モノの片づけから始める理由
モノの片づけと書類の片づけは違う実は、職場が片づかない大きな要因のひとつが、モノと、書類の片づけを同じだと捉えていることです。
私は、整理収納アドバイザー1級認定講師としてモノの片づけを、ファイリングコンサルタントとして書類の片づけをアドバイスしていますが、この2つは別ものだといえます。
書類は、モノと同じノウハウだけでは、不十分です。
一見うまくいったように見えても、リバウンドしたり、検索性が低かったりと、すぐに限界が来ます。
5S活動が徹底されている企業でも、書類管理に関してはベストとは言いがたいケースも見てきました。モノの片づけは、「効率」が求められます。
大きさや形や色などで分類し、使いやすくするために「何をどこに置くか」を決めていきます。これに対して、書類は「情報資産としての管理」が求められます。
紙ではなく、書かれている「情報」を分類しているのです。そのため、モノの片づけよりもハードルがぐっと上がります。
机のモノの片づけで練習をしようしかし、原則的な部分を見ると、書類とモノの片づけには共通点がたくさんあります。
そこで第2章では、まずは取り組みやすいモノの片づけのノウハウをお伝えしていきます。
その中で片づけの原則を知り、効果を体感しながら、「ファイリングのためのスペース作り」を進めていきましょう。
モノの次が、書類。そして、書類の次が、データです。データに関してはモノの総量すら見えないため、難易度は高いのです。データの片づけについては、第6章で詳しくお伝えしていきます。

言葉の定義を正しく知れば、片づけが進む!
言葉の定義そもそも片づけとは何でしょうか。すっきりすること、きれいにすること、捨てること……よくよく考えると、非常にあいまいです。だから、片づかないといっても過言ではありません。
片づけの定義を明確にすることで、やるべき作業や、課題、対策、改善のために必要なことが見え、具体的な行動目標も、立てることができるようになります。
整理・収納・整頓・片づけまず片づけ(広義)という言葉には一般的に「整理・収納・整頓・片づけ(狭義)」と4つの意味が含まれています。
1つずつ見ていきましょう。まず1つめが「整理」です。これは、不必要なものを取り除く、要不要を分ける、区別することをいいます。
特定のスペースのモノをすべて出し、分けていく作業です。「収納」は、使いやすく収めることをいいます。
整理の作業を通じて、「必要」と判断したモノや、特定の目的にそって分けたモノだけを、工夫して収める作業です。
例えば、使用頻度が高いペンは右利きなら右側に、よく使う消耗品は手前にといった工夫です。収納したモノを、見た目に美しく整えることを「整頓」と呼びます。
モノの端を整えたり、等間隔に並べたりという作業が代表的です。整理・収納・整頓まで行なうと、すべてのモノに対して「ここに置く」という、モノの住所ともいえる「定位置」が確定します。
この定位置から取り出し、モノを使った後、元の場所に戻すことを「片づけ(狭義)」と呼びます。あらゆる場所で、この4つの作業が終了することが必要だと考えると、ゴールが遠いですよね。
そのため、まずは作業を4段階で捉え、スモールステップ化し、1つずつ完了させていくことから始めましょう。

