はじめに
「もっとラクに成果を出したい」「もう少し余裕を持って仕事をしたい」「残業せずに定時で帰りたい」と思ったことは誰しもあるでしょう。
そこで、「手帳を活用して予定を管理しよう」と決意します。でも、気づけば、挫折……。今度は、「やるべきことをキチンと管理しよう」とToDoリストを使ってみる。
しかし、皮肉にも「やりたいけど、やれていないリスト」になってしまう……。これは、あなたの意思が弱いからでしょうか?そんなことはありません。やる気があっても、うまくいかないことはよくあります。
「一生懸命やっているのに、定時に終わらない」「急な予定変更でスケジュールが狂う」「締め切り直前でも仕事が終わらず、焦ってしまいミスをしてしまう」「提出が1日、2日遅れてしまう」「やるべきことがわかっていても、なかなか手がつけられない」など、多くの人が仕事の進め方や期限を守ることに悩んでいます。
なぜ、このようなことが起きるのでしょうか?それは、あなたのやり方がズレているからです。
以前と比べて、やることが増えているのに、仕事の進め方や考え方を一向に変えなかったため、今の時代に合わなくなってしまったのです。
「がんばれば成果が出る」というわけではなくなったのです。ムダな努力をしないためにも、今の時代に合った仕事の進め方に変えていく必要があります。
もし、「自分にはがんばりが足りない」と考えているのであれば、あなたは間違っているかもしれません。
そもそも、あなたのスケジュールは最適化されていますか?私は外資系企業に転職してはじめて、長時間働くやり方では世界で通用しないことを実感しました。
限られた時間内でやるべきことをやり、成果を出すことが求められているのです。時間効率を犠牲にしてでも品質にこだわる考え方とは、根本的に違います。
そこで私は、仕事のやり方を徹底的に見直しはじめました。幸いにも私にはプロジェクトマネジメントの実践を通じて、チームでスケジュール通りに仕事を進めるノウハウがありました。
また、海外の人と一緒に仕事をしながら、彼ら、彼女らの仕事に対する考え方や進め方を学んできました。
その経験や知識を踏まえ、自分の仕事のスケジュールの組み方を根本的に見直し、試し、改善したのです。
その結果、今では、日本だけでなく、韓国、東南アジア、オセアニア地域のマーケティング責任者として仕事をしています。
さらに執筆活動やマーケティングのポータルサイトの運営など、多くのことにチャレンジできています。
スケジュールを改善していく中で、いくつか気づいたことがあります。
- はじめから無理なスケジュールを立てていた
- お願いされたものを優先してやっていた
- マルチタスクをしてしまい、目の前の仕事に集中できていなかった
- ToDoリストに頼り、実際に作業をする時間を確保していなかった
- タスクの期限は曖昧で、「なるべく早く」ばかりだった
- 仕事をする上で必要な資料や情報をいつも探していた
- 仕事のやり直しで、さらに時間がかかっていた
そして、これらの課題を具体的に解決しなければ何も変わらないこと、「がんばろう」と気合を入れてもなんとかなるわけではないことに、気づかされました。
実際に課題をひとつひとつ解決していくと、私は余裕を持って仕事に取り組めるようになり、成果も出せるようになりました。
スケジューリング成功の鍵は、努力や根性ではありません。やるべきことを合理的に、ムダなく管理し、実行していくことです。
スケジュールを組む力を身につければ、ひとつひとつの仕事に集中でき、早く仕事を終わらせ、成果を出せるようになります。
ミスも減り、慌てずに仕事を進められ、期限を守るだけではなく余裕も生まれます。その結果、残業も減らせるようになります。
本書が、あなたの仕事における「スケジュール管理」を少しでもアップデートできれば幸いです。アップデートをするかしないかで結果が変わってきます。最終的にはあなた次第です。でも迷っている暇はありません。
気づけばあっという間に時間が経っていた……なんてあとで悔やむことのないように、まずは最初の一歩を踏み出しましょう。
さぁ、前に進もう。ページをめくろう。時間がもったいないから。
飯田剛弘
はじめに
第1章なぜギリギリになってしまうのか?
