誰も教えてくれないPCのファイル管理
1書類よりも難しいデータの片づけ2デスクトップの考え方3常時置いておくデータを厳選する4分類を極めれば、記憶力は不要5ファイル名・フォルダ名のつけ方6業務の流れが重要な時は「時系列分類」7ムダなフォルダを作らない8階層を作らないための工夫9データ分類は、ファイル基準表を参考に10データも最上位の分類は年度デジタル導入しても万事解決とはいかない
書類よりも難しいデータの片づけ紙が片づかなければ、データも片づかない業務上、紙よりデータを使っている方が圧倒的に多いでしょう。しかし、データの片づけは、書類よりさらに難しいといえます。その理由のひとつは、置き場所の問題。PC内でもデスクトップ、フォルダの各階層途中、フォルダの中どこにでも置けてしまいます。また、目の前のPC以外にも、ファイルサーバや外付けのメディア、外部のストレージサービスなども可能。意識せずショートカットからアクセスしていると、どのサーバの、どの階層にいるのかもわかりません。さらに、ショートカットや原本もコピーも入り混じり、それを、事務机の作業スペース同様、一番使いやすい場所に値するデスクトップへ仮置き。さらに、全体の数・ボリューム感が視覚的に全くつかめない……。もしこれが書類で同じ状態だったとしたら、どうでしょう。どこでも置き放題、コピーし放題、机の上に好き放題置いている……いかにひどい状況になるかイメージしていただけると思います。データを管理するしくみや方法は存在するデータの片づけは、書類のファイリングの原則にそって考えていけばシンプルに解決できます。これは、紙もデータも「情報」という根本が同じだからです。ファイリングシステムを導入された企業様が「ああ、データもこうすればいいのか」とおっしゃるのは、ファイリングのしくみがわかるので、シンプルに理解が進むからです。本章では、書類・データ双方に共通で役に立つ考え方の基本をご紹介していきます。必ずバックアップを取ってからパソコンの整理作業を始める前には、必ず「現在の状態でのデータのバックアップ」を取ってください。データは、名前の変更、フォルダ移行、コピー・削除など大きな作業が続きます。一瞬のケアレスミスで丸ごと削除というリスクがつきまとうのが、書類との大きな違いです。
デスクトップの考え方机の上と同じように考える書類が混沌とした机の上と、何もない机。もちろん、後者の方が仕事がはかどるでしょう。何もない状態から、必要最低限の最も使用頻度の高いモノだけを厳選。「今使う」書類を絞って机に置き、仕事が終了すれば、元に戻す。これで毎日、仕事効率のいい状態が作れますよね。デスクトップも原則は同じです。画面上には可能な限り何も置かず、厳選したモノだけを置きます。そして、今取り組み中の業務データだけを、デスクトップに残し、業務が完了後、本来あるべき場所へ移動してから削除する。これができれば、毎日効率よい状態にもできますし、今自分が最優先で取りかかるべき仕事だけが一目で把握できるというしくみも作れます。モノの厳選という意味では、オフィス系プログラムそのものをデスクトップに置いている方も多いですが、「作ったデータ」から開く方が多く、クリックする回数が少ないなら、デスクトップから削除してしまいましょう。代わりに、タスクバーやスタートメニューにこうしたプログラムを置くなどのカスタマイズを徹底的に行ない、高い操作性を維持します。全データへの入り口デスクトップは、仕事を行なう作業スペースそのものでありながら、同時に全業務、膨大な情報への入り口でもあります。自分のデータだけでなく共有サーバに入っていく、扉の役割も果たしています。総合窓口を果たすこの場所が、自分の思う通りに最高に使いやすく整頓されていれば、仕事は断然はかどります。また、それが今叶わないなら、とても非効率な状態であるということです。まずは現状分析からスタート。デスクトップのアイコンは、文書ファイルそのものか、ファイルへのショートカットか、別サーバやデータベースへの入り口か、それともプログラムなのか、分類をしてみましょう。