片づけが進むコツ
スモールステップで作業を明確にする片づけの定義が明確になると、「今日は15分間、整理をしよう!」「1週間かけて整理が一通り終わった」「次は収納を考えるために情報を集めよう」という風に、どの順番に何をすればよいかも明確になり、着実に1工程ずつ終わらせることができます。
当然、達成感も出てきます。講座を受講した方が、整理だけを徹底して行なっていたところ、「モノは減ったけど、全然きれいじゃない」と上司に言われたそうです。
この時、「上司は整頓を求めているんだな。収納・整頓は、整理した後にやるから大丈夫」と思ったそうです。片づけの定義がわかっていなければ、気に病んでいたかもしれない、とおっしゃっていました。
言葉の定義を正しく把握しているだけで、片づけの捉え方は大きく変わるのです。
定義がわかれば、強みも活かせる「あれを処分しよう」「これももういらないな」と考えている人は整理を、「100円ショップのケースを買って、レイアウトを変えて……」と考えている人は収納をイメージしています。
「整理派」はモノを減らそうとする一方、「収納派」はモノを増やそうとする。正反対の作業では、意見の相違から作業そのものが困難になります。
しかし、これは意見が合わないのではなく、そもそも言葉の定義が不明確なのが大きな原因です。ある企業の方は、「業務改善チームを組み、何年も片づけに取り組んでいたが、滞っていた。
しかし、言葉の定義を学び、整理は社員全体で一気に、収納は得意な社員同士で考える、と手順と役割分担を明確にしたら、みるみる片づけが進んだ。
これまでは、目につくものだけを数名で整理をし、収納が不得意な社員にリーダーとして担当させていたことに無理があったと気づいた」とおっしゃっていました。
この定義を人と共有することが、オフィス全体の片づけを進める第一歩です。

掃除と片づけは別作業
一生懸命掃除をしても片づかないモノがすっきりしても、ほこりや汚れがあると片づいたとは言えない、と思っていませんか?実際、「うちの会社は意識が高く、毎週金曜日の朝に、掃除を徹底しているのに片づかない」とご相談を受けたこともあります。
これも、片づけと掃除の定義が明確でないことが原因で起こる典型です。
片づけは「何が必要で、どこに置けば使いやすいか」「元に戻しやすく、その状態を保つことができるか」に対して、掃除は「ほこりや油などの汚れを落とす」スキルです。
片づけとは全く別モノなのです。
5S活動のハードルの高さ企業・職場での片づけといえば5S活動が有名ですが、これは「整理・整頓・清掃・清潔・しつけ」のことをいいます。
片づけと掃除、両方を含むため、5S活動は非常に難易度が高いのです。
5S活動は、製造ラインや食品を扱うなど衛生的な管理が重要になる企業・部門で必須のノウハウです。
清掃清潔も非常に重要ではあるのですが、事務所や事務仕事がメインとなる環境改善であれば、「モノの片づけ+ファイリング」を先に実行した方が、業務上の効果は早く表れます。
何をするにも片づけが土台モノが山積みの会社とすっきりと片づいた会社、どちらの方がほこりや汚れが少ないかと尋ねられたら、間違いなく後者です。
また、片づいていれば掃除にかかる時間も短縮でき、作業もラクにすみます。
だから、簡単な掃除をする回数も増え、さらに清潔な状態を保てるようになります。
片づけを先に行なうことで、掃除の効率も上がるということです。
効率よい職場環境、清潔な職場環境を目指すためにも、まずは整理から順に取り組みます。
片づけのステップは、清潔な環境で日々過ごす上でも土台となるのです。

「整理」の定義
基準を作り、条件で区別する片づけのピラミッドの土台部分となる「整理」からスタートしましょう。
まずは、「要不要を分ける」「不必要なモノを取り除く」作業です。
注意していただきたいのが、決して「ゴミを処分する」作業ではないということです。
デスクの引き出しから、はがれた付箋、ホチキスの芯、お菓子の包み紙といった、明らかなゴミを取り除くだけでは、整理は進みません。
整理は「要不要を分ける」、つまり「一定の基準(条件)を作り、区別すること」と捉えてください。
例えば、引き出しであれば「書類を使用する業務に必要な文房具」と基準を設定してみます。
すると、必要なモノは、ペンやハンコ、朱肉、クリップ、はさみ、ホチキスと判断できます。
条件から外れた小銭や目薬、同僚からもらった写真、おやつ等は不必要なモノとして取り出します。
これが、本来の整理です。
まずは使わないモノを取り除く整理の最適な基準は毎回異なりますが、オフィスで働く全員に共通する基準は「今、職場で使うモノだけを置く」です。
使わないモノとして、机から出てくるモノの多くは私物。
古いマグカップ、何年も前の名刺整理ソフト、何に使うかわからないケーブル、ミニカレンダー・手帳・タオルといった粗品、もらった旅行土産の小物、近くのお店の期限切れの割引券、ちょっと変わった形の使いにくいメモ帳、職場の同僚と貸し借りした時の本……。
とにかく、いろんなものが出てきます。
これらは全部取り出す対象です。
机の奥や足元など邪魔でない場所に置いてあったとしても、「必要でなければ取り除く」ことが原則です。
そして、取り出した後は、持ち帰って使い切る、人に譲る、処分するなど、とにかく自分が納得できる方法で、手放していきます。
「私物」が「死物」になっているモノから改善していきましょう。