1「少しずつやろう」と思っても失敗する
「まだ時間があるから大丈夫」だといって、本来やるべき仕事ではなく、他のことをやっていませんか?「やる気が出ない」と言い訳をして、締め切りギリギリになるまで仕事に手をつけない、なんてことはありませんか?面倒な仕事をついつい先延ばししてしまう、余裕を持ってはじめたのに最後のほうはバタバタして焦ってしまう、あなたにもそんな経験があるはずです。
ギリギリになるまで手がつけられない人の多くは、子供の頃からそうだったはずです。例えば、夏休みの宿題を提出直前になって慌ててはじめる。
このような人は、締め切り寸前で「ヤバい」「マズい」と焦り、お尻に火がついて、はじめて本気になります。
そして宿題の期限に間に合わず遅れて提出しますが、多少注意されたり、怒られたりしただけで、なんとかやり過ごせたため、ある種の成功体験を得たのです。すると、過去になんとかなったという経験から、「まだ大丈夫」という気持ちになります。
早めに取り組むことや、少しずつやることが難しくなって、「もう少しあとになってからやろう」という考え方になってしまうのです。
結局、昔から「ギリギリ」の人は、「少しずつやろう」と思ってもなかなかできません。つまり、「ギリギリ」になってしまう自分の悪い癖を、気合や根性で直すことは難しいのです。
一方で、あなたの周りにいる上司や先輩を見てください。
仕事のできる人は「やる気」や「モチベーション」に頼らない仕事の進め方をしていませんか?仕事ができる人は、今やるべきことをやれば、あとからラクになるという成功体験をしています。
その因果関係の考え方が定着し、習慣になっています。ギリギリになる人は、気合や根性で先延ばし癖を直そうという考えを捨てましょう。
小さなことで構わないのではじめてみて、ラクになるという成功体験を得ていきましょう。成功体験を繰り返すことで、先延ばししない習慣が身についていきます。
「やる気」や「モチベーション」に頼らない
2「ひとりよがり」と思われていませんか?
あなたの仕事が終わらないために、周りの人に迷惑をかけてしまう。
そんなことはありませんか?仕事というのはチームプレーです。自分一人では完結しないものばかりです。次の工程に進むために、あなたの仕事の成果物を必要としている人がいます。
仕事全体から見れば、「自分の仕事が終われば、役割を果たした。おしまい」ということにはなりません。
普段から、「他の人が、あなたの仕事が終わるのを待っている」という意識を持つことが大切です。そのことを踏まえ、仕事を計画し、スケジュールを組みましょう。
全体の仕事を遅らせないために、各自が締め切りを守ることが大事です。
もしあなたが「多少遅れても問題ない」と勝手に判断してしまえば、周りの人は、あなたのことを自己中心的で協調性がない人と判断してしまうでしょう。
あなたの上司や周りからの評価も下がります。期限を守る人は、全体を見ながら仕事をしています。他の人の状況を把握し、細かなところまで目配りができ、協調性もあります。
大事なことは、「後工程はお客様」という言葉がある通り、自分の次に仕事をする人がいることを認識するだけではなく、その人が仕事をしやすいように、相手の立場になって物事を考えることです。
相手が、あなたから具体的に何を必要としているかを考えてみましょう。
また仕事の依頼を受けたときは、仕事の依頼者や関係者と、しっかりとコミュニケーションを図ることも大事です。
最終的な成果物であるアウトプットのイメージや締め切りをすり合わせておくのです。数値化や視覚化により曖昧さをなくし、共通認識を持つことが重要です。
スケジュールの組み方が下手な人は自己中心的な考え方をしている
3「すべてがうまくいけば間に合う」願望を捨てる
予定の詰めすぎは混乱を招きます。なぜでしょうか?それは、ほとんどの仕事が予定通りに進まないからです。何らかの変更やトラブル、不測の事態が起きれば、予定していたよりも時間がかかります。
ひとつの仕事が遅れれば、他の仕事や予定にも影響します。「すべてがうまくいくことがない」という前提で考えれば、「トラブルが起きても間に合う」柔軟なスケジュールを組むことができます。
あなたの仕事内容や環境にもよりますが、週に2、3回まとまった空き時間を確保しておくと、突然のトラブルや仕事に柔軟に対応できます。
また、びっしり詰められたスケジュールは、焦りや不必要なストレスも生み出します。焦れば仕事が雑になり、失敗やミスをするリスクも増えるでしょう。
仕事が終わるまでの所要時間を見積もるとき、精度に自信がない場合は、当初思った時間の1・5倍くらいを見積もっておくと割と安全です。