常時置いておくデータを厳選する数値で捉えるデスクトップに置くプログラムやショートカットを決める時、あれとこれと……と、あっという間に10個以上になり、「よく使うものを厳選したのですが、これではダメですよね」と、見せてくださる方がいます。確かに、それではあまり意味がありません。このような場合にこそ、整理の基準の明確化が必要になってきます。一例としては、数値や場面の緊急性を基準として想定してみてください。「1日何回アクセスする」「お客様からのトラブル対応の電話中に、すぐ確認する場面が週に1回以上ある」など、具体的に数字にしていきます。スマホでは、アプリの使用回数が視覚化される機能(iPhoneのスクリーンタイム機能など)がありますが、使用回数が高いものだけを、一番タップしやすい場所に配置するのは合理的です。それをパソコンで行なうのです。分類後の配置デスクトップに置くプログラムやファイル類は、「自分が使いやすいよう、目的別や使用頻度別、共通事項別等で分類しまとめ、整頓して配置をしましょう。使用するプログラムは頻繁に増減しないので、一番左端にまとめておけば、位置が固定しやすくなります。また、別サーバへとアクセスするショートカットは、その右側に。やりかけのファイルはデスクトップ中央より右側に置き把握する、ゴミ箱は右上に配置するなど、自分なりに使いやすい工夫をしていきましょう。この場合も、等間隔に整列させると左右の余白から見た目に探しやすくなります。デスクトップ上で右クリックし、表示された一覧から「表示」にマウスポインターを合わせて「アイコンを等間隔に整列」をクリックします。一度、自動整列を行ない、画面左上から順に整列して配置してから、場所を移動したり、間隔をあけたりし、さらに使いやすく調整することも可能です。
分類を極めれば、記憶力は不要ショートカットが多すぎるのは問題データ管理が混乱するフォルダにありがちなのが、「ショートカット多用」の問題です。ショートカットは本来、目的のファイルまでのアクション数を減らすための機能です。ところが、目的のファイルがどこにあるのかがわからないから、ショートカットを置いておくという理由によって増え続け、それが、デスクトップやフォルダ内がカオス化する一因になっています。家でいえば、使う時にどこにあるかわからないからと、リビングテーブルの上に大量のモノを集めてきて、ずっと出しっぱなしにしてさらに集まるしかないような状態。各々どこにあるか把握し、戻す場所が決まっていれば、使う時に出し、使い終わると元の場所に戻すようになるのは、モノも書類もデータも同じです。その方がラクで簡単、効率がいい、ということを体感すると面倒ではなくなります。データも文書も情報として分類が整えば、ショートカットがなくても、全情報にまっすぐにすぐたどり着けます。ファイル・フォルダの整理、分類がツミアゲ式による整理(階層化・水平化)・収納で根本問題に手を入れることが、真の解決になるのです。情報がすぐに出てくるなら、外部記憶媒体になるまた、「自分はどこにあるかわかっているから、下手に場所を変えないでくれ」という人がいます。カオス化しているため、ファイルの場所を暗記しているケースです。しかし、記憶に頼るには量的・期間的な限界があり、そもそも管理できていれば記憶は不要。脳内記憶という貴重な一時メモリを、こんなことに使うなんてもったいないことです。自分が片づけが苦手なことを補うために、ファイルの場所を記憶している方が多い印象ですが、片づけはしくみで解決する問題。解決すればその人の本来の能力はすべて、本業務のために使えます。仕事に集中するために、環境を整えるのがファイリングなのです。
ファイル名・フォルダ名のつけ方一目で中身がわかる名前を意識するファイル名やフォルダ名の原則は、中身が正確に推測できるタイトルをつけること、「重要・〇〇関係・〇〇書類・その他」はつけないこと、相互排他的タイトルを意識すること。個別フォルダのタイトルと同じです。ファイル名から推測して開いた時に、イメージと違う文書が出てくるようなら、その時すぐにタイトル改善を行なってください。例えば、「請求書」「契約書」というファイル名で、「何の」が必要なら、「〇〇請求書」。毎月同じサービスの請求書が発生するなら、「いつの」がわかるように、「〇〇請求書(〇月分)」と発行月を入れて管理を行なう。「〇〇請求書(〇月分、A社)」と書けば、相手先にもわかります。いちいち「あける・確認する・閉じる」と3アクションをかける必要もなく、平均で5・6秒も減らせます。この「何か」の表現が適切なら、ファイルの管理はできたも同然です。新規に契約書を交わすにあたって、「契約書」ではなく、「契約書(案)」のように、先方との調整の中で、案、修正、本契約、改定……と随時変わるやり取りの要約を、補足情報としてファイル名に足せば、経過もしっかりと残せます。名前をつける時にルールをフォルダ名・ファイル名のつけ方として、年月日を西暦か和暦か、6桁にするか8桁にするかなどは事前に統一しておきます。業種によって西暦向き、和暦向きとありますが、何にせよ、まずは自分自身が「令和3年」「R3」「2021年」「21」などが混在しないよう、ルール化して運用しましょう。また、今年度だけ発生する業務に関しては、「〇〇業務(単)」と表現するだけで「単年度企画」という情報が伝わります。とっくに記憶にない過去の情報をさかのぼっても、単年度限定の業務だったということが一目瞭然です。自分の業務でよく使う便利なキーワードを、作り込んでいきましょう。