使用頻度別・整理の手順
目的に合わせた整理の基準前項でもご紹介した通り、分ける基準は「いる・いらない」だけでは整理はうまくいきません。
例えば、「使う・使わない」になるだけで分け方は変わります。
さらに「会議の時に使う・資料作成時に使う」「共通で使う・個人で使う」など、様々な目的に合わせた基準で分けることができます。
使用頻度で整理するコツここで便利なのが、「よく使う・たまに使う」といった使用頻度による基準です。
例えば、机の中の文房具全体を、仮に「週1回使う・使わない」と使用頻度で分けてみます。
すると、輪ゴムや修正液、セロハンテープ、太マジック、30センチものさしなどが、取り除く対象となることが多いです。
また、書類処理の業務基準で「ペンは使う」と分けた場合、未使用や普段あまり使っていないものが含まれると、手元にあるすべてのペンが集まり、机のスペースを大量に占めてしまうことがあります。
こんな場合も同じく、「週に1回以上使うペンか・それ以外か」で分けていきます。
これなら、同じ新品の黒ボールペンが10本あったとしても、2本は机の中、8本は別の場所と置き場所が変わります。
もちろん、週1回以上使わないからといって処分はしません。
共有の文房具置き場に戻し、必要な時だけ取りに行くのもよいでしょう。
こんな風に、今使っているモノを分けることで、より便利で快適になります。

分けることができれば、片づけられたも同然
「机の乱れは心の乱れ」と言われる理由整理する=分けるということは、どちらにするかを決めるということ。
つまり、整理の作業には判断力・決断力が必要です。
「使わないけど捨てられない」「とりあえず置いておこう」「また今度にすればいいか」というのは、判断・決断の先送りと言えるでしょう。
この先延ばしにしているツケの蓄積が、日々スペースにモノをあふれさせ、探し物の時間を発生させ、ストレスのたまる環境を作り出しています。
そのため、何かを決めるのが苦手な人は、片づけが苦手な傾向にあります。
そして、「また使うかもしれないから、ここに置いておこう」「これは処分」「この書類は、次の会議の後に綴じよう」「これは、〇〇さんに渡すからここに挟んでおこう」……こんな風に一つひとつ決めてきた結果が、今の机周りの状態です。
現在の机の状態は、その人の判断と決断を積み重ねた結果なのです。
机を見れば、その人の思考も現在の状態も丸見え。
「机の乱れは心の乱れ」と言われるのには、こうした理由があります。
これまでと少し違う判断をしてみよう改善していくのは、決して難しいことではありません。
単純に、これまでと少し違う判断・決断をしていけば、積み重ね方が変わり、おのずと結果は変わっていきます。
この整理の基準や判断が変わっていくことが、ダイエットでいう食事習慣や運動習慣等の生活改善にあたる部分で、根本的な問題解決に必要なことです。
一気にモノを処分するのは、一時的な断食やハードな運動と同じ。
これではリバウンドしてしまいがちですよね。
この先長く、きれいな状態をキープするために必要な習慣が「整理」です。
書類の持ち方の基準に関しては、第4章でいくつか事例をご紹介します。