仕事が順調に進めば、空き時間に次の仕事を前倒しする、あるいは保留にしていた仕事をはじめることもできます。前倒しすれば明日以降がラクになり、そのあと何かあっても対応しやすくなります。
このようにスケジュール管理において、余裕、つまり空き時間を作ることは有効かつ重要な対策です。
スケジュールを組むときはバッファ(余裕)を入れる
4記憶力に頼ると間に合わなくなる
あなたは、仕事をする際に、自分の記憶力や能力に頼りすぎていませんか?「依頼されたことや聞いたことをメモしない」「ToDoリストは作ったのに、いつはじめ、いつ終わるかはその都度考える」「やるべきことをスケジュールに入れない」など、心当たりはありませんか?「覚えよう」という意識がなくても、結果的に記憶に頼ったり、その都度考えたりする仕事の進め方をしてはいけません。
自分の記憶や能力に依存する仕事の進め方をすれば、必ずミスを起こします。やるべきことが増えれば、「あー、しまった」や「完全に忘れていた」という、うっかりミスが増えていきます。
「期限が過ぎていた」「お願いするのを忘れていた」などが発生するのです。そして、忘れていたことに対応することで、今度は他のやるべきことが遅れていきます。
慌てて対応すれば、さらなるミスや失敗を招き、仕事の質が悪くなります。それにより、間に合う仕事でさえも間に合わなくなるのです。まさに負のスパイラルに入ります。
どういう状況のときに、「あっ、しまった」が起きるのか、仕事がギリギリになるのか、あるいは遅れるのかを具体的に考えることが大事です。
それらを知ることで、あなたの仕事の進め方やスタイル、特徴が見えてきます。自分を知ることで、よりいい仕事の進め方、つまり現実的かつ有効な予定の立て方が可能になります。
そして、「人はやることを忘れる」という前提に立ち、思い出すための仕組みを作っていくことが重要です。
具体的な方法は後述します。
「絶対忘れない」「覚えよう」という根性論は捨てましょう。また、「大事なことは忘れない。忘れるようなことなら重要ではない」という根拠のない楽観的な考え方もやめましょう。
そうすることで、最終的には人や記憶力に依存しない、自分に合ったやり方を確立できるようになります。
「やるべきこと」を忘れない仕組みを作らなくてはならない
5「がんばっている」という言い訳をやめる
がんばっているけど、いつもギリギリになる。やることが多すぎて、ついつい先延ばししてしまう。
そんな状況になっていませんか?しかし、本当に仕事量が多いことが原因でしょうか。
あなたの上司や先輩があなたの仕事をやったとしたら、ギリギリになると思いますか?もし違うのであれば、具体的に何が違うのか、遅くさせる原因は何なのかを突き止めなくてはなりません。
現状を変えたい、あるいはできる人になりたいと思うのであれば、自分のほうに原因があると考えると対策や改善がしやすくなります。
他人や自分以外のことを変えるのは、自分を変えることより遥かに困難です。変な感情にとらわれず、合理的に考えてみてください。あなたの仕事が遅くなる原因は何でしょう。
その原因のひとつは、「仕事がわからない」というものです。
つまり、その仕事をするために必要な知識や能力がないのです。そもそもその仕事で何をやるべきか、何を求められているかがわからない。
結果として、不安や疑問だけが先行して、何も進まない。そんなことはないでしょうか?これは、知識や経験が少ない人に多いパターンです。
対策としては、上司やわかる人にまず相談をすることです。足りないことを学びながら、少しずつ進めていくしかありません。最初から完璧を求める必要はないのです。
他の原因として、「自分で抱え込む」ことが考えられます。このケースは、自分のほうが周りの人よりもわかっているときに起こりやすいです。
自分のほうがわかっているという理由で、他の人にお願いすることなく、何でもかんでも自分でやろうと抱え込みます。
実はこちらのほうが性質が悪い。このパターンの人は完璧を目指そうとします。ミスや漏れがないかの確認に必要以上に時間をかけます。
自分のこだわりで、なるべくいいものを作ろうと、ギリギリまで手を加えます。結果として、仕事が遅くなってしまうのです。
これは、高品質を求める、典型的な日本人の働き方です。その仕事には何が求められているのかを明確にしましょう。
数値や図を活用して完成基準を具体化することで、他の人への協力依頼もしやすくなります。すべてを自分で抱え込まなくてもすむようになります。