業務の流れが重要な時は「時系列分類」時系列分類のタイトルのつけ方契約業務に代表されるような、毎回業務の流れで順番に発生する一連のデータは、仕事の流れ順に管理していく方法が便利です。タイトルに対して番号をつけておけば、意図通りに並べることができます。例えば、契約書を交わすために、案を送付し、修正をやり取りした後、本契約となるなら、「01_〇〇業務契約書(案).docx」「02_〇〇業務契約書(修正).docx」「03_〇〇業務契約書(本契約).docx」という風に数字を入れて並べます。修正が何度も重なる場合はここにバージョン情報として、「02_〇〇業務契約書(修正200401).docx」「02_〇〇業務契約書(修正200402).docx」と日付を入れたり、「V1、V2」と入れるとよいでしょう。版管理ができるソフトもありますが、まだ全PCで標準とは言い切れないことを考えると、現状では日付を入れて管理するのがベターです。業務進行管理に必須もちろん、数カ月以上の単位の業務になればフォルダ名に数字を入れ、業務の流れにそって管理します。例えば、全社員が使う新規システムを導入し、運用するまでの半年間が一連の流れとすれば、「導入前→導入後」まで、イベント主催も「事前準備・当日・終了後」という風にフォルダをまとめることができます。あとで、その作業をしていた時期を目安に探し出せますし、翌年同じ仕事をする場合には、それが先回りの準備となります。もちろん、次の担当者への引き継ぎの際もフォルダの並び方と中のデータだけで、十分な引き継ぎを行なうことが可能です。この時のポイントは、ツミアゲ式分類で行なうこと。一連の業務が終了し、データの種類・数がすべて出揃ってから「どう分ければいいのか」を考えることで最善の分類が仕上がります。業務の流れを意識しすぎて分類が増えすぎないように注意をしてください。
階層を作らないための工夫便利な分類を考えてみようみなさんが社内ミーティング実施の担当者で、毎月1度の定例会を実施しているとします。毎回、案内文と当日議題という2枚のWordファイルを準備しているため、年間24ファイルの作成が見込まれます。この時、どのような階層にしますか。どんなフォルダを作り、各々のファイルにどんな名前をつけますか。例えば、①「社内ミーティング定例会(大分類)」─「何月(中分類)」、その下に案内文と当日議題ファイルを2つずつ収める。②「社内ミーティング定例会(大分類)」─「案内文(中分類)」、「当日議題(中分類)」と意味別で2フォルダ作り、その下に月別で12ファイルずつ並べる。この2パターンの、どちらが便利だと思いますか?答えは、使用目的や頻度によって異なるということ。「使う時に探しやすく、アクション数の少ない分類」が正解です。普段から、こんなことを考えながらフォルダを作っていくと、階層の改善も進みます。数が多くても名前のつけ方次第「4月_業務改善定例会議(当日議題).doc」「4月_業務改善定例会議(案内文).doc」「5月_業務改善定例会議(案内文)」……と、1フォルダの中で24ファイルが並ぶ、フォルダで分けない管理方法も可能です。何月の当日議題と案内文なのか、20ファイルを超えていても、分けずにタイトル次第で一目でわかり、さらにアクション数も少なくたどり着けます。5・6・7月がどんな議題だったかと、複数ファイルを見比べる時も、階層を行ったり来たりする必要もありませんし、検索機能を使っても探しやすいでしょう。もちろん使用目的次第では、これが正解とは限りません。とにかく決めつけずに、臨機応変に、その時々でベターな方法を探る姿勢が必要です。
データ分類は、ファイル基準表を参考に紙もデータも、業務の基本は同じファイリングシステム導入時、ファイル基準表を作り上げて喜ばれるのが、データの分類の参考になることです。参考どころか、ほぼそのまま使えばよいだけ。業務について重要度、量と質、種類、そして使用頻度など紙ベースでトータル的に鑑みながら、視覚的に分類が完成したものです。もちろん、タイトルも精査されています。ここまでの準備ができているから、この大分類、中分類を、パソコンの階層上でフォルダ名の参考にしていけるのです。いわば、書類はデータ化のための土台作りであり、準備作業です。対して、「PC内の整理整頓をしましょう!」といきなり始めるのは、ハードルが高いものです。ドキュメントの最上位を開け、じっと見つめてもワリツケ式分類しかできませんし、数に偏りも出ます。ファイル名だけでは何かわからず、1つずつあけては思い出しながら、適切と思われるタイトルをつけていかなければなりません。