「収納」の定義
使いやすく収めること収納は、モノを使いやすくするために行なう「工夫」の作業です。
例えば、右利きの人であれば、右側にペンを置いた方がペンと手の距離が短いため、動線がいい。
引き出しの奥と手前なら、手前の方が出しやすいため、よく使うモノは手前に置く。
これが収納ノウハウです。
動線がよく、出しやすいということは、戻しやすいということです。
意識しなくても散らからなくなるのが、理想の収納です。
収納グッズを利用してもいいでしょう。
ただし、気をつけていただきたいのは、収納は決して「使わないモノをいかにたくさん、隙間なく、狭いスペースに上手に詰め込むための技術」ではないということです。
リバウンドする原因と収納用品整理の概念がない方は「スペースが狭いから片づかない」と思い込んでいます。
だから、まず棚を購入し、何が入っているかが不明な使用していないロッカーの前に置いたり、コの字ラックを購入し組み合わせ、足元に棚を制作してモノを置く……。
整理に着手することなく、ただモノを置く場所が増えただけ。
こうして、10年以上前の今は絶対に使わない書類を置いていた方もいました。
収納用品を増やし、そこにモノを収めると、一瞬すっきりしたように見えますが、その後もモノは増え続けるため必ずリバウンドします。
テレビや雑誌等のメディアでは、「片づけ」ではなく、収納用品の紹介ばかりしていることにお気づきでしょうか?「この収納グッズを使えば、机周りがすっきり!」と紹介されていると、試してみたくなりますよね。
しかし、整理をせずに購入すると、本末転倒です。
整理が終了し、必要なモノを使いやすく収めるよう工夫することが収納です。
まずは整理を行ない、必要量と目的に合わせた収納用品を見極めて購入しましょう。
ここでぴったりくる収納用品を選ぶことができれば、長く大切に使うことができます。

収納の4つの原則
いくらでも生み出せる収納アイデア「アイデア収納」という言葉があるくらいですから、収納方法は無限に生み出せます。
しかし、原則は「四角く区切ること、立てておくこと、直置きしないこと、8割に収めること」これを基本に考えます。
まず机の引き出しを、四角い収納用品を使って区切る理由は、収納効率を上げるためです。
丸いとデッドスペースが発生します。
自宅にあるケースや、お土産やお菓子の箱など、いろんな大きさの箱を様々な向きで組み合わせ、そこにペンを入れたり付箋を入れたり、しばらく使ってみながら、日々改善していきます。
そのうち、「この収納が一番いい」と思えたら、その箱と同じサイズの収納用品を100円ショップなどで購入すればよいでしょう。
立てること、直置きしないことのメリットモノは立てて収納します。
平置きをしてしまうと、下のモノが見えなくなり、忘れ、散らかる原因になるからです。
これは机の中、カバンの中など、どこであっても同じです。
その最たるものが紙類です。
今、平積みにしているなら、すぐに立てましょう。
また、直置きしないこともポイントです。
直接モノを机の引き出しやかばんに入れるのではなく、四角いカゴやケースを使い、その中に収めます。
これだけで、スペースを区切れるので、目的別に整理されやすく、見た目も整頓されているように感じます。
例えば、引き出しの中の手前と奥を、2つの四角いケースで区切ったとします。
すると、手前の箱を一度つかんで取り出し、奥のケースを引っ張れば、机の中の奥にあるものも、手前にあるものもすべてのモノがすぐ出てきます。
ケースを2つ取り出すだけなので、拭いて掃除するのも簡単。
これは「四角く区切る」「直置きしない」、2つの原則による効果です。

