、信用金庫大手の巣鴨信用金庫では、住宅ローンの完済者の自宅を支店長が訪問し、花束を贈ることにしているのだそうです。この信金の理事長である田村和久氏は「自分は若いころ、レストラン経営に挑戦し、1700万円の借金をしたことがあるが、それを完済できた時は、本当に泣きたくなるほどうれしかった。きっと住宅ローンを完済されたお客様も同じ思いに違いない。そう思って数年前から始めたのです」と言います。実際にお客様に花束を届けたことのある支店長のひとりは「最初はお客さんも、なんで花束がもらえるのかと驚いておられましたが、理由をお話しすると、とても喜んでいただけます」と言っています。思いがけない花束をもらって感激したお客様は、お金が必要になったら次もこの巣鴨信金を利用しようと思うに違いありません。手間はかかるし、費用も発生しますが、それを惜しまず、感謝の熱い気持ちを伝えることが、お客様との信頼関係をつくり、よい循環につながるはずです。

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