PC内のフォルダや階層を一つひとつ見ていくのは不可能に近いことです。情報として分類するそもそも、「紙」と「データ」と分類の入り口が固定化されていることが、情報活用の視点では問題だといえます。本来、ある情報が欲しいなら、紙かデータかは、どちらでもかまわないはず。徹底的に管理するならば、ファイル基準表にデータ管理の欄を足し、備考欄に媒体がデータであると表記する管理もできますし、今後スキャン・データ化する、逆に紙原本が必要なら、その旨を書いておくこともできます。「情報資産としての徹底した一元管理」はいくらでも可能です。もちろん、個人の作業範囲で行なうなら、第5章8項の「マイファイル管理表」を参考に、作業を行なってください。
データも最上位の分類は年度紙と同じく年度管理をしようよく使っているフォルダの中に、数年前に使ったきりで更新日時の止まったフォルダやファイルが混じっていませんか。それのせいで数が増え、必要なファイルを探す時間が発生するのは本当にムダなこと。これを解決するために、最上位は「年度別フォルダ」で、以下に業務分類フォルダを展開します。すると、どの年度のフォルダを開けても、その下は基本的には同じ分類名で階層が展開します。ファイリングシステムを導入する時の年度締め作業や、キャビネットの管理と同じしくみを利用しています。古い年度フォルダからバックアップを取り、まとめて削除していけるなど、トータルでのメリットもたくさんあります。作業時のポイントまず、年度は自社の会計年度と合わせること。そして、年度業務終了直後のタイミングで作業を行なうのが一番スムーズに進むため、3月31日の夕方以降は、この作業を毎年スケジュールに入れておきます。そして、過去年度フォルダに移動したファイルは、もう修正・更新はしないことです。もし、引き続き更新が必要なファイルであれば、今年度のフォルダにファイルをコピーし、そのファイル上で更新を行なっていきます。例えば、同じ名簿でも、「令和元年度名簿」をコピーし、「令和2年度名簿」として更新をしていく。こうすることで、令和元年度時点の名簿データも保管しておくことができます。作業上の注意ショートカット切れ、差し込み印刷等のデータ連携設定切れには注意しましょう。PCの操作が不安な方は十分お気をつけください。移動・コピー・削除など大がかりな作業になりますので、再度になりますが、バックアップは必ず取ってから行なってください。
COLUMN6デジタル導入しても万事解決とはいかない「ファイリングシステムを導入するのは負担が大きい。とりあえず、すべてデータ化したい」というご相談をよくお受けします。今ある会社の書類を全部PDFにして処分すれば、事務所はすっきりする──と。確かに、モノとしての片づけの視点では解決しますが、一層問題が深まってしまうのは情報活用の視点。もし、全書類のデータ化をまるごと委託しても、タイトル、分類は指示しなければなりません。今ある簿冊式ファイルの背表紙のタイトルのままだと「庶務関連」「その他」「資料」……、今うず高く積まれている書類の山のままだと「段ボール1」「段ボール2」「キャビネット1」……。これでは、データ化しても意味がありません。「とりあえず必要な時にあればいい」と割り切れたら問題ないように思うかもしれませんが、その「必要な時」には、あいまいなタイトル、元書類のPDFがあちこちに二重三重と存在しています。今のファイルサーバやドキュメント内部のカオス化した状態が倍増した中から、探し出すことをイメージしてみてください。何日も探すことになる恐れも十分にあります。さらに、全てデータ化した後も書類は発生し、いつか同じ状態に戻ります。結局、問題を先送りしては、根本的な解決には至りません。この点、ファイリングで紙の分類が整い、ファイル基準表が完成していれば、全体を俯瞰できます。あとは必要な書類だけデータ化して、紙の分類を参考にするだけ。タイトルも紙上で熟考したものを活用できるし、管理表の中で「これは追ってデータ化する」ということも書くことができます。全部データにして万事解決するなら、今すぐすればいいのです。それができない、ボトルネックが何かと洗い出すと、「どれがデータ化すべき書類かわからない」「データ化の後も、どういう文書を紙で残すかルールがない」という問題にたどり着く。それを整えるのがファイリングです。紙が基本で、データは応用。基本さえできていれば、あとは簡単でラクに運用ができます。デジタル上の仕事環境を整えたいからこそ、まずは書類から進めるべし、というのが私のデータ管理に対する考え方です。
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