先延ばししない名刺管理方法
フォルダか名刺箱か名刺管理に悩んでいる方も多いものです。
机を片づけているとあちこちから名刺が出てきます。
名刺管理がうまくいかない理由は、面倒だからで、それは収納方法が自分に合っていないということです。
これも収納の原則に則れば、効率的に管理することができます。
一般的によく使われているリフィルファイルタイプの名刺管理方法は、お勧めしていません。
なぜなら、ファイルそのものがかさばるのと、名刺の増減を前提とした管理が非効率だからです。
名刺交換を行ない、名刺が新しく増えた際、企業名もしくは担当者名等で分類された場所に入れたいのに、そのスペースはあいていない。
逆に、担当者が辞めた場合等は、そこだけ歯抜けになってしまうなど、手間をかけないときれいな状態でキープできないというのが大きな欠点です。
では、どう管理するのが合理的なのかといえば、収納の原則にそって「立てる」ことです。
名刺が立つ収納ケースを準備し、五十音の仕切りに合わせて入れるだけ。
これで完成です。
新しく増えた名刺は、容易に分類し、適切な場所に入れることができます。
使用頻度順の収納にする名刺整理箱使用時のコツは、連絡をとるために名刺を探して利用したら、五十音仕切りのすぐ後ろに戻していくことです。
すると、「最近連絡した相手」「よく連絡する相手」が集まり、使用頻度順に並ぶため、検索スピードが上がります。
一方で、後ろには「使わない名刺」がたまるので、後ろからある程度の量を適当につかんでも、不必要な名刺を一瞬で選択でき、整理の時に1枚1枚チェックする作業が不要になります。
人事異動等の引き継ぎの際も、全名刺を引き継ぐより、実際に使う名刺だけ渡される方が、後任者にも喜ばれます。
面倒さゆえ、後回しになっているなら、収納を工夫することで、すぐに解決します。

きれいをキープする8割収納
8割収納とは?整理収納を進めた後、これで完成ではありません。
リバウンドして、また整理収納を行なうのは時間のムダ。
ここからは常に元の場所に戻し、きれいになった現状をキープする必要があります。
そのために必要なのが「8割収納」です。
スペースに対して、収めるモノの量を8割程度に抑えるという原則です。
10割とは、スペースに隙間なくびっちりとモノが入った状態。
一見きれいですが、こうなると出すのも戻すのも1アクション以上増えるため、せっかく決めた場所に戻すのが面倒になり、徐々に散らかる原因となります。
例えば、本棚をイメージしてみてください。
本を戻そうとした時に、2割程度の隙間や空間の余裕があれば、その隙間に片手でさっと戻すことができます。
ところが、隙間なくびっちり本が入っていたら、戻すためのあきスペースを確保するため、横の本をぎゅっと押して圧縮しなければなりません。
これが面倒だから、並んでいる本の上や手前に、ついモノを置いてしまうのです。
「出しやすいから戻しやすい」が必須条件これも原則なので机の引き出しの中はもちろん、ペンケースやカバンの中など、どのようなスペースでも同じです。
8割にしておくことで、戻す時の手や指、体を入れ動かすスペースの余裕ができ、元の場所に戻しやすい環境が整います。
もちろん、「一時的」に増えたモノを入れても、きちんと収まります。
そして、ここからは「1イン1アウト」、1つ新しいものが入ってきたら1つ出すことを徹底しましょう。
適正量の設定に影響する内容ですが、8割収納の状態まで作ってから1イン1アウトができれば、今のきれいな状態のキープが可能になり、二度と大きな片づけ作業をしなくてもいい環境を作ることができます。

戻すための1アクションを徹底的に減らす
机の引き出しにゴミ箱を作る事務作業をしていると、ホチキスの針や、使った後の付箋など、小さなゴミが多数出ます。
そこで、机の2段目の引き出しの中に、小さな箱にビニール袋をかけ、ゴミ箱を置いてみると、とても便利です。
どう便利になるのか、数字で見ていきましょう。
まず、ゴミ箱へ捨てる場合、捨てて戻ってくるまでの作業手順として、①椅子を引く、②立ち上がる、③椅子を元に戻す、④ゴミ箱まで歩く、⑤ゴミを入れる、⑥戻ってくる、⑦椅子を引く、⑧座ると合計8アクション。
これを仮に10秒としましょう。
引き出しの中にゴミ箱を作った場合、①引き出しを引く、②ゴミを入れる、③引き出しを閉めるの3アクション。
時間にすれば3秒もかかりません。
これが、1日に6回ゴミを捨てるなら、かたや48アクションに対して、引き出しのゴミ箱なら18アクション。
秒数比較で見ても、ゴミ箱まで歩く分、圧倒的に机の引き出しが便利です。
さらに、1年240日ほどで計算してみると、大きな差になりますね。
「ただ便利」なだけはなく、アクション数を1つでも減らし、1秒でも削ることへの小さな工夫を積み重ねる重要性を感じていただけるかと思います。
アクション数が減るほどキープしやすくなる元の場所に戻しやすいしくみ作りにも、アクション数は直結しています。
アクションが増えるほど「その一手間」が面倒で、散らかる原因になるからです。
そのため、片づけのプロは、どこに・何を・どのように置けば1アクション減らせるのか必死に取り組み、そのために収納用品も厳選します。
あとで紹介する書類管理も同じです。
個別フォルダを使用する「バーチカルファイリング」もとても便利ですが、アクション数から見てみると、より効率のよさが明らかとなります。