なお、「がんばっている」や「忙しい」と言い訳をする人は、他人からの評価を落としています。「がんばっている」や「忙しい」は主観的に感じることです。
これが、口癖になっているのであれば、今すぐにやめるべきです。感情的に判断せずに、合理的に考え、実行するよう心がけることが大事です。
他の人への協力要請を惜しまない
6余裕があっても締め切りギリギリになるのが仕事
「本来ならば、20、30分で終わるような仕事が1時間もかかってしまった」『「今日中にプレゼン資料を完成させればいい」と、午前中は余裕を持っていたのに、夕方になっても終わらず、結局残業することになった』このような経験はありませんか?実を言うと私たち人間は、「時間やお金をある分だけ使ってしまう」という習性があるのです。
これを「パーキンソンの法則」と言います。
パーキンソンの法則は、イギリスの歴史学者・政治学者であるシリル・ノースコート・パーキンソンが提唱した法則で、英国の官僚制を観察した結果に基づいて生まれました。
「役人の数は仕事の量とは無関係に増え続ける」このことから、「仕事の量は、完成のために与えられた時間をすべて満たすまで膨張する」という法則ができたのです。
要するに、無意識に仕事をすると、ついつい期限までの時間をすべて使い切ってしまうのです。
つまり、締め切りまでに余裕がありすぎると、プレゼン資料を作成する場合なら、見た目にこだわりすぎたり、関係ない情報まで調べたりして、時間を浪費してしまうのです。
結果、気づいたら、締め切りギリギリになっているのです。本当に必要なものだけに時間を使うよう、コントロールすることが重要です。
まずは必要な作業を特定し、作業時間を見積もり、少し厳しめの期限を設定することです。その際、各作業工程の節目であるマイルストーンを設定すると進捗も管理しやすくなります。
また、万が一に備えて空き時間を別途設ける必要はありますが、不測の事態が起こったとき以外には使いません。
はじめから期限に余裕を持たせて、本質的でないことに時間をとられるのはもったいない。ムダなことをやるよりも、必要な作業をいかに早く終わらせるかを考えるほうが大事です。
作業時間を余計にとろうとしない
7時間とのつき合い方を疑うと仕事がラクになる
ギリギリになる仕事の習慣は、根性や気合、やる気では克服できません。あなたは、すでに気づいているはずです。
心の中で「アタフタしたくない」「バタバタしたくない」「ギリギリになりたくない」「時間をうまく管理して、早く仕事を終わらせたい」などと思っているのに、「面倒くさい」「なんとかなる」という弱い自分が出てきてしまうことを。
良くないと頭ではわかっているのに、なぜかわからないけれども、何度も何度も同じ過ちを繰り返してしまう。要するに、自分を変えることは、それほど簡単な話ではありません。
むしろ、自分の性格や癖をいきなり変えようとせず、時間管理の観点から、仕事の進め方や環境や仕組みに目を向けましょう。
何に時間を使っているのか、なぜ時間がかかるのか、まずは自分の時間の使い方を検証することが大事です。
現状をしっかりと認識すれば、間違った努力を避けることができます。今までの根性論とは違い、事実をもとに時間に対する考え方や環境を変えるのです。
時間とのつき合い方やスケジュールの組み方を改善し、行動も変えれば、期限よりも前に仕事が終わります。
ギリギリにならずに早く終わらせる行動が成功体験となり、これを積み重ねていくことが嬉しくなります。
行動が習慣化すれば、頭で考えたり決めたりするような精神的な疲労や負荷が軽減されるので、行動をはじめること自体がラクになります。
すると行動が早くなり、さらに成果を出していくという好循環が生まれるのです。さらには、成果を出す行動をしている自分が好きになっていきます。
有効な時間とのつき合い方を習慣化する
第1章まとめ
- やる気やモチベーションに依存しない
- 気合や根性で先延ばし癖を直そうとしない
- 他の人が自分の仕事が終わるのを待っていることを踏まえ、仕事を計画する
- 「トラブルが起きても間に合う」柔軟なスケジュールを組む
- 「人は忘れる」という前提に立ち、忘れたら思い出せる仕組みを作る
- 「忙しい」や「がんばっている」という言い訳をやめる
- 感情的に判断せずに、事実をもとに合理的に考える
- 仕事の量は、完成のために与えられた時間をすべて満たすまで膨張する
- 本質的に必要のないものは取り除く
- 自分を変えようとせず、時間の使い方、仕事の進め方、環境、仕組みを変える
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