片づけは、元の場所に戻すこと
定位置管理の工夫いつも同じ場所にモノを戻す「定位置管理」、これが定まれば、探し物がなくなります。
出す時はどこにあるか探せても、戻す時には案外、「だいたいこのあたり」と適当になり崩れていきます。
解決のためには様々な工夫がありますが、中でも有名なものをご紹介します。
まずはテプラなどを使ってモノの名前を置き場所に貼る「文字ラベリング」。
応用として、モノの写真を撮って貼っておく「写真ラベリング」です。
また、5Sの定位置管理としてよく紹介されているのが、そのモノの形にかたどって、収納の目印とする「模り(型取り)」の手法。
はさみやペンの形にそって、ウレタンに型を抜いてモノを置いている写真を、ご覧になった方もいらっしゃるかと思います。
「必ず定位置に戻す」「決めた以外のモノは入れない」「この状態をキープする」を徹底します。
使った後、5ミリの差もなく、同じ場所に戻すことができ、さらに、元に戻っていないのも一目瞭然。
紛失にすぐ気づくというメリットもあります。
模り収納を採用すべきかどうか悩んだら「机の引き出しの中は、必ずウレタンの模り収納にすべきでしょうか?」という質問を受けることがありますが、そんなことはありません。
例えば、鍵やUSBメモリなど、紛失してはいけない小さなモノを複数持っている場合や、元の場所に戻す習慣を作りたい、絶対に二度と机の中を片づけしたくないといった目的があるならいいでしょう。
しかし、「モノの増減に対応しにくい」「模る作業が手間」といったデメリットもあります。
その収納方法で得たい効果は何か、目的を明確にして検討しましょう。

COLUMN2ホームファイリングのすすめ
書類の管理が行き届いたご家庭は、必要な時に、必要な書類がさっと出てきます。
しかし、実際にはすべての書類を奥さま一人で管理されている場合が少なくありません。
私が実践指導するホームファイリングのゴールは、「家族全員が書類を共有し、自分で出せるようになる」ことです。
どこに何の書類があるかわかれば、自分たちで出し入れするようになることも多いのです。
ホームファイリングといっても、オフィスと同じです。
バーチカル管理が基本で、管理表を作り、分類やタイトル等についてフィードバック。
管理表には家族全員から意見をもらい、改善し、ゴールを目指します。
家族が書類管理に興味を示した、夫が自分で保管していた書類を一緒に管理してほしいと出してきたなどの変化が起こるのですが、これがオフィスでいう参加意識です。
ご家族も、自分で取り出せる方がストレスフリーですし、「あの書類どこ?」と声をかけるのは忍びなく思っていらっしゃる場合もあります。
また、「夫が水道修理訪問時に、私がいなくても書類を出して対応してくれた!」と、涙を流して喜んでくださった方もいました。
家事に積極的でない様子に長年ストレスを抱いたそうで、ホームファイリングで解決したとのことでした。
こうしたプラスの波及の効果は、夫婦関係にも影響する──すべてはオフィスと共通です。
私は現在、ファイリングの本来の魅力を広く知っていただくため、オフィス向けのファイリングスキルをご家庭向けにも提供しています。
自宅で効果を体感した方々が、オフィスにバーチカル管理を持ち込み、社内の改善が進んでいるというお話も。
家庭からもファイリング普及ができればと思っています。
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